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島本理生 2018

紹介 About

就職活動中の女子大生・聖山環菜が父を刺殺した事件を、臨床心理士の真壁由紀がノンフィクション執筆のために追う長編。由紀は弁護士の庵野迦葉とともに面会を重ね、環菜の供述の揺れや家族関係の奥にあるものへ近づいていく。殺人事件の謎を追うミステリの緊張感と、家族という閉じた関係の迷宮を重ねた作品。

評価 Reception

第159回直木賞受賞作。文藝春秋の速報記事は2018年7月18日の選考会で受賞作に選ばれたことを記録し、作品ページも受賞作として紹介している。文春オンラインの受賞インタビューでは、容疑者の心理を追う構成、ミステリとしての緊張感、裁判場面の迫力などが論点として語られている。

出典 Sources

島本理生のほかの収録作 More

  1. 001 2001 シルエット しるえっと 初出・群像 2001年6月号 高校二年生の「私」を語り手に、人との出会いと別れ、恋愛にともなう心の揺れと痛みを、等身大の言葉で丁寧にすくいとった中篇。書いたのは当時現役高校生の島本理生で、十代の感受性をそのまま閉じ込めたような瑞々しさと、年齢に不釣り合いなほど抑制の効いた文章が同居している。痛みを声高に語らず、静かな観察として差… 恋愛青春家族
  2. 002 2002 リトル・バイ・リトル りとる・ばい・りとる 単行本・講談社 母の不在と継父との関係に揺れる少女の成長を描く島本理生の初期長編。十代の語り手が、家族への違和感、恋愛以前の孤独、日常の不安を少しずつ言葉にしていく。静かな文体で、傷つきやすい感情の変化を丁寧に追う作品。 家族青春孤独と疎外
  3. 003 2004 生まれる森 うまれるもり 単行本・講談社 恋愛や喪失のあとに残る空白を、森というイメージに重ねて描く島本理生の初期長篇。人物の内面は激しく揺れながらも、語り口は抑制され、痛みが静かな風景の中に置かれる。青春小説の瑞々しさと、取り返しのつかない記憶を抱える重さが同居している。 恋愛死と喪失記憶
  4. 004 2005 一千一秒の日々 いっせんいちびょうのひび 単行本・マガジンハウス 恋愛や日常の短い時間を、きらめくような細部として集めた島本理生の作品集。大きな物語へ急がず、一瞬の表情や会話のずれが、人物の孤独や期待を浮かび上がらせる。若い恋の瑞々しさと、時間が過ぎていくことへの切なさが題名に重なる。 恋愛青春記憶
  5. 005 2005 ナラタージュ なら​たーじゅ 単行本・角川書店 かつての恩師への思いを断ち切れない女子大生が、過去の記憶と現在の恋の間で揺れる長篇。恋愛の美しさよりも、戻れない時間に縛られる痛みが中心に置かれている。語りは静かだが、人物の未練や罪悪感が長く尾を引き、島本理生の代表的な恋愛小説として読まれてきた。 恋愛記憶青春
  6. 006 2007 あなたの呼吸が止まるまで あなたのこきゅうがとまるまで 単行本・新潮社 『あなたの呼吸が止まるまで』は、息をすること、生き延びること、他者と関わることを強い身体感覚で描く島本理生の小説です。恋愛や依存の感情が、相手の呼吸を意識するほど近い距離で語られます。親密さの美しさだけでなく、そこに潜む苦しさを読む作品です。 恋愛身体死と喪失
  7. 007 2007 クローバー くろーばー 単行本・角川書店 『クローバー』は、島本理生らしく、恋愛や記憶の細部から若い人物の揺れを描く作品です。幸運を連想させる題名に対して、語りは関係の不安定さや選び取れない気持ちにも目を向けます。淡い感情を、日常の光景のなかで少しずつ変化させる読み味があります。 恋愛青春記憶
  8. 008 2007 大きな熊が来る前に、おやすみ。 おおきなくまがくるまえに、おやすみ。 単行本・新潮社 『大きな熊が来る前に、おやすみ。』は、二人暮らしの親密さと不安を、熊という不穏なイメージをまとわせて描く作品です。恋愛や同居の幸福だけでなく、同じ部屋にいることの圧迫感や、相手を完全にはわからない怖さが前面に出ます。柔らかな題名の奥に、関係の危うさを読む小説です。 恋愛家族孤独と疎外
  9. 009 2008 波打ち際の蛍 なみうちぎわのほたる 単行本・角川書店 『波打ち際の蛍』は、傷を抱えた人物が、波打ち際のように揺れる場所で他者との距離を測り直す島本理生の作品です。蛍の光のようなかすかな希望と、身体に残る痛みが同時に描かれます。恋愛や回復を単純に美化せず、触れ合うことの怖さまで含めて読ませます。 暴力恋愛身体
  10. 010 2009 君が降る日 きみがふるひ 単行本・幻冬舎 『君が降る日』は、失われた相手への思いと、残された人の時間を描く島本理生の恋愛小説です。題名の「降る」は、記憶が突然日常へ戻ってくる感覚を思わせます。静かな語りの中で、喪失、恋愛、再生の気配が重なります。 恋愛死と喪失記憶
