Themes
記憶
主題「記憶」に分類された 561 作品。
- 001 2026 私的応答 してきおうとう 『私的応答』は、1995年の震災を経験した銅子と、母、娘の厚美を軸に、母娘三代の時間をたどる長編です。倒れたミシン、避難所の体育館、梅田で浴びたシャワーといった記憶が、年月を隔てても日常の奥で反響し続けます。震災の経験を大きな出来事としてだけでなく、家族の会話、沈黙、許しがたさの中に残るものとして描…
- 002 2026 生きとるわ 『生きとるわ』は、又吉直樹が2026年に文藝春秋から刊行した、6年ぶりの長篇小説です。出版社公式は、『火花』から10年後の新作として本作を位置づけ、友情や恋愛、裏切り、苦境をめぐる人間の姿を扱う作品として紹介している。900枚規模の長篇として、笑いと痛みの近さを又吉の語りで読む作品である。
- 003 2025 温泉小説 おんせんしょうせつ 年齢も性別も境遇も異なる人びとが温泉地へ向かう六篇の連作的短篇集。おひとり様限定の温泉バスツアー、免許返納を迫られる後期高齢者、母の呪縛から逃れられない44歳の娘、亡き妻との記憶をたどる初老の男、50歳女性の一人旅、婚約者と別れて南の島で再出発を試みる若者など、人生の苦みや迷いを抱えた人物たちを描く…
- 004 2025 激しく煌めく短い命 はげしくきらめくみじかいいのち 『激しく煌めく短い命』は、中学校の入学式で出会った久乃と綸が、周囲の偏見のなかで愛を育み、やがて決定的に引き裂かれるまでを描く恋愛小説です。十数年後、東京で働く久乃が綸と再会する構成により、青春の瞬間的な激しさと、時間を経ても消えない感情の持続が重ねられる。長い時間を隔てた再会は、失われた恋の回復で…
- 005 2025 細長い場所 ほそながいばしょ 『細長い場所』は、名前、記憶、肉体を失い、気配や残存となった「わたしたち」が旅をする幻想的な小説です。河出書房新社公式は、生と死のあわいにある不思議な風景として作品を紹介しています。個であることがほどけていく語りを通じて、誰が語り、誰が残っているのかという境界も揺らぎ、旅そのものが死者と生者の関係を…
- 006 2025 移動そのもの いどうそのもの 『移動そのもの』は、表題作を含む九篇を収めた短篇集です。筑摩書房公式は、一文ごと一語ごとに世界が変化する作品として紹介しており、筋の説明よりも言葉そのものが読者を動かす体験が前面に出ています。市場、家、老い、旅などの場面が、詩と散文のあいだを跳ねるような語りによって小さな宇宙へ変わっていきます。収録…
- 007 2025 帰れない探偵 かえれないたんてい 語り手の「わたし」は世界探偵委員会連盟に属する探偵だが、探偵事務所でもあり家でもある部屋に突然帰れなくなる。急な坂の街、雨でも傘を差さない街、夏が続き夜が来ない街、砂と太陽の街など、変化し続ける世界の都市をめぐりながら、「帰れない」状態そのものを抱えたまま移動していく。事件を解決するよりも、街の手触…
- 008 2025 彼の左手は蛇 かれのひだりてはへび 『彼の左手は蛇』は、仕事を辞め、女性と別れて、蛇信仰の残る土地に来た男が「この手記」を書くところから展開する小説です。白蛇を祀る神社、毒蛇狩り、議員の死、刑事、謎めいた人物たちが絡み、蛇のイメージが信仰・恐怖・罪悪感・暴力の記憶を結びつけていく。地方の伝承と個人の過去が重なり、現実の捜査譚と幻想的な…
- 009 2025 その針がさすのは そのはりがさすのは 『その針がさすのは』は、再開発が進む東京・中野に住む「僕」が、街の過去と自分の身体の出来事を結びつけていく小説です。戦前に満州国と中野が電信ケーブルでつながっていたという話、不妊治療手術、時計のイメージが重なり、日常の街が歴史の深部へ沈み込む。個人の身体の時間と都市の記憶が同じ針に触れられるように接…
- 010 2025 たのしい保育園 たのしいほいくえん 『たのしい保育園』は、二歳のももちゃんと父が川べりを歩き、保育園へ向かい、連絡帳を書こうとする日々を描く連作小説です。育児のなかで消えていく一日一日の記憶を、父の観察と子どもの時間感覚の両方からすくい取ります。子どもの発語や歩幅に合わせる語りが、親の側の戸惑いと喜びも同時に浮かび上がらせます。大きな…
- 011 2025 遠くまで歩く とおくまであるく コロナウイルス感染拡大の中、小説家のヤマネは「身近な場所を表現する」実践講座を担当する。地図や映像を手がかりに、PC越しの参加者たちがそれぞれの記憶、忘れられない景色、言葉を語り合い、その記憶が別の記憶を呼び起こしていく。移動できない時期に、場所を語ることが別の場所へ歩いていく行為として立ち上がる…
- 012 2025 わたしハ強ク・歌ウ わたしハつよク・うたウ 『わたしハ強ク・歌ウ』は、海へ行こうとする「わたし」が、自分の旅と母が残した旅の記録を重ねて書き始める小説です。停留所の謎の男、先住民たちとの出会い、アンネの日記や火山の町といった断片が、現実の旅行記を越えた冒険譚へ変形していく。母の記録と現在の移動が重なることで、旅は継承された記憶を別の声で歌い直…
- 013 2025 麝香豌豆 すいとぴー 『麝香豌豆』は、井岡道子が2025年に未知谷から刊行した八篇構成の作品集です。四万十川上流の山村と、青年期を過ごした京都という二つの土地を軸に、習俗、家族、友人知人との関係を静かに切り取る。土地の記憶と個人の感情が重なり、日常の一場面を象徴的に読ませるところに読みどころがあります。
- 014 2025 処暑 しょしょ 『処暑』は、阿部あみが「文學界」2025年12月号に発表した短篇です。NDLサーチとCiNii Researchでは「処暑 : 二〇二五年下半期同人雑誌優秀作」として記録され、掲載誌・巻号・ページ範囲・責任表示を確認できます。『裏庭』で第5回林芙美子文学賞佳作となった後の発表作として収録します。公開…
- 015 2025 携帯遺産 けいたいいさん 「携帯遺産」は、人気ファンタジー作家・舟暮按が自伝小説の執筆を依頼され、自分の人生の記録を探索していく長編。実家の焼失、震災、父の失踪を背景に、作家が自らの人生を小説にすることの意味と、生き別れた父への接近が重ねられる。携帯端末や残された記録は、過去を保存する道具であると同時に、語り手が失われた家族…
- 016 2025 アナグマ あなぐま 『アナグマ』は、葬祭会社に出向した五十代の女性を語り手に、新しい職場での死との接触と、母の介護や看取りの記憶が重なるさまを描く作品です。死を扱う労働の現場と、家族内のケアの記憶が交差し、中年期の孤独と責任を静かな語りで見つめます。葬祭と介護という二つの場面を通じて、他者の死を手続きとして扱わざるをえ… 第11回 林芙美子賞
- 017 2025 二十四五 にじゅうしご 『二十四五』は、乗代雄介が2025年に講談社から刊行した小説です。講談社公式は、実家を出て作家となった二十四五歳の語り手が、弟の結婚式へ向かう道中で亡き叔母の痕跡を追う物語として紹介しています。喪失を抱えたまま生きること、死後にもほのめかされる愛情や恨みの感触を、移動と記憶の反復を通して描く作品とし…
- 018 2025 時の家 ときのいえ 『時の家』は、建築士が設計した一軒の家に暮らした三代の住人たちの記憶を、訪問者である青年のスケッチを通して呼び起こす作品です。丸柱、天井、漆喰の壁といった細部に、住む人の感情と時間が蓄積していきます。建物を見る行為が、そこにいた人々の声や関係を再構成する読みの装置になっています。家を単なる舞台ではな… 第47回 野間新人賞
- 019 2024 かりそめの星巡り かりそめのほしめぐり ドイツでの暮らしのなかに、故郷である仙台の風景、文学作品、美術、過去からの声を重ねていくエッセイ集。Books 出版書誌データベースでは、河北新報連載「記憶の素描」と日本経済新聞連載「美の十選」を収録した、著者初のエッセイ集として紹介されている。小説作品で展開してきた記憶、土地、言葉、死者との距離と…
- 020 2024 普通の子 ふつうのこ 小学5年生の晴翔が教室のベランダから転落して骨折し、理由を語らないところから始まる長篇。母の佐久間美保は、夫の和弥との日常を続けながら、いじめの可能性を疑って真相を探る。その過程で、自身の小学生時代のいじめに関わる記憶がよみがえり、現在の親子と学校の問題、過去の記憶が交錯していく。『普通の子』という…
- 021 2024 僕たちの保存 ぼくたちのほぞん 『僕たちの保存』は、語り手のゲンさん、年上の武上さん、引きこもりの甥シンスケ、人気漫画家の亀谷さんらが、新幹線、自転車、バス、テスラを乗り継いで旅に出るロードノベル。震災被害者の形見であるMSXパソコンが、過去と現在、記憶と情報の保存をつないでいく。データ、モノ、思い出の保存方法が変わっていく時代を…
- 022 2024 ムーンシャイン むーんしゃいん 『ムーンシャイン』は、「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」「ムーンシャイン」「遍歴」「ローラのオリジナル」の四篇を収めた短篇集。曾祖父のノートに残された八つの印、〈ムーンシャイン予想〉を下敷きにした算術SF、生まれ変わりを教義に置く宗教団体の奇怪な歴史など、数学・記憶・信仰・物語生成が…
- 023 2024 ある日の、あのタクシー あるひのあのたくしー 『ある日の、あのタクシー』は、運転手と乗客の一期一会の出会いを通して町の姿を描く、12編からなるタクシー小説集。車内という短い時間と閉じた空間に、乗る人の生活、職業、孤独、偶然の会話が交差する。移動する密室としてのタクシーが、普段はすれ違うだけの人々の事情を一時的に結びつける。タクシー運転手経験を持…
- 024 2024 無形 むけい 立ち退き勧告が進む海辺の団地を舞台に、年老い病を患う祖父と孫娘、親が失踪した姉弟、夫に先立たれた老女、友情以上の感情を育む少女たちなどの生活が重なっていく長編。形には残らない生活の喜びや悲しみを、団地に流れる季節と記憶のなかに描く。取り壊される場所の記憶を、誰か一人の所有物ではなく、複数の生活が交差…
- 025 2024 死神 しにがみ うまくいかない作家の人生の節目ごとに、死神が現れるという設定の長編。語り手が中学二年のときに初めて出会った「こいつ」は、長く書くことのできなかった存在として回想され、死や家族の記憶と結びついていく。幻想的な相棒のようにも見える死神は、恐怖だけでなく、書くことから逃れられない作家の自意識を映す。死を擬…
- 026 2024 昏色の都 くれいろのみやこ 表題作「昏色の都」に、「極光」「貸本屋うずら堂」を併録した幻想小説集。国書刊行会公式は、表題作を初出時の三倍の規模へ増補した中編として紹介し、夢と現実のあわいをさまよう旅の物語や、古い貸本漫画と幼年期の記憶をめぐる作品を収めると説明している。幻想は現実逃避ではなく、記憶や読書体験の奥に潜む時間を呼び…
- 027 2024 森は盗む もりはぬすむ 『森は盗む』は、第10回林芙美子文学賞大賞受賞作で、小原鉄平の作品集『八月のセノーテ』に収録された作品です。朝日新聞出版さんぽで公開された冒頭では、工務店で働く語り手が、森の奥に残る木造の檻を見つける場面と、職場の日常が交互に立ち上がります。森の不穏な気配と、設計・現場・職人をめぐる働く場の感覚が重… 第10回 林芙美子賞
- 028 2024 人にはどれほどの本がいるか ひとにはどれほどのほんがいるか 「人にはどれほどの本がいるか」は、在野の文化理論家・素人作家として生きた人物の蔵書、追悼、記憶をめぐる作品。朝日新聞出版さんぽで公開された冒頭では、地方紙のお悔やみ、研究会の追悼文、家業や蔵書の来歴が重なり、本を所有することと人生を支える言葉の関係が立ち上がる。死後に残る本や文章をたどる語りは、一人…
- 029 2024 ゲーテはすべてを言った げーてはすべてをいった 「ゲーテはすべてを言った」は、ゲーテ学者・博把統一が、ティーバッグのタグで出会った未知のゲーテの言葉を追う小説。原典調査と研究生活の記憶をたどる探索譚であり、引用、創作、学問の確かさそのものを物語の謎にしている。言葉の出典を探す学術的な手続きが、家族や研究者としての自己像を問い直す小説的な旅へ変わっ… 第172回 芥川賞
- 030 2024 筏までの距離 いかだまでのきょり 『筏までの距離』は、水原涼が2025年に集英社から刊行した八篇構成の作品集です。植物園、礼拝堂、温泉街、古びたリゾートマンションなどの場所を通して、関係に名前を与えにくい二人の距離が浮かび上がる。書き下ろし二篇を含む構成で、出会いと記憶のずれを静かな違和感として読ませます。
- 031 2024 虚史のリズム きょしのりずむ 『虚史のリズム』は、奥泉光が『すばる』連載を経て集英社から刊行した1100ページ超の長篇です。戦後間もない東京と山形を舞台に、石目鋭二の探偵譚、元軍人の記憶、国家機密文書をめぐる陰謀が重なり、戦争と戦後の語られなかった声を多層的に呼び込む。作中に反復される「dadada」のリズムが、記録されない死者…
- 032 2024 光のそこで白くねむる ひかりの そこで しろく ねむる 『光のそこで白くねむる』は、十年ぶりに故郷の田舎町へ戻った「わたし」が、墓地へ続く道で死んだはずの幼馴染の声を聞くところから始まるデビュー作。行方不明の母、神のような父、汚言機械のような祖母が現れ、不確かな記憶の流入によって平凡な田舎が異界へ変わっていく。過去を思い出すというより、記憶そのものが語り… 第61回 文藝賞
- 033 2024 月ぬ走いや、馬ぬ走い つちぬはゆいや、うんまぬはゆい 『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、沖縄に生きるアメリカルーツの少年、コザの女性、旧日本軍将校など、複数の語りを通して沖縄の戦中から現代までをたどる作品です。個々の声を重ねることで、戦争、占領、基地、血縁、土地の記憶を一つの歴史に閉じ込めずに立ち上げます。個人のルーツを探る物語が、沖縄という場所に刻まれた支… 第46回 野間新人賞
- 034 2023 前の家族 まえのかぞく 37歳の独身小説家・猪瀬藍が、中古マンションの購入を決意するところから始まるマイホーム奇譚。理想的に見えた物件には、そこに十二年間暮らした若い夫婦と幼い姉妹の「前の家族」の気配が残り、引っ越したはずの娘たちが藍の新居へ現れる。住まいを買うことが、部屋だけでなく周囲の環境や他者の記憶まで引き受けること…
- 035 2023 あわいに開かれて あわいにひらかれて 『あわいに開かれて』は、小野正嗣が「記憶」をめぐって編んだ約40編の掌編小説集である。短い断章の連なりは、日常のなつかしさと不可思議さのあいだを行き来し、はっきりした筋よりも、ふと開く時間や感覚の隙間を読ませる。断片の小ささは軽さではなく、失われたものや名づけにくい気配を受け止めるための形式になって…
- 036 2023 FICTION フィクション 演劇する集まりを「FICTION」と名づけ、十六年続けてきた「わたし」が、仲間の死や病、自身の大病を経て回想を始める連作短篇集。収録作は「FICTION 01 象使い」から「FICTION 07 助けになる習慣」まで、演劇と小説、記憶と作り話の境界を行き来する。新潮社は芥川賞受賞作『しんせかい』に連…
- 037 2023 幻日/木山の話 げんじつ/きやまのはなし 『幻日/木山の話』は、コロナ禍を含む時間のなかで書き継がれた「木山」をめぐる連作小説集で、八つの短篇を収める。人、動植物、水や土や空気、社会が互いに影響し合う世界を、出来事の大きな起伏よりも時間の流れやまなざしの変化に沿って描く。孤独は閉じた心理ではなく、他者や自然へどう目を向けられるかという問いと…
- 038 2023 神と黒蟹県 かみとくろがにけん 黒蟹山や黒蟹城、紫苑市と灯籠寺市を擁する架空の県を舞台に、土地に生きる者、赴任してきた者、帰郷した者、地元を訪れた者たちの営みを描く連作小説集。現実のどこかにありそうな地方都市の手触りに、半知半能の神が降臨するようなわずかな神秘が混じる。群像劇として土地の記憶や住民の距離感を浮かび上がらせ、絲山秋子…
- 039 2023 観音様の環 『観音様の環』は、瀬戸内の島から東京へ逃れるように出たマヤが、恋人ジェシカとの結婚を機に台湾へ渡り、封じてきた家族の記憶と向き合う中編である。田舎の排他的な空気、暴力的な父、母の期待と支配からの逃走が、台湾での年夜飯と母の故郷への訪問を通して再び立ち上がる。日本語と中国語、島と東京と台湾をまたぐ移動…
- 040 2023 黄色い家 きいろいいえ 2020年春、惣菜店に勤める花が、かつて疑似家族のように暮らした黄美子の事件記事を見つけるところから、二十年前の「黄色い家」の記憶が開かれる。少女たちはまっとうに稼ぐ道を失い、生活を守るためにより危うい金稼ぎへ踏み込んでいく。貧困、金、犯罪、記憶、家族の擬態を重ね、善悪で割り切れない生存の痛みを長い…
- 041 2023 蝙蝠か燕か こうもりかつばめか 2022年2月に急逝した西村賢太の未刊行小説集で、完結作としては最後の表題作を含む三篇を収める。北町貫多が藤澤清造資料の調査や書簡の額装をめぐって動く「廻雪出航」「黄ばんだ手蹟」と、死の前年の貫多を描く「蝙蝠か燕か」によって、師への執着と自分の文学を問い直す。私小説的な分身を通じ、歿後弟子としての覚…
- 042 2023 街とその不確かな壁 まちとそのふたしかなかべ 十七歳の「ぼく」は十六歳のガールフレンドから、彼女の本当の自分は高い壁に囲まれた街にいると告げられ、その後彼女は姿を消す。年月を経た語り手は、壁、望楼、図書館、古い夢、影を持たない人々のいる街と現実世界のあわいを行き来することになる。村上春樹が長く抱えてきた「壁に囲まれた街」のモチーフを、喪失、記憶…
- 043 2023 流れる島と海の怪物 ながれるしまとうみのかいぶつ 母に連れられて行った屋敷で、「俺」は朱音と朱里という二人の姉妹に出会う。母がなぜ二人に会わせたのかという謎は、伯母から聞く出生の秘密と、姉妹の母の故郷である「流れる島」の神話へつながっていく。下関という土地、家族と血の記憶、少年と少女の出会いを、現実と神話が絡む濃密な語りで描いた長編である。『共喰い…
- 044 2023 ラーメンカレー ラーメンカレー 『ラーメンカレー』は、ロンドンの結婚式やペルージャへの旅をきっかけに、高校時代の同級生たちの言葉と記憶があふれ出す連作短編集である。表題作を含む「窓目くんの手記」連作と複数の短篇を収め、食べ物の名前の軽さとは裏腹に、青春の偶然や移動、他者との出会いが時間をまたいで響く構成になっている。滝口悠生らしい…
- 045 2023 最愛の さいあいの 『最愛の』は、学生時代に手紙を交わした望未を忘れられない久島が、彼女の「忘れて」という願いに向き合い、自分のためだけの文章を書き始める恋愛長編である。情報や欲望を処理する現代的な主体と、手紙という遅い言葉の形式が対置され、恋愛を記憶・忘却・書くことの問題として掘り下げる。上田岳弘が繰り返し描いてきた…
- 046 2023 続きと始まり つづきとはじまり 二つの大きな地震と未知の感染症が時間の背景に置かれ、別々の場所で暮らす三人の日常が並行して描かれる。出来事の後にも生活は続き、過去の記憶や喪失は現在の手触りの中に戻ってくる。災害やパンデミックを直接の劇的事件としてではなく、長く蓄積する時間と人々の生活感覚として捉える長篇。大きな歴史の区切りよりも… 第60回 谷崎賞
- 047 2023 すみれにはおばけが見えた すみれにはおばけがみえた 『すみれにはおばけが見えた』は、鴻池留衣が2026年に田畑書店から刊行した三篇構成の作品集です。表題作では、亡くなった異父妹について書こうとする小説家の記憶が、書く行為そのものによって揺らいでいく。現実世界を物語として信じ込む人物も配され、記憶、虚構、自己物語化の危うさを扱う点が読みどころです。
- 048 2023 港たち みなとたち 『港たち』は、九州の離島に集まる吉川家の人々をめぐる五篇の作品集です。集英社公式ページでは、お盆の行事、帰省先で語られる過去、結婚式の場面などを通じて、吉川家の一年をたどる構成が示されている。『背高泡立草』に連なる小さな島の物語として、家族の声、港、海、土地の記憶を豊かな語りでつなぐ。
- 049 2023 解答者は走ってください かいとうしゃは はしって ください 『解答者は走ってください』は、過去の記憶を失った怜王鳴門に「きみの物語」というテキストが届くところから始まるマルチバース小説。世界を破壊すべきかという問い、クイズ大会、国家転覆、爆発物が絡み、物語と現実の境界を越えていく。メタフィクション的な仕掛けと速度のある展開で、読者にも世界の存続を問う構造を持…
- 050 2023 ラウリ・クースクを探して らうりくーすくをさがして 『ラウリ・クースクを探して』は、ソ連末期から独立後のエストニアを背景に、プログラミング、国家の崩壊、個人の夢と挫折を結びつける長篇です。朝日新聞出版公式ページでは、コンピュータ・プログラミングの才能を持つラウリがソ連の研究者として生きる道を目指しながら、歴史の変動に巻き込まれていく物語として紹介され…
- 051 2023 新古事記 : an impossible story 『新古事記 : an impossible story』は、村田喜代子が2023年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 052 2023 琥珀の家の掌 こはくのいえのてのひら 『琥珀の家の掌』は、『群像』2023年10月号に掲載された石沢麻依の作品です。今回確認できた公開情報は書店ページによる掲載情報に限られ、出版社公式の詳細梗概や書評は未確認。既存分類では記憶と静謐な読み味を仮置きしているが、内容説明は低確信として扱う。
- 053 2023 恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ こいははかないあるいはぷーるのそこのすてーき 『恋ははかない、あるいは、プールの底のステーキ』は、恋愛の記憶、時間の距離、語ることの不確かさをめぐる長篇です。川上弘美らしい日常と奇妙さの接続が、題名の比喩のように、現実感を少しずつずらしていく。恋を直接描くだけでなく、記憶のなかで恋がどのように形を変えるかを読む作品です。 第76回 野間文芸賞
- 054 2022 カルチャーセンター かるちゃーせんたー カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』を収録し、その小説に寄せられた作家・編集者たちのコメントまでも作品の一部として組み込む小説。松波太郎がニシハラくんへ語りかける形で、書きたいという欲望、書かれたものへの責任、そして「これは小説なのか」という問いを空白ごと立ち上げていく…
- 055 2022 ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉 ごじらしんぎゅらぽいんと TVアニメシリーズ『ゴジラ S.P〈シンギュラポイント〉』を、円城塔自身が小説として再構成した作品。2030年の千葉県逃尾市に未確認飛行生物が現れ、銀色のロボット「ジェットジャガー」との交戦、その怪鳥が「ラドン」と名付けられる出来事を起点に、逃尾市周辺で異変が広がっていく。怪獣、AI、時間や特異点を…
- 056 2022 古本食堂 ふるほんしょくどう 『古本食堂』は、神保町の小さな古書店を舞台に、本と食べ物を介して人がつながり直していく長篇。国文科の学生・美希喜は、急逝した大叔父の古書店を継ぐため上京した珊瑚を手伝ううちに、古本を探す客、町の食堂、店に残された記憶に触れていく。古書の具体的な手触りとカレー、中華、寿司などの食の描写が重なり、進路の…
- 057 2022 この世の喜びよ このよのよろこびよ ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、かつて幼い娘たちとこのセンターで長い時間を過ごした。いまはフードコートに入り浸る中学生の少女と言葉を交わすようになり、彼女との関わりのなかで、子育ての日々の記憶や、言葉にならないまま積もっていた感情が少しずつよみがえってくる。全編が「あなた」への呼… 第168回 芥川賞
- 058 2022 まっとうな人生 まっとうなじんせい 『逃亡くそたわけ』から十数年後、花ちゃんとなごやんは富山で偶然再会する。かつて精神病院を抜け出して九州を旅した二人は、それぞれ家族を持ち、コロナ禍の同時代を生きる人として再び向き合う。富山の地名、食文化、方言、スーパーの細部までを織り込みながら、家庭を守ろうともがく花ちゃんの怒りや不安を、土地に根ざ…
