みがわり

みがわり

青山七恵 2020

紹介 About

『みがわり』は、新人賞を受けながら本を出せずにいる作家・律が、自分と瓜二つだった亡き女性の伝記執筆を依頼される長編。取材の過程で、姉妹の確執や家族の秘密、依頼そのものの不穏さが浮かび、律は他人の人生を書こうとするほど自分自身の物語も揺さぶられていく。伝記を書くことと書かれることの関係を通じて、自己像、創作、家族の記憶が入れ替わるように進むサスペンス調の作品。

評価 Reception

幻冬舎公式ページとBooks 出版書誌データベースは、本作を予測不能の結末へ向かう長編として紹介し、創作と家族の秘密が絡む筋立てを強調している。NDLでは2020年単行本、2023年文庫版、2024年イタリア語版『La sosia』の書誌を確認できる。今回確認できた主要文学賞の受賞・候補や独立書評はなく、評価情報は出版社紹介と書誌情報が中心である。

出典 Sources

青山七恵のほかの収録作 More

  1. 001 2005 窓の灯 まどのひ 初出・文藝 2005年冬季号 大学を辞めた「私」は、時代に取り残されたような喫茶店で働きながら、向かいの部屋の窓の中を覗くことを日課にしている。やがて視線は夜の街の散歩で垣間見える家々の窓へと広がり、他人の生活の灯に惹かれる気配がゆるやかに濃くなっていく。覗くことのうしろめたさと官能を、抑制の効いた一人称で描く第42回文藝賞受賞… 孤独と疎外青春 第42回 文藝賞
  2. 002 2007 ひとり日和 ひとりびより 単行本・河出書房新社 『ひとり日和』は、二十歳の知寿が高齢の遠縁・吟子さんと同居し、働きながら自立の感覚を少しずつ探る作品です。老いと若さ、家族ではない同居、ひとりでいることの自由と寂しさが、淡々とした語りで描かれます。大きな成長物語ではなく、日々の観察から生活の輪郭が変わるところが読みどころです。 老い家族青春 第136回 芥川賞
  3. 003 2008 やさしいため息 やさしいためいき 単行本・河出書房新社 『やさしいため息』は、芥川賞受賞後第一作として発表され、日常のなかで揺れる若い人物の息づかいを静かに描く作品です。家族や生活の小さな変化が、はっきりした事件よりも大きく人物の感情を動かします。青山七恵らしい簡潔な文体が、孤独と自立のあいだの時間をすくい取ります。 家族青春孤独と疎外
  4. 004 2009 かけら かけら 単行本・新潮社 『かけら』は、日常の小さな破片のような出来事から、若い人物の孤独や関係の変化をすくい上げる青山七恵の作品です。簡潔な語りは感情を説明しすぎず、読者に余白を残します。家族や恋愛のはっきりしない揺れを、静かな手ざわりで読む小説です。 青春家族孤独と疎外
  5. 005 2009 魔法使いクラブ まほうつかいくらぶ 単行本・幻冬舎 『魔法使いクラブ』は、若い人びとの小さな結びつきや願望を、魔法という言葉の軽やかさで包む作品です。現実を大きく変える力ではなく、日々を少しだけ違って見せる想像力が中心になります。青山七恵らしい静かな文体で、青春と孤独のあいだを描きます。 青春孤独と疎外芸術と表現
  6. 006 2010 お別れの音 おわかれのおと 単行本・文藝春秋 『お別れの音』は、別れの瞬間やその前後に残る気配を、青山七恵らしい抑制された文体で描く作品です。音という題名は、はっきりした出来事よりも、生活のなかに残響する感情を思わせます。家族や恋愛の終わりを、静かな距離感で読む小説として整理できます。 恋愛家族死と喪失
  7. 007 2011 あかりの湖畔 あかりのこはん 単行本・中央公論新社 『あかりの湖畔』は、湖畔という静かな場所を背景に、家族や記憶の揺らぎを描く青山七恵の小説です。人物の感情は大きく叫ばれるよりも、風景や会話の間ににじみます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と題名に基づく暫定的な紹介です。 家族記憶孤独と疎外
  8. 008 2011 わたしの彼氏 わたしのかれし 単行本・講談社 『わたしの彼氏』は、恋人という近しい存在を通じて、自己認識と他者への期待のずれを描く青山七恵の小説です。平明な語りのなかで、恋愛の甘さよりも、人が関係に名前を与えようとするぎこちなさが目立ちます。若い人物の感情を、淡い距離感で読む作品です。 恋愛アイデンティティ同調圧力
  9. 009 2012 花嫁 はなよめ 単行本・幻冬舎 『花嫁』は、結婚や家族のイメージを手がかりに、若い女性の自己像と周囲の期待を描く青山七恵の小説です。花嫁という役割は幸福の記号である一方、人物を一つの型に押し込める圧力としても読めます。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 恋愛家族ジェンダー
  10. 010 2012 すみれ すみれ 単行本・文藝春秋 『すみれ』は、青山七恵が若い女性の日常と、名づけがたい違和感を静かに描く小説です。すみれという小さな花の像は、華やかさよりも、身近な場所に残る感情の気配を思わせます。抑えた語りのなかで、家族や恋愛に回収されない孤独が見えてきます。 恋愛家族孤独と疎外
