Setting
家
舞台「家」に分類された 434 作品。
- 001 2026 吸血鬼 きゅうけつき 女性が中学生になると若さや美しさで十二等級に順位付けされ、社会的地位と財産のある男性に望まれれば十五歳で結婚を強いられる架空社会を描くディストピア長篇。拒否した女性は「へびつかい」と呼ばれ迫害される世界で、中学生の有紗は友人たちと学校生活を送りながら、美術館で出会ったアナウンサーの美優と開業医の白井…
- 002 2026 私的応答 してきおうとう 『私的応答』は、1995年の震災を経験した銅子と、母、娘の厚美を軸に、母娘三代の時間をたどる長編です。倒れたミシン、避難所の体育館、梅田で浴びたシャワーといった記憶が、年月を隔てても日常の奥で反響し続けます。震災の経験を大きな出来事としてだけでなく、家族の会話、沈黙、許しがたさの中に残るものとして描…
- 003 2026 姥皮 うばかわ 『姥皮』は、『新潮』2026年4月号掲載の創作です。女系の強い家に、大叔母あけ美さんから譲られた「皮」があるという奇譚を起点にします。「皮」は身体の一部でありながら、家に伝わるもの、受け渡されるものとして語られ、血縁と欲望の境界を曖昧にします。皮膚というもっとも個人的なものが家系の持ち物になる設定に…
- 004 2025 記念日 きねんび 『記念日』は、23歳のミナイ、42歳のソメヤ、76歳の乙部さんという年齢も境遇も違う女性三人が、奇妙なルームシェアをきっかけに交わっていく長篇です。「明日から、おばあさんになってみませんか?」という提案が、若さや老い、身体のままならなさ、他者と暮らすことの違和感を動かしていく。年齢や役割を一時的にず…
- 005 2025 移動そのもの いどうそのもの 『移動そのもの』は、表題作を含む九篇を収めた短篇集です。筑摩書房公式は、一文ごと一語ごとに世界が変化する作品として紹介しており、筋の説明よりも言葉そのものが読者を動かす体験が前面に出ています。市場、家、老い、旅などの場面が、詩と散文のあいだを跳ねるような語りによって小さな宇宙へ変わっていきます。収録…
- 006 2025 帰れない探偵 かえれないたんてい 語り手の「わたし」は世界探偵委員会連盟に属する探偵だが、探偵事務所でもあり家でもある部屋に突然帰れなくなる。急な坂の街、雨でも傘を差さない街、夏が続き夜が来ない街、砂と太陽の街など、変化し続ける世界の都市をめぐりながら、「帰れない」状態そのものを抱えたまま移動していく。事件を解決するよりも、街の手触…
- 007 2025 女の子の背骨 おんなのこのせぼね 『女の子の背骨』は、先天性筋疾患を抱える10歳の少女ガゼルの家族旅行を描く表題作と、中篇「オフィーリア23号」を収めた第二小説集です。病気の姉、障害をもつ身体、家族、性、文学表象をめぐる言葉が、前作『ハンチバック』以後の市川沙央の問題意識をさらに広げる。少女の身体をめぐる語りは、痛みや介助を説明する…
- 008 2025 たのしい保育園 たのしいほいくえん 『たのしい保育園』は、二歳のももちゃんと父が川べりを歩き、保育園へ向かい、連絡帳を書こうとする日々を描く連作小説です。育児のなかで消えていく一日一日の記憶を、父の観察と子どもの時間感覚の両方からすくい取ります。子どもの発語や歩幅に合わせる語りが、親の側の戸惑いと喜びも同時に浮かび上がらせます。大きな…
- 009 2025 遠くまで歩く とおくまであるく コロナウイルス感染拡大の中、小説家のヤマネは「身近な場所を表現する」実践講座を担当する。地図や映像を手がかりに、PC越しの参加者たちがそれぞれの記憶、忘れられない景色、言葉を語り合い、その記憶が別の記憶を呼び起こしていく。移動できない時期に、場所を語ることが別の場所へ歩いていく行為として立ち上がる…
- 010 2025 携帯遺産 けいたいいさん 「携帯遺産」は、人気ファンタジー作家・舟暮按が自伝小説の執筆を依頼され、自分の人生の記録を探索していく長編。実家の焼失、震災、父の失踪を背景に、作家が自らの人生を小説にすることの意味と、生き別れた父への接近が重ねられる。携帯端末や残された記録は、過去を保存する道具であると同時に、語り手が失われた家族…
- 011 2025 アナグマ あなぐま 『アナグマ』は、葬祭会社に出向した五十代の女性を語り手に、新しい職場での死との接触と、母の介護や看取りの記憶が重なるさまを描く作品です。死を扱う労働の現場と、家族内のケアの記憶が交差し、中年期の孤独と責任を静かな語りで見つめます。葬祭と介護という二つの場面を通じて、他者の死を手続きとして扱わざるをえ… 第11回 林芙美子賞
- 012 2025 橘の家 たちばなのいえ 『橘の家』は、中西智佐乃が『新潮』2025年3月号に発表し、同年6月に新潮社から刊行した小説です。幼い頃に2階から落ちたものの庭の橘の木のおかげで助かった恵実は、木の力を媒介する存在だという噂によって、子どもを望む人々から頼られるようになります。家に伝わる力への期待は、恵実の身体と役割を周囲の欲望に… 第38回 三島賞
- 013 2025 ズッキーニ病 ずっきーにびょう 『ズッキーニ病』は、『新潮』2025年4月号掲載の短篇です。特定の野菜に執着する母を、父の死以前から何かが変わっていたのではないかという回想的な視線で捉えます。食卓にあるはずの身近なものが、家族の記憶や母の変化を測る奇妙なしるしに変わり、日常の中で見過ごされてきた異変が少しずつ輪郭を持ちはじめる。家…
- 014 2025 ものごころ ものごころ 『ものごころ』は、植物、花、虫、生きものがあふれる子供の世界を、身体感覚ごと描く九篇の短篇集です。怪我をした犬を拾った少年たち、飲み込んだスモモの種をめぐる不安など、子供の視界に近い感受性から世界の手触りを探ります。子供の認識は無垢なものとして固定されず、身体の違和感や怖さ、周囲の大人との距離を含ん…
- 015 2025 庭に接ぐ にわに つぐ 『庭に接ぐ』は、才谷景が『海を吸う』で第60回文藝賞〈短篇部門〉優秀作となった後に発表した受賞第一作です。森へ続く〈庭〉のある家で暮らす父と娘を中心に、森から戻った父の変調と、二人きりの箱庭を侵食するものを描きます。2026年刊行のデビュー作品集『海を吸う/庭に接ぐ』に収録され、受賞作と並べて、身体…
- 016 2025 時の家 ときのいえ 『時の家』は、建築士が設計した一軒の家に暮らした三代の住人たちの記憶を、訪問者である青年のスケッチを通して呼び起こす作品です。丸柱、天井、漆喰の壁といった細部に、住む人の感情と時間が蓄積していきます。建物を見る行為が、そこにいた人々の声や関係を再構成する読みの装置になっています。家を単なる舞台ではな… 第47回 野間新人賞
- 017 2025 ごみのはての ごみのはての 『ごみのはての』は、独居老婆のごみ屋敷を清掃する便利屋たちと、そこに入り込む闇バイトの人物たちを描くハウスクリーニング小説です。悪臭と腐敗に満ちた家の中で、紛失した百万円、老婆の過去、闖入者が絡み合い、捨てるものと残すものをめぐる問いが立ち上がる。ごみに埋もれた一軒家を舞台に、社会から押し出された人…
- 018 2025 生活 『生活』は、代官山の古い家で父と暮らす二十歳の椿を中心に、服、恋愛、労働、書道、猫との日々を描く長篇です。新潮社公式ページでは、日々の出来事が「生活」と言えるのかという問いと、予測不能な展開を持つ小説として紹介されている。町屋良平らしい身体への意識と、語られること自体への批評性が、若者の生活の手触り…
- 019 2025 美土里倶楽部 『美土里倶楽部』は、夫を亡くした美土里と三人の女友達を中心に、死別後の暮らしを一年の時間で追う長篇です。中央公論新社公式ページは、夫の不在、墓、供養の問題に向き合う「未亡人倶楽部」の物語として紹介している。悲嘆を一方向に沈ませるのではなく、女友達どうしの会話や思案を通して、死者を抱えた生活の手触りを…
- 020 2024 普通の子 ふつうのこ 小学5年生の晴翔が教室のベランダから転落して骨折し、理由を語らないところから始まる長篇。母の佐久間美保は、夫の和弥との日常を続けながら、いじめの可能性を疑って真相を探る。その過程で、自身の小学生時代のいじめに関わる記憶がよみがえり、現在の親子と学校の問題、過去の記憶が交錯していく。『普通の子』という…
- 021 2024 新しい恋愛 あたらしいれんあい 『新しい恋愛』は、「花束の夜」「お返し」「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」「いくつも数える」の五篇を収める恋愛小説集。Books/JPRO掲載の講談社紹介は、ひと筋縄ではいかない五つの恋のかたちを描く作品集としている。恋愛の高揚よりも、相手に期待すること、理解したつもりになること、関係を名づけるこ…
- 022 2024 みんなのお墓 みんなのおはか 「内藤家之墓」に引き寄せられる人々を描く、共同墓地を軸にした群像劇。裸になる快感を追う主婦、「真理」がわからない小学生たち、夜のコンビニだけを日課にする引きこもり男性、宗教的な合宿に向かう若者、潔癖症の妻を持つ中年など、ばらばらの人物が悩みを抱えながら生きている。死者の場所である墓を、生きる者の傷や…
- 023 2024 無形 むけい 立ち退き勧告が進む海辺の団地を舞台に、年老い病を患う祖父と孫娘、親が失踪した姉弟、夫に先立たれた老女、友情以上の感情を育む少女たちなどの生活が重なっていく長編。形には残らない生活の喜びや悲しみを、団地に流れる季節と記憶のなかに描く。取り壊される場所の記憶を、誰か一人の所有物ではなく、複数の生活が交差…
- 024 2024 ナチュラルボーンチキン ナチュラルボーンチキン 45歳で一人暮らしの事務職・浜野文乃は、仕事、動画、ご飯という反復の生活を守ってきた。上司の指示で、捻挫を理由に在宅勤務を続ける若い編集者・平木直理の部屋を訪ねたことから、ホストクラブ通いの痕跡や奔放な価値観に触れ、忘れかけていた自分の欲望と向き合い始める。正反対に見える二人の出会いは、相手に救われ…
- 025 2024 サンショウウオの四十九日 サンショウウオのしじゅうくにち 外から見ればひとりの人間にしか見えないが、その身体には杏と瞬というふたつの意識が宿っている——半身ずつを分け合って生きる29歳の結合双生児の姉妹。父もまた、胎児のまま兄の身体に取り込まれた「胎児内胎児」として摘出されて生をうけた、稀有な来歴を持つ。その父の片割れともいえる伯父の訃報が届き、四十九日ま… 第171回 芥川賞
- 026 2024 死神 しにがみ うまくいかない作家の人生の節目ごとに、死神が現れるという設定の長編。語り手が中学二年のときに初めて出会った「こいつ」は、長く書くことのできなかった存在として回想され、死や家族の記憶と結びついていく。幻想的な相棒のようにも見える死神は、恐怖だけでなく、書くことから逃れられない作家の自意識を映す。死を擬…
- 027 2024 常盤団地の魔人 ときわだんちのまじん 常盤団地の三号棟に住む小学三年生の今野蓮は、喘息を抱え、学校ではまだ友人関係をつくりきれずにいる。団地に越してきた同い年のシンイチ、乱暴だが求心力をもつ年上の少年たち、老朽化した団地の池や空き地をめぐる出来事のなかで、蓮は子どもだけの社会にある憧れ、序列、暴力を少しずつ知っていく。冒険譚の軽やかさを…
- 028 2024 人にはどれほどの本がいるか ひとにはどれほどのほんがいるか 「人にはどれほどの本がいるか」は、在野の文化理論家・素人作家として生きた人物の蔵書、追悼、記憶をめぐる作品。朝日新聞出版さんぽで公開された冒頭では、地方紙のお悔やみ、研究会の追悼文、家業や蔵書の来歴が重なり、本を所有することと人生を支える言葉の関係が立ち上がる。死後に残る本や文章をたどる語りは、一人…
- 029 2024 ゲーテはすべてを言った げーてはすべてをいった 「ゲーテはすべてを言った」は、ゲーテ学者・博把統一が、ティーバッグのタグで出会った未知のゲーテの言葉を追う小説。原典調査と研究生活の記憶をたどる探索譚であり、引用、創作、学問の確かさそのものを物語の謎にしている。言葉の出典を探す学術的な手続きが、家族や研究者としての自己像を問い直す小説的な旅へ変わっ… 第172回 芥川賞
- 030 2024 最近 さいきん 『最近』は、パンデミック後の近い過去を背景に、平凡な夫婦と周囲の人々の生活を精密に追う連作長篇です。救急外来の待合室で想起される赤い猫の噂を入口に、家族、友人、病院、日々の手続きや会話が、不安と責任の曖昧さを呼び込みます。大きな事件ではなく、生活の中で少しずつ増えていく違和感や気配が連作のつながりを…
- 031 2023 前の家族 まえのかぞく 37歳の独身小説家・猪瀬藍が、中古マンションの購入を決意するところから始まるマイホーム奇譚。理想的に見えた物件には、そこに十二年間暮らした若い夫婦と幼い姉妹の「前の家族」の気配が残り、引っ越したはずの娘たちが藍の新居へ現れる。住まいを買うことが、部屋だけでなく周囲の環境や他者の記憶まで引き受けること…
