わたしのこいびと
私の恋人
紹介 About
『私の恋人』は、クロマニョン人以来、転生を繰り返してきた「私」が人類史と恋を語る長編です。個人の恋愛が、文明、歴史、身体の記憶へと拡張される点に特徴があります。時間のスケールを大きく動かしながら、「私」と「恋人」という近い言葉を問い直す作品です。
評価 Reception
新潮社の公式ページで第28回三島由紀夫賞受賞作であることを確認した。NDLでも『新潮』の「第二十八回三島由紀夫賞受賞作 私の恋人」掲載レコードと2015年新潮社刊の単行本書誌を確認しています。
出典 Sources
- 三島由紀夫賞 受賞作一覧 - 新潮社 評価
公式ページで第28回(2015年)受賞作『私の恋人』を確認。
- 国立国会図書館サーチ『私の恋人』 書誌
- 国立国会図書館サーチ『第二十八回三島由紀夫賞受賞作 私の恋人』 評価
受賞・候補歴 Awards
上田岳弘のほかの収録作 More
- 001 2013 太陽 たいよう 新宿のホテル、アフリカの「赤ちゃん工場」、パリの蚤の市、インドの湖畔などを横断し、人類の欲望と未来を極端なスケールで描くデビュー小説集。表題作「太陽」は金、不老不死、核融合といったモチーフを扱い、現代社会の資本と身体をSF的想像力で押し広げる。純文学とSFを接続する破格の語りが特徴。 第45回 新潮新人賞
- 002 2014 太陽・惑星 たいよう・わくせい 『太陽・惑星』は、上田岳弘のデビュー期の作品を収める単行本で、「太陽」と「惑星」を中心に構成されています。個人の意識を、宇宙的なスケールや情報化された世界と接続する発想が見えます。既存データには新潮新人賞受賞作と芥川賞候補作を含むとあるが、今回の調査では公式確認できていません。
- 003 2016 異郷の友人 いきょうのゆうじん 『異郷の友人』は、上田岳弘が「異郷」と「友人」という距離のある言葉を結び、共同性と疎外を描く長編として整理できます。見知らぬ場所や社会の中で、友人という関係がどこまで成立するのかが問われます。個人の孤立を、世界の構造へ広げて考える作品です。
- 004 2017 塔と重力 とうとじゅうりょく 『塔と重力』は、上田岳弘が高く伸びる塔と、そこから逃れられない重力のイメージを通じて、現代社会の構造と個人の意識を描く作品集です。上昇への欲望と地上へ引き戻す力が、テクノロジーや都市的な感覚と結びつきます。抽象的な思考と物語性が交差する作品です。
- 005 2018 ニムロッド ニムロッド IT企業に勤める中本哲史は、社長から仮想通貨ビットコインの採掘(マイニング)事業を任される。彼の周りには、中絶と離婚の傷を抱える外資系勤務の恋人・田久保紀子と、小説家の夢に挫折し「駄目な飛行機コレクション」と題するメールを送ってくる同僚・荷室仁(ニムロッド)がいる。三人の日常に、天に挑んだバベルの塔… 第160回 芥川賞
- 006 2019 キュー キュー 平凡な医師である「僕」が突然拉致され、世界の趨勢をめぐる暗闘の中心に、長年寝たきりだったはずの祖父がいることを知る。新潮社公式は、祖父の秘密が「人類を一つに溶かす」使命に関わるものとして紹介している。戦争、愛、運命、人類の統合という大きな主題を、現代的な技術感覚と哲学的な思考実験の語りで押し広げる作…
- 007 2021 旅のない たびのない コロナ禍中の日々を映す四篇からなる、上田岳弘初の短篇集。恋人とのホテル、息子との散歩、甥を預かる夏、出張先の車中といった限られた場面を通して、移動が制限された時代の記憶、会話、自己認識を描く。大きな事件よりも、日常の小さな違和感や言葉のずれから世界の変化を浮かび上がらせる作品集。短い時間に人生の全体… 第46回 川端賞
- 008 2022 引力の欠落 いんりょくのけつらく 『引力の欠落』は、CFOとして企業の上場に関わり巨富を得た行先馨が、弁護士マミヤに招かれて奇妙なペントハウスへ向かう超現実的な小説。そこでは「始皇帝」や「本多維富」を自称する者たちがカードゲームに興じ、経済的充足の先に残る孤独と、何かが欠けた人間が別の段階へ移れるのかという問いが立ち上がる。現代の資…
- 009 2023 最愛の さいあいの 『最愛の』は、学生時代に手紙を交わした望未を忘れられない久島が、彼女の「忘れて」という願いに向き合い、自分のためだけの文章を書き始める恋愛長編である。情報や欲望を処理する現代的な主体と、手紙という遅い言葉の形式が対置され、恋愛を記憶・忘却・書くことの問題として掘り下げる。上田岳弘が繰り返し描いてきた…
- 010 2024 K+ICO ウーバーイーツ配達員のKと、TikTokerとして活動する女子大生ICOが、巨大な「システム」のなかで交錯していく長篇。ギグワーク、SNS、インターネットによる偶然の接続を現代的な意匠として扱いながら、カフカ『城』を象徴的な参照点にして、資本主義の抽象的な力と個人の孤独を重ねる。KとICO、それぞれ…
- 011 2024 多頭獣の話 たとうじゅうのはなし IT企業の幹部として働く「僕」の前に、会社員からトップYouTuberへ転身した元後輩・桜井君が再び現れる。彼は世界の危機を回避し、人類が進むべき方向を示すため、かつて存在した「完璧な文章」を取り戻そうと予言めいた言葉を発する。ビジネスの論理と神話的な使命感が同じ画面に並ぶことで、情報を信じることの…
- 012 2025 関係のないこと かんけいのないこと 『関係のないこと』は、パンデミック後の東京で、自分とは切り離してきたはずの出来事や他者の痛みが、ふいに生活へ入り込んでくる瞬間を描く作品集です。表題作では、弁護士として世間と折り合ってきた人物が、見ないようにしてきた「壁」に取り囲まれていく。淡々とした語りの中で、社会的な出来事を自分の外側に置く態度…