  11. 011 2013 快楽 かいらく 単行本・講談社 『快楽』は、欲望の不平等を題材に、身体、性、他者からの評価を大胆に描く青山七恵の小説です。快楽は単純な喜びではなく、誰が欲望を持つことを許されるのかという社会的な問いへ広がります。静かな文体の奥で、性とジェンダーの不均衡が不穏に浮かびます。 ジェンダー同調圧力
  12. 012 2013 めぐり糸 めぐりいと 単行本・集英社 『めぐり糸』は、糸がめぐるように人と人の縁や記憶が結び直される青山七恵の小説です。関係は一直線に進まず、ほどけたり絡まったりしながら人物の現在を形づくります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないが、連載レコードと単行本書誌から、時間をかけて展開した作品であることが分かります。 家族記憶恋愛
  13. 013 2014 かぜ 単行本・河出書房新社 『風』は、青山七恵が移ろいやすい感情や生活の変化を、静かな文体で扱う小説として整理できます。風という題名は、人物の内面を直接説明するよりも、周囲の空気や関係の揺れとして読ませます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 孤独と疎外恋愛記憶
  14. 014 2015 まゆ 単行本・新潮社 『繭』は、青山七恵が閉じた空間や保護される感覚を手がかりに、女性の内面を描く小説として整理できます。繭は守るものでもあり、外へ出る前の窮屈な状態でもあります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 身体ジェンダー孤独と疎外
  15. 015 2017 ハッチとマーロウ はっちとまーろう 単行本・小学館 11歳の誕生日に母から「大人を卒業する」と告げられた双子のハッチとマーロウが、突然自分たちの生活を引き受けることになる長編。料理や服選び、双子であることの個性、父の不在といった日常の問いを通じて、子どもから大人へ向かう時間を軽やかに描く。かわいらしい双子の語り口の奥に、母子関係や自立の痛みが少しずつ… 家族母と子青春
  16. 016 2017 踊る星座 おどるせいざ 単行本・中央公論新社 『踊る星座』は、青山七恵が人と人の距離や、日常の中の小さな変化を星座のように配置する小説として整理できます。星座は離れた点を線で結ぶ見方であり、人物たちの孤独や関係もそのように読み替えられます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 孤独と疎外記憶恋愛
  17. 017 2018 ブルーハワイ ぶるーはわい 単行本・河出書房新社 『ブルーハワイ』『辰年』『聖ミクラーシュの日』『わかれ道』『山の上の春子』『わたしのおばあちゃん』を収めた短篇集。河出書房新社は、「あたりまえ」を知らない孤独が世界を撃ち抜く作品集として紹介している。日常のなかでそれぞれのことに夢中になる人々を、平明で少し乾いた語りで捉え、家族や記憶、他者との隔たり… 孤独と疎外家族記憶
  18. 018 2019 私の家 わたしのいえ 単行本・集英社 祖母の法要で一堂に会した親戚たちを起点に、三世代にわたる一族の記憶と秘密をたどる連作短編集。同棲相手に追い出されて戻る梓、過去にこだわる母、孤独を愛する大叔母らの章が重なり、家族であっても他人のように分かり合えない距離を描く。家という場所を、帰る場所であると同時に逃れがたい記憶の容器として読ませる。 家族記憶孤独と疎外
  19. 019 2022 はぐれんぼう はぐれんぼう 単行本・講談社 『はぐれんぼう』は、あさりクリーニング店で働く優子が、長く引き取りに来られない衣服「はぐれんぼちゃん」を持ち帰ったことから始まる長編である。翌朝、衣服が体を覆うようにまとわりつき、優子は持ち主たちを訪ねるが、服は次々に受け取りを拒まれる。トレンチコート姿のユザさんに導かれながら帰るべき場所を探す道行… 孤独と疎外労働アイデンティティ
  20. 020 2023 前の家族 まえのかぞく 単行本・小学館 37歳の独身小説家・猪瀬藍が、中古マンションの購入を決意するところから始まるマイホーム奇譚。理想的に見えた物件には、そこに十二年間暮らした若い夫婦と幼い姉妹の「前の家族」の気配が残り、引っ越したはずの娘たちが藍の新居へ現れる。住まいを買うことが、部屋だけでなく周囲の環境や他者の記憶まで引き受けること… 家族孤独と疎外記憶
  21. 021 2025 記念日 きねんび 単行本・集英社 『記念日』は、23歳のミナイ、42歳のソメヤ、76歳の乙部さんという年齢も境遇も違う女性三人が、奇妙なルームシェアをきっかけに交わっていく長篇です。「明日から、おばあさんになってみませんか?」という提案が、若さや老い、身体のままならなさ、他者と暮らすことの違和感を動かしていく。年齢や役割を一時的にず… 老い身体家族