- 059 2022 水平線 すいへいせん 硫黄島を墓参したことのある妹に見知らぬ男から電話がかかり、兄は不思議なメールに導かれて船に乗る。祖父母世代の疎開、激戦地に残された人々、現在の兄妹の時間が交差し、死者の言葉が海を越えて現在へ届く。視点や人称を変えながら、戦争の記憶と島の隆起する時間を重ねる長篇。戦争を記録として遠ざけず、死者が生者へ…
- 060 2022 月の三相 つきのさんそう 旧東ドイツの小さな街で「フローラが失踪した」という噂が広がり、歴史に引き裂かれた少年と少女の物語が呼び起こされる。その街では誰もが自分の「肖像面」を持ち、面に惹かれて移り住んだ望、グエット、ディアナの三人は、失われた「顔」を探して見えない境界を越えていく。いくつもの時間が重層する街を舞台に、歴史、記…
- 061 2022 ULTIMATE EDITION あるてぃめっとえでぃしょん 『ULTIMATE EDITION』は、阿部和重が2022年に河出書房新社から刊行した作品集です。著者ページの著書一覧では多数の短篇を収める単行本として確認できます。
- 062 2022 霊たち れいたち 『霊たち』は、『新潮』2022年5月号掲載の短篇です。語り手である「私」と息子に、遠い実家の先祖が見えるという問いを出発点に、旧家や家系の暗がりが日常へ入り込みます。血縁や記憶が現在の生活に影を落とす感覚を、マジックリアリズム的な語りで立ち上げる作品です。見えるものが本当に霊なのか、家族史の中で語り…
- 063 2022 曼陀羅華X まんだらげえっくす 『曼陀羅華X』は、地下鉄サリン事件を想起させる未曾有のテロを起点に、もう一つの1995年以後の日本を組み立てる長篇です。作家Xが誘拐され、隠された復讐と「神の預言」をめぐって現実と虚構が混ざり合う筋立てが置かれています。国家、宗教、暴力、文学の役割を同時に問う構成で、事件の記憶を直接の記録ではなくフ…
- 064 2022 中有の森 ちゅううのもり 『中有の森』は、江場秀志が2022年に作品社から刊行した小説です。NDLサーチで、作品社刊、ISBN 978-4-86182-891-1、NDC 913.6の単行本として確認できます。公開Webで信頼できる梗概や初出誌を確認できなかったため、作品内容の説明は書誌情報に限定します。
- 065 2022 耳の叔母 『耳の叔母』は、村田喜代子が2022年に書肆侃々房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 066 2022 マグノリアの手 まぐのりあのて 『マグノリアの手』は、『群像』2022年11月号に掲載された短篇です。講談社群像公式サイトでは、マグノリアの白い花が語り手の失われた白い左手の記憶を呼び起こす作品として紹介されている。花のイメージと身体の欠落を結び、記憶と喪失を詩的にたどる作品として整理できる。
- 067 2021 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか ははおやからのこづつみはなぜこんなにださいのか 『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』は、実家から届く小包をめぐって、昭和・平成・令和をまたぐ家族の思いを描く連作集。業者から買った野菜を実家からの荷物と偽る女性、父が受け取っていた小包の謎、母からの最後の荷物など、物の中にしまわれた気遣い、ずれ、寂しさが開封されていく。タイトルの軽さに対して…
- 068 2021 彼岸花が咲く島 ひがんばながさくしま 彼岸花が咲き乱れる浜辺に、記憶を失った少女が流れ着く。海の向こうから来たため「宇実(ウミ)」と名付けられた彼女がたどり着いたのは、日本と台湾の間に浮かぶ架空の島。そこでは〈ニホン語〉と、女性だけが学ぶことを許された〈女語〉という二つの言語が話され、「ノロ」と呼ばれる女性たちが祭祀と政治、歴史の伝承を… 第165回 芥川賞
- 069 2021 北斗星に乗って ほくとせいにのって 『北斗星に乗って』は、上野発の寝台特急「北斗星」を軸にした8編の短篇小説集。列車という移動空間が、乗客の記憶や人生の分岐、もう一つの世界へ向かうような感覚をつないでいく。旅情だけでなく、日常から少し離れた場所で自分の過去や孤独に触れる、静かな幻想味を持つ作品集である。寝台特急の個室性と移動性を使い…
- 070 2021 星のように離れて雨のように散った ほしのようにはなれてあめのようにちった 『星のように離れて雨のように散った』は、行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説という三つの「未完」をめぐる長篇です。人生の岐路に立つ女子大学院生の語り手が、宮沢賢治作品の影や父の残した手紙を手がかりに、自分自身の物語を探していきます。父の不在を単なる謎解きにせず、失われたものを言葉で追…
- 071 2021 貝に続く場所にて かいにつづくばしょにて コロナ禍に覆われたドイツの学術都市ゲッティンゲンで暮らす日本人留学生の「私」のもとに、東日本大震災の津波で行方不明になったはずの友人・野宮が現れる。九年前に仙台で被災した記憶と、疫病下の異国の街の現在が静かに重なり合い、惑星の名を冠した小径、聖人伝や絵画の細部、庭に埋められた様々な品をたどりながら… 第165回 芥川賞
- 072 2021 滅私 めっし 必要最低限の物だけで暮らすライターの男が、ミニマリストの同志が集うサイト運営と投資で生計を立てながら、自由でスマートな生活を手に入れている。物だけでなく人間関係にも淡泊だった彼の前に、昔の所業を知る人物が現れ、捨てたはずの過去が生活に影を落とす。所有を減らすことの快楽と、過去や欲望は簡単には消せない…
- 073 2021 ミトンとふびん ミトンとふびん 大切な人の死や癒えない喪失を抱えながら生きる人々を、ヘルシンキ、ローマ、台北など複数の土地で描く全6編の短篇集。旅の風景は観光的な背景ではなく、残された人が小さな光や手触りに支えられて日々を続けるための場所として置かれている。吉本ばななが長く書き続けてきた喪失、時間、愛の主題を、静かでやわらかな語り… 第58回 谷崎賞
- 074 2021 長い一日 ながいいちにち 小説家の夫と妻が、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めるところから、長くつきあってきた友人たち、日々の暮らし、失ってから気づく愛着や記憶が交差していく長編。出来事を大きな劇に仕立てるよりも、生活の中でふと立ち上がる静かな感情と、時間の伸び縮みをすくい取る。日記と小説のあわいを思わせる形式で、夫婦と住…
- 075 2021 ルーティーンズ るーてぃーんず 2020年春の緊急事態宣言下、保育園が休園した二歳の娘を、作家の夫と漫画家の妻が交替で見ながら過ごす日々を描く家族小説。社会が止まったように見える時間の中でも、子どもの成長や生活の反復は続いていく。短篇「願いのコリブリ、ロレックス」と表題作を収め、非常時の日常を長嶋有らしい軽やかな観察とユーモアで描…
- 076 2021 旅のない たびのない コロナ禍中の日々を映す四篇からなる、上田岳弘初の短篇集。恋人とのホテル、息子との散歩、甥を預かる夏、出張先の車中といった限られた場面を通して、移動が制限された時代の記憶、会話、自己認識を描く。大きな事件よりも、日常の小さな違和感や言葉のずれから世界の変化を浮かび上がらせる作品集。短い時間に人生の全体… 第46回 川端賞
- 077 2021 恐竜時代が終わらない きょうりゅうじだいがおわらない 『恐竜時代が終わらない』は、山野辺太郎が『文學界』2021年7月号に発表した中篇小説です。NDLサーチとCiNii Researchで、同誌75巻7号の100-169ページに掲載された雑誌記事として確認できます。内容紹介や選評本文を確認できる一次情報は見つからなかったため、現時点では掲載誌・発表年を…
- 078 2021 ブラック・チェンバー・ミュージック ぶらっくちぇんばーみゅーじっく 『ブラック・チェンバー・ミュージック』は、阿部和重が2021年に毎日新聞出版から刊行した長編小説です。著者ページの著書一覧とNDLサーチのタイトル・著者検索で刊行情報を確認できます。
- 079 2021 黒い水/穀雨 河林満作品集 『黒い水/穀雨 河林満作品集』は、河林満の小説を没後にまとめた作品集です。インパクト出版会公式ページでは、二度芥川賞候補になりながら受賞を逃し、57歳で亡くなった作家の復活として紹介されています。表題作「黒い水」「穀雨」のほか、「月明りのなかで」「ある執行」「塵芥のさなぎ」「黒手夢譚」「ナムナムナマ…
- 080 2021 姉の島 『姉の島』は、村田喜代子が2021年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 081 2020 みがわり みがわり 『みがわり』は、新人賞を受けながら本を出せずにいる作家・律が、自分と瓜二つだった亡き女性の伝記執筆を依頼される長編。取材の過程で、姉妹の確執や家族の秘密、依頼そのものの不穏さが浮かび、律は他人の人生を書こうとするほど自分自身の物語も揺さぶられていく。伝記を書くことと書かれることの関係を通じて、自己像…
- 082 2020 来世の記憶 らいせのきおく 『来世の記憶』は、前世の殺人の記憶を抱えた近未来の語り手から、眠っている間に戦争が終わってしまう世界、冷蔵庫やスマートフォンや怪獣までをめぐる奇妙な出来事までを収めた20篇の短篇集。日常の手触りを残したまま身体や物や世界の前提がずれていくため、読み手は不条理な笑いと不安のあいだに置かれる。藤野可織ら…
- 083 2020 踏み跡にたたずんで ふみあとにたたずんで 『踏み跡にたたずんで』は、毎日新聞大分県版連載をもとに、土地と人々の記憶をめぐる36篇を収めた掌編小説集。掩体壕、赤い波、磨崖仏、港、道の駅、診療所など、場所や物の名を起点に、戦争の痕跡、伝説、老い、自然との遭遇が短い物語として立ち上がる。現実と幻の境目をあいまいにする語りで、土地に残る見えない記憶…
- 084 2020 百年と一日 ひゃくねんといちにち 人や店、駅、家、空港、家族の記憶が、数ページの掌編の中で十年、二十年、百年の時間へ伸びていく短篇集。個々の人物の大事件ではなく、場所に積み重なる時間、誰かが去り誰かが来る反復、忘れられていく出来事の痕跡を描く。長いタイトルと淡々とした語りが、日常の一瞬を歴史の厚みへ接続する。33篇のあらすじ付き掌編…
- 085 2020 一人称単数 いちにんしょうたんすう 村上春樹の六年ぶりの短篇小説集で、「石のまくらに」から書き下ろしの表題作まで八篇を収める。音楽、野球、過去の記憶、奇妙な遭遇をめぐり、一人称の語りが自分自身の輪郭を少しずつずらしていく。公式紹介が掲げる「単眼」と「複眼」の比喩のように、私、僕、あなたという呼び名の揺れが、回想と虚構の境目を曖昧にする…
- 086 2020 完全犯罪の恋 かんぜんはんざいのこい 『完全犯罪の恋』は、芥川賞受賞後も地味な暮らしを送る四十男の小説家「田中」が、新宿で初恋の相手の娘に声をかけられるところから始まる長編。物語は現在の東京と、下関の高校時代に読書を通じて近づいた才女・真木山緑との記憶を往還し、恋の独りよがりと罪悪感を掘り下げる。作家本人を思わせる語り手を置き、私小説的…
- 087 2020 口福のレシピ こうふくのれしぴ 『口福のレシピ』は、フリーのSE兼料理研究家として働く留希子と、昭和二年の品川料理教習所で働くしずえの時間を行き来する家族小説。留希子は老舗料理学校を営む家の後継者であることに抵抗を抱きながらも、SNS発信をきっかけに料理研究家として認知されていく。簡単でおいしい献立企画をめぐる問題を通じて、家庭の…
- 088 2020 MISSING 失われているもの ミッシング うしなわれているもの 『MISSING 失われているもの』は、制御しがたい抑うつや不眠を抱える小説家の「わたし」が、謎めいた女優や母の声に導かれて、混乱と不安に満ちた迷宮的な世界を彷徨う長篇。章題には成瀬巳喜男映画の題名が並び、現在と過去、現実と幻想、記憶と自己分析が重なり合う。村上龍が自らの創作の源泉や老い、母の記憶に…
- 089 2020 日本蒙昧前史 にほんもうまいぜんし 大阪万博や日航機墜落事故など、戦後日本の狂騒と蒙昧を彩った出来事の陰にある無数の生を描く長篇。文藝春秋公式は、語り手を自在に換えつつ戦後日本の手触りを蘇らせる作品として紹介している。歴史的事件を単なる背景にせず、語りのリレーによって個人の記憶と時代の空気を重ねていく。年代記のようでいて、誰が語ってい… 第56回 谷崎賞
- 090 2020 逃亡者 とうぼうしゃ 第二次大戦後から現代へまたがる逃亡と追跡を軸に、暴力、信仰、戦争の記憶が絡み合う長編。中村文則が得意とする犯罪小説的な緊張を保ちながら、個人の罪と歴史の暗部が切り離せないものとして立ち上がる。五百ページ規模の構成で、サスペンスの推進力と思想的な問いを並走させる読みどころがある。潜伏キリシタンの記憶や…
- 091 2020 うつくしい羽 うつくしいはね 表題作『うつくしい羽』と『あさぎり』などを収めた、上村渉の初小説集。OpenBDの版元提供情報は、食の記憶が過去を呼び覚ます作品として、離婚で心の支えを失った男と、フランス修業時代に大切な人を失った料理人の軌跡を紹介している。併録作『あさぎり』では、十五歳の少女の一時保護を通して、家族の絆と外国人労…
- 092 2020 象牛 ぞうぎゅう 表題作は、インド・ガンジス河岸の聖地にやってきた女子大生が、謎の存在である象牛に翻弄される物語。併録の『星曝し』は大阪の淀川河岸を思わせる比ラカ駄を舞台に、恋に似た激しい熱情と死者の気配を描く。現実の痛みと法螺話めいた幻想が混ざり合う、石井遊佳の芥川賞受賞後初の作品集。川べりの土地が、宗教都市や大阪…
- 093 2020 アウア・エイジ あうあえいじ 『アウア・エイジ』は、岡本学が『群像』2020年2月号に発表し、同年に講談社から刊行された小説です。大学教師の「私」が、学生時代にアルバイトしていた映画館からの招待状を受け取り、映写室に残る写真をきっかけに20年前の記憶をたどります。講談社公式は、塔を探す誘い、生き迷う男、謎を残して死んだ女という要…
- 094 2020 pray human ぷれいひゅーまん 『pray human』は、崔実が『群像』2020年3月号に発表し、同年9月に講談社から刊行した小説です。創作が芥川賞候補になった「わたし」は、17歳で入院した精神科で出会った安城さんからの電話を受け、精神病棟での日々、救えなかった親友、子供時代の傷を語り始めます。講談社公式は、少女たちのレジスタン…
- 095 2020 最高の任務 さいこうのにんむ 『最高の任務』は、既存登録の『十七八より』『本物の読書家』に続く乗代雄介の単著候補です。今回の候補では講談社単行本の刊行情報を基礎に、未登録 book-form として整理する。
- 096 2020 ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ みっくえいゔぉりーのあんだーぱんつ 『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』は、既存登録外の乗代雄介の単著候補です。今回の候補では、詳細な内容紹介よりも、NDL・Books/JPROで確認できる刊行情報を重視している。
- 097 2020 水と礫 みず と れき 東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へ戻ったクザーノが、弟分の後を追って砂漠の向こうの幻の町へ向かう物語。ラクダを伴う旅は、父、祖父、息子、孫へと連なる一族の風景を映し出し、個人の帰郷を時代と血脈の記憶へ広げていく。砂漠、身体、回帰のイメージが反復し、現在の傷が遠い世代の記憶と重なっていく… 第57回 文藝賞
- 098 2020 小説 しょうせつ 『小説』は、増田みず子が田畑書店から2020年に刊行した小説作品です。Books出版書誌データベースの内容紹介では、真っ直ぐな言葉の連なりが織り成す微妙な色合い、読むほどに人と人との間の心の綾が身に沁みる作品として紹介されています。長い沈黙を経た作家が、小説とは何かという問いを題名そのものに引き受け…
- 099 2020 組曲わすれこうじ くみきょくわすれこうじ 新潮社公式、NDL、Books/JPROで2020年5月刊の単行本として確認。新潮社公式で紫式部文学賞受賞作と確認できる。
- 100 2020 首里の馬 しゅりのうま 『首里の馬』は、沖縄の私設資料館で資料整理をする未名子を通して、保存される記憶とこぼれ落ちる歴史のあわいを描く中篇です。オンライン通話でクイズを出す仕事、資料の撮影、台風後に現れる馬の世話が、孤独な人々の記憶と土地の時間を結びつけます。土地の固有性とアーカイブの問題を、宮古馬との幻想的な出会いを介し… 第163回 芥川賞
- 101 2020 明日香さんの霊異記 『明日香さんの霊異記』は、高樹のぶ子が2020年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 102 2020 業平 『業平』は、高樹のぶ子が2020年に日経BP日本経済新聞出版本部から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 103 2019 私の家 わたしのいえ 祖母の法要で一堂に会した親戚たちを起点に、三世代にわたる一族の記憶と秘密をたどる連作短編集。同棲相手に追い出されて戻る梓、過去にこだわる母、孤独を愛する大叔母らの章が重なり、家族であっても他人のように分かり合えない距離を描く。家という場所を、帰る場所であると同時に逃れがたい記憶の容器として読ませる。
- 104 2019 父と私の桜尾通り商店街 ちちとわたしのさくらおどおりしょうてんがい 商店街でパン屋を営む父を手伝う娘を描く表題作を中心に、「白いセーター」「ルルちゃん」「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」「モグラハウスの扉」を収めた短篇集。家族、店、近隣関係のごく日常的な場面から、今村夏子らしい微細なずれや不穏さが立ち上がる。平明な語り口の奥で、親しさと疎外、子どもっぽさと残酷…
- 105 2019 瓦礫の死角 がれきのしかく 『瓦礫の死角』は、父の性犯罪によって解体した家族の記憶と、服役を終えようとする「あの人」の影を描く表題作を中心にした短篇集。講談社公式は、十七歳で無職の北町貫多が、刑期を終えようとする父、復讐に怯える母、消息不明の姉を抱えた家族の瓦礫に向き合う物語として紹介している。「病院裏に埋める」と表裏をなす不…
- 106 2019 ひよこ太陽 ひよこたいよう 一緒に住んでいた女に去られ、切り詰めた生活のなかで小説を書こうとする40代の男を描く連作小説集。書けない日々と死への誘惑に取り憑かれた語り手は、母から頼まれた人探しをきっかけに、現実と幻想の境界が揺らぐ世界へ入っていく。書けなさ、不在、生活の索漠さを見つめる私小説的な作品。
- 107 2019 五つ数えれば三日月が いつつかぞえればみかづきが 表題作は、日本で働く台湾人の「私」と、台湾人と結婚して台湾へ移った友人・実桜が、平成最後の夏に東京で五年ぶりに再会する物語。話す言葉、住む国、選び取った人生の差異が、再会の会話のなかで静かに立ち上がる。収録作「セイナイト」とあわせて、移動、言語、親密さ、記憶のずれを、越境する人のアイデンティティとし…
- 108 2019 人間 にんげん 『人間』は、若い日に創作を志す者たちが集ったシェアハウスの記憶と、38歳になった「僕」の現在を往還する長篇。表現者になりたいという願い、仲間と暮らす時間の高揚、その後に残る成功や挫折の差が、自己像を問い直す物語として重なっていく。又吉直樹の初の長編として、芸術への憧れだけでなく、他者と比べながら生き…
- 109 2019 サバティカル さばてぃかる 33歳のエンジニア梶くんは、転職先への入社までに空いた五カ月を「サバティカル」と名づけ、自分にさまざまな宿題を課す。プロジェクト管理ツールで課題を片付けるうち、将棋の師匠が生き別れた娘を探すという思いがけない宿題に向き合うことになる。仕事の切れ目に生まれた時間を、単なる休暇ではなく自分の結びつきや恋…
- 110 2019 藁の王 わらのおう 小説家として一冊だけ本を出した語り手が、巨大私立大学で創作を教えることになり、学生たちの苦悩と自身の行き詰まりに向き合う表題作を含む作品集。新潮社公式は、文学の迷宮や小説の樹海を彷徨う人々を描く作品集として紹介している。書くこと、読むこと、他者の言葉に侵されることの怖さを、静かな幻想性と記憶の反復で…
- 111 2019 夜はおしまい よるはおしまい 「夜のまっただなか」「サテライトの女たち」「雪ト逃ゲル」「静寂」を収めた短篇集。夜、逃避、静けさといった収録作名が示すように、関係の余白や孤独を抱えた人物たちの時間を描く。島本理生の恋愛や家族関係をめぐる繊細な筆致を、より暗く静かなトーンで味わえる作品集として位置づけられる。短篇ごとの状況を急いで説…
- 112 2019 夢も見ずに眠った。 ゆめもみずにねむった 『夢も見ずに眠った。』は、夫を熊谷に残して札幌へ単身赴任した沙和子が、夫婦のすれ違いと離別を経て、新しい愛と信頼の形へ向かう長篇。岡山、札幌、熊谷など土地の記憶や物語が、二人の関係の変化と響き合う。移動する生活のなかで、結婚や家族の安定ではなく、相手を信じ直す距離を探るところが読みどころになる。
- 113 2019 背高泡立草 せいたかあわだちそう 草に覆われた納屋をめぐる作業を起点に、土地に積もった記憶と家族史が立ち上がる作品。島の一族をめぐる複数の声や時間が重なり、目の前の草刈りが過去を掘り起こす行為へと変わっていく。方言や多層的な語りによって、地方の生活と歴史が静かに接続される。人の営みが途絶えても草木が残り続ける感覚が、一族の記憶を土地… 第162回 芥川賞
- 114 2019 カム・ギャザー・ラウンド・ピープル かむ・ぎゃざー・らうんど・ぴーぷる 『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』は、『すばる』2019年5月号に掲載され、同年7月に集英社から単行本化された中篇です。集英社公式ページでは、雨宿り先で出会ったイズミ、東京の記録、デモの群衆、かつての友人ニシダとの再会を通じて、敷き詰められた過去の記憶と渋谷の街を走る「私」を描く作品として紹介さ…
- 115 2019 格闘 『格闘』は、高樹のぶ子が2019年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 116 2019 小箱 こばこ 『小箱』は、箱という小さな器に託された記憶や喪失の気配を、静かな筆致でたどる長篇です。小川洋子らしい抑制された語りのなかで、見えないもの、しまわれたもの、失われたものが少しずつ存在感を帯びる。大きな事件よりも、手触りと沈黙の蓄積によって読む作品です。 第73回 野間文芸賞
- 117 2018 ブルーハワイ ぶるーはわい 『ブルーハワイ』『辰年』『聖ミクラーシュの日』『わかれ道』『山の上の春子』『わたしのおばあちゃん』を収めた短篇集。河出書房新社は、「あたりまえ」を知らない孤独が世界を撃ち抜く作品集として紹介している。日常のなかでそれぞれのことに夢中になる人々を、平明で少し乾いた語りで捉え、家族や記憶、他者との隔たり…
- 118 2018 ファーストラヴ ふぁーすとらぶ 就職活動中の女子大生・聖山環菜が父を刺殺した事件を、臨床心理士の真壁由紀がノンフィクション執筆のために追う長編。由紀は弁護士の庵野迦葉とともに面会を重ね、環菜の供述の揺れや家族関係の奥にあるものへ近づいていく。殺人事件の謎を追うミステリの緊張感と、家族という閉じた関係の迷宮を重ねた作品。
- 119 2018 日の出 ひので 明治の終わり、13歳の清作は徴兵から逃れて故郷を飛び出し、北陸から九州、横浜へ移りながら鍛冶職人として生きる。もう一つの軸として、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひが、教職免許取得のために学ぶ姿が置かれる。時代を隔てた二人を並行させ、労働、逃走、家系の記憶、希望の継承を描く長編。
