ふきあげきたん だいいちわ ミミとこだち

吹上奇譚 第一話 ミミとこだち

吉本ばなな 2017

紹介 About

『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』は、不思議な町・吹上町を舞台にした双子の姉妹の物語で、シリーズ第一作にあたります。町そのものが現実と幻想の境目に置かれ、家族や記憶の問題が奇譚として語られます。吉本ばなならしいやわらかな語りの中に、喪失と再生の感覚があります。

評価 Reception

NDLで2017年幻冬舎刊『吹上奇譚』の単行本書誌を確認した。賞歴・主要書評本文は今回確認できず、評価情報は書誌中心です。

出典 Sources

吉本ばななのほかの収録作 More

  1. 001 1987 キッチン キッチン 初出・海燕 1987年11月号 唯一の肉親だった祖母を亡くし、天涯孤独となった大学生の桜井みかげ。眠れるのは冷蔵庫のそばだけ――そんな彼女に、祖母と親しかった青年・田辺雄一が同居を申し出る。雄一の家には、女性として生きる「母」えり子さん(実は父親)がいて、奇妙であたたかい三人の暮らしが始まる。台所と食べることを心の拠り所に、喪失の… 死と喪失家族
  2. 002 1988 哀しい予感 かなしいよかん 単行本・角川書店 記憶の空白を抱えた少女が、風変わりな親族の家で自分の過去へ近づいていく長編。家族の秘密、喪失、直感のような感覚が、吉本ばなな初期作らしい静かな語りで結びつく。大きな事件よりも、眠りや気配に近い感情の変化を読む作品。 記憶家族死と喪失
  3. 003 1988 うたかた/サンクチュアリ うたかた/サンクチュアリ 単行本・福武書店 吉本ばななの初期作品集で、「うたかた」と「サンクチュアリ」を併録する。喪失や恋愛、居場所をめぐる不安を、柔らかく透明な語り口で描く。日常の小さな違和感から、生死のあわいや心の避難場所へ入っていく初期吉本作品らしさがある。 恋愛死と喪失孤独と疎外
  4. 004 1989 白河夜船 しらかわよふね 単行本・福武書店 眠りに沈んでいく女性たちを描く三篇を収めた作品集。恋愛、喪失、孤独が、眠りという身体の状態を通じて静かに語られる。吉本ばなな初期の透明な語りと、生死の境目に触れる感覚がよく表れた一冊。 恋愛死と喪失身体
  5. 005 1989 TUGUMI つぐみ 単行本・中央公論社 海辺の町を舞台に、語り手まりあと、病弱で美しいが激しい気性を持つ少女つぐみの最後の夏を描く長編。家族経営の宿、海辺の時間、恋の予感、病と別れの気配が重なり、青春のまぶしさと残酷さが同時に立ち上がる。吉本ばなならしい平明な一人称で、親密な関係が永遠には続かないことを痛切に描く。 青春家族身体
  6. 006 1990 N・P エヌ・ピー 単行本・角川書店 『N・P』は、未完の遺作小説をめぐって、翻訳者の死の影に引き寄せられる若者たちを描く長篇です。小説内のテキストと現実の人間関係が絡み合い、恋愛、近親性、喪失の感覚が静かに濃くなっていきます。吉本ばなならしい平明な一人称の語りで、危うい関係の重さを軽やかな文体に沈めています。 死と喪失恋愛言葉と言語
  7. 007 1993 とかげ とかげ 単行本・新潮社 『とかげ』は、吉本ばななが1993年に新潮社から刊行した短篇集です。既存データの通り、癒しや時間、記憶をめぐる六篇を収め、日常の中の傷や回復の気配を平明な文体で扱います。短い作品群を通して、恋愛や喪失のあとに残る身体感覚と静かな再生を読むことができます。 恋愛記憶簡潔な文体
  8. 008 1994 アムリタ アムリタ 単行本・福武書店 妹の死と頭部の怪我による記憶喪失を抱えた「私」が、弟の不思議なきざし、妹の恋人との関係、高知やサイパンへの旅を通じて、自分を取り戻せないまま世界を見つめていく長編。上巻紹介では「半分死んでいる」状態から生きることや幸福を感じ取る物語、下巻紹介では記憶の回復、出会いと別れ、生と死、幸福と孤独のあいだで… 記憶アイデンティティ清新
  9. 009 1994 ハチ公の最後の恋人 ハチこうのさいごのこいびと 単行本・メタローグ 『ハチ公の最後の恋人』は、祖母の予言通りに出会った青年ハチと、その「最後の恋人」となる語り手の恋を描く長編です。恋愛の高揚だけでなく、別れや死の予感を含む関係の時間が、吉本ばなならしい柔らかな一人称で語られます。NDL書誌では1994年のメタローグ版が初期刊行として確認でき、中央公論社版は1996年… 恋愛死と喪失一人称