- 032 2023 浮遊 ふゆう 高校生のふうかが、年上の会社経営者の男の家で暮らし、男の元恋人を象ったマネキンの下で夜ごとホラーゲームに没入する長篇。ゲーム内の悪霊から逃げる感覚と、現実の住まい、人間関係、身体へのまなざしが重なり、現実とゲームの境界が不穏に揺れる。ホラーゲームの逃走は娯楽であると同時に、現実の関係から抜け出せない…
- 033 2023 腹を空かせた勇者ども はらをすかせたゆうしゃども コロナ禍のさなか、陽気な中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と暮らしながら学校、友人、食べること、恋愛や家族の問題に向き合う青春長篇である。明るさと浅はかさを抱えた少女たちの日常を通して、困難が当たり前になった時代をどう生き抜くかが描かれる。従来の金原ひとみ作品の切迫した身体感覚を保ちつつ、軽やかな…
- 034 2023 いい子のあくび いいこのあくび 表題作は、公私ともに「いい子」でいる語り手が、歩きスマホの人をよけ続けるような小さな譲歩の積み重ねに「割りに合わなさ」を覚えるところから始まる。併録作「末永い幸せ」では結婚式の形式への違和感を通じて、祝福、ジェンダー、幸福の型が問い直される。社会に適応しているように見える人々の内側にあるざらつきを…
- 035 2023 かっかどるどるどぅ かっかどるどるどぅ 仕事、介護、家族、お金などの問題を抱え、孤立しながら生きる人々が、従来とは別のかたちで「共に生きる」道を探す群像劇。夢を捨てきれない60代の悦子、介護に明け暮れてきた芳江、非正規雇用を転々とする理恵、自死を考える保らが、食事をふるまう片倉吉野の古いアパートへ集まっていく。東北弁を含む声の響きと食卓の…
- 036 2023 黄色い家 きいろいいえ 2020年春、惣菜店に勤める花が、かつて疑似家族のように暮らした黄美子の事件記事を見つけるところから、二十年前の「黄色い家」の記憶が開かれる。少女たちはまっとうに稼ぐ道を失い、生活を守るためにより危うい金稼ぎへ踏み込んでいく。貧困、金、犯罪、記憶、家族の擬態を重ね、善悪で割り切れない生存の痛みを長い…
- 037 2023 夜のだれかの岸辺 よるのだれかのきしべ 十九歳の春、茜は八十九歳のソヨミから毎晩の添い寝と朝食を頼まれ、家計を助けるためにその仕事を受ける。血縁でも介護契約でもない奇妙な近さのなかで、若さと老い、孤独、生活の手触りが交わっていく。講談社公式の本文抜粋が示すように、語りは茜の現実感に根ざし、働くことと誰かのそばにいることの境目を静かに問う作…
- 038 2023 蝙蝠か燕か こうもりかつばめか 2022年2月に急逝した西村賢太の未刊行小説集で、完結作としては最後の表題作を含む三篇を収める。北町貫多が藤澤清造資料の調査や書簡の額装をめぐって動く「廻雪出航」「黄ばんだ手蹟」と、死の前年の貫多を描く「蝙蝠か燕か」によって、師への執着と自分の文学を問い直す。私小説的な分身を通じ、歿後弟子としての覚…
- 039 2023 流れる島と海の怪物 ながれるしまとうみのかいぶつ 母に連れられて行った屋敷で、「俺」は朱音と朱里という二人の姉妹に出会う。母がなぜ二人に会わせたのかという謎は、伯母から聞く出生の秘密と、姉妹の母の故郷である「流れる島」の神話へつながっていく。下関という土地、家族と血の記憶、少年と少女の出会いを、現実と神話が絡む濃密な語りで描いた長編である。『共喰い…
- 040 2023 最愛の さいあいの 『最愛の』は、学生時代に手紙を交わした望未を忘れられない久島が、彼女の「忘れて」という願いに向き合い、自分のためだけの文章を書き始める恋愛長編である。情報や欲望を処理する現代的な主体と、手紙という遅い言葉の形式が対置され、恋愛を記憶・忘却・書くことの問題として掘り下げる。上田岳弘が繰り返し描いてきた…
- 041 2023 植物少女 しょくぶつしょうじょ 『植物少女』は、出産時の脳出血で植物状態になった母の病室へ通う美桜の成長を通して、母と娘の関係がどう変わるかを描く長編である。母が「意思のある母」として応答できない状況を、単純な喪失や献身に閉じず、身体、ケア、親子関係の時間として見つめる。現役医師でもある著者の視点が、医療的な状況と家族の感情を乾い… 第36回 三島賞
- 042 2023 そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか? そこまでしておぼえるようなことばだっただろうか 言葉、文字、発音、身体感覚をめぐる四篇を収めた短篇集。発音できない一音によって自国から疎外される「クィ」、サッカーから人類の起源へ飛躍する思考、ひらがな・カタカナ・漢字を身体で渡るような文字の冒険、子の言語習得を前に立ちつくす猫木豊が描かれる。言葉を扱うことの自由さと不自由さを、実験的な形式と切実な…
- 043 2023 トゥデイズ とぅでいず 子育てのため郊外の大規模マンション「Rグランハイツ」に越してきた美春と恵示、五歳の息子コースケの一家を中心に、管理組合、リモートワーク、近隣住民との関わりが描かれる。大事件ではなく、住むこと、育てること、今日を続けることの小さな揺れを積み重ねる。日常の可笑しさと共同住宅の距離感を、長嶋有らしい軽やか…
- 044 2023 恋の幽霊 『恋の幽霊』は、町屋良平が2023年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 045 2023 新古事記 : an impossible story 『新古事記 : an impossible story』は、村田喜代子が2023年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 046 2022 はぐれんぼう はぐれんぼう 『はぐれんぼう』は、あさりクリーニング店で働く優子が、長く引き取りに来られない衣服「はぐれんぼちゃん」を持ち帰ったことから始まる長編である。翌朝、衣服が体を覆うようにまとわりつき、優子は持ち主たちを訪ねるが、服は次々に受け取りを拒まれる。トレンチコート姿のユザさんに導かれながら帰るべき場所を探す道行…
- 047 2022 デクリネゾン デクリネゾン 二度の離婚を経て中学生の娘・理子と暮らす小説家の志絵が、年下の大学生・蒼葉との同居を娘に告げるところから、母であることと恋愛することの緊張が露わになる長篇。仕事、家庭、恋愛のすべてを求める女性たちと、その周囲に生まれる家族的なつながりを描く。母子、ステップファミリー、欲望、生活の配分をめぐる会話が…
- 048 2022 春のこわいもの はるのこわいもの 『春のこわいもの』は、パンデミック前夜の東京を舞台に、六人の男女がそれぞれの欲望、不安、罪悪感に触れる短篇集である。ギャラ飲みに向かう女性、人生を振り返る老女、深夜の学校へ忍び込む高校生、親友を裏切りつづけた作家など、華やかさと孤独が隣り合う都市の断面が連ねられる。川上未映子の鋭い観察と身体感覚が…
- 049 2022 君たちはしかし再び来い きみたちはしかしふたたびこい 腹が破裂し死を告げられた「私」は、三度の入院、飼い猫の手術、コロナ禍を経て、痛みによって世界と自己の境界が変わっていくのを経験する。病の記録は歴史や宇宙、カフカ、『白鯨』、ブレイクなどへ跳躍し、私小説的な身体感覚と思想的な連想が重なる。時系列や視点を揺らしながら、病む身体から世界をもう一度呼び寄せる…
- 050 2022 嫌いなら呼ぶなよ きらいならよぶなよ 『嫌いなら呼ぶなよ』は、表題作を含む四篇で、有毒に暴走するコミュニケーションと、その遮断を描く短篇集である。妻の親友宅に招かれた「僕」が突然ミニ裁判にかけられる表題作をはじめ、美容整形、YouTuberへの粘着的なコメント、深夜まで続く助言など、現代的なつながりの圧力がブラックユーモアを帯びて展開す…
- 051 2022 くるまの娘 くるまのむすめ 17歳のかんこは、家族とともに車中泊をしながら祖母の葬儀へ向かう。狭い車内と旅先の景色は、父母と子のあいだに積み重なった暴力、依存、愛着を逃げ場なく浮かび上がらせる。少女の身体感覚に寄り添う濃密な語りが、家族を単純な加害と被害に分けられないものとして描き、読者に「救うなら誰を救うのか」という問いを突…
- 052 2022 まっとうな人生 まっとうなじんせい 『逃亡くそたわけ』から十数年後、花ちゃんとなごやんは富山で偶然再会する。かつて精神病院を抜け出して九州を旅した二人は、それぞれ家族を持ち、コロナ禍の同時代を生きる人として再び向き合う。富山の地名、食文化、方言、スーパーの細部までを織り込みながら、家庭を守ろうともがく花ちゃんの怒りや不安を、土地に根ざ…
- 053 2022 ミーツ・ザ・ワールド ミーツ・ザ・ワールド 焼肉擬人化漫画を愛する腐女子の会社員・由嘉里は、合コン帰りに酔いつぶれた新宿歌舞伎町で、キャバ嬢のライと出会う。ライの「この世界から消えなきゃいけない」という言葉をきっかけに共同生活が始まり、由嘉里は推しへの愛、三次元の恋、結婚や出産への思い込みを揺さぶられていく。対照的な二人の会話と歌舞伎町の人間…
- 054 2022 プリテンド・ファーザー ぷりてんど・ふぁーざー シングルファーザーとして四歳の娘を育てる恭平と、シッターとして働きながら一歳半の息子を育てる章吾が、互いの事情から四人で暮らし始める物語。高校の同級生だった二人の共同生活は、家事・育児・仕事の負担を分かち合う試みであると同時に、ケアとキャリアをめぐるひずみを可視化していく。血縁や恋愛関係だけではない…
- 055 2022 財布は踊る さいふはおどる 専業主婦の葉月みづほは、ある夢のために生活費を切り詰め、毎月二万円を貯金してきた。努力の末に夢を実現した直後、夫に二百万円以上の借金があることが発覚し、彼女の生活は大きく動き始める。ひとつの財布をめぐる六話を通じて、節約、借金、投資、奨学金、老後資金など、「今より少し、お金がほしい」人々の切実さと再…
- 056 2022 Schoolgirl すくーるがーる 表題作は太宰治「女生徒」を現代に移し、社会派YouTuberとして活動する14歳の娘と、小説に囚われた母のすれ違いを描く。娘の投稿が「女生徒」へ向かうことで、母娘の断絶は文学の記憶と現在のメディア環境のなかで照らし返される。第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」も併録し、学校、芸術、言葉への過剰な… 第73回 芸術選奨新人賞
- 057 2022 信仰 しんこう 『信仰』は、表題作を中心に短篇とエッセイを収めた全8篇の作品集です。表題作では、現実こそ正しいと強く信じる永岡が、同級生から新しいカルト商法を始めようと誘われます。「生存」「書かなかった小説」「最後の展覧会」などを通じて、信じること、現実、身体、創作、未来社会への違和感がさまざまな形で変奏されます…
- 058 2022 とんこつQ&A とんこつきゅーあんどえー 中華料理店「とんこつ」で働く「わたし」は、挨拶を覚えて居場所を得たかに見えるが、新人の「あの女」によって均衡を崩されていく。表題作ほか「嘘の道」「良夫婦」「冷たい大根の煮物」を収録し、普通の可笑しみの奥から人間の取り返しのつかない瞬間が顔を出す。短く平明な語りが、善意や純粋さの怖さをじわじわ見せる作…
- 059 2022 私の盲端 わたしのもうたん 表題作は、大学生活や飲食店のアルバイトを楽しんでいた涼子が、人工肛門とともに生きることになり、自分の身体の変化と周囲の視線に向き合う物語である。医師でもある作者が、病や障害を医学的説明だけに閉じず、身体の境界、恥、欲望、生活の手触りとして描く。併録の「塩の道」は第7回林芙美子文学賞受賞作で、朝比奈秋…
- 060 2022 あくてえ あくてえ 『あくてえ』は、山下紘加が『文藝』61巻2号に発表し、2022年7月に河出書房新社から刊行した小説です。小説家志望の19歳・ゆめは、90歳の祖母と母との3人暮らしの中で、ままならない日常を悪態に変えながら、自分の人生がこれから始まるという感覚へ向かいます。河出書房新社公式ページとBooks出版書誌デ…
- 061 2022 霊たち れいたち 『霊たち』は、『新潮』2022年5月号掲載の短篇です。語り手である「私」と息子に、遠い実家の先祖が見えるという問いを出発点に、旧家や家系の暗がりが日常へ入り込みます。血縁や記憶が現在の生活に影を落とす感覚を、マジックリアリズム的な語りで立ち上げる作品です。見えるものが本当に霊なのか、家族史の中で語り…