- 120 2018 星ヶ丘高校料理部 偏差値68の目玉焼き ほしがおかこうこうりょうりぶ へんさちろくじゅうはちのめだまやき 廃部寸前の私立星ヶ丘高校料理部に、篠原皐月が友人に誘われて入部する連作料理ミステリ。目玉焼き、オムレツ、ハンバーグ、カレーなどの料理を通じて、皐月たちは調理の理屈と、身近な出来事に潜む謎を少しずつ解いていく。学校小説の軽やかさに、料理の知識と日常の推理を重ねた読み味が特徴。
- 121 2018 雪子さんの足音 ゆきこさんのあしおと 東京出張中の薫は、大学時代を過ごした高円寺のアパートの大家・雪子さんが熱中症でひとり亡くなったことを新聞記事で知り、20年ぶりにその場所へ向かう。アパートへ近づく道のりと回想を重ねながら、大家と下宿人、若者と年長者、好意と負担の境目が少しずつ浮かび上がる。日常の会話や距離感の微細な違和を通して、人間…
- 122 2018 羅針盤は壊れても らしんばんはこわれても 西村賢太の分身的主人公・北町貫多が、二十三歳を迎え、日雇い暮らしのなかで人生の敗北感を濃くしていく小説集。田中英光や藤澤清造の私小説に救いを求める貫多が、自らも私小説を書き始めようとする姿を軸に、貧困、文学への執着、自己嫌悪が泥臭く絡み合う。表題作に加え「陋劣夜曲」などを収め、惨めさと不屈さが同時に…
- 123 2018 その先の道に消える そのさきのみちにきえる アパートの一室で発見された緊縛師の死体をめぐり、重要参考人の女性と彼女に惹かれる刑事・富樫、別の刑事たちの視線が絡み合う長編ミステリー。謎と嘘を追う捜査の形を取りながら、暴力、欲望、死者の痕跡を通じて、この世界を生きる意味を問い詰めていく。犯罪小説の緊迫感と、中村文則らしい倫理的・実存的な暗さが重な…
- 124 2018 鏡のなかのアジア かがみのなかのあじあ チベット、台湾、クアラルンプール、京都など、アジアの土地をモチーフにした全5篇の幻想短篇集。集英社公式は、少年僧が経典の歴史に触れる「……そしてまた文字を記していると」、台湾・九份の村を舞台にする「Jiufenの村は九つぶん」、熱帯雨林の巨樹であった過去を持つ男を描く「天蓋歩行」などを挙げている。翻…
- 125 2018 つかのまのこと つかのまのこと かつての住み家らしき「この家」をさまよい続ける「わたし」が、次々に入れ替わる住人たちを見守る物語。幽霊のような語り手の視点から、家に残る記憶と、誰かを待ち続ける時間が静かに積み重ねられる。柴崎友香が俳優・東出昌大をイメージして小説を書き、市橋織江の写真と組み合わされた、写真と小説の境界を意識した一冊…
- 126 2018 私に付け足されるもの わたしにつけたされるもの 「四十歳」「白竜」「Mr.セメントによろしく」「瀬名川蓮子に付け足されるもの」など十二篇を収める短篇集。虎に襲われたい、くっつけたい、あきらめたい、移動したいといった、くだらなくも切実な願望を起点に、日常のずれや欲望の不可思議さを軽やかに描く。長嶋有らしいユーモアと観察眼が、平凡な生活に付け足される…
- 127 2018 ウィステリアと三人の女たち ウィステリアとさんにんのおんなたち 「彼女と彼女の記憶について」「シャンデリア」「マリーの愛の証明」「ウィステリアと三人の女たち」の4篇を収める短篇集。同窓会、デパート、女子寮、廃墟となった屋敷を舞台に、女性たちが不確かな記憶と死の気配に触れていく。記憶、死、救済、自己同一性が幻想的な気配で重なり、なだらかな散文がいつのまにか現実の足…
- 128 2018 DJヒロヒト ディージェイヒロヒト 『DJヒロヒト』は、パラオ放送局のラジオ番組という奇想の形式を通して、昭和史・文学史・戦争の記憶を再構成する大長編です。中島敦、南方熊楠、森鴎外らの名が交差し、謎のDJの語りが歴史上の人物とフィクションの声をリミックスしていく。ラジオ、録音、放送というメディアの仕掛けを使いながら、天皇制と近代日本を…
- 129 2018 光路 こうろ 北九州市立文学館の公式発表で、第4回林芙美子文学賞佳作として確認できる短編。公式ページでは作品名、作者名、最終選考会、同回の大賞・佳作の結果を確認できるが、作品内容の紹介は掲載されていない。現時点では題名から主題や舞台を推測せず、受賞記録として扱う。
- 130 2018 ラッコの家 らっこのいえ 『ラッコの家』は、老女の意識の流れを前面に出した小説です。文藝春秋公式の紹介では、夢と現実が交錯する老女の内面と、見えないからこそ見えてくるものが焦点化されている。古川作品に通底する家族、島の時間、記憶のゆらぎを、より内面の流れへ寄せて読む作品として位置づけられる。
- 131 2018 ある男 あるおとこ 『ある男』は、戸籍上の名前と実際に生きた人物が一致しないという謎から、個人の同一性、家族、出自、社会的偏見を掘り下げる長篇です。弁護士の城戸が亡くなった依頼者の夫の身元を追う構成を通じて、他者を知ることの困難さが浮かび上がります。ミステリ的な構成を取りながら、平野啓一郎が継続して扱ってきた「分人」的…
- 132 2018 オブジェクタム おぶじぇくたむ 『オブジェクタム』は、高山羽根子の作品集です。表題作では、大人になった主人公が祖父の壁新聞や記憶の断片を追い、事件と祖父の真相のかかわりを探ります。資料、記憶、家族史をめぐる探索に、収録作「太陽の側の島」などの幻想的な想像力が響き合う一冊として整理できます。
- 133 2018 エリザベスの友達 『エリザベスの友達』は、村田喜代子が2018年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 134 2018 火環 : 八幡炎炎記 完結編 『火環 : 八幡炎炎記 完結編』は、村田喜代子が2018年に平凡社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 135 2018 草薙の剣 くさなぎのつるぎ 『草薙の剣』は、昭和から平成へかけての社会の変化を、個人の記憶や世代の感覚を通じて描く長篇です。神話的な題名を掲げながら、語りは身近な生活や時代の空気へ降りていく。橋本治の批評的な視線が、戦後日本の時間を物語として捉え直します。 第71回 野間文芸賞
- 136 2017 踊る星座 おどるせいざ 『踊る星座』は、青山七恵が人と人の距離や、日常の中の小さな変化を星座のように配置する小説として整理できます。星座は離れた点を線で結ぶ見方であり、人物たちの孤独や関係もそのように読み替えられます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 137 2017 クラウドガール クラウドガール 『クラウドガール』は、対照的な姉妹・杏と理有の視点を往復しながら、姉妹の愛憎と記憶のずれを描く長編です。クラウドという題名は、記憶や関係が固定されず、曖昧に保存される感覚を示します。姉妹の語りを通じて、家族の親密さと傷つけ合いが浮かび上がります。
- 138 2017 吹上奇譚 第一話 ミミとこだち ふきあげきたん だいいちわ ミミとこだち 『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』は、不思議な町・吹上町を舞台にした双子の姉妹の物語で、シリーズ第一作にあたります。町そのものが現実と幻想の境目に置かれ、家族や記憶の問題が奇譚として語られます。吉本ばなならしいやわらかな語りの中に、喪失と再生の感覚があります。
- 139 2017 ほしのこ ほしのこ 『ほしのこ』は、山下澄人が星や子どものイメージを通して、記憶と身体の感覚をずらして描く小説として整理できます。題名のひらがな表記は、幼さと遠さを同時に感じさせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 140 2017 百年泥 ひゃくねんどろ 恋人の借金を肩代わりして多重債務に陥った「私」は、返済のため南インド・チェンナイのIT企業で日本語教師として働き始める。着任三か月半で百年に一度の大洪水が街を襲い、水が引いたアダイヤール川には百年分の泥が残された。泥の中からは死んだはずの人や記憶の品々が次々と現れ、橋を渡る数十分のあいだに、語り手の… 第158回 芥川賞
- 141 2017 かわうそ堀怪談見習い かわうそぼりかいだんみならい 『かわうそ堀怪談見習い』は、「窓」「台所の窓」「雪の朝」「蜘蛛」「古戦場」「幽霊マンション」「宮竹さん」「写真」など多数の小篇を収める怪談集です。OpenBDで収録作と2017年2月刊行の書誌を確認でき、NDLでは単行本と2020年版の書誌を確認できます。日常的な場所や物の名を掲げる短い題名が連なり…
- 142 2017 騎士団長殺し きしだんちょうごろし 『騎士団長殺し』は、肖像画家の「私」が小田原の山荘で謎の絵と「イデア」に遭遇する長編二部作です。絵画、地下空間、戦争の記憶が重なり、現実と寓話の境界がゆっくり崩れていきます。村上春樹の長編らしく、喪失と創作、歴史の暗部が大きな物語として展開します。
- 143 2017 高架線 こうかせん 『高架線』は、東京の古いアパートの住人たちの来歴を、語り手を替えながらたどる長編です。高架線の下や周辺にある生活圏が、移動する都市とそこに留まる人びとの時間を結びます。複数の語りが重なり、場所に蓄積する記憶を立体的に読む作品です。
- 144 2017 ラジオ・ガガガ らじおががが 『ラジオ・ガガガ』は、「三匹の子豚たち」「アブラヤシのプランテーションで」「リトルプリンセス二号」「音にならないラジオ」など6篇を収める短篇集です。題名が示すラジオ的な声や音の感覚を軸に、家族、親族、仕事や生活のつながりを短篇ごとにずらして描く作品として整理できます。OpenBDで収録作は確認できる…
- 145 2017 千の扉 せんのとびら 『千の扉』は、三千戸規模の都営団地を舞台に、永尾千歳と夫・一俊、一俊の祖父・日野勝男らの時間をたどる長篇です。骨折で入院した勝男に人探しを頼まれた千歳は、いるのかどうかも定かでない人物を探して巨大な団地を歩きます。団地に住む人々、喫茶店、女子中学生、家族の記憶が重なり、都市の住宅空間を土地と生活史の…
- 146 2017 囚われの島 とらわれのしま 『囚われの島』は、谷崎由依が島という閉じた場所を舞台に、隔離や記憶の問題を扱う小説として整理できます。囚われることは地理的な閉塞であると同時に、過去や関係から自由になれない状態でもあります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 147 2017 ゆっくりおやすみ、樹の下で ゆっくりおやすみ、きのしたで 小学5年生のミレイが「さるすべりの館」で夏休みを過ごすうち、遠い過去の謎に触れていく児童文学寄りの長編。赤い部屋、止まっていた時計、館に隠された秘密が、子どもの視点に近い軽やかさと不思議な緊張感で語られる。今日マチ子の挿絵を多数収録し、高橋源一郎が子どもと大人の読者をつなぐ語りに挑んだ作品。
- 148 2017 四時過ぎの船 よじすぎのふね 『四時過ぎの船』は、九州の島の古い家と祖母の記憶をめぐる中篇です。現在の稔が空き家を片付ける時間と、認知症を抱えた祖母佐恵子が孫を待つ過去の時間が交互に響き合う。島、家、日記、船の時刻という具体物を通じて、家族の記憶が取り戻される瞬間と取り戻しきれない隔たりを描く。
- 149 2017 こことよそ ここ と よそ 『こことよそ』は、鎌倉の道を歩く場面を含む短編で、保坂和志自身の受賞のことばでは、川端康成の記憶や生者と死者の時間感覚が作品に触れられている。物語の具体的な筋は公式ページからは限定的にしか確認できないが、場所の記憶と死者との距離が読解の手がかりになる。川端康成文学賞の受賞作として、短編の凝縮された時… 第44回 川端賞
- 150 2017 月の満ち欠け つきのみちかけ 『月の満ち欠け』は、三人の男と一人の少女の三十余年におよぶ人生が交錯する長篇です。岩波書店の内容紹介では、生まれ変わりの記憶をめぐる「数奇なる愛の軌跡」として紹介されており、時間をまたぐ愛と喪失の物語として整理できます。
- 151 2017 小指が燃える こゆびがもえる 2017年8月に文藝春秋から刊行された作品集。NDLで収録作「沈黙のなかの沈黙」「小指が燃える」を確認できる。
- 152 2017 カシス川 カシスがわ 2017年刊。NDLで荻野アンナ著として確認できる。
- 153 2017 スイミングスクール 『スイミングスクール』は、高橋弘希が2017年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 154 2017 白磁海岸 『白磁海岸』は、高樹のぶ子が2017年に小学館から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 155 2016 イサの氾濫 いさのはんらん 『イサの氾濫』は、木村友祐がイサという人物や存在をめぐる記憶、土地、暴力の広がりを描く短篇集として整理できます。氾濫という語は、抑え込まれたものがあふれ出す感覚を示します。既存データには三島由紀夫賞候補作品を収めるとあるが、今回の調査では公式候補出典を確認できていません。
- 156 2016 壁抜けの谷 かべぬけのたに 『壁抜けの谷』は、山下澄人が壁を抜けるという幻想的な身振りと、谷という地形を組み合わせて描く小説として整理できます。壁は境界を、谷は落ち込みや隔たりを思わせ、人物の身体感覚を通常の現実からずらします。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 157 2016 三の隣は五号室 さんのとなりはごごうしつ 『三の隣は五号室』は、ひとつのアパートの部屋に住んだ人々の時間を描く連作長篇です。部屋という固定された場所を軸に、入居者の生活、恋愛、仕事、記憶が時代をまたいで入れ替わります。個人よりも場所の記憶を前に出す構成が読みどころで、淡々とした語りの中に時間の厚みがあります。 第52回 谷崎賞
- 158 2016 しんせかい しんせかい 19歳のスミトは、神戸からフェリーと汽車を乗り継ぎ、北海道の【谷】で脚本家の【先生】が主宰する私塾に二期生として入る。俳優や脚本家を志す年齢も経歴も様々な仲間たちとの共同生活は、しかし稽古よりも、施設造りや農作業、馬の世話といった肉体労働に明け暮れるものだった。倉本聰主宰の富良野塾での著者自身の体験… 第156回 芥川賞
- 159 2016 私の消滅 わたしのしょうめつ 『私の消滅』は、中村文則が自己の消滅、記憶、犯罪的な心理の闇を扱う長編です。タイトルの「私」は安定した主体ではなく、記録や他者の視線によって揺らぐ存在として現れます。読者を不安定な意識の中へ引き込み、自己同一性の崩壊を追体験させる作品です。 第26回 ドゥマゴ文学賞
- 160 2016 夏ならば なつならば 『夏ならば』は、志馬さち子が「早稲田文学」第十次15号(2016年夏)に発表した短篇です。NDLサーチで掲載誌・号数・ページ範囲と責任表示を確認できます。既存収録作『うつむく朝』は文学賞データベースで受賞情報を確認した作品ですが、本作は公的書誌で作者名と掲載媒体を確認できる文芸誌掲載作として収録しま…
- 161 2016 太陽の側の島 たいようのそばのしま 『太陽の側の島』は、戦時中を背景に、女性と兵士の関係を架空の日記や手紙の連なりでたどる中篇。第2回林芙美子文学賞の大賞受賞作として発表され、のちに短篇集『オブジェクタム』に収録された。戦争の記憶、記録の不確かさ、島という隔絶した場所を、SF的・幻想的な想像力で結びつける作品として位置づけられる。 第2回 林芙美子賞
- 162 2016 人生のアルバム じんせいのあるばむ 『人生のアルバム』は、『文學界』2016年5月号に第121回文學界新人賞受賞作として掲載された渡辺勝也のデビュー作。人生をアルバムのような記録として捉える既存梗概に沿い、記憶と現在の関係を扱う作品として整理した。公式・公的書誌では受賞と掲載情報は確認できるが、本文内容や選評本文の詳細は未確認である。 第121回 文學界新人賞
- 163 2016 そういう生き物 そういういきもの 薬剤師の千景とスナック勤めのまゆ子は、高校の同級生として10年ぶりに再会し、思いがけず一緒に暮らし始めます。二人が心に秘めてきた過去を軸に、愛と性、心と体が思いどおりにならない感覚を描く作品です。再会と共同生活の静かな場面から、親密さの難しさと身体の記憶が浮かび上がります。 第40回 すばる文学賞
- 164 2016 縫わんばならん ぬわんばならん 九州長崎の漁村の島を舞台に、一族をめぐる四世代の来歴を女性の語りで編む作品。ほころびていく意識から湧き出る声を拾い、記憶の断片を縫い合わせるように家族史を立ち上げる。方言と声の流れが、過去・記憶・語り継ぎの主題を支えている。島の生活と老いの身体感覚が、個人史を超えた時間の厚みを生む。 第48回 新潮新人賞
- 165 2016 カブールの園 かぶーるのその 日系アメリカ人三世の女性が、IT企業を立ち上げた友人とヨセミテへ向かい、日系人強制収容所の記憶に触れていく表題作を中心とする作品集。移民、戦争の記憶、アメリカ社会の周縁に置かれた人々を、作者らしい構成意識で扱う。収録作「半地下」とあわせ、越境するアイデンティティと継承されにくい記憶が主題となる。 第30回 三島賞
- 166 2016 本物の読書家 ほんものの どくしょか 『本物の読書家』は、書物への耽溺、言葉の探求、読むことへの畏怖をめぐる中編二作を収める作品集。表題作では、老人ホームへ向かう大叔父と同行する語り手が、川端康成からの手紙の噂と車内で出会う謎めいた読書家を通じて、読書と記憶の秘密に巻き込まれる。もう一編「未熟な同感者」では文学講義、引用、師弟関係が絡み… 第40回 野間新人賞
- 167 2016 模範郷 もはんきょう Books/JPROは「故郷」という日本語を知らなかった語り手が、半世紀ぶりに故郷・台湾を訪れる時の旅人の物語として紹介している。NDLで2016年集英社単行本、2019年集英社文庫版をNDC 913.6として確認。
- 168 2016 オライオン飛行 『オライオン飛行』は、高樹のぶ子が2016年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 169 2016 人の樹 『人の樹』は、村田喜代子が2016年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 170 2016 焼野まで 『焼野まで』は、村田喜代子が2016年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 171 2016 その姿の消し方 そのすがたのけしかた 『その姿の消し方』は、詩や書物をめぐる記憶を追いながら、誰かの姿が時間のなかへ消えていく過程を静かにたどる作品です。堀江敏幸らしい精密な文体で、風景、読書、翻訳的な感覚が重なり合う。筋の強さよりも、痕跡を見つめるまなざしと文章の陰影が読みどころです。 第69回 野間文芸賞
- 172 2015 愛と人生 あいとじんせい 『愛と人生』は、映画『男はつらいよ』の世界を下敷きに、かつて子役として出演した青年を描く滝口悠生の長篇です。映画の記憶と現実の生活が重なり、個人の人生が既存の物語にどう影響されるかが問われます。軽やかな語りの奥で、愛と人生という大きな言葉を日常へ引き戻す作品です。 第37回 野間新人賞
- 173 2015 あなたが消えた夜に あなたがきえたよるに 『あなたが消えた夜に』は、連続通り魔殺人事件を追う二人の刑事の視点が交錯する中村文則の長篇です。事件の真相を追うミステリー的構造のなかで、暴力、記憶、加害と被害の境界が揺らぎます。暗い犯罪小説の形を取りながら、人間の空洞を覗き込む作品です。
- 174 2015 電車道 でんしゃみち 『電車道』は、磯﨑憲一郎が移動、時間、反復をめぐって構成する長篇です。電車の軌道は、予想できる進行であると同時に、思いがけない記憶や時代の反復を呼び込みます。刊行記念インタビューの題名にもあるように、時代を超えて繰り返されるものを読む作品です。
- 175 2015 学校の近くの家 がっこうのちかくのいえ 『学校の近くの家』は、青木淳悟が学校と家という近接した場所から、子どもや地域の記憶を描く小説として整理できます。近いはずの場所同士の間に、共同体の視線や距離が生まれます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 176 2015 薄情 はくじょう 『薄情』は、群馬の地方都市に生きる男を通して、土地への愛着と冷淡さを描く絲山秋子の長篇です。故郷や人間関係は温かいものとしてだけでなく、切り捨てたり距離を置いたりするものとして現れます。地方の生活感と、人の薄情さを見つめる乾いた文体が読みどころです。 第52回 谷崎賞
- 177 2015 ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス 『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』は、滝口悠生が音楽の名を冠した表題作を中心に、記憶と現在のずれをたどる作品です。固有名や文化的記憶が、人物の生活感覚に入り込み、出来事を一直線の筋ではなく断片的な時間として浮かび上がらせます。日常の会話や回想の揺れから、過去を語り直すことの不確かさを読む小説で…
- 178 2015 暗号のポラリス あんごうのぽらりす 『暗号のポラリス』は、中山智幸が暗号と北極星のイメージを重ね、読解や方角をめぐる物語として構成した作品と整理できます。暗号は言葉の届かなさを、ポラリスは迷った先の指標を示す題名です。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 179 2015 パノララ パノララ 『パノララ』は、柴崎友香が視線、場所、移動の感覚を広く開く長編です。タイトルはパノラマ的に広がる世界と、どこか音のずれた感覚を同時に含んでいます。人物の移動や会話を通して、都市と記憶の見え方が少しずつ変わる作品です。
- 180 2015 死んでいない者 しんでいないもの 秋のある日、大往生を遂げた85歳の男の通夜に、子や孫、ひ孫まで30人ほどの親族が集まってくる。通夜振る舞いの席で酒を酌み交わす者、川辺をさまよう者、初めて会う親戚と言葉を交わす少年少女。語りは特定の人物に留まらず、出席者から出席者へと自在に移りながら、故人の記憶と一族それぞれの来し方、共有しえない日… 第154回 芥川賞
- 181 2015 水死人の帰還 すいしにんのきかん 『水死人の帰還』は、小野正嗣が死者、記憶、土地の声をめぐって描く小説として整理できます。水死人という存在は、失われたものが共同体へ戻ってくる不穏な気配を帯びています。生と死の境目を揺らしながら、地方の場所に残る記憶を読む作品です。
- 182 2015 私の恋人 わたしのこいびと 『私の恋人』は、クロマニョン人以来、転生を繰り返してきた「私」が人類史と恋を語る長編です。個人の恋愛が、文明、歴史、身体の記憶へと拡張される点に特徴があります。時間のスケールを大きく動かしながら、「私」と「恋人」という近い言葉を問い直す作品です。 第28回 三島賞
- 183 2015 ものかげの雨 ものかげのあめ 『ものかげの雨』は、第1回林芙美子文学賞佳作の表題作を含む高倉やえの短篇集です。Books.or.jpの内容紹介では、老いを底に置きながら、人の悲喜や心の機微を、ときにユーモラスに、ときに官能的に描く作品集として紹介されている。通訳者としての経歴を持つ著者の晩年デビュー作として、人生経験の陰影を短篇…
- 184 2015 雪の朝 ユキ ノ アサ 角川文化振興財団から2015年に刊行された高倉やえの未収録単著。
- 185 2015 地の底の記憶 ちのそこのきおく 電波塔に見守られる架空の町を舞台に、百年を超える時間をたどる壮大なデビュー作。ラピス・ラズリ、電波、川の流れといったモチーフが、町と人物の記憶を深い層へ導く。現実と非現実、過去と現在が交錯する長い時間の物語として読むことができる。架空の町の歴史を掘り下げる構成が、記憶そのものの地層を読む感覚を生む。 第52回 文藝賞
