よんじゅうにちとよんじゅうやのめるへん

四十日と四十夜のメルヘン

青木淳悟 2003 第35回 新潮新人賞 受賞

紹介 About

チラシ配りをして暮らす「私」が書きつける日記。しかしその日付は素直に進まず、記述は反復と書き換えを繰り返しながら円環構造を描き、日常の風景がいつのまにか変容していく。「書くこと」自体を小説の駆動装置にした構成は、選考会で保坂和志が「これはピンチョンなんだ」と断言して強く推したことで知られる。単行本化と文庫化のたびに大幅な改稿が行われたことも含め、テクストが固定されないこと自体がこの作家の方法になっている。

評価 Reception

第35回新潮新人賞受賞。保坂和志の強い推輓で受賞が決まった。2005年刊行の作品集『四十日と四十夜のメルヘン』で第27回野間文芸新人賞を受賞し、著者は2012年『わたしのいない高校』で三島由紀夫賞を受賞した。

出典 Sources

  • 第35回 新潮新人賞 - 新潮社 評価書誌

    (公式)第35回新潮新人賞受賞作として確認。野間文芸新人賞受賞と単行本版の詳細はこの出典だけでは未確認。

受賞・候補歴 Awards

受賞 第35回 新潮新人賞 (2003年)

青木淳悟のほかの収録作 More

  1. 001 2007 いい子は家で いいこはいえで 単行本・新潮社 『いい子は家で』は、家という閉じた場所と「いい子」であることの圧力をめぐる青木淳悟の作品です。日常の言葉や振る舞いが少しずつずれ、家族や共同体の規範が不穏なものとして見えてきます。実験的な文体が、従順さの裏側にある違和感を浮かび上がらせます。 家族同調圧力孤独と疎外
  2. 002 2009 このあいだ東京でね このあいだとうきょうでね 単行本・新潮社 『このあいだ東京でね』は、東京という場所で交わされる会話や記憶を、青木淳悟の観察的な文体でたどる作品です。題名のくだけた語りかけは、都市の出来事が誰かへの報告として残る感覚を示します。大きな筋よりも、場所と言葉のズレを読む小説です。 言葉と言語記憶孤独と疎外
  3. 003 2011 私のいない高校 わたしのいないこうこう 単行本・講談社 『私のいない高校』は、1992年の小学校を舞台に、校舎から見える家に住む子供の視点で綴られる青木淳悟の連作です。学校という共同体のなかにいるようでいない感覚が、記憶と観察のずれとして積み上がります。子供の視界を通じて、同調圧力と孤立が静かに浮かぶ作品です。 青春記憶同調圧力 第25回 三島賞
  4. 004 2014 男一代之改革 おとこいちだいのかいかく 単行本・河出書房新社 『男一代之改革』は、江戸の改革者・松平定信を『源氏物語』の読み手として描く青木淳悟の異色の歴史小説です。歴史上の人物を、政治の主体であると同時に読者として捉える点に特徴があります。史実と読書行為を重ね、過去の人物像を現代的にずらして読む作品です。 日本史芸術と表現言葉と言語
  5. 005 2015 学校の近くの家 がっこうのちかくのいえ 単行本・新潮社 『学校の近くの家』は、青木淳悟が学校と家という近接した場所から、子どもや地域の記憶を描く小説として整理できます。近いはずの場所同士の間に、共同体の視線や距離が生まれます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 青春記憶同調圧力
  6. 006 2015 匿名芸術家 とくめいげいじゅつか 単行本・講談社 『匿名芸術家』は、青木淳悟が芸術家の名、作品、評価の仕組みをめぐって実験的に書く小説です。匿名性は作者の消去であると同時に、芸術と制度の関係を露出させる装置になります。物語を読むだけでなく、作品が「芸術」として扱われる条件を考えさせる作品です。 芸術と表現アイデンティティ言葉と言語