きいろいいえ

黄色い家

川上未映子 2023

紹介 About

2020年春、惣菜店に勤める花が、かつて疑似家族のように暮らした黄美子の事件記事を見つけるところから、二十年前の「黄色い家」の記憶が開かれる。少女たちはまっとうに稼ぐ道を失い、生活を守るためにより危うい金稼ぎへ踏み込んでいく。貧困、金、犯罪、記憶、家族の擬態を重ね、善悪で割り切れない生存の痛みを長い射程で描くクライム・サスペンスである。

評価 Reception

中央公論新社の特設ページで第75回読売文学賞(小説賞)、王様のブランチBOOK大賞2023、2024年本屋大賞第6位、キノベス!2024第2位が掲げられている。本屋大賞公式ページでも2024年本屋大賞第6位として確認できる。読売文学賞などは本サイトの賞マスタ外のため、受賞情報は本文と出典に記載した。

出典 Sources

川上未映子のほかの収録作 More

  1. 001 2007 乳と卵 ちちとらん 初出・文學界 2007年12月号 東京で一人暮らしをする「わたし」のもとへ、大阪でホステスとして働く姉の巻子と、その娘で小学6年生の緑子が上京してくる。離婚後ひとりで娘を育ててきた巻子は豊胸手術を受けることに執拗にこだわり、初潮を迎える年頃の緑子は、自分の身体が変わっていくことへの違和感をノートに書きつけ、母とは筆談でしか口をきかな… 母と子身体ジェンダー 第138回 芥川賞
  2. 002 2007 わたくし率 イン 歯ー、または世界 わたくしりつ イン はー、またはせかい 単行本・講談社 『わたくし率 イン 歯ー、または世界』は、「わたし」は奥歯にあると考える女性の独白を、大阪弁のリズムで疾走させるデビュー作です。身体の一部に自己を置く発想が、アイデンティティと言葉の関係を奇妙に拡張します。文体の勢いそのものが主題になっている、川上未映子初期の重要作として読めます。 身体言葉と言語アイデンティティ
  3. 003 2009 ヘヴン ヘヴン 単行本・講談社 『ヘヴン』は、いじめを受ける「僕」と同級生コジマの連帯を通じて、暴力と倫理を問う長篇です。弱さを共有する二人の関係は救いに見えますが、暴力を意味づけて耐えることの危うさも浮かび上がります。身体の痛みと思想的な問いが同時に迫る、川上未映子の代表的長篇の一つです。 暴力身体孤独と疎外
  4. 004 2011 すべて真夜中の恋人たち すべてまよなかのこいびとたち 単行本・講談社 孤独な校閲者・冬子と年上の物理教師・三束さんの静かな恋を描く長編。
  5. 005 2013 愛の夢とか あいのゆめとか 単行本・講談社 日常の中の小さな喪失と出会いを描く7篇の短篇集。谷崎潤一郎賞を受賞した。 第49回 谷崎賞
  6. 006 2015 あこがれ あこがれ 単行本・新潮社 小学生の麦彦とヘガティーの友情と淡い憧れを描く連作長編。渡辺淳一文学賞を受賞した。
  7. 007 2018 ウィステリアと三人の女たち ウィステリアとさんにんのおんなたち 単行本・新潮社 「彼女と彼女の記憶について」「シャンデリア」「マリーの愛の証明」「ウィステリアと三人の女たち」の4篇を収める短篇集。同窓会、デパート、女子寮、廃墟となった屋敷を舞台に、女性たちが不確かな記憶と死の気配に触れていく。記憶、死、救済、自己同一性が幻想的な気配で重なり、なだらかな散文がいつのまにか現実の足… 記憶死と喪失孤独と疎外
  8. 008 2019 夏物語 なつものがたり 単行本・文藝春秋 『乳と卵』の世界を引き継ぎ、作家となった夏子が、パートナーなしで妊娠・出産し子どもを持つ可能性を考え始める長篇。姉・巻子や姪・緑子の身体をめぐる物語を背後に、生まれること、産むこと、産まないこと、家族の形をめぐる声が重なっていく。文藝春秋公式が掲げる「生まれること」と「産むこと」の非対称性の問いを中… 身体家族
  9. 009 2022 春のこわいもの はるのこわいもの 単行本・新潮社 『春のこわいもの』は、パンデミック前夜の東京を舞台に、六人の男女がそれぞれの欲望、不安、罪悪感に触れる短篇集である。ギャラ飲みに向かう女性、人生を振り返る老女、深夜の学校へ忍び込む高校生、親友を裏切りつづけた作家など、華やかさと孤独が隣り合う都市の断面が連ねられる。川上未映子の鋭い観察と身体感覚が… 孤独と疎外身体青春