ぼくたちのほぞん
僕たちの保存
紹介 About
『僕たちの保存』は、語り手のゲンさん、年上の武上さん、引きこもりの甥シンスケ、人気漫画家の亀谷さんらが、新幹線、自転車、バス、テスラを乗り継いで旅に出るロードノベル。震災被害者の形見であるMSXパソコンが、過去と現在、記憶と情報の保存をつないでいく。データ、モノ、思い出の保存方法が変わっていく時代を、気負わない会話と移動のリズムで読ませる。サブカルチャーとパソコン以後の時間を背景に、残るものと失われるものを軽やかにたどる大人の青春小説である。
評価 Reception
文藝春秋公式とBooks/JPROは、千葉雅也の推薦コメントを掲げ、情報とモノの置き場が変化した約半世紀を描く作品として紹介している。文藝春秋公式では、著者が本作を語るポッドキャスト前後編と、宮内悠介との対談動画への導線も確認できる。NDLでは表題作の『文學界』2024年6月号掲載と単行本書誌を確認できるが、本作単体の主要文学賞受賞・候補は未確認である。
出典 Sources
- 『僕たちの保存』長嶋有|文藝春秋BOOKS 紹介評価書誌
内容紹介、目次、推薦コメント、ポッドキャスト情報、ISBN・発売日・ページ数を確認。
- 僕たちの保存|本の総合カタログBooks 出版書誌データベース 紹介評価書誌
- OpenBD『僕たちの保存』 書誌
文藝春秋、ISBN、著者名、価格を確認。発行日・内容紹介・書評情報は含まれないため、補助書誌として使用。
- 僕たちの保存|国立国会図書館サーチ 書誌
- 僕たちの保存(文學界掲載)|国立国会図書館サーチ 書誌
『文學界』2024年6月号掲載を確認。
長嶋有のほかの収録作 More
- 001 2001 サイドカーに犬 さいどかーにいぬ 小学四年生の夏、母が家出した薫の家に、父の知り合いである洋子さんが入り込んでくる。自転車を教えてくれ、缶コーヒーを飲み、堂々と振る舞う洋子さんと過ごしたひと夏を、大人になった薫が淡々と回想する。家庭の危機という湿りがちな題材を、軽やかでユーモラスな距離感と即物的なディテールで描き、深刻にならないのに… 第92回 文學界新人賞
- 002 2002 猛スピードで母は もうすぴーどでははは 芥川賞受賞作「猛スピードで母は」と、デビュー作「サイドカーに犬」を収める短篇集。子どもの視点から、奔放な母や家族の変化を、過度に説明せず鮮やかな場面で捉える。ユーモアと痛切さが同居し、家族小説を軽やかな速度で更新した作品。 第126回 芥川賞
- 003 2002 タンノイのエジンバラ たんのいのえじんばら 長嶋有の2002年の作品で、オーディオ機器を思わせる題名が、生活の中の音や記憶への感度を示す。公開情報は限定的だが、日常の小さな違和感や人間関係の距離を、静かでユーモラスな筆致で捉える長嶋作品の系譜に置ける。内容細部は追加確認が必要。
- 004 2003 ジャージの二人 じゃーじのふたり 仕事や家庭から少し離れた父と息子が、山の別荘で同じようなジャージを着て夏を過ごす。大きな事件の代わりに、食事、虫、テレビ、会話の間合いといった細部が積み重なり、親子でありながらどこか他人同士でもある二人の距離が浮かび上がる。長嶋有らしい、脱力したユーモアと静かな寂しさが同居する作品。
- 005 2004 パラレル ぱられる 長嶋有の2004年刊行作で、複数の関係や時間が「パラレル」に並んでいく感覚をもつ長編。日常の会話やちょっとしたすれ違いを淡々と積み重ね、劇的な和解よりも、近くにいるのに重なりきらない人間関係を描く。脱力したユーモアの中に、現代的な孤独がにじむ。
- 006 2005 泣かない女はいない なかないおんなはいない 泣かない、あるいは泣けない女性の姿を、恋愛や仕事の日常の中から描く長嶋有の中篇。感情を大きく説明せず、会話や行動の端に表れる違和感で、人物の孤独を浮かび上がらせる。ユーモラスな題名の裏に、強がりと弱さが同時にある作品である。