- 186 2015 朝顔の日 『朝顔の日』は、高橋弘希が2015年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 187 2015 八幡炎炎記 『八幡炎炎記』は、村田喜代子が2015年に平凡社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 188 2015 冥途あり めいどあり 『冥途あり』は、家族の記憶や土地の感触を手がかりに、生者と死者の距離を静かにたどる長篇です。長野まゆみの幻想性は、派手な異界ではなく、日常のすぐ隣にある冥界の気配として現れる。言葉の選び方と空気の薄さが、死と記憶の主題を繊細に支えています。 第68回 野間文芸賞
- 189 2014 風 かぜ 『風』は、青山七恵が移ろいやすい感情や生活の変化を、静かな文体で扱う小説として整理できます。風という題名は、人物の内面を直接説明するよりも、周囲の空気や関係の揺れとして読ませます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 190 2014 春の庭 はるのにわ 離婚を機に世田谷の取り壊し予定のアパートに越してきた太郎は、隣に建つ水色の洋館を熱心に観察する住人の女・西と知り合う。漫画家の西は、高校時代に魅了された写真集『春の庭』の舞台がその家であることを知り、この場所へ引っ越してきたのだった。二人は次第にその水色の家への接近を試みるようになる。再開発で消えて… 第151回 芥川賞
- 191 2014 清とこの夜 きよとこのよる 『清とこの夜』は、夜の時間を背景に、人物の孤独や記憶を描く広小路尚祈の小説として整理できます。題名は人名と「この夜」を結び、特定の一夜に凝縮される関係や感情を思わせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 192 2014 星よりひそかに ほしよりひそかに 『星よりひそかに』は、柴崎友香が身近な生活のなかにある気配や感情を静かに追う小説として整理できます。大きな事件よりも、視線や場所の移ろい、言葉にならない思いが重視されます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 193 2014 コルバトントリ コルバトントリ 『コルバトントリ』は、山下澄人が意味をすぐには回収しにくい言葉と、身体の記憶を結びつける小説として整理できます。題名の異物感そのものが、人物の経験を通常の物語に収めない姿勢を示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 194 2014 九年前の祈り くねんまえのいのり 35歳のさなえは、カナダ人の夫に去られたあと、激しい癇癪を起こす幼い息子・希敏を連れて、故郷である大分の海辺の小さな集落に帰ってくる。育児に疲弊する彼女の脳裏には、九年前、集落の女たちとカナダを旅した際、世話役の「みっちゃん姉」が異国の教会で見せた祈りの姿が繰り返し蘇る。そのみっちゃん姉の息子がいま… 第152回 芥川賞
- 195 2014 きょうのできごと、十年後 きょうのできごと、じゅうねんご 『きょうのできごと、十年後』は、柴崎友香のデビュー作『きょうのできごと』の登場人物たちの十年後を描く続篇です。若さの一日の空気は、時間を経た生活、仕事、関係の変化として戻ってきます。大事件ではなく、都市のなかで少しずつ変わる人間関係を読む作品です。
- 196 2014 寝相 ねぞう 『寝相』は、滝口悠生の最初期作品を収める小説集で、睡眠や身体の姿勢のような無意識の領域に、人物の記憶や関係がにじみます。既存データでは新潮新人賞受賞作「楽器」を含む最初の小説集とされています。日常の細部がゆっくりずれていく語りが読みどころです。
- 197 2014 女のいない男たち おんなのいないおとこたち 『女のいない男たち』は、「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「木野」などを収める村上春樹の短篇集です。女性を失った、あるいは理解できなかった男性たちの孤独が、語り直しや回想を通じて浮かび上がります。恋愛小説でありながら、喪失後に残る空白そのものを読む作品集です。
- 198 2014 離陸 りりく 『離陸』は、絲山秋子が時間と空間を大きく動かしながら、人の移動と記憶を描く長篇です。タイトルどおり、地上の生活から浮き上がるように物語が進み、現実の距離感が変わっていきます。旅や移動の小説であると同時に、記憶の重力をめぐる作品です。
- 199 2014 ルンタ ルンタ 『ルンタ』は、山下澄人が土地、身体、記憶の断片を独特の語りでつなぐ小説です。題名の音の響きは意味をすぐには固定せず、人物の経験を通常の筋からずらしていきます。身体に残る感覚を、乾いたユーモアと不穏さで読ませる作品です。
- 200 2014 聖地Cs せいちしーず 『聖地Cs』は、木村友祐が聖地と名づけられる場所の力や、土地をめぐる記憶を扱う小説として整理できます。場所は信仰や観光の対象であるだけでなく、共同体の傷や欲望を集めるものとして読めます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と創作合評記録に基づく暫定的な紹介です。
- 201 2014 みずうみのほうへ みずうみのほうへ 七歳の誕生日旅行で父を失った「ぼく」が、湖のある町で育ち、二十代の終わりに父との記憶に結びつく「サイモン」に似た人物と出会う。港町、水産物加工場、アイスホッケー観戦といった生活の細部が、喪失の記憶と幻想的な再会をゆっくり結びつけていく。静かな語りの中で、父の死の謎と過去への引力が持続する作品である。 第38回 すばる文学賞
- 202 2014 ジュンのための6つの小曲 じゅんのためのむっつのしょうきょく 古谷田奈月の二作目単行本。NDLサーチで2014年11月の新潮社刊行、および2017年新潮文庫nex版を確認。
- 203 2014 レールの向こう れーる の むこう 沖縄に生きて創作を続けてきた老年の作家が、妻の入院をきっかけに日常と記憶を往還する作品集。表題作では、病院や家族との現在の生活と、レールの向こうにある創作の記憶が重ねられる。老いと死を含む生活を慈しみながら、作家として切り捨てられない不穏な領域を見つめる。 第41回 川端賞
- 204 2014 33年後のなんとなく、クリスタル さんじゅうさんねんごのなんとなく、くりすたる 『33年後のなんとなく、クリスタル』は、田中康夫が1980年のデビュー作『なんとなく、クリスタル』の33年後を描いた長篇です。1980年に大学生だった女性たちが50代になった現在を追い、消費社会の記憶、時代の変化、成熟後の生活感覚を、前作同様に注釈の形式も活かしながら描きます。
- 205 2014 うどん キツネつきの うどん きつねつきの 『うどん キツネつきの』は、高山羽根子の第一作品集です。東京創元社公式ページでは、第一回創元SF短編賞佳作となった表題作に加え、「シキ零レイ零 ミドリ荘」「母のいる島」「おやすみラジオ」「巨きなものの還る場所」の全五編を収録する作品集として紹介されています。
- 206 2014 あおむけで走る馬 あおむけではしるうま 『あおむけで走る馬』は、既存登録済みの『逆さ馬のメリーゴーラウンド』と同じ「馬」のイメージを題名に含む未登録候補です。文庫書誌として確認できるが、収録内容や初刊との関係は登録前に追加確認するとよい。
- 207 2014 少女霊異記 『少女霊異記』は、高樹のぶ子が2014年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 208 2014 屋根屋 『屋根屋』は、村田喜代子が2014年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 209 2013 愛の夢とか あいのゆめとか 『愛の夢とか』は、日常のなかの小さな喪失と出会いを描く川上未映子の短篇集です。恋愛や記憶は劇的な事件としてではなく、ふとした言葉や風景の変化として現れます。リアリズムの手触りのなかに、静かな痛切さが残る作品集です。 第49回 谷崎賞
- 210 2013 めぐり糸 めぐりいと 『めぐり糸』は、糸がめぐるように人と人の縁や記憶が結び直される青山七恵の小説です。関係は一直線に進まず、ほどけたり絡まったりしながら人物の現在を形づくります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないが、連載レコードと単行本書誌から、時間をかけて展開した作品であることが分かります。
- 211 2013 晩年様式集(イン・レイト・スタイル) ばんねんようしきしゅう 『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』は、東日本大震災後に書き継がれた大江健三郎晩年の長篇です。老いた作家の自己検証、家族、死者の記憶が重なり、作品を書くことそのものが喪失への応答として描かれます。大江の後期小説群を締めくくるように、長い息の文体で過去と現在を往還します。
- 212 2013 ギッちょん ギッちょん 『ギッちょん』は、山下澄人が身体の記憶や言葉になりにくい経験を、断片的な語りで立ち上げる小説です。題名の音の感触そのものが、人物の不器用さや世界とのずれを示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 213 2013 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 しきさいをもたないたざきつくると、かれのじゅんれいのとし 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、36歳の多崎つくるが高校時代の突然の絶交の謎をたどる長篇です。名古屋、東京、フィンランドへ向かう旅は、記憶の欠落と自己像の空白を埋める巡礼として進みます。抑制された語りで、友情、喪失、回復不能な時間を扱います。
- 214 2013 往古来今 おうこらいこん 『往古来今』は、古代から現代までを貫く時間と生命の往還を描く磯﨑憲一郎の長篇です。個人の人生より大きな時間の流れのなかで、記憶や土地、身体が結び直されます。題名どおり、過去と現在を同じ地平で読む感覚が作品の核になります。
- 215 2013 砂漠ダンス さばくダンス 『砂漠ダンス』は、山下澄人が乾いた場所の感覚と身体の動きを結びつける小説です。砂漠とダンスという組み合わせは、孤立した空間でなお身体が反応し続けるイメージを作ります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と創作合評に基づく暫定的な紹介です。
- 216 2013 忘れられたワルツ わすれられたわるつ 『忘れられたワルツ』は、絲山秋子が記憶からこぼれ落ちる感情や、日常の不意のずれを描く短篇集です。ワルツのような反復と忘却の感覚が、人物の孤独や時間の歪みを浮かび上がらせます。抑えた語りのなかで、喪失とユーモアが同居する作品です。
- 217 2013 歪んだ忌日 ゆがんだきじつ 『歪んだ忌日』は、西村賢太が忌日と記憶をめぐる感情のねじれを描く私小説的作品です。故人への思いは清らかな追悼ではなく、怒り、屈辱、生活の停滞を含んだものとして現れます。乾いた語りで、喪失と執着の歪みを読ませます。
- 218 2013 星月夜 ホシズクヨ 角川書店から2013年に刊行された高倉やえの未収録単著。
- 219 2013 アフリカ鯰 あふりかなまず 『アフリカ鯰』は、静岡で暮らす男性の日常に、アフリカ大陸をめぐる記憶が重なるデビュー作として登録されている。旅の記憶と現在の停滞を対置し、遠い土地の経験が生活の感覚を揺らす作品として読める。NDLサーチと文藝春秋の号ページで受賞・掲載情報は確認できるが、詳細な筋や選評本文は今回十分に確認できていない… 第117回 文學界新人賞
- 220 2013 還れぬ家 カエレヌ イエ 2013年に新潮社から刊行された佐伯一麦の単著図書。家族・家・土地の主題で既登録作を補う候補。
- 221 2013 渡良瀬 ワタラセ 2013年に岩波書店から刊行された単著図書。土地の記憶を扱う佐伯作品として追加候補になる。
- 222 2013 感受体のおどり かんじゅたいのおどり 『感受体のおどり』は、文藝春秋BOOKSが「大河恋愛小説」であり「記憶についての物語」でもあると紹介する長篇です。『abさんご』で注目された黒田夏子の実験的な言葉の運動を、より長い時間幅と恋愛・記憶の物語へ広げる作品として位置づけられます。
- 223 2013 香夜 『香夜』は、高樹のぶ子が2013年に集英社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 224 2013 ゆうじょこう 『ゆうじょこう』は、村田喜代子が2013年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 225 2012 関東平野 かんとうへいや 『関東平野』は、第106回文學界新人賞受賞作『逃げ道』の作者・北野道夫が「文學界」2012年9月号に発表した短篇です。NDLサーチで掲載誌・巻号・ページを確認でき、芥川賞候補作家の群像では第148回芥川賞候補作として整理されています。今回確認できた公開情報では単行本化は見当たらず、書誌と候補歴を中心…
- 226 2012 道化師の蝶 どうけしのちょう 『道化師の蝶』は、言語、記憶、翻訳、移動をめぐる円城塔の実験的な作品集です。表題作は、物語が別の言語や媒体へ渡るたびに輪郭を変えるような構造を持ちます。読みどころは、難解さそのものではなく、言葉が世界を作り替える過程を小説として体験できる点にあります。 第146回 芥川賞
- 227 2012 隠し事 かくしごと 『隠し事』は、秘密を抱えた人間関係を通じて、家族や恋愛の見えない緊張を描く羽田圭介の小説です。隠すことは単なる嘘ではなく、自分を守るための姿勢であり、同時に他者との距離を生みます。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 228 2012 仮り住まい かりずまい 『仮り住まい』は、住まいが一時的であることの不安を通じて、生活、記憶、孤独を描く丹下健太の作品です。家は安定した場所ではなく、いつか離れる前提の仮の居場所として立ち上がります。文芸誌掲載作として、移動する生活の感覚を読む作品です。
- 229 2012 夜の隅のアトリエ よるのすみのあとりえ 『夜の隅のアトリエ』は、アトリエという創作の場を手がかりに、芸術、孤独、記憶を描く木村紅美の小説です。夜の隅という場所は、誰にも見えない作業や感情が残る領域を思わせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 230 2012 惑いの森 まどいのもり 『惑いの森』は、バーに現れる男や手紙を待つ郵便局員など、日常の人物たちを連鎖させる中村文則の50篇の短編集です。森は現実の場所というより、迷い込んだ人びとの記憶と孤独が交差する比喩として働きます。短い形式のなかで、不穏さと愛おしさが同居します。
- 231 2012 迷宮 めいきゅう 『迷宮』は、得体の知れない引力に動かされる人物を通して、記憶、罪、孤独を描く中村文則の小説です。迷宮は謎解きの舞台であると同時に、人物の内面から抜け出せない感覚を示します。暗い吸引力を持つ語りが、暴力と自己認識の問題を掘り下げます。
- 232 2012 七緒のために ななおのために 『七緒のために』は、誰かのために生きることと、自分の感情を保つことの境界を描く島本理生の小説として整理できます。題名の「ために」は、献身であると同時に、関係への囚われも示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 233 2012 佐渡の三人 さどのさんにん 『佐渡の三人』は、佐渡という島の土地性を背景に、三人の人物の関係や記憶を描く長嶋有の小説です。島は閉じた場所でありながら、外から来る者と土地に残るものを結びつけます。長嶋作品らしい抑えたユーモアのなかで、家族や共同体への距離が見えてきます。
- 234 2012 さよならクリストファー・ロビン さよならクリストファー・ロビン 2012年に新潮社から刊行された、高橋源一郎自身が「最高傑作」と称した短篇集。表題作「さよならクリストファー・ロビン」は『クマのプーさん』の登場人物を著者の世界に招き入れる試みから生まれ、ほかに「峠の我が家」「星降る夜に」「お伽草紙」「ダウンタウンへ繰り出そう」「アトム」の計六篇を収める。児童文学や… 第48回 谷崎賞
- 235 2012 週末カミング しゅうまつカミング 『週末カミング』は、週末という限られた時間を通じて、都市で暮らす人物の移動や感情の変化を描く柴崎友香の小説です。来るものを待つ感覚は、恋愛や記憶、生活のリズムと重なります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 236 2012 田中慎弥の掌劇場 たなかしんやのてのひらげきじょう 『田中慎弥の掌劇場』は、新聞連載から生まれた短い小説を収める掌編集です。短い形式のなかで、孤独、記憶、死の気配が圧縮され、長編とは別の鋭さで田中慎弥の暗い感触が現れます。掌編という制約が、語りの省略と余白を強くしています。
- 237 2012 わたしがいなかった街で わたしがいなかったまちで 『わたしがいなかった街で』は、柴崎友香が、経験していない戦争や過去の映像と、現在の都市生活を重ねる小説です。自分がいなかった場所や時間をどう想像するかが、記憶と責任の問いになります。静かな語りのなかで、戦争の記録と個人の日常が交差します。
- 238 2012 夜蜘蛛 よぐも 『夜蜘蛛』は、亡父の戦争の記憶をめぐる手紙の謎を描く田中慎弥の中篇です。父の過去は家族の内部に沈み込み、手紙という媒体を通じて遅れて現在に届きます。戦争、父子、記憶の問題を、不穏で乾いた語りで掘り下げます。
- 239 2012 螺法四千年記 らほうよんせんねんき 古代から現代までを四千年の時間幅でたどり、神、人、ちいさな生き物たちの気配が現在の地平に重なっていく長篇。詩人でもある日和聡子の文体が、此岸と彼岸、私と彼方を行き来する神話的な感触を生み出す。直線的な歴史小説というより、螺旋状に時間と声が響き合う幻想性が読みどころである。 第34回 野間新人賞
- 240 2012 東京自叙伝 とうきょうじじょでん 東京という土地に宿る語り手が、幕末から平成へ至る都市の変貌を自分史のように語る長篇。人間、猫、鼠などへ姿を変えながら記憶を重ねる設定により、都市史と転生譚が混ざり合う。奥泉光らしい饒舌な語りの推進力で、東京という場所そのものを主人公化した作品である。 第50回 谷崎賞
- 241 2012 給水塔と亀 きゅうすいとう と かめ 定年後に幼いころ暮らした土地へ戻ってきた独身男性を主人公に、給水塔の記憶と前住人が残した亀をめぐって老いと孤独を見つめる短篇。大きな事件ではなく、製麺所の排水、古い団地、ベランダからの風景といった細部が、人生の時間の流れを静かに立ち上げる。津村記久子らしい抑制された語りが、再出発のかすかな意欲を読み… 第39回 川端賞
- 242 2012 東京プリズン とうきょうプリズン 『東京プリズン』は、赤坂真理が2012年7月に河出書房新社から刊行した長篇小説です。16歳のマリがアメリカ留学先で、日本を「かつての敵国」と呼ぶ人々に囲まれ、「天皇の戦争責任」をめぐるディベートへ巻き込まれていきます。少女の身体感覚と、2009年の日本へつながる時間のずれを通して、戦争責任、戦後、家… 第23回 紫式部文学賞
- 243 2012 盤上の夜 『盤上の夜』は、囲碁、チェッカー、麻雀、古代遊戯など、盤上のゲームをめぐる想像力から人間の知性と身体を照らす宮内悠介の連作短篇集です。勝敗やルールの世界を描きながら、そこに宿る記憶、痛み、祈り、歴史の感触を重ね、SF的な思考実験と文学的な余韻を交差させます。
- 244 2012 昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ こんちゅうのきおくによるもうまくちょぞうしぇるたーおよびあんてな 2012年4月に月曜社から刊行された清水アリカの著作をNDLで確認。既存登録の『革命のためのサウンドトラック』『デッドシティ・レイディオ』とは別の単行本候補。
- 245 2012 K けい 晩年期の三木卓による単行本小説候補。作品内容の細部は候補段階では膨らませず、まず講談社刊の本として登録候補に置く。
- 246 2012 光線 『光線』は、村田喜代子が2012年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 247 2011 赤の他人の瓜二つ あかのたにんのうりふたつ 『赤の他人の瓜二つ』は、血縁のない他人が瓜二つであるという設定から、労働、移動、世界史を交差させる磯﨑憲一郎の長編です。写し鏡のような人物配置は、個人の固有性と歴史の反復を同時に揺さぶります。寓話的な設定を取りながら、近代的な労働と身体の問題へ広がる作品です。 第21回 ドゥマゴ文学賞
- 248 2011 あかりの湖畔 あかりのこはん 『あかりの湖畔』は、湖畔という静かな場所を背景に、家族や記憶の揺らぎを描く青山七恵の小説です。人物の感情は大きく叫ばれるよりも、風景や会話の間ににじみます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と題名に基づく暫定的な紹介です。
- 249 2011 ぐるぐる七福神 ぐるぐるしちふくじん 『ぐるぐる七福神』は、七福神という祝祭的なモチーフを、日常の迷いや巡り合わせに結びつける中島たい子の小説です。信仰や縁起のよさは、人物をすぐに救うものではなく、生活のなかをぐるぐる回る不安と重なります。公開資料では内容細部を確認しきれていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 250 2011 春待ち海岸カルナヴァル はるまちかいがんかるなゔぁる 『春待ち海岸カルナヴァル』は、海辺の土地と春を待つ時間を重ね、記憶や人間関係の揺れを描く木村紅美の小説です。カルナヴァルという祝祭的な語は、静かな海岸の風景に非日常の気配を差し込みます。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 251 2011 黒うさぎたちのソウル くろうさぎたちのそうる 『黒うさぎたちのソウル』は、ソウルという海外都市を舞台に、移動と孤独の感覚を描く木村紅美の作品です。黒いうさぎという像は、かわいらしさだけでなく、夜や不安の気配も帯びています。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 252 2011 末裔 まつえい 『末裔』は、血筋や受け継がれるものをめぐって、家族と記憶の問題を描く絲山秋子の小説です。題名は、人物が自分の始まりではなく、誰かの後に続く存在として生きている感覚を示します。乾いた文体のなかに、家の歴史と自己認識の不穏さが漂います。
- 253 2011 虹色と幸運 にじいろとこううん 『虹色と幸運』は、柴崎友香らしい観察の文体で、都市の日常に差す色や偶然を拾う小説です。虹色や幸運は大きな救済ではなく、人物の生活のなかにふと現れて消える感覚として読めます。恋愛、記憶、孤独が、静かな風景描写のなかに沈んでいます。
- 254 2011 領土 りょうど 『領土』は、諏訪哲史が土地、言葉、所有の感覚を問い直す作品です。領土という政治的な語は、国家だけでなく、身体や記憶、語りが占める場所の問題にも広がります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 255 2011 ビリジアン ビリジアン 『ビリジアン』は、色彩、風景、記憶の手ざわりを、柴崎友香らしい観察の文体で描く小説です。ビリジアンという色名は、人物の感情を説明するのではなく、視覚的な印象として残します。都市や郊外の日常のなかで、孤独と芸術的な感受性が静かに重なります。
- 256 2011 WANTED!! かい人21面相 うぉんてっど かいじんにじゅういちめんそう 『WANTED!! かい人21面相』は、グリコ・森永事件を想起させる「かい人21面相」を題材に、記憶、犯罪、言葉のパロディを組み合わせる赤染晶子の小説です。事件の固有名は、昭和的な大衆記憶と文学的な語りの遊びを同時に呼び込みます。芥川賞受賞後第一作として、ユーモアと不穏さが交錯する作品です。
