このよのよろこびよ
この世の喜びよ
紹介 About
ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、かつて幼い娘たちとこのセンターで長い時間を過ごした。いまはフードコートに入り浸る中学生の少女と言葉を交わすようになり、彼女との関わりのなかで、子育ての日々の記憶や、言葉にならないまま積もっていた感情が少しずつよみがえってくる。全編が「あなた」への呼びかけで進む二人称の語りによって、ありふれた場所の細部と育児の時間がすくい上げられていく表題作に、建売住宅への体験宿泊を描く「マイホーム」、少年が叔父とキャンプに参加する「キャンプ」を併録。
評価 Reception
第168回芥川賞を佐藤厚志「荒地の家族」と同時受賞。選考では、川上弘美が言葉の組み合わせが生み出す感情や感覚を重んじて第一に強く推し、奥泉光は「どう書くか」への工夫が候補作中傑出していたと評価、小川洋子は平凡な日常を描写の力だけで成立させた点を凄まじいと称賛した。一方、松浦寿輝はミニマリズムの手法に対して題名にいうほどの喜びが作品に漲っているかと疑問を呈し、平野啓一郎は結末で対立が曖昧に呑み込まれたと指摘した。詩人出身の作家であり、その言語感覚が評価の中心となった。
出典 Sources
- 『この世の喜びよ』井戸川射子|講談社 紹介評価書誌
内容紹介、収録作、芥川賞受賞表示、ISBNを確認。
- この世の喜びよ|Amazon.co.jp 書誌
出版社、発売日、ページ数、ISBNを確認。
- 芥川賞受賞者一覧|日本文学振興会 評価
第168回/2022年下半期の受賞作として確認。
受賞・候補歴 Awards
井戸川射子のほかの収録作 More
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