ラーメンカレー

ラーメンカレー

滝口悠生 2023

紹介 About

『ラーメンカレー』は、ロンドンの結婚式やペルージャへの旅をきっかけに、高校時代の同級生たちの言葉と記憶があふれ出す連作短編集である。表題作を含む「窓目くんの手記」連作と複数の短篇を収め、食べ物の名前の軽さとは裏腹に、青春の偶然や移動、他者との出会いが時間をまたいで響く構成になっている。滝口悠生らしい記憶の連鎖と寄り道の語りが、個人史と旅先の空気をゆるやかにつないでいく。

評価 Reception

文藝春秋公式では、言葉と記憶があふれだす旅の連作短編集として紹介されている。NDLでは表題作「窓目くんの手記(2)ラーメンカレー」の『文學界』初出が確認できる。今回確認できた範囲では作品単位の受賞・候補や独立した書評記事は見つからず、評価情報は出版社紹介と初出記録にとどまる。

出典 Sources

滝口悠生のほかの収録作 More

  1. 001 2011 楽器 がっき 初出・「新潮」2011年11月号 記憶と語りの重なりを繊細に扱ったデビュー短篇。のちに芥川賞・野間文芸新人賞を受賞する滝口悠生の出発点となった作品。 第43回 新潮新人賞
  2. 002 2014 寝相 ねぞう 単行本・新潮社 新潮新人賞受賞のデビュー作「楽器」を含む、最初の小説集。
  3. 003 2015 愛と人生 あいとじんせい 単行本・講談社 映画『男はつらいよ』の世界を下敷きに、かつて子役として出演した青年を描く長編。野間文芸新人賞受賞。 第37回 野間新人賞
  4. 004 2015 ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス 単行本・新潮社 芥川賞候補となった表題作を収める。
  5. 005 2015 死んでいない者 しんでいないもの 初出・文學界 2015年12月号 秋のある日、大往生を遂げた85歳の男の通夜に、子や孫、ひ孫まで30人ほどの親族が集まってくる。通夜振る舞いの席で酒を酌み交わす者、川辺をさまよう者、初めて会う親戚と言葉を交わす少年少女。語りは特定の人物に留まらず、出席者から出席者へと自在に移りながら、故人の記憶と一族それぞれの来し方、共有しえない日… 家族死と喪失記憶 第154回 芥川賞
  6. 006 2017 高架線 こうかせん 単行本・講談社 東京の古いアパートの住人たちの来歴を、語り手を替えながらたどる長編。
  7. 007 2017 茄子の輝き なすのかがやき 単行本・新潮社 会社の倒産と離婚を経た市瀬の日々を描く連作小説集。
  8. 008 2021 長い一日 ながいいちにち 単行本・講談社 小説家の夫と妻が、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めるところから、長くつきあってきた友人たち、日々の暮らし、失ってから気づく愛着や記憶が交差していく長編。出来事を大きな劇に仕立てるよりも、生活の中でふと立ち上がる静かな感情と、時間の伸び縮みをすくい取る。日記と小説のあわいを思わせる形式で、夫婦と住… 夫婦記憶家族
  9. 009 2022 水平線 すいへいせん 単行本・新潮社 硫黄島を墓参したことのある妹に見知らぬ男から電話がかかり、兄は不思議なメールに導かれて船に乗る。祖父母世代の疎開、激戦地に残された人々、現在の兄妹の時間が交差し、死者の言葉が海を越えて現在へ届く。視点や人称を変えながら、戦争の記憶と島の隆起する時間を重ねる長篇。 戦争記憶死と喪失
  10. 010 2025 たのしい保育園 たのしいほいくえん 単行本・河出書房新社 『たのしい保育園』は、ももちゃんと父が川べりを歩き、保育園へ向かい、連絡帳を書こうとする日々を描く連作小説です。大きな事件ではなく、育児の時間の長さ、忘れてしまう一瞬、子どもを見守る大人たちの視線を丁寧に積み重ねる。父の目線を軸にしながら、子どもの遠い時間感覚へも寄り添うところに読みどころがある。 家族父と子記憶