  10. 010 1994 マリカの永い夜・バリ夢日記 マリカのながいよる・バリゆめにっき 単行本・幻冬舎 『マリカの永い夜/バリ夢日記』は、多重人格を抱えるマリカと精神科医ジュンコのバリ島での物語に、著者自身のバリ旅行記を組み合わせた作品です。幻冬舎公式は、聖域としてのバリ島で起こる愛の物語と、多重人格の悲しみと希望を描く小説として紹介しています。小説と紀行が接続され、旅先の神秘性と身体・人格の揺らぎが… 身体アイデンティティ海外
  11. 011 1996 SLY スライ 単行本・幻冬舎 『SLY』は、HIVポジティブであることを告げたかつての恋人・喬を、語り手の清瀬と日出雄がエジプトへの旅に連れ出す長篇です。幻冬舎公式の紹介では、絶望から始まる旅の中で友情がたどる運命が作品の核として示されている。恋愛、友情、生と死の距離を、旅の開放感と喪失の予感のあいだで描くよしもとばななの作品と… 恋愛死と喪失海外
  12. 012 1997 ハネムーン ハネムーン 単行本・中央公論社 『ハネムーン』は、若くして結婚したまなかと幼なじみの裕志が、喪失や孤独を抱えたまま互いを支え合い、旅立ちへ向かう長編です。中央公論新社の中公文庫ページでは、二人がどこにいても家を見いだす恋人たちの物語として紹介されている。恋愛小説でありながら、夫婦、家、死者の記憶、癒えにくい過去を静かに見つめるよし… 夫婦死と喪失一人称
  13. 013 1999 ハードボイルド/ハードラック ハードボイルド/ハードラック 単行本・ロッキング・オン 「ハードボイルド」と「ハードラック」の二篇を収める短編集です。死んだ女友だち、入院中の姉という喪失の影を起点にしながら、残された人の心が少しずつ動き出す時間を描きます。よしもとばなならしい静かな語りで、痛みと回復が同じ場面の中に置かれるところが読みどころです。 死と喪失恋愛
  14. 014 2000 ひな菊の人生 ひなぎくのじんせい 単行本・ロッキング・オン 吉本ばななが2000年に刊行した作品で、ロッキング・オン版と後年の幻冬舎版の書誌が確認できる。公開情報は限定的だが、タイトルの柔らかさとは裏腹に、人生の記憶や痛みをすくい上げる吉本作品の系譜に置ける。現段階では内容細部の確認を次回課題として残す。 記憶死と喪失孤独と疎外
  15. 015 2000 体は全部知っている からだはぜんぶしっている 単行本・文藝春秋 身体の記憶をモチーフにした吉本ばななの掌篇集。心では整理できない痛みや違和感が、身体の感覚として先に反応する瞬間をすくう。短い形式の中で、病、恋愛、喪失、生活の手ざわりを静かに重ねる。 身体記憶
  16. 016 2002 アルゼンチンババア アルゼンチンババア 単行本・ロッキング・オン 母の死後、「アルゼンチンババア」と呼ばれる女性と暮らし始めた父をめぐる物語。奇妙な人物や場所への戸惑いを通して、家族の喪失を別の関係へ開いていく。吉本ばなならしい、死後の時間をやわらかく生き直す物語。 家族死と喪失孤独と疎外
  17. 017 2002 王国 その1 アンドロメダ・ハイツ おうこく そのいち アンドロメダ・ハイツ 単行本・新潮社 山奥で祖母と暮らした雫石が、都会で占い師の助手となる「王国」シリーズ第一作。自然の記憶、都市での仕事、スピリチュアルな感受性が交差し、傷ついた人が別の居場所を作る過程を描く。吉本ばなならしい癒やしと不思議さが、生活の手ざわりと結びつく。 記憶労働孤独と疎外
  18. 018 2003 デッドエンドの思い出 デッドエンドのおもいで 単行本・文藝春秋 失恋や裏切りからの小さな回復を描く五篇の短篇集。傷ついた人物が、行き止まりに見える場所から少しずつ生活を取り戻す過程を、吉本ばなならしいやわらかい語りで描く。大きな救済ではなく、日常の中にある小さな光を読む作品集である。 恋愛死と喪失孤独と疎外
  19. 019 2003 ハゴロモ ハゴロモ 単行本・新潮社 恋愛や喪失で傷ついた人物が、都会から少し距離を置いた土地で静かに時間を取り戻していく吉本ばななの長篇。水辺や町の気配、記憶の手触りを重ねながら、壊れた心がすぐに治るのではなく、生活のリズムの中でゆっくりほどけていく過程を描く。幻想味を帯びたやわらかな文体が、再生の物語を日常の側に引き寄せている。 恋愛死と喪失記憶