  11. 011 2010 あられもない祈り あられもないいのり 単行本・河出書房新社 芥川賞候補。支配的な恋愛関係の中に自分を置き続ける女性の苦悩を描く。
  12. 012 2010 真綿荘の住人たち まわたそうのじゅうにんたち 単行本・文藝春秋 真綿荘の住人たちは、島本理生による2010年発表の作品です。単行本は文藝春秋(2010年)。
  13. 013 2010 アンダスタンド・メイビー あんだすたんど・めいびー 単行本・中央公論新社 アンダスタンド・メイビーは、島本理生による2010年発表の作品です。単行本は中央公論新社(2010年)。
  14. 014 2012 七緒のために ななおのために 単行本・講談社 七緒のためには、島本理生による2012年発表の作品です。単行本は講談社(2012年)。
  15. 015 2013 よだかの片想い よだかのかたおもい 単行本・集英社 顔に大きなあざを持つ女性が映画の撮影をきっかけに初めての恋に落ちる。
  16. 016 2014 Red れっど 単行本・中央公論新社 島清恋愛文学賞受賞作。専業主婦が不倫に踏み込んでいく官能的な長篇。
  17. 017 2015 夏の裁断 なつのさいだん 単行本・文藝春秋 芥川賞候補。執筆を辞めた女性小説家のもとに若い男性が現れ、破綻した恋愛が始まる。
  18. 018 2015 匿名者のためのスピカ とくめいしゃのためのすぴか 単行本・祥伝社 匿名者のためのスピカは、島本理生による2015年発表の作品です。単行本は祥伝社(2015年)。
  19. 019 2016 イノセント いのせんと 単行本・集英社 イノセントは、島本理生による2016年発表の作品です。単行本は集英社(2016年)。
  20. 020 2017 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして わたしたちはぎんのふぉーくとくすりをてにして 単行本・幻冬舎 わたしたちは銀のフォークと薬を手にしては、島本理生による2017年発表の作品です。単行本は幻冬舎(2017年)。
  21. 021 2018 あなたの愛人の名前は あなたのあいじんのなまえは 単行本・集英社 『あなたの愛人の名前は』は、すれ違う大人の恋愛を描く六篇の作品集。集英社公式が示す「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は、同じ関係を別々の視点から照らし、同じ部屋にいても互いの心が決定的にずれていく痛みを描く。欲望、秘密、婚約、浮気、世間の価値観に揺れる心を、島本理生らしい繊細な心理の動きとし… 恋愛夫婦
  22. 022 2019 夜はおしまい よるはおしまい 単行本・講談社 「夜のまっただなか」「サテライトの女たち」「雪ト逃ゲル」「静寂」を収めた短篇集。夜、逃避、静けさといった収録作名が示すように、関係の余白や孤独を抱えた人物たちの時間を描く。島本理生の恋愛や家族関係をめぐる繊細な筆致を、より暗く静かなトーンで味わえる作品集として位置づけられる。 恋愛家族孤独と疎外
  23. 023 2020 2020年の恋人たち にせんにじゅうねんのこいびとたち 単行本・中央公論新社 母の急死によりワインバーを継ぐかどうか選択を迫られた前原葵を中心に、同棲相手、常連客、店を手伝う人々、新たな出会いが交錯する長篇。恋愛の高揚だけでなく、会話の途切れ、依存、別れ、仕事として店を引き受けることを描き、葵が何を選び何を手放すかを追う。直木賞受賞後の長篇第一作として、喪失後の生活再建と関係… 恋愛死と喪失労働
  24. 024 2021 星のように離れて雨のように散った ほしのようにはなれてあめのようにちった 単行本・文藝春秋 行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説という三つの「未完」をめぐり、人生の岐路に立つ女子大学院生の「私」が自分自身の物語を探していく長編。宮沢賢治作品の影や、消えた父の残した手紙を手がかりに、家族の記憶と創作の衝動が重なり合う。父の不在を単なる謎解きにせず、失われたものを言葉で追いかけ… 父と子記憶芸術と表現
  25. 025 2022 憐憫 れんびん 単行本・朝日新聞出版 『憐憫』は、かつて子役だった沙良が、芸能界で伸び悩み、自分の正体を知らない相手を求めるところから始まる小説。酒場で出会った柏木に抱く感情は、愛しさであり憐憫でもあり、恋愛と呼び切れない関係の輪郭を曖昧にしていく。見られる側として生きてきた女性の孤独、承認、満たされなさを、短く張りつめた語りで追う。 恋愛孤独と疎外アイデンティティ