- 062 2022 耳の叔母 『耳の叔母』は、村田喜代子が2022年に書肆侃々房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 063 2021 あなたにオススメの あなたにオススメの 『あなたにオススメの』は、「推子のデフォルト」「マイイベント」の二篇からなる近未来小説集。身体に超小型電子機器を埋めて複数のコンテンツを同時に摂取する推子と、災害時の「安全」な住まいに優越感を覚える渇幸の姿を通じ、アルゴリズム化した消費、育児、階層意識が日常に入り込む怖さを描く。滑稽さを帯びた語りが…
- 064 2021 翼の翼 つばさのつばさ 『翼の翼』は、小学二年生の息子・翼が進学塾の全国テストをきっかけに中学受験へ向かい、母・円佳が塾、ライバル、保護者、家族の期待に巻き込まれていく長篇。子を思う気持ちが、親のプライドや世間の噂、家族内の力学と結びつき、愛情と支配の境目が見えにくくなる過程を描く。中学受験という制度の熱を通じて、家族の内…
- 065 2021 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか ははおやからのこづつみはなぜこんなにださいのか 『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』は、実家から届く小包をめぐって、昭和・平成・令和をまたぐ家族の思いを描く連作集。業者から買った野菜を実家からの荷物と偽る女性、父が受け取っていた小包の謎、母からの最後の荷物など、物の中にしまわれた気遣い、ずれ、寂しさが開封されていく。タイトルの軽さに対して…
- 066 2021 滅私 めっし 必要最低限の物だけで暮らすライターの男が、ミニマリストの同志が集うサイト運営と投資で生計を立てながら、自由でスマートな生活を手に入れている。物だけでなく人間関係にも淡泊だった彼の前に、昔の所業を知る人物が現れ、捨てたはずの過去が生活に影を落とす。所有を減らすことの快楽と、過去や欲望は簡単には消せない…
- 067 2021 水たまりで息をする みずたまりでいきをする ある日、衣津実は夫が風呂に入らなくなったことに気づく。夫は水が臭く、体につくと痒くなると言って入浴を拒み、やがて雨に濡れに外へ出るようになり、職場で体臭が問題にされる。退職と移住を経て、夫が川で水浴びをする生活へ向かう過程を、夫婦の問題として押し返される妻の視点から描き、身体、清潔、共同生活の境界を…
- 068 2021 長い一日 ながいいちにち 小説家の夫と妻が、住み慣れた家からの引っ越しを考え始めるところから、長くつきあってきた友人たち、日々の暮らし、失ってから気づく愛着や記憶が交差していく長編。出来事を大きな劇に仕立てるよりも、生活の中でふと立ち上がる静かな感情と、時間の伸び縮みをすくい取る。日記と小説のあわいを思わせる形式で、夫婦と住…
- 069 2021 Phantom ファントム 『Phantom』は、外資系食料品メーカーで働く元地下アイドルの華美が、株式投資によって給与収入と同じ配当を生む「分身」を作ろうとする長篇です。恋人の直幸は、使われない金を軽んじながら、オンラインコミュニティや物々交換の思想へ傾いていきます。投資、オンライン共同体、恋愛の齟齬を通して、現代の金融シス…
- 070 2021 ルーティーンズ るーてぃーんず 2020年春の緊急事態宣言下、保育園が休園した二歳の娘を、作家の夫と漫画家の妻が交替で見ながら過ごす日々を描く家族小説。社会が止まったように見える時間の中でも、子どもの成長や生活の反復は続いていく。短篇「願いのコリブリ、ロレックス」と表題作を収め、非常時の日常を長嶋有らしい軽やかな観察とユーモアで描…
- 071 2021 旅のない たびのない コロナ禍中の日々を映す四篇からなる、上田岳弘初の短篇集。恋人とのホテル、息子との散歩、甥を預かる夏、出張先の車中といった限られた場面を通して、移動が制限された時代の記憶、会話、自己認識を描く。大きな事件よりも、日常の小さな違和感や言葉のずれから世界の変化を浮かび上がらせる作品集。短い時間に人生の全体… 第46回 川端賞
- 072 2021 アンソーシャル ディスタンス アンソーシャル ディスタンス パンデミックに閉塞する社会で、生への希望だったバンドのライブ中止をきっかけに心中旅行へ向かう若い男女を描く表題作を含む作品集。ほかに、高アルコール飲料、整形、身体、インターネット上の視線など、追い詰められた人々の臨界点を描く作品を収める。コロナ禍の距離感を単なる時事性に閉じず、依存、疎外、自己破壊の… 第57回 谷崎賞
- 073 2021 骨を撫でる ほねをなでる 大阪南部の旧家に生まれた五十歳のふき子を中心に、分家、婿養子、老いた親、弟、病などが絡む家族の歪みを描く表題作。『いかれころ』と南河内・旧家・血縁の設定を共有しつつ、幼い視点ではなく中年女性と親族の関係から同じ因習を描き直す。土地と血縁から逃れきれない人間のしたたかさと弱さを、身体の衰えや骨の感触に…
- 074 2021 姉の島 『姉の島』は、村田喜代子が2021年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 075 2020 みがわり みがわり 『みがわり』は、新人賞を受けながら本を出せずにいる作家・律が、自分と瓜二つだった亡き女性の伝記執筆を依頼される長編。取材の過程で、姉妹の確執や家族の秘密、依頼そのものの不穏さが浮かび、律は他人の人生を書こうとするほど自分自身の物語も揺さぶられていく。伝記を書くことと書かれることの関係を通じて、自己像…
- 076 2020 fishy フィッシー 三十代の女性三人が、それぞれの恋愛、結婚、仕事、女友だちとの距離を抱えながら、言い切れない本音をにじませていく連作長篇。男に対する屈託や違和感を、単純な対立ではなく、関係性が少しずつ更新される過程として描く。会話と内面の揺れを重ね、友情、欲望、自立の輪郭が変わっていく読み味がある。恋愛よりも、女性同…
- 077 2020 来世の記憶 らいせのきおく 『来世の記憶』は、前世の殺人の記憶を抱えた近未来の語り手から、眠っている間に戦争が終わってしまう世界、冷蔵庫やスマートフォンや怪獣までをめぐる奇妙な出来事までを収めた20篇の短篇集。日常の手触りを残したまま身体や物や世界の前提がずれていくため、読み手は不条理な笑いと不安のあいだに置かれる。藤野可織ら…
- 078 2020 一橋桐子(76)の犯罪日記 ひとつばしとうこのはんざいにっき 76歳で一人暮らしの一橋桐子は、親友トモを亡くし、年金と清掃パートだけでは先行きの見えない老後に追い詰められる。孤独死で人に迷惑をかけるくらいなら刑務所に入ればよいのではないかと考え、万引、偽札、闇金、詐欺、誘拐、殺人と、より長く収監される方法を真剣に調べ始める。犯罪計画の滑稽さの奥に、貧困、老い…
- 079 2020 百年と一日 ひゃくねんといちにち 人や店、駅、家、空港、家族の記憶が、数ページの掌編の中で十年、二十年、百年の時間へ伸びていく短篇集。個々の人物の大事件ではなく、場所に積み重なる時間、誰かが去り誰かが来る反復、忘れられていく出来事の痕跡を描く。長いタイトルと淡々とした語りが、日常の一瞬を歴史の厚みへ接続する。33篇のあらすじ付き掌編…
- 080 2020 一人称単数 いちにんしょうたんすう 村上春樹の六年ぶりの短篇小説集で、「石のまくらに」から書き下ろしの表題作まで八篇を収める。音楽、野球、過去の記憶、奇妙な遭遇をめぐり、一人称の語りが自分自身の輪郭を少しずつずらしていく。公式紹介が掲げる「単眼」と「複眼」の比喩のように、私、僕、あなたという呼び名の揺れが、回想と虚構の境目を曖昧にする…
- 081 2020 今も未来も変わらない いまもみらいもかわらない 『今も未来も変わらない』は、40代のシングルマザーで小説家の星子を主人公にした長編。大学受験を控える娘を見守り、親友とカラオケやスーパー銭湯を楽しみ、元夫や20代の男性との関係にも揺れながら、星子の日常は静かににぎやかに続いていく。大きな事件よりも、娯楽、恋、親子、仕事の小さな重なりを通じて、大人が…
- 082 2020 犬のかたちをしているもの いぬのかたちをしているもの 間橋薫は卵巣の手術を経て、恋人の郁也とも性交渉から距離を置いて暮らしている。そこへ郁也の子を妊娠したという女性が現れ、子どもを育ててくれないかと唐突に持ちかける。集英社公式の紹介が示す「愛を証明する」問いは、恋人同士の倫理だけでなく、出産、身体、家族の期待へ広がっていく。薫の身体感覚と故郷の家族への… 第43回 すばる文学賞
- 083 2020 かきあげ家族 かきあげかぞく コメディ映画監督の中井戸八郎は、老境に差しかかりながらスランプの渦中にいる。長男の失職、長女の離婚、引きこもる次男によって家族が再び一つの家に集まるなか、名監督の遺稿をめぐる騒動が起き、八郎は家族の一人ひとりと向き合わざるをえなくなる。不安を拾い集めてしまう人間の弱さを、家族喜劇の形で描く。映画制作…
- 084 2020 木になった亜沙 きになったあさ 『木になった亜沙』は、表題作「木になった亜沙」「的になった七未」「ある夜の思い出」の三篇を収めた作品集。誰かに食べ物を差し出したい少女が木へ、さらに割り箸へと転じる表題作をはじめ、身体の境界や役割が奇妙にずれた状況が、純粋な願いと不穏さを同時に帯びて進む。童話のような単純さと残酷さを併せ持つ語りで…
- 085 2020 口福のレシピ こうふくのれしぴ 『口福のレシピ』は、フリーのSE兼料理研究家として働く留希子と、昭和二年の品川料理教習所で働くしずえの時間を行き来する家族小説。留希子は老舗料理学校を営む家の後継者であることに抵抗を抱きながらも、SNS発信をきっかけに料理研究家として認知されていく。簡単でおいしい献立企画をめぐる問題を通じて、家庭の…
- 086 2020 小鳥、来る ことり、くる 『小鳥、来る』は、夏休みの始まり、9歳の「おれ」が父を倒す日を待っているところから始まる長篇。周囲には、勉強のできる友人、万引きを繰り返す兄弟、学年一強い女子、何度も車にはねられる少年、動物園のゴリラがいて、子どもの日常が暴力とユーモアを帯びて浮かぶ。山下澄人らしい口語のリズムと飛躍する視点が、大人…
- 087 2020 肉体のジェンダーを笑うな にくたいのじぇんだーをわらうな 『肉体のジェンダーを笑うな』は、夫の胸から「父乳」が出る話や、PMSを体験できるサーフボードの話などを収めた小説集。身体に結びつけられた性別役割を、SF的な設定や軽やかなユーモアでずらし、家族・ケア・労働の当たり前を問い直す。現実の制度を直接論じるより、ありえたかもしれない身体の可能性を想像すること…
- 088 2020 推し、燃ゆ おし、もゆ 「推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。」という一文から始まる。高校生のあかりは、学校でも家庭でも周囲の求める「普通」をうまくこなせず、アイドルグループの一員である「推し」上野真幸を解釈し応援することだけを生活の軸、自らの「背骨」として生きている。推しの炎上をきっかけに、彼の芸能活動もあかりの日常も少… 第164回 芥川賞
- 089 2020 流卵 りゅうらん 『流卵』は、中学2年の男子が性の目覚めとオカルト的な妄想に取りつかれ、自分を「選ばれた民」とみなして向こう側の世界へ進もうとする長篇。河出書房新社公式は、官能と陶酔を帯びた吉村萬壱版『金閣寺』として紹介している。母親に「ヘンタイ」と呼ばれる少年の半生をたどる書評もあり、性・信仰・自己神話が混ざる不穏…
- 090 2020 うつくしい羽 うつくしいはね 表題作『うつくしい羽』と『あさぎり』などを収めた、上村渉の初小説集。OpenBDの版元提供情報は、食の記憶が過去を呼び覚ます作品として、離婚で心の支えを失った男と、フランス修業時代に大切な人を失った料理人の軌跡を紹介している。併録作『あさぎり』では、十五歳の少女の一時保護を通して、家族の絆と外国人労…
- 091 2020 愛の色いろ あいのいろいろ 『愛の色いろ』は、ポリアモリーをめぐる四人の男女の関係を描いた書き下ろし長篇。ひとつの恋愛規範に収まらない愛の形を扱い、信じることと不安になることが同時に起きる心の動きを追う。関係性の自由さだけでなく、嫉妬、誠実さ、生活の実感まで含めて読む作品として位置づけられる。
- 092 2020 白野真澄はしょうがない しろのますみはしょうがない 『白野真澄はしょうがない』は、同じ名前を持つ複数の人物を配した短編集。五人それぞれの生活の結び目や言いづらい秘密を描き、名前という共通点から個々の人生のずれや切実さを浮かび上がらせる。東京創元社の内容紹介では『ミステリーズ!』掲載作を含む短編集として確認でき、日常小説に軽い謎の感触が重なる。