  20. 020 2004 High and dry(はつ恋) ハイ・アンド・ドライ(はつこい) 単行本・文藝春秋 14歳の少女・夕子の、年上の男性への初恋を描く長編。年齢差のある関係を、危うさよりも、少女の感覚が外界へ開かれていく時間として追っていく。吉本ばななの作品らしく、恋の痛みと透明な夢見心地が同じ調子で語られる。 恋愛青春芸術と表現
  21. 021 2004 海のふた うみのふた 単行本・ロッキング・オン 故郷の海辺の町でかき氷屋を始めた女性のひと夏を描く長編。海、店、訪れる人々とのやりとりを通じて、傷ついた心が生活の手触りを取り戻していく。吉本ばなならしいやさしい幻想味が、地方の小さな商いと再生の感覚に結びついている。 労働家族記憶
  22. 022 2005 みずうみ みずうみ 単行本・フォイル 母を亡くした女性と、過去に深い傷を抱えた青年の恋を描く長編。湖の静けさは、癒やしの場所であると同時に、人物が抱える記憶の暗さを映す場所にもなる。吉本ばななの柔らかな語りが、トラウマと恋愛を過剰に説明しすぎず、余韻として残す。 恋愛死と喪失記憶
  23. 023 2006 イルカ イルカ 単行本・文藝春秋 『イルカ』は、よしもとばななの小説らしく、親密な関係と心身の変化をやわらかな語りで扱う作品です。題名が示す水辺のイメージは、閉じた日常から別の感覚へ移るための入口として働きます。喪失や不安を強く断定せず、ゆるやかな回復の気配を読む作品として位置づけられます。 恋愛家族身体
  24. 024 2008 彼女について かのじょについて 単行本・文藝春秋 『彼女について』は、ひとりの女性をめぐる記憶と語りから、失われたものや届かなかった感情をたどる作品です。よしもとばなならしい透明感のある文体で、死や喪失の気配をやわらかく包みます。誰かについて語ることが、自分自身を語り直すことにもなる小説です。 記憶恋愛死と喪失
  25. 025 2008 サウスポイント サウスポイント 単行本・中央公論新社 『サウスポイント』は、よしもとばななが南の島の気配や移動の感覚を通じて、恋愛と家族の記憶を描く長篇です。明るい場所に向かう題名とは裏腹に、人物の内側には喪失や過去の影が残ります。土地の光や空気を、心の回復の過程と重ねて読む作品です。 恋愛家族記憶
  26. 026 2010 もしもし下北沢 もしもししもきたざわ 単行本・毎日新聞社 『もしもし下北沢』は、父の死後に母と娘が下北沢へ移り住み、喪失から少しずつ生活を立て直す吉本ばななの長篇です。街の店や人との関わりが、母娘の傷を癒やす場として機能します。死別の痛みと都市の温かさが同時に描かれる、再生の物語です。 死と喪失母と子家族
  27. 027 2011 スウィート・ヒアアフター スウィート・ヒアアフター 単行本・幻冬舎 『スウィート・ヒアアフター』は、事故で恋人を失った女性が、喪失の後の時間を生き直していく吉本ばななの小説です。既存データでは震災後の再生の感覚も示されており、個人の死別と社会全体の傷が重ねて読めます。やわらかな文体のなかで、痛切さと回復への気配が共存します。 死と喪失恋愛災害
  28. 028 2013 スナックちどり スナックちどり 単行本・文藝春秋 『スナックちどり』は、吉本ばななが小さな店や旅先の空気を通じて、喪失後の再生を描く小説として整理できます。スナックという場所は、家族でも職場でもないゆるい避難所として機能します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 死と喪失家族
  29. 029 2014 鳥たち とりたち 単行本・集英社 『鳥たち』は、吉本ばななが移動、喪失、自由への感覚を鳥のイメージに重ねる小説として整理できます。鳥は、どこかへ飛び去るものとして、残された人の孤独や再生を映します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 死と喪失家族孤独と疎外
  30. 030 2021 ミトンとふびん ミトンとふびん 単行本・新潮社 大切な人の死や癒えない喪失を抱えながら生きる人々を、ヘルシンキ、ローマ、台北など複数の土地で描く全6編の短篇集。旅の風景は観光的な背景ではなく、残された人が小さな光や手触りに支えられて日々を続けるための場所として置かれている。吉本ばななが長く書き続けてきた喪失、時間、愛の主題を、静かでやわらかな語り… 死と喪失恋愛記憶 第58回 谷崎賞