- 257 2011 私のいない高校 わたしのいないこうこう 『私のいない高校』は、1992年の小学校を舞台に、校舎から見える家に住む子供の視点で綴られる青木淳悟の連作です。学校という共同体のなかにいるようでいない感覚が、記憶と観察のずれとして積み上がります。子供の視界を通じて、同調圧力と孤立が静かに浮かぶ作品です。 第25回 三島賞
- 258 2011 獅子頭 しーずとう 『獅子頭』は、獅子舞を思わせる題名を通じて、移動する人びとの記憶や家族のつながりを描く楊逸の小説です。中国語圏の文化的な記憶と日本語で書く現在が重なり、越境の感覚が作品の核になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 259 2011 楽器 がっき 『楽器』は、記憶と語りの重なりを繊細に扱った滝口悠生のデビュー短篇です。音や楽器のイメージを通じて、過去の出来事や人の声が現在の語りに響きます。のちに芥川賞・野間文芸新人賞を受賞する作者の、時間感覚と語りの特徴を示す出発点です。 第43回 新潮新人賞
- 260 2011 地の鳥 天の魚群 ちのとりてんのぎょぐん 『地の鳥 天の魚群』は、奥泉光が2011年に幻戯書房から刊行した作品集です。著者ページでは「地の鳥 天の魚群」「乱歩の墓」「深い穴」を収録する単行本として確認できます。
- 261 2011 犬とハモニカ いぬ と はもにか 『犬とハモニカ』は、孤独、記憶、男女の間に生じる微妙な感情を描く江國香織の短篇です。身近な事物である犬とハモニカのイメージが、語りの中で人と人の距離をやわらかく照らします。大きな事件よりも、感情のかすかな揺れを読む作品です。 第38回 川端賞
- 262 2011 陰の都 かげのみやこ 作品社刊の2011年単行本。吉野光の後期の歴史題材作品として追加候補になる。
- 263 2011 馬たちよ、それでも光は無垢で うまたちよ、それでもひかりはむくで 『馬たちよ、それでも光は無垢で』は、東日本大震災後の福島を起点に、古川日出男自身の小説世界と現実の被災地が交差する作品です。新潮社公式紹介では、『聖家族』の人物・狗塚牛一郎の声を小説家が福島で聞くという導入が示されています。被災地、郷土、言葉、想像力をめぐる応答として書かれ、フィクションが現実へ届き…
- 264 2010 深海 しんかい 『深海』は、『カメレオン狂のための戦争学習帳』で第52回群像新人文学賞を受けた丸岡大介が「群像」2010年4月号に発表した短篇です。NDLサーチでは「特集 新鋭8人短篇競作」の一篇として、掲載誌・巻号・ページ範囲を確認できます。同名の医学・工学系著者資料が検索結果に混在するため、責任表示・掲載誌・N…
- 265 2010 あのとき始まったことのすべて あのときはじまったことのすべて 『あのとき始まったことのすべて』は、過去のある瞬間から始まった感情や関係を振り返る中村航の小説です。恋愛や青春の出来事は、後になって意味を変え、現在の語りのなかで再構成されます。平易な文体で、記憶のなかの始まりをたどる読み味があります。
- 266 2010 アクアノートとクラゲの涙 あくあのーととくらげのなみだ 『アクアノートとクラゲの涙』は、水中を思わせるイメージとクラゲの浮遊感を通じて、記憶や孤独を描く樋口直哉の小説です。題名の柔らかい幻想性は、現実から少し離れた視界を与えます。公開資料で内容細部を確認できていないため、書誌と題名から確実に言える範囲での暫定紹介です。
- 267 2010 うちに帰ろう うちにかえろう 『うちに帰ろう』は、家へ帰るという素朴な動作を通じて、家族や生活の拠点を見つめ直す広小路尚祈の小説です。帰る場所は安心だけでなく、過去や関係の重さを引き受ける場所でもあります。平明な題名のなかに、家族と地方的な生活感への問いが込められています。
- 268 2010 コトリトマラズ ことりとまらず 『コトリトマラズ』は、止まらずに動き続ける小鳥のような感覚を通じて、人物の落ち着かなさや生活の変化を描く栗田有起の小説です。定住できない心の動きと、日常の小さなずれが物語の軸になります。軽やかな題名の奥に、孤独と移動の感覚が見えます。
- 269 2010 埋葬 まいそう 『埋葬』は、死者を葬る行為を通じて、記憶、喪失、残された者の時間を描く横田創の小説です。埋葬は終わらせる儀式であると同時に、過去を地中に置いたまま忘れられない行為でもあります。静かな不穏さのなかで、死と生活の境界を読む作品です。
- 270 2010 寝ても覚めても ねてもさめても 『寝ても覚めても』は、突然姿を消した恋人と瓜二つの顔を持つ男に出会った朝子の長い恋を描く柴崎友香の長篇です。恋愛の選択は、過去の記憶と現在の生活がどのように重なるかという問題として描かれます。大阪や東京を行き来する時間のなかで、同じ顔と違う人生をめぐる不穏な感覚が残ります。 第32回 野間新人賞
- 271 2010 祝福 しゅくふく 『祝福』は、長嶋有らしい抑えたユーモアで、日常の会話や記憶のずれをすくう作品です。大きな事件よりも、人が誰かを祝う、あるいは祝福できない瞬間の微妙な距離に焦点があります。平明な語りのなかで、家族や友人関係に残る孤独が静かに見えてきます。
- 272 2010 夜よりも大きい よるよりもおおきい 『夜よりも大きい』は、小野正嗣が土地、記憶、喪失の感覚を静かに重ねる作品です。夜という時間よりも大きなものに包まれる感覚が、人物の孤独や死者の気配を呼び込みます。公開資料では内容細部を確認しきれていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 273 2010 家路 いえじ 『家路』は、朝吹真理子が「流跡」の後に「群像」2010年4月号で発表した初期短篇です。詳細な梗概は今回の確認範囲では未確定ですが、デビュー直後から『きことわ』へ向かう時期の文芸誌掲載作として位置づけました。
- 274 2010 きことわ きことわ 『きことわ』は、葉山の高台にある別荘で幼い夏をともに過ごした貴子と永遠子が、二十五年後、別荘の解体を前に再会する作品です。現在の時間のなかに幼年時代の記憶や夢がふいに現れ、途切れた親密さが静かに流れ直します。大きな事件よりも、夢・記憶・現実の境界と、積み重なる時間の層を繊細な文体で読む小説です。 第144回 芥川賞
- 275 2010 シューマンの指 しゅーまんのゆび 『シューマンの指』は、奥泉光が講談社から2010年に刊行した書き下ろし長編です。出版社の内容紹介では、シューマンに憑かれた天才美少年ピアニスト永嶺修人、彼に焦がれる音大受験生の「わたし」、卒業式の夜の女子生徒殺害事件、修人の指の致命的な怪我、30余年後に届く「修人が外国でシューマンを弾いていた」とい…
- 276 2010 累成体明寂 るいせいたいめいじゃく NDLとBooks/JPROで2010年12月刊、審美社、ISBN 978-4-7883-3136-5、300ページ台の図書として確認。
- 277 2010 ショパン奇蹟の一瞬 『ショパン奇蹟の一瞬』は、高樹のぶ子が2010年にPHP研究所から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 278 2010 故郷のわが家 『故郷のわが家』は、村田喜代子が2010年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。 第63回 野間文芸賞
- 279 2009 約束の夜に やくそくのよるに 『約束の夜に』は、『子守唄しか聞こえない』で第51回群像新人文学賞を受けた松尾依子が「群像」2009年5月号に発表した短篇です。NDLサーチでは「特集 新鋭15人短篇競作」の一篇として、掲載誌・巻号・ページ範囲を確認できます。今回確認できた公開情報は書誌事項に限られるため、内容紹介は掲載形態と発表時…
- 280 2009 ドリーマーズ ドリーマーズ 『ドリーマーズ』は、夢を見ることと現実を生きることのずれを、柴崎友香らしい都市の時間感覚で描く作品です。人物たちの関係は劇的に変わるというより、会話や移動のなかで少しずつ輪郭を変えます。淡い題名に対して、日常の底に残る孤独も読みどころになります。
- 281 2009 ヒマワリのキス ひまわりのきす 『ヒマワリのキス』は、明るい題名の裏側に、恋愛や記憶の痛みを抱えた人物を置く樋口直哉の作品です。ひまわりのイメージは夏や若さを連想させますが、そこには過ぎ去った時間を取り戻せない感覚も重なります。今回の確認は書誌中心のため、細かな筋は追加調査が必要です。
- 282 2009 君が降る日 きみがふるひ 『君が降る日』は、失われた相手への思いと、残された人の時間を描く島本理生の恋愛小説です。題名の「降る」は、記憶が突然日常へ戻ってくる感覚を思わせます。静かな語りの中で、喪失、恋愛、再生の気配が重なります。
- 283 2009 月食の日 げっしょくのひ 『月食の日』は、日常のなかに差し込む陰りを、月食という天体現象のイメージと重ねる木村紅美の作品です。人との距離や生活の変化が、明るさを一時的に失う感覚として描かれます。静かで観察的な文体が、家族や孤独の輪郭を浮かび上がらせます。
- 284 2009 このあいだ東京でね このあいだとうきょうでね 『このあいだ東京でね』は、東京という場所で交わされる会話や記憶を、青木淳悟の観察的な文体でたどる作品です。題名のくだけた語りかけは、都市の出来事が誰かへの報告として残る感覚を示します。大きな筋よりも、場所と言葉のズレを読む小説です。
- 285 2009 ねたあとに ねたあとに 『ねたあとに』は、眠った後、起きた後に残る気配のようなものを、長嶋有らしい淡いユーモアで描く作品です。日常の会話や場面は軽く見えますが、人物同士の距離は少しずつ変化します。生活の小さな時間を、静かなずれとして読む小説です。
- 286 2009 東京借景 とうきょうしゃっけい 『東京借景』は、恩師らしき男、義眼の隣人、巨大な友人Qなど、距離の取りにくい人物たちとの関係を東京の風景に重ねる作品。河出書房新社は、いらだちを誘う相手との距離を描く「文藝賞受賞第一作」として紹介している。都市を単なる背景ではなく、他者への違和感や孤独を映し出す借景として扱うところに読みどころがある…
- 287 2009 世紀の発見 せいきのはっけん 『世紀の発見』は、巨大な機関車と大きな鯉の記憶、そして消えた友人をめぐって語りが展開する長篇です。現実の出来事と記憶の像が入り混じり、世界の見え方そのものが少しずつ変わっていきます。磯﨑憲一郎らしい、夢のようで乾いた語りの運動が読みどころです。
- 288 2009 線路と川と母のまじわるところ せんろとかわとははのまじわるところ 『線路と川と母のまじわるところ』は、線路と川という移動のイメージを、母の記憶や土地の感覚と重ねる小野正嗣の作品です。場所の記憶は個人の家族史と結びつき、語りは土地をたどるように進みます。母と子、故郷、移動の主題を静かに読む小説です。
- 289 2009 水死 すいし 『水死』は、父の死の記憶と「水死小説」の構想をめぐる、大江健三郎晩年の古義人もの長篇です。家族史、戦後史、文学を書くことが複層的に絡み、個人の記憶は国家や天皇制の問題にも接続します。長い息の文体で、作家自身の過去を再検討する作品です。
- 290 2009 ロンバルディア遠景 ろんばるでぃあえんけい 『ロンバルディア遠景』は、遠景という距離の感覚を通して、記憶、場所、言葉の変形を描く諏訪哲史の作品です。現実の土地はそのまま写されるのではなく、語りの中でずれ、遠ざかり、別の像になります。『りすん』同様、言葉そのものが主題化される実験的な小説として読めます。
- 291 2009 永遠のかけら えいえんのかけら 『永遠のかけら』は、失われた時間や記憶の断片を、恋愛や人間関係の揺れと重ねて読むことのできる高瀬ちひろの小説です。題名の「かけら」は、完全な永遠ではなく、人物の手元に残る小さな感情の痕跡を思わせます。公開資料で内容細部を十分に確認できていないため、書誌と題名から確実に言える範囲に絞って紹介します。
- 292 2009 霊降ろし れいおろし 『霊降ろし』は、死者や見えないものの気配を通じて、生者の記憶と喪失を描く田山朔美の小説です。霊的な題材は怪異そのものよりも、残された人が過去とどう向き合うかという問題に結びつきます。静かな不穏さのなかで、家族や信仰に近い感覚をたどる作品として整理できます。
- 293 2009 終の住処 ついのすみか 『終の住処』は、妻が突然口をきかなくなる朝から始まり、ある夫婦の二十年を描く磯﨑憲一郎の小説です。大きな事件よりも、時間の経過そのものが関係を変えていく様子に重心があります。淡々とした語りの背後で、夫婦、家、老い、記憶の問題が静かに積み重なります。 第141回 芥川賞
- 294 2009 今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇 こんやはひとりぼっちかい? にほんぶんがくせいすいし せんごぶんがくへん 『日本文学盛衰史』の続編として、戦後文学そのものを小説の素材にする長編。大岡昇平や小林秀雄らを思わせる文学史上の存在が、ロック、パンク、ラップ、ブログ、Twitter、YouTubeまで巻き込みながら、読まれなくなった戦後文学を現在の言葉へ揉みほぐしていく。文学史講義、パロディ、メタフィクションが交…
- 295 2009 流跡 りゅうせき 『流跡』は、朝吹真理子のデビュー作です。闇夜の川を進む舟頭、雨あがりを家へ向かう会社員、波止場で船を待つ女など、人物や場面が水の流れのように変化しながら連なります。筋の明快さよりも、言葉が残す跡、身体や性差の輪郭がほどける感覚、時間がたまりとして残る手ざわりを読む作品です。 第20回 ドゥマゴ文学賞
- 296 2009 カンランシャ かんらんしゃ NDLサーチで2009年6月刊、光文社、ISBN 978-4-334-92661-8の単行本として確認できる。
- 297 2009 祈りのギブソン いのりのぎぶそん 『祈りのギブソン』は、久間十義の小説単行本です。NDLサーチでは2009年3月に光文社から刊行された351ページの図書、NDC9 913.6として確認できます。出版書誌データベースでは、ISBN 9784334926571、4-6判、356ページ、2009年3月23日発売の書誌が確認できます。
- 298 2009 二度死んだ母のこと。 ニド シンダ ハハ ノ コト 作品社から2009年に刊行された高橋一起の単著。
- 299 2009 甘苦上海 『甘苦上海』は、高樹のぶ子が2009年に日本経済新聞出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 300 2009 あなたと共に逝きましょう 『あなたと共に逝きましょう』は、村田喜代子が2009年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 301 2009 ドンナ・マサヨの悪魔 『ドンナ・マサヨの悪魔』は、村田喜代子が2009年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 302 2008 星のしるし ほしのしるし 『星のしるし』は、日常の風景のなかに残る小さな兆しを、柴崎友香らしい観察で描く作品です。星という遠いもののイメージが、都市の生活や人との距離に静かな奥行きを与えます。歩くような文体で、恋愛や記憶が大きな劇ではなく生活のなかに滲みます。
- 303 2008 いつかソウル・トレインに乗る日まで いつかソウル・トレインにのるひまで 高橋源一郎が「初の恋愛小説」と銘打って2008年に集英社から刊行した長編。20年ぶりにソウルを再訪した主人公ケンジが、かつての恋人の娘ファソンと出会い、二人が惹かれ合いながら純愛を探す3日間を追う。題名の「ソウル・トレイン」は、アメリカの黒人音楽番組『Soul Train』と、韓国のソウル(Seou…
- 304 2008 神様のいない日本シリーズ かみさまのいないにほんシリーズ 『神様のいない日本シリーズ』は、「江夏の21球」で知られる1979年の日本シリーズを背景に、父と子の時間を描く中篇です。野球の記憶は、家族の記憶や時代の空気を呼び戻す装置になります。田中慎弥の乾いた語りが、父子関係の近さと断絶を浮かび上がらせます。
- 305 2008 彼女について かのじょについて 『彼女について』は、ひとりの女性をめぐる記憶と語りから、失われたものや届かなかった感情をたどる作品です。よしもとばなならしい透明感のある文体で、死や喪失の気配をやわらかく包みます。誰かについて語ることが、自分自身を語り直すことにもなる小説です。
- 306 2008 イギリス海岸 イーハトーヴ短篇集 いぎりすかいがん いーはとーう たんぺんしゅう 『イギリス海岸 イーハトーヴ短篇集』は、宮沢賢治のイーハトーヴを思わせる場所の記憶や文学的想像力を、短篇のかたちでたどる作品集です。実在の土地と架空の地名が重なり、読むこと、訪ねること、思い出すことがひとつにつながります。静かな幻想性と地方の手触りが読みどころです。
- 307 2008 蟋蟀 こおろぎ 『蟋蟀』は、虫の声や小さな気配を思わせる題名のもと、日常の奥に潜む不安や孤独を描く栗田有起の作品です。目立たないものに耳を澄ませるような語りが、家や都市の生活を少し奇妙なものに変えます。静かな現実感と寓話性の境目を読む小説です。
- 308 2008 眼と太陽 めとたいよう 『眼と太陽』は、視線と光のイメージを軸に、複数の視点や時間が交差する短篇集です。見ること、見られることが、人物の記憶や世界の捉え方を変えていきます。磯﨑憲一郎らしい抽象度の高い構成が、現実を少しずつ別の角度から照らします。
- 309 2008 マイクロバス マイクロバス 『マイクロバス』は、移動する小さな乗り物を通して、地方の場所や人々の距離を描く小野正嗣の作品です。バスという共有空間は、共同体に属することと、そこから外れることの両方を見せます。静かな語りのなかで、土地の記憶と孤独がゆっくり浮かび上がります。
- 310 2008 主題歌 しゅだいか 『主題歌』は、都市で暮らす人物たちの時間や感情を、音楽のように反復する記憶と結びつけて描く柴崎友香の作品です。大きな事件よりも、会話、移動、見えた風景の差異が人物の心の変化を形づくります。語りは静かですが、誰かの人生に流れている旋律を探すような読み味があります。
- 311 2008 サウスポイント サウスポイント 『サウスポイント』は、よしもとばななが南の島の気配や移動の感覚を通じて、恋愛と家族の記憶を描く長篇です。明るい場所に向かう題名とは裏腹に、人物の内側には喪失や過去の影が残ります。土地の光や空気を、心の回復の過程と重ねて読む作品です。
- 312 2008 イラコ岬 いらこみさき 『イラコ岬』は、「すばる」2008年6月号に掲載された茅野裕城子の小説です。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ範囲を確認できます。公開Webで詳細な梗概は確認できないため、内容紹介は書誌情報に限定します。
- 313 2008 聖家族 せいかぞく 『聖家族』は、青森の名家・狗塚家を中心に、東北の歴史と記憶を巨大な物語として編み上げる長篇です。新潮文庫版の紹介では、狗塚家に継承された「正史」が現代と出会い、狗塚三兄弟の逃亡劇から冠木兄妹の誘拐事件へ展開する筋立てが示されています。家族史、東北史、戦争や維新の記憶が混濁し、古川日出男らしい過剰な語…
- 314 2008 仮の水 かりのみず 2008年8月講談社刊。NDLでNDC 913.6の図書として確認し、Books/JPROと講談社公式で書誌を確認できる。
- 315 2008 父の遺した三十一文字。 チチ ノ ノコシタ ミソヒトモジ 作品社から2008年に刊行された高橋一起の単著。
- 316 2008 うまくいかないのが恋 『うまくいかないのが恋』は、高樹のぶ子が2008年に幻冬舎から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 317 2007 クローバー くろーばー 『クローバー』は、島本理生らしく、恋愛や記憶の細部から若い人物の揺れを描く作品です。幸運を連想させる題名に対して、語りは関係の不安定さや選び取れない気持ちにも目を向けます。淡い感情を、日常の光景のなかで少しずつ変化させる読み味があります。
- 318 2007 大人ドロップ おとなどろっぷ 『大人ドロップ』は、若者が大人になる前後の感情を、学校や地方の時間のなかで描く青春小説です。恋愛や友情の明るさだけでなく、過ぎてしまう時間への痛みが語りの底にあります。簡潔な文体で、思い出になる直前の出来事をすくい取る作品として読めます。
- 319 2007 肝心の子供 かんじんのこども 出家して悟りを開く前のブッダ、その息子のラーフラ、さらにその子へ——インドを舞台に親子三代の生をたどる。偉人の伝記ではなく、川の流れや樹木、身体の感覚といった即物的な描写を長い呼吸の文体で積み重ね、人の一生を超えて流れる時間そのものを小説に写し取ろうとする。商社マンとして働きながら書かれた42歳の遅… 第44回 文藝賞
- 320 2007 島の夜 しまのよる 『島の夜』は、島という隔てられた場所と夜の時間を背景に、孤独や記憶の濃度を描く作品として整理できます。閉じた地理は、人間関係を近づける一方で、逃げ場のなさも作ります。静かな語りのなかに、不安と親密さが同時に漂う読み味があります。
- 321 2007 舞い落ちる村 まいおちるむら 生まれ育った女系の村では、時間の進み方や年齢の重ね方が定まらず、ものの数も曖昧で、人々は個々の名前すらめったに持たない。「わたし」はその「言葉を信じない」村のあり方に違和感を抱き、村と大学のある街とを行き来するうち、言葉を信じ言葉で武装した人物に強く惹かれていく。土俗的な幻想と言語への意識を重ね合わ… 第104回 文學界新人賞
- 322 2007 また会う日まで またあうひまで 『また会う日まで』は、再会と別れをめぐる時間の感覚を、柴崎友香らしい日常の観察で描く作品です。人と人が会う場所、離れる場所、そのあいだに流れる記憶が物語の中心になります。関西の街を歩くような語りが、恋愛や孤独を過度に劇化せずに映し出します。
- 323 2007 二度はゆけぬ町の地図 にどはゆけぬまちのちず 『二度はゆけぬ町の地図』は、戻れない場所への執着と、貧しい生活の記憶を私小説的な語りでたどる作品です。西村賢太らしい露悪的な自己凝視が、地図に残る町と、もう行けない過去を重ねます。労働、金銭、孤独が乾いた笑いと屈辱の感覚で結びついています。
- 324 2007 臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ ろうたしアナベル・リイ そうけだちつみまかりつ 『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』は、文学作品や映画的想像力を下敷きに、老い、成熟、欲望を晩年の大江健三郎が再構成する作品です。語りは引用や記憶を重ねながら、ひとつの恋愛譚に収まらないメタフィクション的な広がりを持ちます。文学を読み直すこと自体が、過去の自己を組み替える行為として描かれま…
- 325 2007 最後の命 さいごのいのち 『最後の命』は、少年時代の傷と再会、罪の記憶をめぐって、人が最後に何を拠りどころに生きるのかを問う作品です。中村文則らしい暗い心理描写が、暴力や孤独を抽象化せず、身体に残る感覚として描きます。過去に囚われた人物が他者との関係を回復できるのかが、緊張を生みます。
- 326 2007 うつつ・うつら うつつうつら 『うつつ・うつら』は、現実とうつつの境目を揺らしながら、人物の記憶や自己像の不確かさを描く作品集です。赤染晶子の作品らしく、日常の言葉や振る舞いが少しずつ奇妙なものへ変わっていきます。軽いユーモアと不穏さが同居する語りが読みどころです。
- 327 2007 六月の海を泳いで ロクガツ ノ ウミ オ オヨイデ 小学館から2007年に刊行された単著小説。未収録の広谷鏡子単著として追加候補。
- 328 2007 おのごろじま 『おのごろじま』は、詩人としても活動する日和聡子の小説作品です。古事記的な響きを帯びる題名のもと、島、土地、生成、記憶の感触を、散文と詩の境界に近い文体で立ち上げます。物語の筋よりも、言葉の音楽性と神話的なイメージが前景化する作品です。