- 093 2020 坂下あたると、しじょうの宇宙 『坂下あたると、しじょうの宇宙』は、町屋良平が2020年に集英社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 094 2020 ふたりでちょうど200% 『ふたりでちょうど200%』は、町屋良平が2020年に河出書房新社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 095 2019 私の家 わたしのいえ 祖母の法要で一堂に会した親戚たちを起点に、三世代にわたる一族の記憶と秘密をたどる連作短編集。同棲相手に追い出されて戻る梓、過去にこだわる母、孤独を愛する大叔母らの章が重なり、家族であっても他人のように分かり合えない距離を描く。家という場所を、帰る場所であると同時に逃れがたい記憶の容器として読ませる。
- 096 2019 君たちは今が世界 きみたちはいまがせかい 『君たちは今が世界』は、小学校という閉じた場で、子どもたちの関係、序列、沈黙の圧力が日々の世界そのものになっていく様子を描く長篇。副題的に示される英題「All grown-ups were once children」が示すように、子ども時代を単なる回想ではなく、現在進行形の切実な社会として捉える…
- 097 2019 アタラクシア アタラクシア 結婚生活の苦しさや不倫、家庭内の苛立ちを抱える複数の男女を描く群像長編。翻訳者の由依、シェフの瑛人、パティシエの英美、作家の桂らの視点を通じて、望んで結婚したはずなのに救われない人々の孤独と愛情への渇望が交錯する。倫理や制度では割り切れない親密さの痛みを、金原ひとみらしい熱量で描く。結婚を安定した到…
- 098 2019 父と私の桜尾通り商店街 ちちとわたしのさくらおどおりしょうてんがい 商店街でパン屋を営む父を手伝う娘を描く表題作を中心に、「白いセーター」「ルルちゃん」「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」「モグラハウスの扉」を収めた短篇集。家族、店、近隣関係のごく日常的な場面から、今村夏子らしい微細なずれや不穏さが立ち上がる。平明な語り口の奥で、親しさと疎外、子どもっぽさと残酷…
- 099 2019 出来事 できごと 『季刊文科』連載「転落」を単行本化した長篇。OpenBDの出版社由来データでは、見慣れた日常世界が歪み、人間の嘘や文明の虚妄が露出していく哲学小説として紹介されている。吉村萬壱の身体感覚の強い描写と、日常を異様なものへ反転させる語りが読みどころになる。
- 100 2019 DRY どらい 不倫の末に二人の子を置いて家を出た北沢藍が、十年ぶりに実家へ戻るところから始まる長編。母と祖母の暮らす袋小路の家、そして祖父を一人で介護する幼馴染・馬場美代子の家を通じて、家族、介護、女性の行き場のなさが暗く絡み合う。光文社公式が示す袋小路の家に潜む罪の構図どおり、生活の現実がサスペンスへ変質してい…
- 101 2019 瓦礫の死角 がれきのしかく 『瓦礫の死角』は、父の性犯罪によって解体した家族の記憶と、服役を終えようとする「あの人」の影を描く表題作を中心にした短篇集。講談社公式は、十七歳で無職の北町貫多が、刑期を終えようとする父、復讐に怯える母、消息不明の姉を抱えた家族の瓦礫に向き合う物語として紹介している。「病院裏に埋める」と表裏をなす不…
- 102 2019 ひよこ太陽 ひよこたいよう 一緒に住んでいた女に去られ、切り詰めた生活のなかで小説を書こうとする40代の男を描く連作小説集。書けない日々と死への誘惑に取り憑かれた語り手は、母から頼まれた人探しをきっかけに、現実と幻想の境界が揺らぐ世界へ入っていく。書けなさ、不在、生活の索漠さを見つめる私小説的な作品。
- 103 2019 かか かか 19歳の浪人生うーちゃんは、離婚を機に心を病み、酒に酔っては荒れる母「かか」と、弟とともに暮らしている。かかを誰より愛しながらその存在に苦しむうーちゃんは、かかの痛みが自分の身体にも及ぶような一体感のなかで、「自分がかかを生み直すしかない」という切実な祈りを抱え、ひとり熊野へと旅に出る。SNSの裏ア… 第33回 三島賞
- 104 2019 待ち遠しい まちどおしい 北川春子、夫を亡くした青木ゆかり、新婚の遠藤沙希という世代も立場も異なる三人の女性が、ご近所付き合いを通じて少しずつ関わる長編。住まいの距離の近さと、価値観や人生段階のずれが生む噛み合わなさを、柴崎友香らしい生活の手触りのなかで描く。年齢、結婚、独居、見えにくい困難をめぐり、人はどこまで互いを判断せ…
- 105 2019 まずはこれ食べて まずはこれたべて 池内胡雪は、散らかった社内と不規則な生活に疲れながらベンチャー企業で働く三十歳。社長が会社に家政婦を雇ったことで、無愛想な筧みのりが作る料理が、殺伐とした職場に小さな休息をもたらしていく。食べることを通じて、労働の疲れ、ケアの手触り、人と人が同じ場にいることの温度を描く連作短編集。料理の題名を冠した…
- 106 2019 人間 にんげん 『人間』は、若い日に創作を志す者たちが集ったシェアハウスの記憶と、38歳になった「僕」の現在を往還する長篇。表現者になりたいという願い、仲間と暮らす時間の高揚、その後に残る成功や挫折の差が、自己像を問い直す物語として重なっていく。又吉直樹の初の長編として、芸術への憧れだけでなく、他者と比べながら生き…
- 107 2019 おっぱいマンション改修争議 おっぱいまんしょんかいしゅうそうぎ 天才建築家が設計した、通称「おっぱいマンション」と呼ばれるヴィンテージマンションを舞台にした長篇。立地もデザインも人気を集める一方で重大な問題が発覚し、建築家の娘、学生運動あがりの元教師、秘密を抱えた住人たちを巻き込む改修争議が起こる。建築という表現物、住まいの記憶、共同体の利害がぶつかる騒動を、軽…
- 108 2019 リボンの男 りぼんのおとこ 主人公の常雄は、自分を「ヒモ」ではなく「リボン」と言い換える専業主夫。三歳のタロウと野川沿いを歩く日常のなかで、家事や育児に値段をつけにくい社会、父であること、働くことの意味が静かに問い直される。山崎ナオコーラらしい平明な言葉で、家族の役割分担やジェンダー規範を大げさな対立ではなく生活の手触りから描…
- 109 2019 生命式 せいめいしき 『生命式』は、死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作を含む、著者自選の12篇を収めた短篇集です。OpenBDでは「素敵な素材」「素晴らしい食卓」「街を食べる」「孵化」などの収録作が確認できます。食、死、身体、家族の常識を別の社会の習俗として反転させ、正常さの輪郭を揺さぶる一冊です。推薦コメント群が…
- 110 2019 趣味で腹いっぱい しゅみではらいっぱい 『趣味で腹いっぱい』は、結婚後に絵手紙、家庭菜園、小説などの趣味に興じる鞠子と、仕事一筋で生きてきた銀行員・小太郎をめぐる長篇。上達や成果を急がない趣味の時間が、仕事中心の価値観や夫婦の距離を少しずつ揺らしていく。生活のなかの小さな楽しみを通して、役に立つことだけでは測れない生き方を描く。
- 111 2019 藁の王 わらのおう 小説家として一冊だけ本を出した語り手が、巨大私立大学で創作を教えることになり、学生たちの苦悩と自身の行き詰まりに向き合う表題作を含む作品集。新潮社公式は、文学の迷宮や小説の樹海を彷徨う人々を描く作品集として紹介している。書くこと、読むこと、他者の言葉に侵されることの怖さを、静かな幻想性と記憶の反復で…
- 112 2019 夜はおしまい よるはおしまい 「夜のまっただなか」「サテライトの女たち」「雪ト逃ゲル」「静寂」を収めた短篇集。夜、逃避、静けさといった収録作名が示すように、関係の余白や孤独を抱えた人物たちの時間を描く。島本理生の恋愛や家族関係をめぐる繊細な筆致を、より暗く静かなトーンで味わえる作品集として位置づけられる。短篇ごとの状況を急いで説…
- 113 2019 夢も見ずに眠った。 ゆめもみずにねむった 『夢も見ずに眠った。』は、夫を熊谷に残して札幌へ単身赴任した沙和子が、夫婦のすれ違いと離別を経て、新しい愛と信頼の形へ向かう長篇。岡山、札幌、熊谷など土地の記憶や物語が、二人の関係の変化と響き合う。移動する生活のなかで、結婚や家族の安定ではなく、相手を信じ直す距離を探るところが読みどころになる。
- 114 2019 背高泡立草 せいたかあわだちそう 草に覆われた納屋をめぐる作業を起点に、土地に積もった記憶と家族史が立ち上がる作品。島の一族をめぐる複数の声や時間が重なり、目の前の草刈りが過去を掘り起こす行為へと変わっていく。方言や多層的な語りによって、地方の生活と歴史が静かに接続される。人の営みが途絶えても草木が残り続ける感覚が、一族の記憶を土地… 第162回 芥川賞
- 115 2019 レンファント れんふぁんと 『レンファント』は、育児休暇中の父親が、重い皮膚疾患を抱える子の看護と妻との関係に直面するデビュー作です。育児参加をめぐる理想と現実、ケアの身体的・精神的負荷を、家庭の内側から描きます。父親の当事者性を問う点で、家族小説としてもケアの文学としても読めます。 第124回 文學界新人賞
- 116 2019 そこどけあほが通るさかい そこどけあほがとおるさかい 『そこどけあほが通るさかい』は、大阪の濃密な地域社会と家族関係のなかで、毒の強い祖母と暮らす女性の日常を関西弁で描く作品です。方言の勢いと閉じた生活圏の圧力が、笑いと息苦しさを同時に生みます。家族の親密さが暴力的な支配にもなる感触を、口語の熱量で押し出す第62回群像新人文学賞当選作です。 第62回 群像新人賞
- 117 2019 おいしい家族 おいしいかぞく 『おいしい家族』は、「すばる」2019年8月号に掲載され、同年9月に集英社から単行本化されたふくだももこの小説です。母の三回忌に故郷の島へ帰った橙花が、母の服を着た父、義妹、見知らぬ人々が家族のように食卓を囲む場に向き合います。集英社公式の文庫版紹介では、性別、血縁、国籍を超えた新しい家族のかたちを…
- 118 2019 犬のかたちをしているもの いぬのかたちをしているもの 『犬のかたちをしているもの』は、卵巣手術後に性交渉を拒むようになった三十歳の薫が、恋人の子を妊娠した女性から子どもを引き取らないかと提案される物語。快楽、生殖、子どもを持つことをめぐる問いが、恋愛関係や身体の履歴と重なって進む。集英社文芸公式は「一人の女性の醸成してきた問い」の行方を描く作品として紹… 第43回 すばる文学賞
- 119 2019 青いポポの果実 あおいぽぽのかじつ 三島由紀夫賞受賞後第一作として『新潮』2019年12月号に150枚で掲載された短篇。十歳の少女ナナが、自分を「僕」と呼び、母や自らの女性性への拒否感を抱えながら、関西近郊の家族と奇妙な隣人の閉ざされた世界を見つめる。思春期前の身体感覚、性への嫌悪、生へのもがきを強い口語感とともに描く。のちに作品集『…
- 120 2019 ぼくはきっとやさしい 『ぼくはきっとやさしい』は、町屋良平が2019年に河出書房新社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 121 2019 愛が嫌い 『愛が嫌い』は、町屋良平が2019年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 122 2019 ショパンゾンビ・コンテスタント 『ショパンゾンビ・コンテスタント』は、町屋良平が2019年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 123 2018 あなたの愛人の名前は あなたのあいじんのなまえは 『あなたの愛人の名前は』は、すれ違う大人の恋愛を描く六篇の作品集。集英社公式が示す「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は、同じ関係を別々の視点から照らし、同じ部屋にいても互いの心が決定的にずれていく痛みを描く。欲望、秘密、婚約、浮気、世間の価値観に揺れる心を、島本理生らしい繊細な心理の動きとし…
- 124 2018 ブルーハワイ ぶるーはわい 『ブルーハワイ』『辰年』『聖ミクラーシュの日』『わかれ道』『山の上の春子』『わたしのおばあちゃん』を収めた短篇集。河出書房新社は、「あたりまえ」を知らない孤独が世界を撃ち抜く作品集として紹介している。日常のなかでそれぞれのことに夢中になる人々を、平明で少し乾いた語りで捉え、家族や記憶、他者との隔たり…
- 125 2018 みなさんの爆弾 みなさんのばくだん 「初恋」「譲治のために」「メアリーとセッツ」など六篇を収め、女性たちの内部に抱え込まれた欲望や怒り、関係の歪みを描く短篇集。同性への欲望、母と息子の倒錯的な結びつき、創作や日常に潜む衝動が、それぞれの「爆弾」として立ち上がる。平穏に見える生活の奥で感情が臨界に近づく瞬間を、鋭くも読みやすい語りで追う…
