らいせのきおく

来世の記憶

藤野可織 2020

紹介 About

『来世の記憶』は、前世の殺人の記憶を抱えた近未来の語り手から、眠っている間に戦争が終わってしまう世界、冷蔵庫やスマートフォンや怪獣までをめぐる奇妙な出来事までを収めた20篇の短篇集。日常の手触りを残したまま身体や物や世界の前提がずれていくため、読み手は不条理な笑いと不安のあいだに置かれる。藤野可織らしい寓話的な発想と硬質な文体で、記憶、転生、世界の終わり、ものになる感覚を扱う。

評価 Reception

Books 出版書誌データベースの内容紹介は、本書のための書き下ろしを含む全20篇の短篇集として紹介し、只事でない世界観と表現力を強調している。NDLでは2020年刊行の単行本書誌と収録作題名を確認できる。今回確認できた主要文学賞の受賞・候補や独立した外部書評はなく、評価情報は出版社提供紹介と書誌記録が中心である。

出典 Sources

藤野可織のほかの収録作 More

  1. 001 2006 いやしい鳥 いやしいとり 初出・文學界 2006年12月号 飲み会で初めて会った学生を家に連れ帰るはめになった非常勤の大学講師。その夜を発端に、男が鳥へと変身していく惨劇が起こる。講師の視点と隣に住む専業主婦の視点を交互に置き、時系列を少しずつずらす構成で、日常に走る裂け目をグロテスクな滑稽さとともに見せる。藤野の出発点となった変身譚で、奇想と冷静な観察眼の… 身体孤独と疎外暴力 第103回 文學界新人賞
  2. 002 2012 パトロネ ぱとろね 単行本・集英社 パトロネは、藤野可織による2012年発表の作品です。単行本は集英社(2012年)。
  3. 003 2013 おはなしして子ちゃん おはなしして こちゃん 単行本・講談社 おはなしして子ちゃんは、藤野可織による2013年発表の作品です。単行本は講談社(2013年)。
  4. 004 2013 爪と目 つめとめ 初出・「新潮」2013年4月号 幼い娘と父、父の恋人の三人の視点が交差する短篇。第149回芥川賞受賞作。 第149回 芥川賞
  5. 005 2014 ファイナルガール ふぁいなるがーる 単行本・扶桑社 ファイナルガールは、藤野可織による2014年発表の作品です。単行本は扶桑社(2014年)。
  6. 006 2017 ドレス どれす 単行本・河出書房新社 ドレスは、藤野可織による2017年発表の作品です。単行本は河出書房新社(2017年)。
  7. 007 2020 ピエタとトランジ〈完全版〉 ぴえたととらんじ かんぜんばん 単行本・講談社 ピエタを語り手に、天才的な頭脳を持つ女子高生探偵トランジと、その才能に惹かれて助手になるピエタの関係を描く長篇。周囲で次々と事件が起きるトランジの体質は、探偵小説、友情譚、終末SFの要素を巻き込み、やがて人類滅亡のスケールへ広がっていく。軽やかな語り口で、女性バディ、才能への憧れ、破滅に向かう世界を… 青春アイデンティティ死と喪失
  8. 008 2022 青木きららのちょっとした冒険 あおききらら のちょっとしたぼうけん 単行本・講談社 「きらら」という名を手がかりに、人気モデル兼女優の偽物、痴漢された女子高生、特別な日を撮影するカメラマン、若いアイドルの死を願う会社員など、八つの人生を照らす連作的な作品集。無責任な暴力、すれ違う意識、他者への思い込みが、日常の少しずれた場面から立ち上がる。誰かであり誰でもない存在として生きる人々を… 暴力アイデンティティジェンダー