にくしょく
肉触
紹介 About
「精神か肉体かいずれかを捨てるなら、私は迷うことなく精神を捨てる」という挑発的な一文から始まり、姉への追憶に支えられた「私」の内的世界が静かに崩れていく過程を描く。観念と肉体感覚が分かちがたく絡み合う濃密な文章を、当時17歳の高校生が書いたことが衝撃をもって受け止められた。詩で受賞歴のある作者らしく、物語の起伏よりも言葉の密度と皮膚感覚で読ませるタイプの作品。2001年1月に単行本化され、表題作ほか一篇を収める。
評価 Reception
第37回文藝賞優秀作。受賞作の黒田晶「メイドインジャパン」とともに『文藝』2000年冬季号に掲載された。17歳での受賞は当時話題となり、翌年の綿矢りさ(17歳で受賞)へ続く流れを作った。作者はのち『壊れるほど近くにある心臓』(2003)で三島由紀夫賞候補となった。