- 126 2018 地球星人 ちきゅうせいじん 『地球星人』は、恋愛、セックス、生殖を当然視する地球の仕組みを「人間工場」のように感じる語り手が、どう生き延びるかを問う長編です。新潮社公式紹介では、恋人と誓った魔法少女が世界と対峙する物語として位置づけられています。少女期の魔法少女的な自己像から、家族、性、生殖、暴力をめぐる社会の圧力へ進む、村田…
- 127 2018 ファーストラヴ ふぁーすとらぶ 就職活動中の女子大生・聖山環菜が父を刺殺した事件を、臨床心理士の真壁由紀がノンフィクション執筆のために追う長編。由紀は弁護士の庵野迦葉とともに面会を重ね、環菜の供述の揺れや家族関係の奥にあるものへ近づいていく。殺人事件の謎を追うミステリの緊張感と、家族という閉じた関係の迷宮を重ねた作品。
- 128 2018 雪子さんの足音 ゆきこさんのあしおと 東京出張中の薫は、大学時代を過ごした高円寺のアパートの大家・雪子さんが熱中症でひとり亡くなったことを新聞記事で知り、20年ぶりにその場所へ向かう。アパートへ近づく道のりと回想を重ねながら、大家と下宿人、若者と年長者、好意と負担の境目が少しずつ浮かび上がる。日常の会話や距離感の微細な違和を通して、人間…
- 129 2018 偽姉妹 にせしまい 宝くじで3億円を当てた正子が、風変わりな「屋根だけの家」を建て、離婚後に姉妹との共同生活へ入っていく家族小説。血縁や結婚に縛られた関係に息苦しさを覚えた正子は、姉妹もまた別れたり新しく作ったりできるのではないかと考え始める。山崎ナオコーラらしい軽やかな語りで、家族制度の当たり前、女性同士の距離、暮ら…
- 130 2018 落としもの おとしもの 踏切のあいだに落ちていたバッグを「わたし」が落とし主より先に奪い取ってしまう表題作をはじめ、寝たきりの祖母と過ごす夏、バイト仲間との雑魚寝で身体に触れられる夜などを収める短編集。日常のすぐ脇にある他者との距離、善意と不安、死への衝動を、乾いた手触りの短篇として立ち上げる。単行本未収録だった6作品をま…
- 131 2018 三千円の使いかた さんぜんえんのつかいかた 御厨家の女性たちが、結婚、子育て、入院、離婚、老後といった局面でお金の使い方に向き合う連作短篇集。節約や貯金のノウハウに寄せつつ、家族の役割、将来不安、生活を立て直す知恵を物語として読ませる。具体的な金額や家計の話が、女性たちの選択と自立をめぐる現実的なドラマになっている。
- 132 2018 静かに、ねぇ、静かに しずかに、ねぇ、しずかに 「本当の旅」「奥さん、犬は大丈夫だよね?」「でぶのハッピーバースデー」の3篇を収める作品集。海外旅行の写真投稿、ネットショッピング依存、動画撮影で自分たちだけの印を残そうとする夫婦など、SNSやスマートフォン越しにしか確かめられない現実感を描く。軽妙な語りの底に、承認欲求、支配、親密さの不安がにじみ…
- 133 2018 たてがみを捨てたライオンたち たてがみをすてたらいおんたち 専業主夫を考える30歳の出版社社員・直樹、離婚後の孤独を抱える35歳の広告マン・慎一、アイドルを追う25歳の公務員・幸太郎という三人の男性を並べる長編。仕事の評価、家事・育児、父親像、恋愛や趣味を通じて、「大人の男」らしさやプライドの重さを問い直す。軽く読ませる群像劇の形を取りながら、弱音を吐きにく…
- 134 2018 つかのまのこと つかのまのこと かつての住み家らしき「この家」をさまよい続ける「わたし」が、次々に入れ替わる住人たちを見守る物語。幽霊のような語り手の視点から、家に残る記憶と、誰かを待ち続ける時間が静かに積み重ねられる。柴崎友香が俳優・東出昌大をイメージして小説を書き、市橋織江の写真と組み合わされた、写真と小説の境界を意識した一冊…
- 135 2018 私に付け足されるもの わたしにつけたされるもの 「四十歳」「白竜」「Mr.セメントによろしく」「瀬名川蓮子に付け足されるもの」など十二篇を収める短篇集。虎に襲われたい、くっつけたい、あきらめたい、移動したいといった、くだらなくも切実な願望を起点に、日常のずれや欲望の不可思議さを軽やかに描く。長嶋有らしいユーモアと観察眼が、平凡な生活に付け足される…
- 136 2018 ウィステリアと三人の女たち ウィステリアとさんにんのおんなたち 「彼女と彼女の記憶について」「シャンデリア」「マリーの愛の証明」「ウィステリアと三人の女たち」の4篇を収める短篇集。同窓会、デパート、女子寮、廃墟となった屋敷を舞台に、女性たちが不確かな記憶と死の気配に触れていく。記憶、死、救済、自己同一性が幻想的な気配で重なり、なだらかな散文がいつのまにか現実の足…
- 137 2018 前世は兎 ぜんせはうさぎ 表題作「前世は兎」のほか、「夢をクウバク」「宗教」「沼」「梅核」「真空土練機」「ランナー」を収める短篇集。兎だった前世の記憶を持つ女、カタログを書き写すことで不安を鎮める休職中の教員、破滅後の世界でマラソンに選ばれる姉など、現実の足場をずらす設定が並ぶ。身体、性、信仰、労働不能や破滅のイメージを通じ…
- 138 2018 わるもん わるもん 『わるもん』は、硝子職人の父がいつの間にか家族から取り除かれたように見える家で、純子が父の痕跡をたどり始める物語。母や姉たち、家に現れる男性との関係が、純子の視点から少しずつ歪んで見えてくる。集英社の対談では、時間軸や純子の正体をめぐるわからなさも作品の魅力とされ、家族という閉じた船を外から見つめる… 第42回 すばる文学賞
- 139 2018 ラッコの家 らっこのいえ 『ラッコの家』は、老女の意識の流れを前面に出した小説です。文藝春秋公式の紹介では、夢と現実が交錯する老女の内面と、見えないからこそ見えてくるものが焦点化されている。古川作品に通底する家族、島の時間、記憶のゆらぎを、より内面の流れへ寄せて読む作品として位置づけられる。
- 140 2018 いかれころ いかれころ 昭和58年頃の南大阪を舞台に、四歳の奈々子の視点と後年の回想を通して、分家の暮らし、本家との格差、両親の不和、叔母の縁談を描く。河内弁の題名は「踏んだり蹴ったり」に近い不運の感覚を含み、土地と血縁の因習が幼い語りの中に濃く立ち上がる。差別や結婚規範、家父長的な親族関係を、日常会話に潜む価値判断として… 第50回 新潮新人賞
- 141 2018 庭 にわ 『庭』は、虫、草花、動物、人間の暮らしが隣り合う十五篇からなる短篇集です。ふきのとう、彼岸花、どじょう、蟹、家グモなど身近なものが、暮らしの中の不条理や喜びを帯びて不可思議な世界を開きます。新潮社公式ページ掲載の書評が指摘するように、あっさりした題名と濃密な本文、現実と幻想の自然な共存が読みどころで…
- 142 2018 しき 『しき』は、町屋良平が2018年に河出書房新社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 143 2018 エリザベスの友達 『エリザベスの友達』は、村田喜代子が2018年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 144 2018 火環 : 八幡炎炎記 完結編 『火環 : 八幡炎炎記 完結編』は、村田喜代子が2018年に平凡社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 145 2017 ハッチとマーロウ はっちとまーろう 11歳の誕生日に母から「大人を卒業する」と告げられた双子のハッチとマーロウが、突然自分たちの生活を引き受けることになる長編。料理や服選び、双子であることの個性、父の不在といった日常の問いを通じて、子どもから大人へ向かう時間を軽やかに描く。かわいらしい双子の語り口の奥に、母子関係や自立の痛みが少しずつ…
- 146 2017 踊る星座 おどるせいざ 『踊る星座』は、青山七恵が人と人の距離や、日常の中の小さな変化を星座のように配置する小説として整理できます。星座は離れた点を線で結ぶ見方であり、人物たちの孤独や関係もそのように読み替えられます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 147 2017 クラウドガール クラウドガール 『クラウドガール』は、対照的な姉妹・杏と理有の視点を往復しながら、姉妹の愛憎と記憶のずれを描く長編です。クラウドという題名は、記憶や関係が固定されず、曖昧に保存される感覚を示します。姉妹の語りを通じて、家族の親密さと傷つけ合いが浮かび上がります。
- 148 2017 ドレス どれす 『ドレス』は、「テキサス、オクラホマ」「マイ・ハート・イズ・ユアーズ」「真夏の一日」「愛犬」「息子」「ドレス」「私はさみしかった」「静かな夜」を収める短篇集です。OpenBDで収録作と2017年11月刊行の書誌を確認でき、NDLでは単行本と『文芸』掲載レコードを照合できます。表題作を含む複数の短篇を…
- 149 2017 星の子 ほしのこ 中学3年生の林ちひろは、優しい両親に愛されて育った。だが両親は、生まれつき病弱だったちひろが「あやしい宗教」の水で救われたと信じて以来、その教団に深くのめり込んでいる。緑のジャージ姿で頭に濡れタオルを載せる両親は周囲の目を引き、姉は家を出て、親戚との関係も軋んでいく。一目惚れした新任の先生に、夜の公… 第39回 野間新人賞
- 150 2017 ほしのこ ほしのこ 『ほしのこ』は、山下澄人が星や子どものイメージを通して、記憶と身体の感覚をずらして描く小説として整理できます。題名のひらがな表記は、幼さと遠さを同時に感じさせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 151 2017 意識のリボン いしきのリボン 『意識のリボン』は、「岩盤浴にて」「こたつのUFO」「ベッドの上の手紙」「履歴の無い女」「履歴の無い妹」「怒りの漂白剤」「声の無い誰か」「意識のリボン」を収める短篇集です。OpenBDで収録作と2017年12月刊行の書誌を確認でき、NDLでは単行本と『すばる』掲載レコードを確認できます。日常の部屋や…
- 152 2017 高架線 こうかせん 『高架線』は、東京の古いアパートの住人たちの来歴を、語り手を替えながらたどる長編です。高架線の下や周辺にある生活圏が、移動する都市とそこに留まる人びとの時間を結びます。複数の語りが重なり、場所に蓄積する記憶を立体的に読む作品です。
- 153 2017 もう生まれたくない もううまれたくない 『もう生まれたくない』は、長嶋有が生まれることへの拒否感を題名に掲げ、生活の倦怠や関係のずれを描く作品として整理できます。重い言葉を、日常的な会話や軽みのある文体の中に置くことで、絶望が少し奇妙な手ざわりを帯びます。生の重さをユーモアでずらす長嶋作品らしい小説です。
- 154 2017 血と肉 ちとにく 『血と肉』は、中山咲が身体と血縁、暴力的な生の感覚を扱う小説として整理できます。血は家族や継承を、肉は身体そのものの存在感を指し、抽象的な関係を物質的に捉え直します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 155 2017 茄子の輝き なすのかがやき 『茄子の輝き』は、「お茶の時間」「わすれない顔」「高田馬場の馬鹿」「茄子の輝き」などを収める連作短篇集です。Books/JPROの紹介では、別れた妻の面影、震災後の不安、同僚との会話など、不確かな記憶をめぐる場面を扱う作品として示されています。大きな事件よりも、日常の会話や街の断片に残る熱を拾い、滝…
- 156 2017 おらおらでひとりいぐも おらおらでひとりいぐも 主人公は東北出身、74歳の桃子さん。結婚を目前に故郷を飛び出して上京し、住み込みの仕事、周造との結婚、二児の子育て、そして夫との突然の死別を経て、いまは東京郊外の家にひとりで暮らす。静かな日々のなか、桃子さんの内から標準語と懐かしい東北弁の無数の「声」が湧き上がり、孤独や老い、夫への思い、これからの… 第158回 芥川賞
- 157 2017 ラジオ・ガガガ らじおががが 『ラジオ・ガガガ』は、「三匹の子豚たち」「アブラヤシのプランテーションで」「リトルプリンセス二号」「音にならないラジオ」など6篇を収める短篇集です。題名が示すラジオ的な声や音の感覚を軸に、家族、親族、仕事や生活のつながりを短篇ごとにずらして描く作品として整理できます。OpenBDで収録作は確認できる…
- 158 2017 千の扉 せんのとびら 『千の扉』は、三千戸規模の都営団地を舞台に、永尾千歳と夫・一俊、一俊の祖父・日野勝男らの時間をたどる長篇です。骨折で入院した勝男に人探しを頼まれた千歳は、いるのかどうかも定かでない人物を探して巨大な団地を歩きます。団地に住む人々、喫茶店、女子中学生、家族の記憶が重なり、都市の住宅空間を土地と生活史の…