- 329 2007 海辺の博覧会 うみべのはくらんかい 既存収録の『青春デンデケデケデケ』『雨鶏』と重複しない、ポプラ社刊の単行本。
- 330 2006 オートフィクション オートフィクション 『オートフィクション』は、作家リンの現在から過去へさかのぼる構成で、愛、嫉妬、自己像の形成をたどる長編です。自分を書くことと自分を作ることが重なり、タイトル通り「私小説」と「作り物」の境界が揺れます。時間を逆行する構成が、感情の根を探る読み方を促します。
- 331 2006 エスケイプ/アブセント えすけいぷ/あぶせんと 『エスケイプ/アブセント』は、逃避と不在という二つの言葉を軸に、関係のなかで空白を抱える人物を描く作品です。絲山秋子らしい簡潔な文体が、説明しすぎないまま感情の距離を保ちます。逃げること、いないこと、忘れられないことが重なり合う静かな読後感があります。
- 332 2006 風化する女 ふうかするおんな 突然死んだ会社の先輩れい子には、職場で見せていたのとは別の顔があった。「私」はその謎をたどって東京から地方へと旅をし、死んだ女の生の痕跡に自分を重ねていく。日々がたえず「風化」していく都会の生活感覚を背景に、死者をなぞることでしか確かめられない自分の輪郭を、抑制された筆致で描いたデビュー作。 第102回 文學界新人賞
- 333 2006 森のはずれで もりのはずれで 『森のはずれで』は、共同体の中心ではなく「はずれ」に立つ人物の感覚を、小野正嗣らしい静かな語りで描く作品です。森や周縁の場所は、記憶、土地、言葉の違いを考えるための舞台になります。中心から外れた場所で人がどう他者と出会うかを読む作品として位置づけられます。
- 334 2006 沖で待つ おきでまつ 『沖で待つ』は、同期入社の男女の友情と、死後に残された約束をめぐる作品です。恋愛に回収されない親密さを、職場の記憶と喪失の感覚を通して描きます。絲山秋子の簡潔で乾いた語りが、死者との距離を過度に sentimental にせず保つところが読みどころです。 第134回 芥川賞
- 335 2006 その街の今は そのまちのいまは 『その街の今は』は、カフェで働く歌ちゃんが古い写真に写る大阪に惹かれ、街の過去と現在を行き来する作品です。写真という媒体が、個人の記憶だけでなく都市の時間をたどる装置になります。柴崎友香らしい歩くような文体で、街を見ることと自分の現在を確かめることが重なります。
- 336 2006 裏庭の穴 うらにわのあな 主婦の朝子は、幼い頃に母親が裏庭に何かを埋めるのを目撃したという記憶を、大人になっても抱え続けている。掘り返されないまま家族の足元に空いた「穴」のような記憶を軸に、平穏に見える家庭の日常の底に沈む鬱屈と、母と娘のあいだのほどけない結び目を描く。受賞作は2009年刊の作品集『霊降ろし』(文藝春秋)に収… 第103回 文學界新人賞
- 337 2006 夕子ちゃんの近道 ゆうこちゃんのちかみち 『夕子ちゃんの近道』は、商店街の人々をめぐる連作短篇集として、日常の小さな移動や出会いを描く作品です。大きな事件よりも、店、道、会話の連なりから人物の距離が変わる様子を見せます。長嶋有らしいユーモラスで少しずれた観察が、生活のなかの寂しさを軽く照らします。
- 338 2006 帰ってきた黄金バット かえってきたおうごんばっと 『帰ってきた黄金バット』は、「すばる」2006年5月号に掲載され、同年9月に集英社から単行本化された釉木淑乃の小説です。NDLサーチで雑誌初出と単行本書誌、CiNii Researchで関連レコードを確認できます。公開情報で詳細な内容紹介は確認できないため、表題の大衆文化的モチーフ以上の内容断定は避…
- 339 2006 家のロマンス いえのロマンス 『新潮』連載後、新潮社から2006年11月に単行本化された加藤幸子の未登録作品。
- 340 2006 掘るひと ホル ヒト 2000年代の小説作品として、既収録『雨のち雨?』以後の展開を補う候補。
- 341 2006 残光 ざんこう NDLサーチで「新潮」2006年2月号掲載書誌、2006年5月刊の新潮社版単行本、水声社『小島信夫長篇集成』収録を確認できる。
- 342 2006 爆心 ばくしん 2006年11月に文藝春秋から刊行された作品集。NDLで単行本、2010年文春文庫版、2011年の上下巻版を確認できる。
- 343 2006 ドライブイン蒲生 どらいぶいんがもう NDLサーチで2006年7月刊、河出書房新社、ISBN 4-309-01766-5の単行本として確認できる。
- 344 2006 海洞 : アフンルパロの物語 かいどう あふんるぱろのものがたり 『海洞 : アフンルパロの物語』は、三浦清宏が2006年に文藝春秋から刊行した長篇小説です。NDLサーチでは、文藝春秋2006年9月刊、604ページ、ISBN 4-16-325230-4の単行本として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概や初出誌は確認できなかったため、紹介は書誌情報を中心に整…
- 345 2006 せつないカモメたち 『せつないカモメたち』は、高樹のぶ子が2006年に朝日新聞社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 346 2006 鯉浄土 『鯉浄土』は、村田喜代子が2006年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 347 2005 100回泣くこと ひゃっかいなくこと 恋人を失った男性が、新たな出会いや日々の出来事を通して、悲しみから少しずつ立ち上がる純愛長篇。題名の強さに対して語り口は穏やかで、泣くことそのものよりも、喪失を抱えながら生活を続ける時間が描かれる。中村航の読者層を広げた、切なさと読みやすさを併せ持つ作品である。
- 348 2005 一千一秒の日々 いっせんいちびょうのひび 恋愛や日常の短い時間を、きらめくような細部として集めた島本理生の作品集。大きな物語へ急がず、一瞬の表情や会話のずれが、人物の孤独や期待を浮かび上がらせる。若い恋の瑞々しさと、時間が過ぎていくことへの切なさが題名に重なる。
- 349 2005 まぼろし まぼろし 母娘の確執を描く表題作と、実家に戻った娘の日常を描く「十八階ビジョン」を収める作品集。見えているはずの家族や故郷が、どこか「まぼろし」のように掴めなくなる感覚を、若い女性の視点から描く。日常の薄い不安と、過去から離れきれない心理が静かに重なる。
- 350 2005 ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ 宮沢賢治の作品やイメージを、高橋源一郎流に再配置するようなタイトルをもつ作品集。古典的な作家をそのまま讃えるのではなく、引用、変奏、遊びを通じて、文学を現在の言葉で鳴らし直す。メタフィクションとリミックス感覚が結びついた、高橋作品らしい一冊である。 第16回 宮沢賢治賞
- 351 2005 みずうみ みずうみ 母を亡くした女性と、過去に深い傷を抱えた青年の恋を描く長編。湖の静けさは、癒やしの場所であると同時に、人物が抱える記憶の暗さを映す場所にもなる。吉本ばななの柔らかな語りが、トラウマと恋愛を過剰に説明しすぎず、余韻として残す。
- 352 2005 ナラタージュ ならたーじゅ かつての恩師への思いを断ち切れない女子大生が、過去の記憶と現在の恋の間で揺れる長篇。恋愛の美しさよりも、戻れない時間に縛られる痛みが中心に置かれている。語りは静かだが、人物の未練や罪悪感が長く尾を引き、島本理生の代表的な恋愛小説として読まれてきた。
- 353 2005 踊るナマズ おどるなまず ナマズにまつわる伝説が息づく土地で、幼い二人の恋心と民話的な想像力が交差する恋愛奇談。弥生が過去の記憶を語り直す構成を通じて、土地に残る言い伝えと性、生命の連なりが重ねられる。現実の成長譚を土俗的なイメージへ開いていくところに、すばる文学賞受賞作らしい新鮮さがある。 第29回 すばる文学賞
- 354 2005 オテルモル おてるもる 『オテルモル』は、奇妙なホテルをめぐる幻想的な設定を手がかりに、旅先で宙づりになる感覚や、日常から少し外れた場所にいる人の孤独を描く作品です。栗田有起らしい軽やかな導入の奥に、記憶や帰属の揺らぎが潜む読み味があります。舞台の閉じた空間が、登場人物の不安と期待を増幅する点が読みどころです。
- 355 2005 さようなら、私の本よ! さようならわたしのほんよ 『さようなら、私の本よ!』は、老作家・長江古義人と建築家・塙吾良を軸に、文学、暴力、記憶の継承を問い直す長編です。作中人物と作者像が重なり合うメタフィクション的な構えのなかで、晩年の作家が自作と時代にどう別れを告げるかが描かれます。会話と回想を積み重ねる長い息の文体が、個人史と政治的記憶を結びつけて…
- 356 2005 スモールトーク すもーるとーく 『スモールトーク』は、六台の車をめぐる連作として、移動、修復、喪失の感覚を描く作品です。車という具体物が、登場人物の距離感や回復の速度を測る装置になっています。絲山秋子らしい抑制された会話と乾いた文体が、傷ついた人々のささやかな再出発を浮かび上がらせます。
- 357 2005 東京奇譚集 とうきょうきたんしゅう 『東京奇譚集』は、「偶然の旅人」などを収め、都市の日常にふと入り込む不可思議な出来事を描く短編集です。村上春樹の抑制された語りが、偶然、喪失、記憶のずれを静かに増幅します。東京という現実的な地名を持ちながら、物語は現実の向こう側に開く寓話性を帯びています。
- 358 2005 海の宮 うみのみや 『海の宮』は、「新潮」2005年5月号に掲載され、2009年3月に集英社から単行本化された中上紀の小説です。NDLサーチで雑誌初出と単行本書誌、CiNii Researchで関連レコードを確認できます。公開Webで詳細な梗概は確認できないため、内容紹介は書誌情報に限定します。
- 359 2005 青猫家族輾転録 あおねこかぞくてんてんろく 英訳・独訳レコードもNDLで確認でき、伊井直行作品の海外流通の手がかりにもなる。
- 360 2005 ミーナの行進 みーなのこうしん NDLサーチで2006年4月刊の中央公論新社版単行本と2009年中公文庫版を確認できる。谷崎潤一郎賞公式一覧で第42回受賞作として確認できる。 第42回 谷崎賞
- 361 2005 環流 かんりゅう NDLサーチで2005年8月刊、講談社、ISBN 4-06-213054-8の単行本として確認できる。
- 362 2004 アフターダーク あふたーだーく 深夜0時過ぎから夜明けまでの東京を舞台に、ファミリーレストラン、ホテル、オフィス、眠り続ける部屋がゆるく接続される。視点はカメラのように人物の間を移動し、姉妹、孤独な青年、暴力の痕跡を、夜の都市の断片として映し出す。長大な物語ではなく、時間を区切った構成と映像的な語りで、村上春樹作品の都市感覚を凝縮…
- 363 2004 袋小路の男 ふくろこうじのおとこ 何も与えない男に、三年間片思いし続ける女の静かな恋愛小説。恋が進展しないこと、相手が応えないことを、単純な不幸ではなく、関係が袋小路のまま続いていく時間として描く。大きな事件を抑えた文体の中に、絲山秋子らしい乾いた痛みと可笑しさが残る。 第30回 川端賞
- 364 2004 灰色の瞳 はいいろのひとみ 佐川光晴の2004年刊行作で、NDLには第一部・第二部として雑誌掲載記事が確認できる。人間関係や家族の記憶を、明るく割り切れない「灰色」の領域として見つめる作品として整理できる。佐川作品に通底する、生活の手触りと関係の痛みを追う読みに向いている。
- 365 2004 遮光 しゃこう 死んだ恋人の「残骸」を持ち歩き続ける青年が、嘘と妄想の境目を失っていく。喪失を受け止めるのではなく、異様な執着として保存しようとする心理が、硬く暗い文体で描かれる。中村文則の初期作品らしい、罪悪感、孤独、身体への嫌悪が凝縮された一作。 第26回 野間新人賞
- 366 2004 タイムカプセル たいむかぷせる 過去にしまいこんだ感情や記憶を、現在の自分が開け直すようにたどる作品。若い人物の時間感覚を、懐かしさだけでなく、未来へ残してしまったものへの不安として描く。生田紗代のデビュー後の文脈では、青春の明るさと居場所のなさを同時に読む入口になる。
- 367 2004 生まれる森 うまれるもり 恋愛や喪失のあとに残る空白を、森というイメージに重ねて描く島本理生の初期長篇。人物の内面は激しく揺れながらも、語り口は抑制され、痛みが静かな風景の中に置かれる。青春小説の瑞々しさと、取り返しのつかない記憶を抱える重さが同居している。
- 368 2004 海のふた うみのふた 故郷の海辺の町でかき氷屋を始めた女性のひと夏を描く長編。海、店、訪れる人々とのやりとりを通じて、傷ついた心が生活の手触りを取り戻していく。吉本ばなならしいやさしい幻想味が、地方の小さな商いと再生の感覚に結びついている。
- 369 2004 西安の柘榴 セイアン ノ ザクロ 『韓素音の月』以後の中国・越境モチーフに連なる単行本候補。集英社刊、192ページ。
- 370 2004 バービーからはじまった バービー カラ ハジマッタ 小説中心の追加候補では優先度を一段下げるが、単著の著作として著者像を補う候補。
- 371 2004 鉄塔家族 テットウ カゾク 2004年に日本経済新聞社から刊行された単著図書。佐伯一麦の家族・土地をめぐる作品として追加候補になる。
- 372 2004 月の川を渡る 『月の川を渡る』は、中村邦生の小説集です。NDLサーチでは2004年6月に作品社から刊行された266ページの図書、NDC9 913.6として確認できます。収録作は「ドッグ・ウォーカー」「月の川を渡る」「夜に誘われて」です。
- 373 2004 百年佳約 『百年佳約』は、村田喜代子が2004年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 374 2003 ハゴロモ ハゴロモ 恋愛や喪失で傷ついた人物が、都会から少し距離を置いた土地で静かに時間を取り戻していく吉本ばななの長篇。水辺や町の気配、記憶の手触りを重ねながら、壊れた心がすぐに治るのではなく、生活のリズムの中でゆっくりほどけていく過程を描く。幻想味を帯びたやわらかな文体が、再生の物語を日常の側に引き寄せている。
- 375 2003 ハンゴンタン はんごんたん タイトルの「ハンゴンタン(反魂丹)」は、死者の魂を呼び戻すという伝承を持つ富山の伝統的な丸薬の名。哲学科出身の27歳の新人が、第95回・第96回と受賞作が1作以下の状態が続いた文學界新人賞の2003年下期に単独受賞した。選考委員は浅田彰・奥泉光・島田雅彦・辻原登・山田詠美。単行本化されておらず、内容… 第97回 文學界新人賞
- 376 2003 四十日と四十夜のメルヘン よんじゅうにちとよんじゅうやのめるへん チラシ配りをして暮らす「私」が書きつける日記。しかしその日付は素直に進まず、記述は反復と書き換えを繰り返しながら円環構造を描き、日常の風景がいつのまにか変容していく。「書くこと」自体を小説の駆動装置にした構成は、選考会で保坂和志が「これはピンチョンなんだ」と断言して強く推したことで知られる。単行本化… 第35回 新潮新人賞
- 377 2003 おはなしの日 おはなしのひ 『おはなしの日』は、「すばる」2003年12月号に掲載され、2004年9月に集英社から単行本化された安達千夏の小説です。NDLサーチで雑誌初出と単行本書誌、CiNii Researchで関連レコードを確認できます。公開Webで詳細な内容紹介は確認できないため、書誌情報を中心に登録します。
- 378 2003 博士の愛した数式 はかせのあいしたすうしき 『博士の愛した数式』は、事故の後遺症で新しい記憶を80分しか保てない数学者と、彼の家で働く家政婦、その息子の関係を描く長篇です。素数、友愛数、完全数などの数学的な美しさが、他者を思いやる言葉やふるまいと重ねられます。
- 379 2003 指輪をはめたい ゆびわをはめたい NDLサーチで2003年10月刊、文藝春秋、ISBN 4-16-322290-1の単行本として確認できる。
- 380 2003 海をわたる月 うみをわたるつき 『海をわたる月』は、図子英雄が2003年に創風社出版から刊行した小説です。NDLサーチで、創風社出版刊、ISBN 4-86037-030-9、NDC 913.6の単行本として確認できます。公開Webで信頼できる梗概や初出誌を確認できなかったため、作品内容の説明は書誌情報に限定します。
- 381 2003 罪花 『罪花』は、高樹のぶ子が2003年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 382 2003 ナポリ魔の風 『ナポリ魔の風』は、高樹のぶ子が2003年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 383 2003 ららら科學の子 らららかがくのこ 『ららら科學の子』は、中国で長く生きた男の帰国を軸に、戦後日本、学生運動、中国との関係をたどる長篇です。ハードボイルド的な乾いた視線を持ちながら、政治と個人史のずれを大きな時間幅で描く。帰ってきた場所としての日本を、外部から見直す作品です。 第17回 三島賞
- 384 2002 君が代は千代に八千代に きみがよはちよにやちよに 「君が代」という強い公共的記号を題名に据え、国家、記憶、言葉の働きを小説の場で問い直す高橋源一郎の作品。政治的な主題を直接の主張に閉じず、語りの実験や文学的なずらしによって扱う。近代日本の制度と言語をめぐるメタフィクションとして読める。
- 385 2002 にぎやかな湾に背負われた船 にぎやかなわんにせおわれたふね 九州の海辺の集落「浦」を舞台に、土地の人々の記憶と語りを紡ぐ長編。個人の物語が、海辺の共同体、死者、土地の歴史と重なり合う。小野正嗣らしい、声の重なりと土地の記憶を読む作品。 第15回 三島賞
- 386 2002 王国 その1 アンドロメダ・ハイツ おうこく そのいち アンドロメダ・ハイツ 山奥で祖母と暮らした雫石が、都会で占い師の助手となる「王国」シリーズ第一作。自然の記憶、都市での仕事、スピリチュアルな感受性が交差し、傷ついた人が別の居場所を作る過程を描く。吉本ばなならしい癒やしと不思議さが、生活の手ざわりと結びつく。
- 387 2002 タンノイのエジンバラ たんのいのえじんばら 長嶋有の2002年の作品で、オーディオ機器を思わせる題名が、生活の中の音や記憶への感度を示す。公開情報は限定的だが、日常の小さな違和感や人間関係の距離を、静かでユーモラスな筆致で捉える長嶋作品の系譜に置ける。内容細部は追加確認が必要。
- 388 2002 海辺のカフカ うみべのかふか 15歳の少年・田村カフカと老人ナカタの物語が並行して進む長編。家出、父と子、予言、暴力、異界的な出来事が絡み合い、現実と神話が重なる場所へ読者を導く。村上春樹の長編の中でも、寓話性と物語性が大きく広がった作品である。
- 389 2002 憂い顔の童子 うれいがおのどうじ 大江健三郎の「おかしな二人組」三部作に連なる後期長編。作家・古義人を中心に、家族史、過去の暴力、共同体の記憶が重なり合う。晩年の大江が、自身の文学的記憶と死者との対話を小説化していく流れの中で読む作品である。
- 390 2002 浪漫的な行軍の記録 ろまんてきなこうぐんのきろく 『浪漫的な行軍の記録』は、奥泉光が2002年に講談社から刊行した作品です。のちに講談社文芸文庫『石の来歴 浪漫的な行軍の記録』にも収録されました。
- 391 2002 半島 はんとう NDLサーチで「文學界」2002年1月号掲載書誌、2004年7月刊の文藝春秋版単行本、2022年講談社文芸文庫版を確認できる。
- 392 2002 本格小説 ほんかくしょうせつ 『本格小説』は、水村美苗が『新潮』連載をもとに2002年に新潮社から上下巻で刊行した長篇小説です。新潮社公式ページでは、米国での少女時代に出会った男の「小説のような人生」を、軽井沢に芽生え国境を越えて育まれる恋と、血族史・戦後日本の肖像として描く作品と紹介されています。上巻公式ページには『波』200…
- 393 2002 エフェソス白恋 『エフェソス白恋』は、高樹のぶ子が2002年に文化出版局から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 394 2002 雲南の妻 『雲南の妻』は、村田喜代子が2002年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 395 2001 水に埋もれる墓 みずにうもれるはか 小野正嗣のデビュー作で、既存データでは朝日新人文学賞受賞作とされる。水や墓のイメージが示すように、土地、記憶、死者との関係をめぐる作品として位置づけられる。後の小野作品に続く、共同体の記憶と語りへの関心の出発点として読みたい。
- 396 2001 サイドカーに犬 さいどかーにいぬ 小学四年生の夏、母が家出した薫の家に、父の知り合いである洋子さんが入り込んでくる。自転車を教えてくれ、缶コーヒーを飲み、堂々と振る舞う洋子さんと過ごしたひと夏を、大人になった薫が淡々と回想する。家庭の危機という湿りがちな題材を、軽やかでユーモラスな距離感と即物的なディテールで描き、深刻にならないのに… 第92回 文學界新人賞
- 397 2001 水の匂い みずのにおい 『水の匂い』は、「文學界」2001年6月号に掲載された羽根田康美の小説です。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ範囲を確認できます。公開Webで詳細な内容紹介は確認できないため、主題分類は題名と掲載媒体からの暫定整理です。
- 398 2001 世界の中心で、愛をさけぶ せかいのちゅうしんであいをさけぶ 『世界の中心で、愛をさけぶ』は、地方都市の高校生・朔太郎とアキの恋を、アキの死から始まる喪失感と回想によって描く恋愛長篇です。Books出版書誌データベースの内容紹介では、出会い、放課後のデート、無人島への旅、発病と入院、空港での死、十数年後の再訪までが、魂の再生の物語として整理されています。
- 399 2001 長江 ちょうこう 『新潮』掲載後、新潮社から2001年11月に単行本化された加藤幸子の未登録作品。
- 400 2001 ベラクルス べらくるす 『ベラクルス』は、メキシコ湾岸の都市ベラクルスを舞台にした堂垣園江の小説です。カナダとメキシコに在住経験をもつ作者の越境的な視点から、土地の歴史、記憶、暴力の気配を重ねる作品として位置づけられます。海外の都市を日本語小説の舞台に据え、移動と異文化の感覚を読む作品です。 第23回 野間新人賞
- 401 2001 きみよわすれないで きみよわすれないで 篠原一の book-form work 候補。同名別人を避けるため、NDLの著者標目「篠原, 一, 1976-」を確認した。
- 402 2001 妖しい風景 『妖しい風景』は、高樹のぶ子が2001年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 403 2001 人が見たら蛙に化れ 『人が見たら蛙に化れ』は、村田喜代子が2001年に朝日新聞社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 404 2000 ひな菊の人生 ひなぎくのじんせい 吉本ばななが2000年に刊行した作品で、ロッキング・オン版と後年の幻冬舎版の書誌が確認できる。公開情報は限定的だが、タイトルの柔らかさとは裏腹に、人生の記憶や痛みをすくい上げる吉本作品の系譜に置ける。現段階では内容細部の確認を次回課題として残す。
- 405 2000 体は全部知っている からだはぜんぶしっている 身体の記憶をモチーフにした吉本ばななの掌篇集。心では整理できない痛みや違和感が、身体の感覚として先に反応する瞬間をすくう。短い形式の中で、病、恋愛、喪失、生活の手ざわりを静かに重ねる。
- 406 2000 きょうのできごと きょうのできごと 京都で開かれた引っ越し祝いの飲み会に集まった若者たちの一夜を、複数の視点から描く柴崎友香のデビュー作。大きな事件よりも、会話、部屋の空気、街への移動が作る微細なずれを積み重ねる。日常の時間をそのまま文学の中心に置く、後の柴崎作品へつながる出発点。