- 007 2006 夕子ちゃんの近道 ゆうこちゃんのちかみち 『夕子ちゃんの近道』は、商店街の人々をめぐる連作短篇集として、日常の小さな移動や出会いを描く作品です。大きな事件よりも、店、道、会話の連なりから人物の距離が変わる様子を見せます。長嶋有らしいユーモラスで少しずれた観察が、生活のなかの寂しさを軽く照らします。
- 008 2007 エロマンガ島の三人 えろまんがじまのさんにん 『エロマンガ島の三人』は、長嶋有の異色作品集として、奇妙な地名や設定から日常の感覚をずらしていく作品です。旅行記や冒険譚のような外見を借りながら、人と場所の距離感をユーモラスに扱います。題名の軽さの奥に、どこにも完全には属せない感覚が残ります。
- 009 2008 ぼくは落ち着きがない ぼくはおちつきがない 『ぼくは落ち着きがない』は、学校や図書室の空気を背景に、落ち着かなさを抱える若い人物たちの会話と距離を描く作品です。長嶋有らしい少しずれたユーモアが、青春の居場所のなさを軽く見せます。図書館的な静けさと、内側のざわつきの対比が読みどころです。
- 010 2009 ねたあとに ねたあとに 『ねたあとに』は、眠った後、起きた後に残る気配のようなものを、長嶋有らしい淡いユーモアで描く作品です。日常の会話や場面は軽く見えますが、人物同士の距離は少しずつ変化します。生活の小さな時間を、静かなずれとして読む小説です。
- 011 2010 祝福 しゅくふく 『祝福』は、長嶋有らしい抑えたユーモアで、日常の会話や記憶のずれをすくう作品です。大きな事件よりも、人が誰かを祝う、あるいは祝福できない瞬間の微妙な距離に焦点があります。平明な語りのなかで、家族や友人関係に残る孤独が静かに見えてきます。
- 012 2012 佐渡の三人 さどのさんにん 『佐渡の三人』は、佐渡という島の土地性を背景に、三人の人物の関係や記憶を描く長嶋有の小説です。島は閉じた場所でありながら、外から来る者と土地に残るものを結びつけます。長嶋作品らしい抑えたユーモアのなかで、家族や共同体への距離が見えてきます。
- 013 2013 問いのない答え といのないこたえ 『問いのない答え』は、長嶋有が問いと答えの関係をずらし、日常の会話や共同性の空白を描く長篇です。正解を求める物語ではなく、答えだけが先にあるような感覚のなかで人物たちがつながります。軽やかな文体の奥に、震災後の不確かさや言葉の扱いにくさが残ります。
- 014 2015 愛のようだ あいのようだ 『愛のようだ』は、長嶋有が「愛」と断言しきれない関係の曖昧さを描く長篇です。題名の「ようだ」は、感情を確定せず、似ているもの、ずれているものとして捉える姿勢を示します。軽やかな語りのなかに、親密さの不確かさが残る作品です。
- 015 2016 三の隣は五号室 さんのとなりはごごうしつ 『三の隣は五号室』は、ひとつのアパートの部屋に住んだ人々の時間を描く連作長篇です。部屋という固定された場所を軸に、入居者の生活、恋愛、仕事、記憶が時代をまたいで入れ替わります。個人よりも場所の記憶を前に出す構成が読みどころで、淡々とした語りの中に時間の厚みがあります。 第52回 谷崎賞
- 016 2017 もう生まれたくない もううまれたくない 『もう生まれたくない』は、長嶋有が生まれることへの拒否感を題名に掲げ、生活の倦怠や関係のずれを描く作品として整理できます。重い言葉を、日常的な会話や軽みのある文体の中に置くことで、絶望が少し奇妙な手ざわりを帯びます。生の重さをユーモアでずらす長嶋作品らしい小説です。
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- 020 2023 トゥデイズ とぅでいず 子育てのため郊外の大規模マンション「Rグランハイツ」に越してきた美春と恵示、五歳の息子コースケの一家を中心に、管理組合、リモートワーク、近隣住民との関わりが描かれる。大事件ではなく、住むこと、育てること、今日を続けることの小さな揺れを積み重ねる。日常の可笑しさと共同住宅の距離感を、長嶋有らしい軽やか…