- 159 2017 芝公園六角堂跡 しばこうえんろっかくどうあと 『芝公園六角堂跡』は、「芝公園六角堂跡」「終われなかった夜の彼方で」「深更の巡礼」「十二月に泣く」を収める作品集です。文藝春秋BOOKSは、北町貫多が師・藤澤清造の終焉地に佇む場面と、私小説を書く理由を問う作品集として紹介しています。藤澤清造への執着、夜の東京、作家としての惑いが重なり、西村賢太の私…
- 160 2017 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして わたしたちはぎんのふぉーくとくすりをてにして 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』は、島本理生が食事、薬、恋愛を結びつけて、身体と親密さを描く小説として整理できます。銀のフォークは生活の華やぎを、薬は病や不安を示し、その二つが同じ手に置かれます。恋愛の甘さだけでなく、身体の脆さを含んだ関係を読む作品です。
- 161 2017 私をくいとめて わたしをくいとめて 『私をくいとめて』は、おひとりさま生活を送る33歳のみつ子が、脳内の相談役「A」と対話しながら恋に踏み出す物語です。ひとりでいる自由と、他者と関わる不安が、軽快な内面の会話として描かれます。恋愛小説でありながら、自己防衛と孤独の扱い方を読む作品です。
- 162 2017 ゆっくりおやすみ、樹の下で ゆっくりおやすみ、きのしたで 小学5年生のミレイが「さるすべりの館」で夏休みを過ごすうち、遠い過去の謎に触れていく児童文学寄りの長編。赤い部屋、止まっていた時計、館に隠された秘密が、子どもの視点に近い軽やかさと不思議な緊張感で語られる。今日マチ子の挿絵を多数収録し、高橋源一郎が子どもと大人の読者をつなぐ語りに挑んだ作品。
- 163 2017 四時過ぎの船 よじすぎのふね 『四時過ぎの船』は、九州の島の古い家と祖母の記憶をめぐる中篇です。現在の稔が空き家を片付ける時間と、認知症を抱えた祖母佐恵子が孫を待つ過去の時間が交互に響き合う。島、家、日記、船の時刻という具体物を通じて、家族の記憶が取り戻される瞬間と取り戻しきれない隔たりを描く。
- 164 2016 あひる あひる 『あひる』は、文学ムック『たべるのがおそい』創刊号に掲載された表題作に、書き下ろしの「おばあちゃんの家」「森の兄妹」を加えた三篇の作品集です。表題作では、あひるを飼うことになった家族と、学校帰りに集まってくる子どもたちのいる日常が描かれます。何気ない暮らしの安堵に差し込む影や、淡々とした語りの中で露…
- 165 2016 少女は花の肌をむく しょうじょははなのはだをむく 『少女は花の肌をむく』は、朝比奈あすかが少女の身体と成長への違和感を扱う小説として整理できます。花の肌を「むく」という題名は、柔らかさや美しさの裏にある痛みを想起させます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 166 2016 イノセント いのせんと 『イノセント』は、島本理生が無垢さと傷つきやすさをめぐる恋愛・家族の物語として描く長編と整理できます。無垢であることは守られる状態であると同時に、他者に利用されやすい危うさも含みます。親密な関係の中で、自己決定と依存の境界が揺れる作品です。
- 167 2016 軽薄 けいはく 『軽薄』は、甥である10代の弘斗と関係を持つ30歳のカナの、破滅的な愛を描く長編です。禁忌の関係を通じて、欲望、孤独、自己破壊が露出します。軽さを意味する題名とは裏腹に、人物の身体と倫理の重さが息苦しく迫る作品です。
- 168 2016 小松とうさちゃん こまつとうさちゃん 『小松とうさちゃん』は、絲山秋子が人物の距離感と、うさぎのような柔らかなイメージを組み合わせて描く小説として整理できます。固有名と愛称が並ぶ題名から、親密さとずれたコミュニケーションが立ち上がります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 169 2016 虫たちの家 むしたちのいえ 『虫たちの家』は、九州の孤島にあるグループホームで、インターネットで傷ついた女性たちが共同生活を送る物語です。家という避難所は、保護の場であると同時に、傷ついた人びとの距離を測り直す場所になります。現代的な孤立とケアの問題を、共同生活の細部から読ませる作品です。
- 170 2016 大きくなる日 おおきくなるひ 『大きくなる日』は、佐川光晴が子どもの成長と家族の時間を描く小説として整理できます。成長は単に年齢を重ねることではなく、家族や学校の中で自分の場所を見つけ直す経験として描かれます。日常的な出来事を通して、青春と家族の関係を読みやすくたどれる作品です。
- 171 2016 三の隣は五号室 さんのとなりはごごうしつ 『三の隣は五号室』は、ひとつのアパートの部屋に住んだ人々の時間を描く連作長篇です。部屋という固定された場所を軸に、入居者の生活、恋愛、仕事、記憶が時代をまたいで入れ替わります。個人よりも場所の記憶を前に出す構成が読みどころで、淡々とした語りの中に時間の厚みがあります。 第52回 谷崎賞
- 172 2016 手のひらの京 てのひらのみやこ 『手のひらの京』は、京都に暮らす奥沢家の三姉妹それぞれの恋愛や仕事、旅立ちを描く長編です。京都という歴史ある街を、観光的な風景ではなく、家族が日々を重ねる生活の場所として扱います。姉妹の視点を通して、土地への愛着と外へ出ていく感覚が並行して描かれます。
- 173 2016 美しい距離 うつくしいきょり 『美しい距離』は、妻の末期がんに寄り添う夫の視点から、死に向かう日常を静かに描く小説です。看病や病院での時間を、劇的な悲嘆ではなく、相手との距離を測り続ける営みとして捉えます。死を前にした夫婦の親密さと孤独を、抑えた語りで読ませる作品です。
- 174 2016 人生のアルバム じんせいのあるばむ 『人生のアルバム』は、『文學界』2016年5月号に第121回文學界新人賞受賞作として掲載された渡辺勝也のデビュー作。人生をアルバムのような記録として捉える既存梗概に沿い、記憶と現在の関係を扱う作品として整理した。公式・公的書誌では受賞と掲載情報は確認できるが、本文内容や選評本文の詳細は未確認である。 第121回 文學界新人賞
- 175 2016 そういう生き物 そういういきもの 薬剤師の千景とスナック勤めのまゆ子は、高校の同級生として10年ぶりに再会し、思いがけず一緒に暮らし始めます。二人が心に秘めてきた過去を軸に、愛と性、心と体が思いどおりにならない感覚を描く作品です。再会と共同生活の静かな場面から、親密さの難しさと身体の記憶が浮かび上がります。 第40回 すばる文学賞
- 176 2016 縫わんばならん ぬわんばならん 九州長崎の漁村の島を舞台に、一族をめぐる四世代の来歴を女性の語りで編む作品。ほころびていく意識から湧き出る声を拾い、記憶の断片を縫い合わせるように家族史を立ち上げる。方言と声の流れが、過去・記憶・語り継ぎの主題を支えている。島の生活と老いの身体感覚が、個人史を超えた時間の厚みを生む。 第48回 新潮新人賞
- 177 2016 人の樹 『人の樹』は、村田喜代子が2016年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 178 2016 焼野まで 『焼野まで』は、村田喜代子が2016年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 179 2015 愛のようだ あいのようだ 『愛のようだ』は、長嶋有が「愛」と断言しきれない関係の曖昧さを描く長篇です。題名の「ようだ」は、感情を確定せず、似ているもの、ずれているものとして捉える姿勢を示します。軽やかな語りのなかに、親密さの不確かさが残る作品です。
- 180 2015 あこがれ あこがれ 『あこがれ』は、小学生の麦彦とヘガティーの友情と淡い憧れを描く川上未映子の連作長篇です。子どもの視点を通じて、名前、身体、家族への違和感が瑞々しく描かれます。明るい成長物語であると同時に、他者になりたい気持ちの切実さを読む作品です。
- 181 2015 繭 まゆ 『繭』は、青山七恵が閉じた空間や保護される感覚を手がかりに、女性の内面を描く小説として整理できます。繭は守るものでもあり、外へ出る前の窮屈な状態でもあります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 182 2015 あの子が欲しい あのこがほしい 『あの子が欲しい』は、朝比奈あすかが子どもや他者への欲望をめぐる感情を描く小説として整理できます。題名の「欲しい」は、愛情、羨望、所有の境界を曖昧にします。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 183 2015 自画像 じがぞう 『自画像』は、朝比奈あすかが自己像と他者からの視線をめぐる不安を描く小説として整理できます。自画像は自分を描く行為であると同時に、見られる自分を作る行為でもあります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 184 2015 天使はここに てんしはここに 『天使はここに』は、朝比奈あすかが救いを求める人物たちの孤独を描く小説として整理できます。天使という言葉は超越的な存在であると同時に、身近な誰かへの希望にも読めます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 185 2015 痴者の食卓 ちしゃのしょくたく 『痴者の食卓』は、西村賢太が食卓という生活の場に、屈辱や欲望、関係のこじれを持ち込む小説として整理できます。食べる場は穏やかな家庭の象徴ではなく、人物の弱さや執着が露出する場所になります。私小説的な語りで、生活の荒れと孤立を読ませる作品です。
- 186 2015 学校の近くの家 がっこうのちかくのいえ 『学校の近くの家』は、青木淳悟が学校と家という近接した場所から、子どもや地域の記憶を描く小説として整理できます。近いはずの場所同士の間に、共同体の視線や距離が生まれます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 187 2015 薄情 はくじょう 『薄情』は、群馬の地方都市に生きる男を通して、土地への愛着と冷淡さを描く絲山秋子の長篇です。故郷や人間関係は温かいものとしてだけでなく、切り捨てたり距離を置いたりするものとして現れます。地方の生活感と、人の薄情さを見つめる乾いた文体が読みどころです。 第52回 谷崎賞
- 188 2015 異類婚姻譚 いるいこんいんたん 結婚して4年になる専業主婦の「私」は、家ではテレビとゲームに没頭するだけの夫と、波風のない生活を送っている。ある日ふと、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気づいた「私」。やがて夫の顔は緩み、溶け、人間の形を失っていくように見え始める。捨てられた飼い猫の行方や、揚げ物に異常に執着する夫の変容… 第154回 芥川賞
- 189 2015 無銭横町 むせんよこちょう 『無銭横町』は、西村賢太が北町貫多の生活、金銭、鬱屈を私小説的に描く作品集として整理できます。横町という場は、貧しさや人づきあいの狭さを抱えた生活圏として機能します。金のなさ、怒り、屈辱を乾いた語りで押し出すところに読みどころがあります。
- 190 2015 夏の裁断 なつのさいだん 『夏の裁断』は、執筆を辞めた女性小説家のもとに若い男性が現れ、破綻した恋愛が始まる長編です。書くことを断った人物が、恋愛や身体の関係を通じてもう一度言葉に絡め取られていきます。夏の熱と「裁断」という語の冷たさが、恋愛の高揚と自己破壊の感覚を並置しています。
- 191 2015 ネンレイズム/開かれた食器棚 ねんれいずむ/ひらかれたしょっきだな 『ネンレイズム/開かれた食器棚』は、山崎ナオコーラが年齢や生活道具をめぐる価値観を問い直す小説集として整理できます。年齢に付随する役割や、食器棚のような身近な場所にしまわれた日常が、人物の自己像を形づくります。軽い語り口の奥に、社会の分類に回収されない生き方への関心があります。
- 192 2015 スクラップ・アンド・ビルド スクラップ・アンド・ビルド 無職で資格試験の勉強と転職活動を続ける28歳の健斗は、母と、87歳の祖父との三人暮らし。「早う死にたか」と口癖のように繰り返す祖父に対し、健斗は介護職の友人の助言をひねって解釈し、あえて何もかも世話を焼いて自立の機会を奪う「足し算の介護」によって、祖父の望む穏やかな死を後押ししようと思い立つ。同時に… 第153回 芥川賞