- 407 2000 肉触 にくしょく 『肉触』は、第37回文藝賞優秀作として『文藝』2000年冬季号に掲載され、2001年1月に河出書房新社から単行本化された佐藤智加の作品です。河出書房新社公式ページでは、精神と肉体をめぐる冒頭の問い、姉の追憶に支えられた詩的な内面世界の崩壊、17歳の高校生による早熟な表現が紹介されています。物語の細部…
- 408 2000 取り替え子(チェンジリング) とりかえこ 義兄・吾良の自死をきっかけに、作家・古義人が過去の謎をたどる長編。録音された声や記憶を通して死者と対話し、家族史、映画、芸術、自己の来歴が絡み合う。大江後期の「おかしな二人組」三部作へつながる、喪失と再生の作品。
- 409 2000 赤い兵馬俑 あかいへいばよう 『赤い兵馬俑』は、吉野光の単行本です。NDLサーチで2000年11月刊、359ページ、20cmの書誌を確認できます。今回確認できた公開情報は書誌に限られるため、題名から舞台や主題を断定せず登録します。
- 410 2000 花腐し はなくたし NDLサーチで「群像」2000年5月号掲載書誌と、2017年1月刊の講談社文芸文庫『幽(かすか) 花腐し』を確認できる。単独初刊本ではなく、 bookYear は確認できる book-form 版に合わせた。 第123回 芥川賞
- 411 2000 ジャンプ ジャンプ 2000年に光文社から刊行された佐藤正午の単著長篇。既登録の『永遠の1/2』『月の満ち欠け』とは別の book-form 作品。
- 412 2000 雨のち雨? あめのちあめ 『雨のち雨?』は、岩阪恵子が第26回川端康成文学賞を受賞した短篇です。NDLサーチでは『新潮』2000年6月号掲載の受賞作記事として確認でき、同年6月には新潮社から単行本『雨のち雨?』が刊行されています。公開Webで詳細な梗概は確認できなかったため、作品説明は初出・刊行・受賞情報を中心に整理していま… 第26回 川端賞
- 413 2000 熊の敷石 くまのしきいし 『熊の敷石』は、旅先の記憶や友人との対話を通じて、遠く離れた土地と言葉の感触を細やかに描く作品です。堀江敏幸らしい抑制された文体で、出来事の輪郭よりも記憶の手触りや時間の層が前面に出ます。 第124回 芥川賞
- 414 2000 聖水 せいすい 『聖水』は、長崎の宗教的・歴史的な記憶を背景に、人の生と死、土地に残る記憶を静かに掘り下げる作品です。既収録の「ジェロニモの十字架」と同じ単行本に収められ、青来有一の初期作品世界を代表する一篇です。 第124回 芥川賞
- 415 2000 夜のヴィーナス 『夜のヴィーナス』は、村田喜代子が2000年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 416 1999 父 ちち NDLサーチで1999年7月刊の新潮社版単行本を確認できる。
- 417 1999 フーコン戦記 ふーこんせんき 古山高麗雄晩年の戦争文学。2024年に小学館P+D BOOKSでも復刊。
- 418 1999 マタンサはまだ またんさはまだ NDLで華城文子著、1999年10月刊、ISBN 4-87601-490-6の図書として確認。
- 419 1999 ワニを抱く夜 : 作品集 『ワニを抱く夜 : 作品集』は、村田喜代子が1999年に葦書房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 420 1999 X電車にのって : 作品集 『X電車にのって : 作品集』は、村田喜代子が1999年に葦書房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 421 1998 おぱらばん おぱらばん 『おぱらばん』は、フランス郊外に暮らす「私」の視線を通して、忘れられた文学、移民の言葉、郊外の人々をゆるやかに結びつける15篇の小説集です。新潮社公式の文庫版紹介では、表題作が中国移民の言い回しを通じて卓球名人の肖像を描く作品として案内されている。エッセイと小説の境界を横断し、言葉のずれや記憶の手触… 第12回 三島賞
- 422 1998 望潮 もちしお 『望潮』は、潮の満ち引きに呼応するように、老年期の女性の意識と記憶が揺れ動く短篇です。海辺の時間感覚と身体の衰えが重なり、現実の風景の中に幻視的な層が立ち上がります。村田喜代子らしい土地の感覚と、老いをめぐる静かな緊張が読みどころです。 第25回 川端賞
- 423 1998 岬の蛍 みさきのほたる 『岬の蛍』は、佐藤洋二郎が1998年に集英社から刊行した作品集です。出版書誌データベースの内容紹介では、墓の移設工事の音をきっかけに老婆の封印された過去が甦る表題作を軸に、男と女たちが積み重ねた歳月を映す作品集として紹介されています。NDLサーチでは集英社1998年7月刊の図書書誌を確認できます。 第49回 芸術選奨新人賞
- 424 1998 イスタンブールの闇 『イスタンブールの闇』は、高樹のぶ子が1998年に中央公論社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 425 1998 龍秘御天歌 『龍秘御天歌』は、村田喜代子が1998年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 426 1997 日本文学盛衰史 にほんぶんがくせいすいし 1997年から2001年まで『群像』に連載され、2001年に講談社から刊行された高橋源一郎の長編。「文学史が小説になった」と評されるように、統一された筋や明確な主人公を持たず、漱石・鴎外・二葉亭四迷・北村透谷・島崎藤村・樋口一葉ら近代文学の創始者たちが「何をどう書くか」という問いに苦しむ姿を断章的に… 第13回 伊藤整賞
- 427 1997 インディヴィジュアル・プロジェクション いんでぃゔぃじゅあるぷろじぇくしょん 『インディヴィジュアル・プロジェクション』は、阿部和重が1997年に新潮社から刊行した長編小説です。スパイ養成所出身者の日記という設定により、理論性とエンターテインメント性を接続した初期代表作として扱います。
- 428 1997 あした、旅人の木の下で 『あした、旅人の木の下で』は、芥川賞受賞後の松村栄子が発表した長篇小説です。旅人の木という題名上の象徴を手がかりに、移動する者の視線、記憶、他者との出会いを静かに描きます。現実の生活感と、どこか遠くへ向かう感覚が重なり合う作品です。
- 429 1997 彩月 『彩月』は、高樹のぶ子が1997年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 430 1997 お化けだぞう 『お化けだぞう』は、村田喜代子が1997年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 431 1996 レキシントンの幽霊 れきしんとんのゆうれい 『レキシントンの幽霊』は、表題作を含む村上春樹の短篇集です。既存データの通り「めくらやなぎと眠る女」などを収め、記憶、喪失、遠さ、曖昧な気配をめぐる短篇が並びます。海外を含む場所の感触と、説明されすぎない幽霊的な不在が、静かな不穏さを生みます。
- 432 1996 季節の記憶 きせつのきおく 『季節の記憶』は、鎌倉・稲村ヶ崎を舞台に、父と息子が過ごす初秋から冬の日々を断片的に描く長篇です。大きな事件よりも、日々の会話、意識の流れ、季節の移り変わりそのものを小説の中心に置く点に保坂和志らしさがあります。既存梗概では保坂文学の代表作として整理されていますが、内容細部は出版社公式では未確認です… 第33回 谷崎賞
- 433 1996 赤い満月 あかいまんげつ 『赤い満月』は、大庭みな子が第23回川端康成文学賞を受けた短篇です。『文學界』1995年1月号に掲載され、同年刊の作品集『もってのほか』に収録されたことを、文学賞データとNDLサーチで確認できます。公開情報では具体的な筋や舞台の紹介は限られるため、身体、記憶、寓話・幻想の既存分類を手がかりにしつつ… 第23回 川端賞
- 434 1996 台所 だいどころ 『台所』は、坂上弘の第24回川端康成文学賞受賞作です。『新潮』1996年9月号掲載、1997年新潮社刊の同名単行本への収録を、文学賞データとNDLで確認できます。作品内容の詳しい公開梗概は未確認ですが、既存分類では家、日常、家族、記憶を静かな文体でたどる短篇として整理しています。 第24回 川端賞
- 435 1996 木山さん、捷平さん キヤマサン ショウヘイサン 小説以外の文学的散文・作家論寄りの候補。岩阪の文学的関心を補う。
- 436 1996 夏の記憶 ナツ ノ キオク 葦書房から1996年に刊行された高瀬千図の未収録単著。
- 437 1996 黄泉の森 ヨミジ ノ モリ 審美社から1996年に刊行された江場秀志の単著。
- 438 1996 硫黄谷心中 『硫黄谷心中』は、村田喜代子が1996年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 439 1996 蟹女 『蟹女』は、村田喜代子が1996年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 440 1995 韓素音の月 かんそいんのつき 『韓素音の月』は、茅野裕城子のデビュー作にあたる第19回すばる文学賞受賞作です。旅行作家・元女優としての経験や中国研究を背景に、中国をめぐる記憶、越境、表現者のまなざしを扱う作品として整理できます。表題作を含む作品集として1996年に集英社から刊行され、2001年には集英社文庫にも収められました。 第19回 すばる文学賞
- 441 1995 母への尋問 ははへのじんもん 『母への尋問 : 昭和二十年、夏』は、大村麻梨子の単行本です。NDLサーチで1995年7月刊、253ページ、20cmの書誌を確認できます。公開情報では詳細な梗概を確認できなかったため、作品紹介は副題と書誌情報に限定します。
- 442 1995 夏至祭 なつしさい 『夏至祭』は、佐藤洋二郎が第17回野間文芸新人賞を受賞した作品です。既存データでは、九州の小さな漁港を舞台に、土地の祭りや共同体の記憶と個人の喪失を交錯させる長編として整理されています。講談社公式で受賞は確認できますが、出版社公式の梗概は未確認です。 第17回 野間新人賞
- 443 1995 路地 ろじ 『路地』は、鎌倉の路地と古書肆を舞台に、廃業した店、老いた人々、去りゆく時間を描く連作短篇集です。大きな事件ではなく、町の細部や人の記憶に残る光景を積み重ねることで、失われていく生活の手触りを浮かび上がらせます。鎌倉という土地を、懐旧だけでなく老いと時間の問題として読むことができる作品です。 第33回 谷崎賞
- 444 1995 億夜 『億夜』は、高樹のぶ子が1995年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 445 1995 花弁を光に透かして 『花弁を光に透かして』は、高樹のぶ子が1995年に朝日新聞社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 446 1995 水脈 『水脈』は、高樹のぶ子が1995年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 447 1995 12のトイレ 『12のトイレ』は、村田喜代子が1995年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 448 1994 アムリタ アムリタ 妹の死と頭部の怪我による記憶喪失を抱えた「私」が、弟の不思議なきざし、妹の恋人との関係、高知やサイパンへの旅を通じて、自分を取り戻せないまま世界を見つめていく長編。上巻紹介では「半分死んでいる」状態から生きることや幸福を感じ取る物語、下巻紹介では記憶の回復、出会いと別れ、生と死、幸福と孤独のあいだで…
- 449 1994 ねじまき鳥クロニクル ねじまきどりくろにくる 『ねじまき鳥クロニクル』は、失踪した猫と妻を探す岡田トオルが、私的な喪失から戦争の記憶と暴力の深部へ降りていく長編三部作です。第1部・第2部は1994年、第3部は1995年に新潮社から刊行されたことがNDL書誌で確認できます。日常の裂け目から歴史的暴力へ接続していく構成が、村上春樹の長編の中でも大き…
- 450 1994 タイムスリップ・コンビナート たいむすりっぷ・こんびなーと 『タイムスリップ・コンビナート』は、自宅から海芝浦駅へ向かう道程で時間が前後にずれていく幻想的な芥川賞受賞作です。都市近郊の移動と時間感覚の攪乱を通じて、記憶、身体、場所の境界が不安定になっていきます。笙野頼子の自由奔放な文体と時間への感覚が凝縮された作品として整理できます。 第111回 芥川賞
- 451 1994 おどるでく おどるでく 『おどるでく』は、室井光広が第111回芥川賞を受賞した作品です。既存データでは、ロシア文字で表音化された日本語の日記を主人公が翻訳していく、言語と記憶をめぐる実験的な小説として整理されています。日本文学振興会公式で受賞は確認できますが、内容説明は二次情報由来で、出版社公式の商品紹介は未確認です。 第111回 芥川賞
- 452 1994 二百回忌 にひゃっかいき 『二百回忌』は、父方の家で催される法事に「私」が出席するところから、死者も参列する異様な場へ入り込んでいく笙野頼子の作品です。家と血縁、死者の記憶、時間の歪みが、幻想的かつ祝祭的な空間として立ち上がります。現実と死者の世界を地続きに扱う点に、笙野作品らしい実験性があります。 第7回 三島賞
- 453 1994 密やかな結晶 ひそやかなけっしょう NDLサーチで1994年1月刊の講談社版単行本、1999年講談社文庫版、2020年刊行版を確認できる。既登録の初期芥川賞作と代表的ベストセラーの間を補う候補。
- 454 1994 夢見る貝の伝記 ゆめみるかいのでんき 『夢見る貝の伝記』は、吉目木晴彦が1994年に講談社から刊行した小説作品です。講談社公式、Books/JPRO、NDLサーチ、Amazonの商品ページで書誌を確認しました。
- 455 1994 熱 『熱』は、高樹のぶ子が1994年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 456 1994 蔦燃 『蔦燃』は、高樹のぶ子が1994年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 457 1994 蕨野行 『蕨野行』は、村田喜代子が1994年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 458 1993 とかげ とかげ 『とかげ』は、吉本ばななが1993年に新潮社から刊行した短篇集です。既存データの通り、癒しや時間、記憶をめぐる六篇を収め、日常の中の傷や回復の気配を平明な文体で扱います。短い作品群を通して、恋愛や喪失のあとに残る身体感覚と静かな再生を読むことができます。
- 459 1993 石の来歴 いしのらいれき 『石の来歴』は、奥泉光が第110回芥川賞を受賞した中編小説です。既存データでは、第二次大戦中から戦後にわたる男の人生と一個の石をめぐり、戦争経験と記憶の層が交錯する作品として整理されています。日本文学振興会公式で芥川賞受賞は確認できますが、今回確認できた出典は受賞・初出情報が中心で、細部の内容説明は… 第110回 芥川賞
- 460 1993 冗談関係のメモリアル じょうだんかんけいのめもりある 『冗談関係のメモリアル』は、中村邦生が第77回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事と『文學界』1993年12月号の書誌を確認できます。題名から、冗談や記憶をめぐる人間関係を扱う作品と見られますが、内容の詳細は未確認です。 第77回 文學界新人賞
- 461 1993 日本の家郷 にほんのかきょう 『日本の家郷』は、福田和也が第6回三島由紀夫賞を受賞した評論集です。既存データでは、近代日本の精神史・文化史を保守主義的視座から読み解く論考として整理されています。新潮社公式で三島賞受賞は確認できますが、内容紹介は主に二次情報由来です。 第6回 三島賞
- 462 1993 ノヴァーリスの引用 のゔぁーりすのいんよう 『ノヴァーリスの引用』は、奥泉光が第15回野間文芸新人賞を受賞した作品です。既存データでは、恩師の葬儀で集まった旧大学仲間が、過去の研究仲間の死の謎をめぐって推理を重ねるメタミステリーとして整理されています。講談社公式で受賞は確認できますが、梗概は二次情報由来です。 第15回 野間新人賞
- 463 1993 セミの追憶 せみのついおく 『セミの追憶』は、古山高麗雄が第21回川端康成文学賞を受賞した短編です。既存データでは、戦時の記憶とセミの声を結びつけ、従軍体験を持つ作家が生き残った者の記憶と罪責感を描く作品として整理されています。今回確認できた出典は受賞・初出情報が中心で、内容紹介は既存調査由来として扱います。 第21回 川端賞
- 464 1993 淀川にちかい町から ヨドガワ ニ チカイ マチ カラ 土地・記憶・生活感覚を扱う作品として、既収録作品の地域性を補う候補。
- 465 1993 湖底の森 『湖底の森』は、高樹のぶ子が1993年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 466 1993 銀河の雫 『銀河の雫』は、高樹のぶ子が1993年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 467 1993 花野 『花野』は、村田喜代子が1993年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 468 1992 国境の南、太陽の西 こっきょうのみなみ、たいようのにし 『国境の南、太陽の西』は、バーを経営する主人公・始のもとに、幼なじみの謎めいた女性・島本さんが現れる恋愛長篇です。家庭と事業を持つ中年男性の安定が、過去の記憶と喪失感によって揺さぶられます。静かな一人称の語りで、欲望、後悔、取り返しのつかない時間を描きます。
- 469 1992 蛇を殺す夜 へびをころすよる 『蛇を殺す夜』は、奥泉光が1992年に集英社から刊行した作品集です。著者ページでは「暴力の舟」「蛇を殺す夜」を収録する単行本として確認できます。
- 470 1992 画家小出楢重の肖像 ガカ コイデ ナラシゲ ノ ショウゾウ 美術・評伝的散文の候補。小説登録優先度は要判断だが、著者の代表的単著として有力。
- 471 1992 田園風景 でんえんふうけい 『田園風景』は、坂上弘が1992年に講談社から刊行した短篇集の表題作です。NDLサーチでは、単行本に『短い一年』『巡回授業』『田園風景』『夏野』『こなゆき』『コネティカットの女』『寒桜』『向かいて聞く』『土手の秋』の9篇が収録されていることを確認できます。2008年には講談社文芸文庫で再刊され、同じ…
- 472 1992 ヒ・ノ・マ・ル ひのまる 『ヒ・ノ・マ・ル』は、大岡玲が1992年に新潮社から刊行した長篇小説です。NDLサーチでは、新潮社1992年6月刊、213ページ、ISBN 4-10-386301-3の単行本として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概や初出誌は確認できなかったため、紹介は書誌情報を中心に整理しています。
- 473 1992 幼年記かがやく大気のなかで ヨウネンキ カガヤク タイキ ノ ナカ デ 1992年に農山漁村文化協会から刊行された笹山久三の単著。『四万十川』系の土地・幼年の主題を補う候補。
- 474 1992 これは懺悔ではなく 『これは懺悔ではなく』は、高樹のぶ子が1992年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 475 1992 彩雲の峰 『彩雲の峰』は、高樹のぶ子が1992年に福武書店から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 476 1992 白い光の午後 『白い光の午後』は、高樹のぶ子が1992年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 477 1992 慶応わっふる日記 『慶応わっふる日記』は、村田喜代子が1992年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 478 1991 葦と百合 あしとゆり 『葦と百合』は、奥泉光が1991年に集英社から刊行した長編小説です。著者ページの著書一覧とNDLサーチのタイトル・著者検索で刊行情報を確認できます。
- 479 1991 海を渡る植物群 うみをわたるしょくぶつぐん 『海を渡る植物群』は、みどりゆうこが第72回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLで受賞作発表記事と『文學界』1991年6月号の書誌を確認できました。題名から越境や移動のイメージがうかがえますが、物語内容を具体的に確認できる公開資料は今回見つからず、紹介は書誌中心です。 第72回 文學界新人賞
- 480 1991 撃壌歌 げきじょうか 『撃壌歌』は、戦後の信州の農村を舞台に、少年の成長と土地の変化を描く二部構成の作品です。封建的な地主制度の残滓と高度成長期の足音が交差し、個人の青春が村の時間の変化と重なります。歴史美術を専門とする著者らしい、土地と記憶へのまなざしが特徴です。 第28回 文藝賞
- 481 1991 予感 よかん 『予感』は、釉木淑乃が第15回すばる文学賞を受賞した作品です。NDLでは『すばる』1991年12月号の受賞作発表記事と、1992年集英社版の単行本書誌を確認できます。詳細なあらすじは今回確認できなかったため、紹介は新人賞受賞作としての位置づけに留めます。 第15回 すばる文学賞
- 482 1991 十二階 じゅうにかい 『十二階』は、小口正明が第23回新潮新人賞を受賞した作品です。NDLでは『新潮』1991年11月号と受賞作発表記事を確認できる一方、詳細なあらすじや批評は今回確認できませんでした。作品内容の断定は避け、現時点では新人賞受賞作としての書誌情報を中心に扱います。 第23回 新潮新人賞
- 483 1991 やすらかに今はねむり給え やすらかにいまはねむりたまえ 『やすらかに今はねむり給え』は、長崎、上海、アメリカを背景に、被爆者としての記憶と海外体験を重ねる短篇集です。戦争の傷を大きな声で告発するだけでなく、戦後を生き続ける人物の静かな時間に沈めて描きます。林京子の原爆文学の系譜にあり、移動と記憶が響き合う一冊です。 第26回 谷崎賞
- 484 1991 伯父の墓地 おじのぼち 『伯父の墓地』は、亡くなった伯父の墓参を題材に、生と死、記憶の連鎖を老境から見つめる短篇です。大きな事件を置かず、親族の記憶と墓地という場所から、時間の堆積を静かに浮かび上がらせます。安岡章太郎晩年の私小説的な成熟が感じられる作品です。 第18回 川端賞
- 485 1991 母よ ははよ 1991年6月に講談社から刊行された本人単著。NDLのBooks系レコードおよび講談社文芸文庫版の書誌で確認できる。
- 486 1991 琥珀の町 こはくのまち NDLサーチで1991年2月刊、河出書房新社、ISBN 4-309-00668-Xの単行本として確認できる。
- 487 1991 優しい碇泊地 ヤサシイ テイハクチ 1991年に福武書店から刊行された坂上弘の単著図書。NDL、Books/JPRO、Amazonで書誌を確認した。
- 488 1991 黄土の夢 おうどのゆめ 福武書店から1991年1月に刊行された笠原淳の未登録単行本。
- 489 1991 誇り高き人々 ほこりたかきひとびと 『誇り高き人々』は、吉目木晴彦が1991年に講談社から刊行した小説作品です。講談社公式、Books/JPRO、NDLサーチ、Amazonの商品ページで書誌を確認しました。