- 193 2015 心臓異色 しんぞういしょく 『心臓異色』は、中島たい子が身体の違和感と人間関係のずれを扱う小説として整理できます。心臓という生命の中心と、「異色」という言葉が、普通であることから外れる感覚を示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 194 2015 消滅世界 しょうめつせかい 『消滅世界』は、人工授精が発達し、夫婦間のセックスが近親相姦のようにタブー視されるもう一つの日本を描く長編です。主人公・雨音は、父母の性行為によって生まれたことを抱えながら、セックスのない清潔な家族を作ろうとします。やがて夫の朔とともに実験都市「楽園」へ移り、家族によらない繁殖システムと向き合うこと…
- 195 2015 虚ろまんてぃっく うつろまんてぃっく 『虚ろまんてぃっく』は、吉村萬壱が恋愛や欲望のロマンティックな外形を、空虚さや不穏さへずらして描く作品として整理できます。題名のひらがな表記は、甘さと不気味さが同居する感触を生みます。身体、性、孤立をめぐる違和感が、読後にざらつきを残す小説です。
- 196 2015 ウォーク・イン・クローゼット ウォーク・イン・クローゼット 『ウォーク・イン・クローゼット』は、綿矢りさが衣服、部屋、自己像をめぐる女性の感覚を描く小説です。クローゼットは外に見せる姿を準備する場所であり、同時に隠しておきたい自分をしまう場所でもあります。親密さと自意識の揺れを、軽やかで鋭い語りで読ませる作品です。
- 197 2015 ものかげの雨 ものかげのあめ 『ものかげの雨』は、第1回林芙美子文学賞佳作の表題作を含む高倉やえの短篇集です。Books.or.jpの内容紹介では、老いを底に置きながら、人の悲喜や心の機微を、ときにユーモラスに、ときに官能的に描く作品集として紹介されている。通訳者としての経歴を持つ著者の晩年デビュー作として、人生経験の陰影を短篇…
- 198 2015 地に満ちる ちにみちる 『地に満ちる』は、竹林美佳の第39回すばる文学賞佳作です。自らの過失で子を亡くしたカナが、離婚、不眠、睡眠セラピー、人工授精技師としての仕事を抱えながら生きる姿を描きます。喪失と生殖医療の精密な描写が交差し、壊れた内面と職能の冷静さが同居する点に緊張があります。
- 199 2015 生鮮てるてる坊主 せいせん てるてる ぼうず 『生鮮てるてる坊主』は、山田詠美の短篇集『珠玉の短編』に収められた川端康成文学賞受賞作です。講談社の紹介・レビューでは、エロスとグロテスクを絡めた技巧的な短篇として扱われ、短篇集全体の濃密な読み味を代表する作品に位置づけられています。身体感覚や欲望が不穏な比喩へ反転していく、山田詠美らしい文体の強度… 第42回 川端賞
- 200 2015 八幡炎炎記 『八幡炎炎記』は、村田喜代子が2015年に平凡社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 201 2014 風 かぜ 『風』は、青山七恵が移ろいやすい感情や生活の変化を、静かな文体で扱う小説として整理できます。風という題名は、人物の内面を直接説明するよりも、周囲の空気や関係の揺れとして読ませます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 202 2014 不自由な絆 ふじゆうなきずな 『不自由な絆』は、朝比奈あすかが人と人を結ぶ関係の重さを描く小説として整理できます。絆は美しいつながりではなく、家族や友人関係を縛る不自由さとして現れます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 203 2014 春の庭 はるのにわ 離婚を機に世田谷の取り壊し予定のアパートに越してきた太郎は、隣に建つ水色の洋館を熱心に観察する住人の女・西と知り合う。漫画家の西は、高校時代に魅了された写真集『春の庭』の舞台がその家であることを知り、この場所へ引っ越してきたのだった。二人は次第にその水色の家への接近を試みるようになる。再開発で消えて… 第151回 芥川賞
- 204 2014 スープの国のお姫様 すーぷのくにのおひめさま 『スープの国のお姫様』は、食べることや料理をめぐる感覚から、家族やケアのあり方を描く樋口直哉の小説として整理できます。スープという身近な料理は、身体を温めるだけでなく、関係を結び直す媒介になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 205 2014 清とこの夜 きよとこのよる 『清とこの夜』は、夜の時間を背景に、人物の孤独や記憶を描く広小路尚祈の小説として整理できます。題名は人名と「この夜」を結び、特定の一夜に凝縮される関係や感情を思わせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 206 2014 彼女の家計簿 かのじょのかけいぼ 『彼女の家計簿』は、戦前から三世代にわたる女性たちを、家計簿という生活記録で結ぶ原田ひ香の長篇です。数字や支出の記録は、家族史、労働、ジェンダーの記憶を読み解く手がかりになります。日々の細部から女性の生の選択をたどる作品です。
- 207 2014 コルバトントリ コルバトントリ 『コルバトントリ』は、山下澄人が意味をすぐには回収しにくい言葉と、身体の記憶を結びつける小説として整理できます。題名の異物感そのものが、人物の経験を通常の物語に収めない姿勢を示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 208 2014 LIFE らいふ 『LIFE』は、松波太郎が生きることそのものを題名に掲げ、身体、生活、言葉の不安定さを描く小説です。人物の経験は分かりやすい筋に回収されず、断片的な感覚として立ち上がります。純文学の実験性と生活感が同居する作品です。 第36回 野間新人賞
- 209 2014 猫の目犬の鼻 ねこのめいぬのはな 『猫の目犬の鼻』は、丹下健太が動物的な感覚や身近な生活の違和感を扱う作品として整理できます。視線や嗅覚を思わせる題名は、人間関係を別の感覚で捉え直す入口になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 210 2014 寝相 ねぞう 『寝相』は、滝口悠生の最初期作品を収める小説集で、睡眠や身体の姿勢のような無意識の領域に、人物の記憶や関係がにじみます。既存データでは新潮新人賞受賞作「楽器」を含む最初の小説集とされています。日常の細部がゆっくりずれていく語りが読みどころです。
- 211 2014 女のいない男たち おんなのいないおとこたち 『女のいない男たち』は、「ドライブ・マイ・カー」「イエスタデイ」「木野」などを収める村上春樹の短篇集です。女性を失った、あるいは理解できなかった男性たちの孤独が、語り直しや回想を通じて浮かび上がります。恋愛小説でありながら、喪失後に残る空白そのものを読む作品集です。
- 212 2014 Red れっど 『Red』は、専業主婦がかつての恋人との再会をきっかけに、不倫と欲望へ踏み込んでいく島本理生の長篇です。家庭、性愛、母であることの役割が衝突し、主人公の身体と自己決定が問われます。官能的な筆致で、恋愛の昂揚と生活の閉塞を同時に描く作品です。
- 213 2014 ルンタ ルンタ 『ルンタ』は、山下澄人が土地、身体、記憶の断片を独特の語りでつなぐ小説です。題名の音の響きは意味をすぐには固定せず、人物の経験を通常の筋からずらしていきます。身体に残る感覚を、乾いたユーモアと不穏さで読ませる作品です。
- 214 2014 臣女 しんにょ 『臣女』は、吉村萬壱が身体、服従、権力関係を不穏に描く小説として整理できます。題名は、誰かに従属する女性像や、支配の構造を想起させます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 215 2014 疒の歌 やまいだれのうた 『疒の歌』は、北町貫多の青年期を描く西村賢太の長篇私小説です。病だれを含む題名が示すように、身体の不調、生活の荒み、内面の歪みが語りの中心になります。自己嫌悪と執着を、乾いた文体で押し出し、青年期の孤立を生活の手ざわりから読ませる作品です。
- 216 2014 熊の結婚 くまのけっこん 『熊の結婚』は、諸隈元の第118回文學界新人賞受賞作です。年収の低いアルバイトとして絵を描く夫と、弁護士として働く妻の奇妙な夫婦関係を、体外受精や離婚、息子の成長を含む長い時間の流れのなかで描きます。断定しては打ち消すような反復的な語りと言葉遊びが、夫婦小説でありながら寓話めいた読後感を生んでいます… 第118回 文學界新人賞
- 217 2014 アルタッドに捧ぐ あるたっどにささぐ 小説を書いている本間の原稿用紙の上で、作中の少年が死に、その少年が飼っていたトカゲのアルタッドが現れるところから始まる。現実の生活と書かれた虚構が継ぎ目なく接続され、創作することそのものが物語の中心に置かれる。青春小説でありながら、虚構の根源へ向かうメタフィクションとして読める。 第51回 文藝賞
- 218 2014 ヤモリ、カエル、シジミチョウ やもり かえる しじみちょう 『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』は、江國香織による長編小説で、第51回谷崎潤一郎賞受賞作です。小学生の男の子の視点を軸に、家族と子どもたちの世界を繊細な感覚でたどる作品として整理しました。大きな事件よりも、家庭や身近な生き物をめぐる細部から、子どもの時間の不思議さを浮かび上がらせる点が読みどころです… 第51回 谷崎賞
- 219 2014 屋根屋 『屋根屋』は、村田喜代子が2014年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 220 2013 めぐり糸 めぐりいと 『めぐり糸』は、糸がめぐるように人と人の縁や記憶が結び直される青山七恵の小説です。関係は一直線に進まず、ほどけたり絡まったりしながら人物の現在を形づくります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないが、連載レコードと単行本書誌から、時間をかけて展開した作品であることが分かります。
- 221 2013 憧れの女の子 あこがれのおんなのこ 『憧れの女の子』は、朝比奈あすかが女性同士の視線や自己像の揺れを扱う小説として整理できます。題名の「憧れ」は、好意や羨望だけでなく、自分との差異を意識させる感情として働きます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 222 2013 晩年様式集(イン・レイト・スタイル) ばんねんようしきしゅう 『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』は、東日本大震災後に書き継がれた大江健三郎晩年の長篇です。老いた作家の自己検証、家族、死者の記憶が重なり、作品を書くことそのものが喪失への応答として描かれます。大江の後期小説群を締めくくるように、長い息の文体で過去と現在を往還します。
- 223 2013 おはなしして子ちゃん おはなしして こちゃん 『おはなしして子ちゃん』は、藤野可織らしい奇妙な会話感覚と、日常のずれを前面に出した作品集です。話すこと、聞くこと、物語にされることの不穏さが、幼さを帯びた題名と対照をなします。公開資料では収録作の細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 224 2013 爪と目 つめとめ 『爪と目』は、幼い娘、父、父の恋人をめぐる関係を、視覚と身体感覚の不穏さから描く短篇です。家庭内の出来事は、保護されるはずの子どもの目を通して、異様な近さと距離を同時に帯びます。語りの中心に視覚を置くことで、家族と暴力の境目を静かに揺さぶる作品です。 第149回 芥川賞
- 225 2013 憤死 ふんし 『憤死』は、表題作を含む綿矢りさの短篇集で、怒りや恥、身体の違和感を寓話的に扱います。日常の些細な場面から、人物の内側に溜まった毒気がふいに噴き出します。軽く読める語りの奥に、自己像を保てない不安が残る作品集です。