- 490 1991 哀歌は流れる 『哀歌は流れる』は、高樹のぶ子が1991年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 491 1991 サザンスコール 『サザンスコール』は、高樹のぶ子が1991年に日本経済新聞社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 492 1991 耳納山交歓 『耳納山交歓』は、村田喜代子が1991年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 493 1991 真夜中の自転車 : 作品集 『真夜中の自転車 : 作品集』は、村田喜代子が1991年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 494 1990 わが人生の時の時 わがじんせいのときのとき 『わが人生の時の時』は、石原慎太郎が自身の人生の節目を小説として組み直した自伝的長篇です。作家・政治家としての自己像を、記憶をたどる私小説的な語りで扱います。NDLで新潮社1990年版の書誌を確認でき、紹介文は書誌と既存の短い概要に基づいています。
- 495 1990 滝 たき 『滝』は、奥泉光が1990年に集英社から刊行した初期作品集です。著者ページでは、のちに『その言葉を』へ改題され、同名作品を収録する単行本として確認できます。
- 496 1990 村の名前 むらのなまえ 『村の名前』は、中国奥地を舞台に、ある村の名をめぐる記憶と謎を追う中篇です。旅と聞き書きのような手触りを持ちながら、地名が個人や共同体の歴史をどのように抱え込むかを幻想的に描きます。辻原登のデビュー期の越境感覚と、語りの迷宮性が読みどころです。 第103回 芥川賞
- 497 1990 宝島の幻灯館 たからじまのげんとうかん 『宝島の幻灯館』は、奈良裕明が1990年に集英社から刊行した小説です。NDLサーチで、集英社刊、ISBN 4-08-772738-6の単行本として確認できます。公開Webで信頼できる梗概や初出誌を確認できなかったため、作品内容の説明は書誌情報に限定します。
- 498 1990 時を青く染めて 『時を青く染めて』は、高樹のぶ子が1990年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 499 1990 霧の子午線 『霧の子午線』は、高樹のぶ子が1990年に中央公論社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 500 1990 白い山 : 作品集 『白い山 : 作品集』は、村田喜代子が1990年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 501 1989 流離譚 りゅうりたん 『流離譚』は、中村隆資のデビュー作にあたる第69回文學界新人賞受賞作です。題名が示すように、定住できない感覚や移動の経験を軸にした作品として整理できます。第102回芥川賞候補にもなり、1989年下半期の新人賞作品として注目されました。 第69回 文學界新人賞
- 502 1989 アンモナイトをさがしに行こう アンモナイト オ サガシニ イコウ 1989年刊の福武書店単行本。家族・記憶・日常の主題を広げる候補。
- 503 1989 ルームメイト 『ルームメイト』は、村田喜代子が1989年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 504 1988 ダンス・ダンス・ダンス だんす・だんす・だんす 『羊をめぐる冒険』の後日談として、「僕」が札幌のイルカホテルを再訪し、失われた女性や過去の気配を追っていく長編。現実のホテル、芸能界、ハワイ、羊男のいる異界がつながり、踊り続けることだけが世界との接続の方法として示される。1980年代の都市的な消費社会を背景に、喪失、記憶、孤独を冒険小説のリズムでた…
- 505 1988 哀しい予感 かなしいよかん 記憶の空白を抱えた少女が、風変わりな親族の家で自分の過去へ近づいていく長編。家族の秘密、喪失、直感のような感覚が、吉本ばなな初期作らしい静かな語りで結びつく。大きな事件よりも、眠りや気配に近い感情の変化を読む作品。
- 506 1988 キルプの軍団 キルプのぐんだん 大江健三郎が1988年前後に発表した作品で、寓話的な構図と共同体への問いを含む後期作品群の一つ。公開書誌では全小説・小説集への収録も確認でき、単独作としてだけでなく大江の長い創作系列の中で読む必要がある。内容細部の公開情報は限定的なため、紹介は現段階では主題の方向づけにとどめる。
- 507 1988 七色の逃げ水 なないろのにげみず 1988年11月に講談社から刊行された本人単著をNDLで確認。1989年の文芸時評インタビューにも作品名が現れる。
- 508 1988 ルイジアナ杭打ち るいじあなくいうち 父の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュに暮らす日々を、少年の目を通して書きとめた短篇集。紀伊國屋書店の紹介では、深南部に住む異邦人としての非適応感覚を、クールさとユーモアを交えて捉えた作品とされる。移住先の風物、家族、周囲の人々との距離感が、記憶と越境の物語になっている。 第10回 野間新人賞
- 509 1988 虹の交響 『虹の交響』は、高樹のぶ子が1988年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 510 1987 懐かしい年への手紙 なつかしいとしへのてがみ 語り手が導き手である「ギー兄さん」との関係をたどりながら、自分の文学的半生と故郷の森の記憶を再構成する自伝的長編。私小説の形式を借りながら、実際には作家自身と架空の人物をずらし、記憶・読書・共同体の物語を重ねていく。ダンテを媒介に、帰郷できない作家が森の村と文学の場所を問い直す。
- 511 1987 ノルウェイの森 のるうぇいのもり 1960年代末の学生運動期を背景に、ワタナベと直子、緑の関係を通じて、喪失、恋愛、死者への記憶を描く長編。村上作品としては幻想性を抑えたリアリズム寄りの語りで、音楽、読書、寮生活、療養所の細部が青春の傷を浮かび上がらせる。読みやすい恋愛小説の形を取りながら、親しい死をどう抱えて生きるかという痛切な問…
- 512 1987 鍋の中 なべのなか 『鍋の中』は、九州の農村を舞台に、土地の記憶、老い、血縁の連なりを濃密な語りで掘り起こす作品です。日常の台所や家族の場面から、土地に沈んだ神話的な感覚までを引き寄せるところに村田喜代子の個性が表れています。泥臭い生の肯定と、死や老いへの視線が同じ鍋の中で煮込まれるような読み味です。 第97回 芥川賞
- 513 1987 遠方より えんぽうより 『遠方より』は、谷口哲秋のデビュー作にあたる第65回文學界新人賞受賞作です。遠くから届くもの、遠くへ向かう視線を題名に持つ作品として、距離と記憶を主題化する初期作として整理しました。後に芥川賞候補にもなっており、文學界新人賞から純文学の選考圏へ進んだ作品です。 第65回 文學界新人賞
- 514 1987 紅水仙 べにすいせん 既存登録の『犬(影について・その一)』『青猫』以外に確認できる司修の book-form work 候補。
- 515 1986 M/Tと森のフシギの物語 エムティーともりのフシギのものがたり 四国の森に伝わる物語を、M=母権的な存在とT=トリックスター的な存在の対立・変奏として語る長編。村の伝承、神話、人類学的な型を組み合わせ、作家の幼年期の森を大きな物語装置へ変えていく。短い断章を積み重ねる構成で、個人の記憶と共同体の神話が互いに照らし合う。
- 516 1986 パン屋再襲撃 ぱんやさいしゅうげき 表題作は、深夜に激しい空腹に襲われた夫婦が、過去の「パン屋襲撃」の呪いを解くため再び街へ出る奇妙な短篇。文春文庫公式ページでは「象の消滅」や“ねじまき鳥”の原型となる作品を含む初期短篇集として紹介されており、食欲、結婚生活、都市の空白が寓話的に結びつく。軽い会話と不穏な空気が同時に進む、初期村上短篇…
- 517 1986 星夜に帆をあげて 『星夜に帆をあげて』は、高樹のぶ子が1986年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 518 1985 河馬に嚙まれる かばにかまれる 連合赤軍事件の記憶や、その後を生きる人々の傷を背景にした連作短篇集。表題作では、政治的暴力の記憶と個人の身体感覚が奇妙に結びつき、過去を説明しきれないまま抱え続ける人間の多義性が浮かび上がる。寓話的な動物イメージと自己照射的な語りを通して、1970年代の事件の残響を1980年代の生へ引き寄せる。 第11回 川端賞
- 519 1985 回転木馬のデッド・ヒート かいてんもくばのでっどひーと 実際に聞いた話を小説の形に組み替えた、都市生活者たちの短いスケッチ集。表題の「回転木馬」は、同じ場所を巡り続けながら誰も抜け出せない人生の比喩として働き、各篇の人物は小さな違和感や疲労を抱えたまま日常を走り続ける。事実と虚構の境界をあいまいにしながら、村上春樹の乾いた観察眼と抑制されたユーモアが前面…
- 520 1985 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド せかいのおわりとハードボイルド・ワンダーランド 二つの物語が交互に進む40章構成の長編。〔ハードボイルド・ワンダーランド〕では、老科学者によって意識の核に特殊な思考回路を組み込まれた計算士の「私」が、地下の闇に潜む「やみくろ」や組織の抗争に巻き込まれながら、回路に隠された秘密を追う。〔世界の終り〕では、高い壁に囲まれた静かな街で、「僕」が一角獣の… 第21回 谷崎賞
- 521 1985 優雅で感傷的な日本野球 ゆうがでかんしょうてきなにほんやきゅう 「ぼくは野球を知らなかった」――野球が忘れ去られた世界で、語り手は「日本野球」の神髄を教わろうとする。断片的な7つの章で構成され、実在の選手や球団の記憶、「1985年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか」という問いをめぐって、パロディとパスティーシュ(既存作品の文体模倣)を駆使した物語が時空を… 第1回 三島賞
- 522 1985 白夜を旅する人々 ビャクヤ オ タビスル ヒトビト 1985年に新潮社から刊行された三浦哲郎の単著図書。NDLで書誌を確認した。
- 523 1985 波光きらめく果て 『波光きらめく果て』は、高樹のぶ子が1985年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 524 1984 螢・納屋を焼く・その他の短編 ほたる・なやをやく・そのたのたんぺん 「螢」「納屋を焼く」などを収めた初期短編集。新潮社の紹介では「螢」が『ノルウェイの森』の原点とされ、学生時代の喪失と届かない温もりが抑制された一人称で描かれる。「納屋を焼く」は日常会話の奥に説明されない空白を置き、静かな恋愛小説と不穏な幻想が同じ冊子のなかで並ぶ構成になっている。
- 525 1984 自由時間 じゆうじかん 『自由時間』は、山奥の別荘を舞台に、36歳の晴代が二十年を回想する構成の増田みず子作品です。既存のAmazon商品ページでは、新鋭書下ろし作品として刊行された作品の梗概を確認でき、NDLサーチでは新潮社1984年刊の書誌を確認できます。単身の時間、記憶、女性の内面を静かにたどる作品として整理できます… 第7回 野間新人賞
- 526 1984 寒雷のように 『寒雷のように』は、高樹のぶ子が1984年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 527 1983 中国行きのスロウ・ボート ちゅうごくゆきのすろうぼーと 村上春樹の最初の短篇小説集で、表題作をはじめ、初期作品に特徴的な一人称の軽さ、記憶の空白、都市生活の孤独が並ぶ。長編の「僕」の世界から少し距離を取り、短篇ごとに日常の違和感、すれ違う他者、説明されない幻想を試している。淡いユーモアと乾いた喪失感が共存し、初期村上短篇の実験場として読むことができる。
- 528 1983 雪野 ゆきの 『雪野』は、尾辻克彦名義で発表された赤瀬川原平の作品で、実在の画家・雪野恭弘を軸に若い頃の体験を描く実名小説として整理されています。Prizesworldでは1983年6月の文藝春秋刊行が確認でき、既存データでは『文學界』1983年2月号初出とされています。芸術家同士の記憶と関係を、私小説的な手触り… 第5回 野間新人賞
- 529 1983 いつもと同じ春 いつもとおなじはる 『いつもと同じ春』は、辻井喬が1983年に河出書房新社から刊行した長篇小説です。NDLサーチでは、1983年5月刊の単行本と、2009年10月刊の中公文庫版を確認できます。公開Webで詳細な内容紹介や初出誌は確認できなかったため、紹介は書誌・再刊情報を中心に整理しています。
- 530 1983 国旗が垂れる こっきがたれる 『国旗が垂れる』は、尾辻克彦が1983年に中央公論社から刊行した短篇集の表題作です。NDLサーチでは、同書に『国旗が垂れる』『やめる』『湯の花』『露地裏の紙幣』『風の吹く部屋』『殴られる男』『バーバー「肌ざわり」』の7篇が収録されていることを確認できます。公開Webで詳しい内容紹介や初出誌は確認でき…
- 531 1983 その細き道 『その細き道』は、高樹のぶ子が1983年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 532 1982 羊をめぐる冒険 ひつじをめぐるぼうけん 広告代理店で働く「僕」は、耳に星形の斑紋を持つ謎の羊を探すよう依頼され、ガールフレンドとともに北海道へ向かう。右派の大物、秘書、羊男、そして姿を消した鼠の痕跡が重なり、探偵小説めいた筋立ては次第に幻想と喪失の物語へ変質していく。初期の軽やかな一人称の語りを保ちながら、政治的な力、戦後の記憶、個人の空… 第4回 野間新人賞
- 533 1982 「雨の木」を聴く女たち 「レイン・ツリー」をきくおんなたち 「雨の木」という象徴的なイメージを核に、死者の記憶、喪失、救いの可能性をめぐる連作短篇集。マルカム・ラウリーなど西洋文学への参照と、樹木・音・女性たちの声が重なり、現実の痛みを神話的な想像力へ押し広げていく。大江健三郎の1980年代の作品群のなかでも、個人的な死生観と文学的引用が静かに響き合う作品と…
- 534 1982 夢の壁 ゆめのかべ 『夢の壁』は、北京での幼少期の記憶を背景に、異文化の中で形成された自己感覚と現在のまなざしを重ねる作品です。人間と自然、記憶と現実の境目を探る語りには、生態学的な観察と越境の感覚が混ざっています。歴史や国境を大きく語るより、個人の記憶の層から世界を見直すところに読みどころがあります。 第88回 芥川賞
- 535 1981 星空 ほしぞら 石川達三が1981年に刊行した後期作品。公開データでは梗概・批評の確認が薄く、まずは新潮社刊行作としての書誌を押さえる段階にある。作家後期の視点から、記憶や老い、社会の中での孤立を読む軸を仮に与えておく。
- 536 1981 蝉の声がして セミ ノ コエ ガ シテ 既収録『ミモザの林を』以前の初期作品で、作家像の起点を補う候補。
- 537 1980 1973年のピンボール せんきゅうひゃくななじゅうさんねんのぴんぼーる 『風の歌を聴け』に続く「鼠三部作」第二作で、翻訳事務所を営む「僕」の生活と、故郷に残る鼠の停滞が並行して語られる。「僕」はかつて通ったバーにあったピンボール台を探し、双子の女性との奇妙な同居や電話配電盤の葬送を経て、失われた時間の手触りに近づいていく。軽い会話と乾いたユーモアの背後に、青春の終わり…
- 538 1980 父が消えた ちちがきえた 『父が消えた』は、父の遺骨を納める墓地を見に中央線で高尾へ向かう「私」の意識をたどる中篇です。現在の車中の時間に、父をめぐる記憶や前衛芸術家としての作者の感覚が交錯し、家族小説でありながら形式そのものを揺さぶる作品になっています。死者を送る手続きの物語を、記憶の断片と都市郊外の移動感覚で組み立てる点… 第84回 芥川賞
- 539 1979 同時代ゲーム どうじだいゲーム 四国の森の谷間にある「村=国家=小宇宙」を、手紙・神話・歴史の断片を重ねて語り直す実験的長編。語り手は村の起源、反乱、血縁、移住の記憶を再編し、個人の物語ではなく共同体が自分自身を語る仕組みそのものを小説化する。大江の森の神話と戦後政治への問いが、濃密な語りの構造として展開される。
- 540 1979 風の歌を聴け かぜのうたをきけ 1970年の夏、「僕」と友人「鼠」の9日間を描いた村上春樹のデビュー作。短い章、乾いた会話、音楽や翻訳文学の気配によって、青春の終わりと喪失感が軽やかに語られる。後の「鼠三部作」へ続く、村上春樹の文体と世界観の出発点である。 第22回 群像新人賞
- 541 1979 南風 なんぷう 『南風』は、宮内勝典が第16回文藝賞を受賞した小説です。河出書房新社の公式ページでは、生の証を求める青年の前に、未生の時からの死者の記憶をたたえた波がうねり、生の国と死の国、空と海と陸が会する九州最南端の港町に南風が吹く作品として紹介されています。世界を移動してきた宮内文学の出発点にあたる一作として… 第16回 文藝賞
- 542 1979 野いばらの衣 のいばらのころも 『鶸』『路地』以外の三木卓の book-form work として確認できる講談社刊の小説。内容細部は追加調査余地あり。
- 543 1978 切られた絵 キラレタ エ 屋上の会から1978年に刊行された江場秀志の未収録単著。小規模出版のためNDL書誌を主根拠とする。
- 544 1975 祭りの場 まつりのば 『祭りの場』は、林京子が『群像』に発表し、1975年に講談社から刊行された芥川賞受賞作です。長崎で被爆した作者自身の経験を背景に、新聞記事、記録、証言、記憶を重ねながら、1945年8月9日の「場」を二十数年後から見つめ直します。被爆文学の重要作であり、林京子の出発点となった作品です。 第73回 芥川賞
- 545 1974 その最後の世界 そのさいごのせかい 石川達三が1970年代に刊行した後期作品。題名は終末や閉ざされた世界を想起させ、社会の行き詰まりと個人の孤独を読む手がかりになる。公開情報が限られるため、後期石川の社会観・人生観を示す作品として暫定紹介する。
- 546 1973 鶸 ひわ 『鶸』は、三木卓が1973年上半期の第69回芥川龍之介賞を受けた短篇です。日本文学振興会公式の受賞者一覧では掲載誌を『すばる』として確認できます。NDLサーチでは、『文芸春秋』1973年9月号の芥川賞決定発表記事、および集英社文庫『砲撃のあとで』への収録が確認できます。 第69回 芥川賞
- 547 1972 みずから我が涙をぬぐいたまう日 みずからわがなみだをぬぐいたまうひ 大江健三郎の1970年代の作品で、個人的な記憶や家族の傷が、天皇制や戦後史への問いと重なっていく。題名の荘重さに対し、語りは自己の痛みを過剰なほど意識化する。大江の私的主題と政治的主題が強く結びつく作品である。
- 548 1970 プレオー8の夜明け ぷれおーゆいっとのよあけ 『プレオー8の夜明け』は、古山高麗雄が第63回芥川龍之介賞を受けた戦争短篇です。日本文学振興会公式の受賞者一覧では、1970年上半期の受賞作、掲載誌『文藝』として確認できます。NDLサーチでは、文藝春秋2001年刊『二十三の戦争短編小説』および小学館P+D BOOKS版『プレオー8(ユイット)の夜明… 第63回 芥川賞
- 549 1969 愉しかりし年月 たのしかりしとしつき 石川達三が1969年に刊行した作品で、新潮社版の書誌が確認できる。題名は過ぎ去った年月への回想を示し、記憶と老い、生活の時間を扱う作品として読める。公開情報が限られるため、後期へ向かう石川の回想的な小説として暫定整理する。
- 550 1968 若き日の詩人たちの肖像 わかきひのしじんたちのしょうぞう 『若き日の詩人たちの肖像』は、戦争へ向かう時代と敗戦後の転換期を背景に、若い知識人たちが文学や思想を拠り所にしながら自己を形成していく長篇です。堀田善衛が同時代史と個人の精神史を重ねる代表的な仕事として位置づけられます。
- 551 1967 万延元年のフットボール まんえんがんねんのフットボール 友人の死と家族の危機を抱えた蜜三郎が、弟の鷹四とともに四国の谷間の村へ戻り、百年前の一揆の記憶と向き合う長編。兄弟の対立、障害をもつ子の存在、共同体に残る暴力の記憶が、過去と現在を重ねる構成の中で展開する。閉ざされた村落を神話的な舞台として、個人史と共同体史、政治的熱狂と責任の問題を絡み合わせた大江… 第3回 谷崎賞
- 552 1967 幕が下りてから まくがおりてから 講談社1967年刊の単行本。NDLで複数レコードを確認できる。
- 553 1964 出発は遂に訪れず しゅっぱつはついにおとずれず 『出発は遂に訪れず』は、島尾敏雄が特攻隊長として出撃直前に終戦を迎えた体験と深く結びつく、戦争小説系の代表作の一つです。NDLサーチでは1964年に新潮社から刊行された211ページの単行本として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概や初出情報を十分に確認できなかったため、ここでは内容を断定しす…
- 554 1960 ある秋の出来事 アル アキ ノ デキゴト 1960年に中央公論社から刊行された図書としてNDLで確認できる。古い刊行物のため追加時には目次・内容確認を推奨。
- 555 1959 雨に似ている あめににている 『雨に似ている』は、菊村到が『硫黄島』で第37回芥川賞を受賞した後、1959年に雪華社から刊行した単行本です。NDLサーチでは261ページの図書として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概や初出情報を確認できなかったため、内容は推測せず、菊村の初期作品を示す書誌として記録します。
- 556 1959 山塔 さんとう 『山塔』は、斯波四郎が第41回芥川賞を受賞した短篇集の表題作です。公開資料で詳しい筋を確認できる範囲は限られますが、生活の厚みと人間の時間を描く作品として評価されました。既存調査にある選評の要点からは、技巧よりも「人生」が感じられる点が評価されたことがわかります。 第41回 芥川賞
- 557 1959 檸檬・ブラックの死 れもん・ぶらっくのし 『檸檬・ブラックの死』は、斯波四郎が第41回芥川賞受賞作『山塔』と同じ1959年に講談社から刊行した単行本です。NDLサーチでは270ページの図書として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概や初出情報を確認できなかったため、内容は推測せず、斯波の初期作品を示す書誌として記録します。
- 558 1952 或る「小倉日記」伝 あるこくらにっきでん 『或る「小倉日記」伝』は、森鷗外の小倉時代を記録することに生涯を傾けた人物を主人公にする短篇です。文学史の周縁にいる無名の調査者の執念をたどり、資料を追う行為そのものを物語化しています。史実と想像を接続する構成が、のちの松本清張の記録性・推理性を予告します。 第28回 芥川賞
- 559 1951 春の草 はるのくさ 『春の草』は、石川利光が第25回芥川賞を安部公房『壁』と同時受賞した作品です。詳しい筋を確認できる公開資料は少ないものの、戦後まもない文学場で、生活の手触りと内面の揺れを描くリアリズム系の短篇として受け止められました。現時点では、書誌・受賞情報を中心に紹介しています。 第25回 芥川賞
- 560 1949 山の音 やまのおと 『山の音』は、鎌倉に暮らす老齢の会社重役・信吾を中心に、家族の崩れと老いの気配を見つめる連作長篇です。嫁の菊子への静かな愛着、息子夫婦の不和、死の予感が、抑制された三人称の語りで重なっていきます。戦後の家庭小説でありながら、川端康成らしい感覚的な細部が、老いと記憶の陰影を際立たせます。 第7回 野間文芸賞
- 561 1947 望みなきに非ず のぞみなきにあらず 石川達三が戦後間もない時期に刊行した作品で、新潮社版などの書誌が確認できる。題名には敗戦後の絶望と、それでも残る可能性への視線が併存している。公開情報が少ないため、戦後社会を背景にした再出発と倫理の小説として暫定的に整理する。