- 226 2013 ギッちょん ギッちょん 『ギッちょん』は、山下澄人が身体の記憶や言葉になりにくい経験を、断片的な語りで立ち上げる小説です。題名の音の感触そのものが、人物の不器用さや世界とのずれを示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 227 2013 昼田とハッコウ ひるたとはっこう 『昼田とハッコウ』は、二つの名前が並ぶ題名どおり、人物同士の距離や関係の変化を追う山崎ナオコーラの小説です。親密さは劇的にではなく、会話や生活の小さな差異として描かれるタイプの作品として読めます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 228 2013 自分を好きになる方法 じぶんをすきになるほうほう 『自分を好きになる方法』は、主人公リンデの人生から六つの一日を切り出し、自己肯定の難しさを描く本谷有希子の長篇です。人生の節目を大きなドラマではなく、身体感覚や他者とのずれとして捉えます。題名の明るさと、実際の生きづらさの落差が読みどころです。 第27回 三島賞
- 229 2013 棺に跨がる かんにまたがる 『棺に跨がる』は、北町貫多ものの系譜に属し、秋恵との同棲の終わりを軸にする西村賢太の連作集です。語りは私小説的で、屈辱、執着、生活の破綻がむき出しの文体で綴られます。恋愛や家族の物語というより、自己破壊的な男の孤立を読む作品です。
- 230 2013 燃える家 もえるいえ 『燃える家』は、下関を舞台に家族と国家の暴力を問う大長篇として既存データに記録されている田中慎弥作品です。家という場所は保護の空間ではなく、血縁、地域、歴史が燃え移る場として扱われます。今回の調査では単行本レコードをNDLで確認できなかったため、紹介は既存データと関連する『群像』書誌に基づく暫定情報…
- 231 2013 ピン・ザ・キャットの優美な叛乱 ぴんざきゃっとのゆうびなはんらん 『ピン・ザ・キャットの優美な叛乱』は、飼い猫と生まれた息子の境界が揺らぐ感覚を核に、家族・身体・動物的な気配を奇妙な寓話へ変形させる小説。河出書房新社は、猫をめぐるかつてない小説として紹介し、現実の秩序が少しずつずれていく不穏さを前面に出している。語りのユーモアと不安が同時に立ち上がる、荻世いをらら…
- 232 2013 わたしは妊婦 わたしはにんぷ 『わたしは妊婦』は、妊娠という身体の変化を手がかりに、家族、性、自己像の揺れを描く大森兄弟の小説です。妊婦である「わたし」は、祝福される存在であると同時に、周囲の視線や制度にさらされます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 233 2013 歪んだ忌日 ゆがんだきじつ 『歪んだ忌日』は、西村賢太が忌日と記憶をめぐる感情のねじれを描く私小説的作品です。故人への思いは清らかな追悼ではなく、怒り、屈辱、生活の停滞を含んだものとして現れます。乾いた語りで、喪失と執着の歪みを読ませます。
- 234 2013 穴 あな 仕事を辞めて夫の田舎へ移った語り手が、黒い獣を追って土手の穴に落ちたことから、見慣れた日常が異界の気配を帯びていく。世羅さん、寡黙な義祖父、義兄を名乗る知らない男など、周囲の人物の奇妙さが郊外の夏を静かにゆがませる。表題作に加え、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦をめぐる作品を収める芥川賞受賞作。 第150回 芥川賞
- 235 2013 息子の逸楽 むすこのいつらく 『息子の逸楽』は、『文學界』2013年12月号に第117回文學界新人賞受賞作として掲載された守島邦明のデビュー作。既存梗概では、息子の放逸な生き方と家族の関係を描く作品として整理されている。NDLサーチと文藝春秋の号ページで受賞・掲載は確認できるが、詳細な内容紹介や選評本文は今回確認できていない。 第117回 文學界新人賞
- 236 2013 ある日の結婚 あるひのけっこん 『ある日の結婚』は、淺川継太が『朝が止まる』で第53回群像新人文学賞に当選した後、『群像』2013年7月号に発表した受賞第一作です。Books出版書誌データベースの内容紹介では、ありふれた男女の恋愛が思いがけない展開と結末へ進む表題作として紹介されています。2014年刊の第一作品集『ある日の結婚』に…
- 237 2013 鶏が鳴く にわとりがなく 『鶏が鳴く』は、高校3年生の主人公が、かつてのバンド仲間で引きこもりになった友人の部屋に忍び込む物語として登録されている。青春の終わり、友人関係の断絶、孤立への接近を、部屋という閉じた場所から描く。単行本は講談社から2013年8月に刊行されているが、出版社公式の詳細梗概は今回十分に確認できていない。 第56回 群像新人賞
- 238 2013 還れぬ家 カエレヌ イエ 2013年に新潮社から刊行された佐伯一麦の単著図書。家族・家・土地の主題で既登録作を補う候補。
- 239 2013 感受体のおどり かんじゅたいのおどり 『感受体のおどり』は、文藝春秋BOOKSが「大河恋愛小説」であり「記憶についての物語」でもあると紹介する長篇です。『abさんご』で注目された黒田夏子の実験的な言葉の運動を、より長い時間幅と恋愛・記憶の物語へ広げる作品として位置づけられます。
- 240 2013 ゆうじょこう 『ゆうじょこう』は、村田喜代子が2013年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 241 2012 花嫁 はなよめ 『花嫁』は、結婚や家族のイメージを手がかりに、若い女性の自己像と周囲の期待を描く青山七恵の小説です。花嫁という役割は幸福の記号である一方、人物を一つの型に押し込める圧力としても読めます。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 242 2012 すみれ すみれ 『すみれ』は、青山七恵が若い女性の日常と、名づけがたい違和感を静かに描く小説です。すみれという小さな花の像は、華やかさよりも、身近な場所に残る感情の気配を思わせます。抑えた語りのなかで、家族や恋愛に回収されない孤独が見えてきます。
- 243 2012 嵐のピクニック あらしのピクニック 『嵐のピクニック』は、本谷有希子の奇想に満ちた短篇を集めた作品集です。日常の足場が突然ずれ、家族、身体、自己像が不条理なかたちで変形していきます。ユーモアと不穏さが同時に働き、読者の常識を揺らす短篇集です。
- 244 2012 55歳からのハローライフ ごじゅうごさいからのハローライフ 『55歳からのハローライフ』は、定年前後の世代が仕事、家族、老いを前に再出発を探る村上龍の連作小説集です。人生の後半は穏やかな余生ではなく、労働市場や家族関係の変化にさらされる時間として描かれます。複数の人物を通じて、老いと孤独の現代的なかたちが見えてきます。
- 245 2012 母親ウエスタン ははおやうえすたん 『母親ウエスタン』は、母親という役割を西部劇的な題名でずらし、家族と女性の生き方を描く原田ひ香の小説です。母は家庭内の静かな存在ではなく、荒野を進む人物のように社会や家族の圧力に向き合います。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 246 2012 隠し事 かくしごと 『隠し事』は、秘密を抱えた人間関係を通じて、家族や恋愛の見えない緊張を描く羽田圭介の小説です。隠すことは単なる嘘ではなく、自分を守るための姿勢であり、同時に他者との距離を生みます。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 247 2012 仮り住まい かりずまい 『仮り住まい』は、住まいが一時的であることの不安を通じて、生活、記憶、孤独を描く丹下健太の作品です。家は安定した場所ではなく、いつか離れる前提の仮の居場所として立ち上がります。文芸誌掲載作として、移動する生活の感覚を読む作品です。
- 248 2012 夜の隅のアトリエ よるのすみのあとりえ 『夜の隅のアトリエ』は、アトリエという創作の場を手がかりに、芸術、孤独、記憶を描く木村紅美の小説です。夜の隅という場所は、誰にも見えない作業や感情が残る領域を思わせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 249 2012 マリアージュ・マリアージュ マリアージュ・マリアージュ 『マリアージュ・マリアージュ』は、結婚をめぐる複数の男女関係を描く金原ひとみの短篇集です。結婚は安定したゴールではなく、身体、欲望、制度が絡む不安定な関係として扱われます。華やかな題名の反復の奥に、夫婦や恋愛への違和感が残ります。
- 250 2012 七緒のために ななおのために 『七緒のために』は、誰かのために生きることと、自分の感情を保つことの境界を描く島本理生の小説として整理できます。題名の「ために」は、献身であると同時に、関係への囚われも示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 251 2012 しょうがの味は熱い しょうがのあじはあつい 『しょうがの味は熱い』は、煮え切らない男と煮詰まった女の同棲生活を描く綿矢りさの二篇を収めた作品です。食べものの熱さは、恋愛や生活の中で小さく蓄積する苛立ちと結びつきます。夫婦未満の親密さと倦怠を、口語的で乾いた文体で描きます。
- 252 2012 タダイマトビラ タダイマトビラ 『タダイマトビラ』は、子を愛せない母のもとで育った少女・恵奈が、満たされない「家族欲」を秘密の行為で処理しようとする長編です。新潮社公式紹介では、高校に入って年上の学生と同棲を始めても理想の家族への渇きが止まらず、世界が一変していく物語として説明されています。家族を自然な愛の場とみなす前提を疑い、家…
- 253 2012 田中慎弥の掌劇場 たなかしんやのてのひらげきじょう 『田中慎弥の掌劇場』は、新聞連載から生まれた短い小説を収める掌編集です。短い形式のなかで、孤独、記憶、死の気配が圧縮され、長編とは別の鋭さで田中慎弥の暗い感触が現れます。掌編という制約が、語りの省略と余白を強くしています。
- 254 2012 夜蜘蛛 よぐも 『夜蜘蛛』は、亡父の戦争の記憶をめぐる手紙の謎を描く田中慎弥の中篇です。父の過去は家族の内部に沈み込み、手紙という媒体を通じて遅れて現在に届きます。戦争、父子、記憶の問題を、不穏で乾いた語りで掘り下げます。
- 255 2012 冥土めぐり めいどめぐり 『冥土めぐり』は、家族に搾取され続けてきた奈津子が、脳の病を得て車椅子生活を送る夫・太一と一泊二日の旅に出る作品です。没落した家族の記憶と、夫との静かな絆が旅の時間の中で重なります。家族からの傷とケアの関係を、救済のあり方として問い直す作品です。 第147回 芥川賞
- 256 2012 abさんご えーびーさんご 昭和の知的家庭に生まれた幼子が成長し、父母を看取るまでを描く作品。横書き、固有名詞を用いない語りなど、形式上の実験が大きな特徴である。家族史を扱いながら、父子の間で長く見過ごされてきた沈黙や距離を、記憶の断片としてすくい上げる。言葉の配置そのものによって、時間の手触りと家族を語る難しさを問い直す。 第148回 芥川賞
- 257 2012 隙間 すきま 『隙間』は、人と人の間にある見えない距離を主題にした森山忍のデビュー作です。具体的な筋は限られていますが、題名どおり、関係の裂け目や沈黙の余白を読む作品として整理できます。親密さの中にある距離感を、静かな語りで描く作品です。 第115回 文學界新人賞
- 258 2012 給水塔と亀 きゅうすいとう と かめ 定年後に幼いころ暮らした土地へ戻ってきた独身男性を主人公に、給水塔の記憶と前住人が残した亀をめぐって老いと孤独を見つめる短篇。大きな事件ではなく、製麺所の排水、古い団地、ベランダからの風景といった細部が、人生の時間の流れを静かに立ち上げる。津村記久子らしい抑制された語りが、再出発のかすかな意欲を読み… 第39回 川端賞
- 259 2012 光線 『光線』は、村田喜代子が2012年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 260 2011 あかりの湖畔 あかりのこはん 『あかりの湖畔』は、湖畔という静かな場所を背景に、家族や記憶の揺らぎを描く青山七恵の小説です。人物の感情は大きく叫ばれるよりも、風景や会話の間ににじみます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と題名に基づく暫定的な紹介です。
- 261 2011 ハコブネ ハコブネ 『ハコブネ』は、性をめぐる違和感を抱える三人の女性を描く長編です。Amazonの商品紹介では、自らの性別を脱ぎ捨てたセックスを求める里帆、女であることに固執する椿、肉体感覚を持てない千佳子という、交差しない三人の性の行方が示されています。女であること、身体を持つこと、他者と関係することの苦しさを描く…
- 262 2011 人生オークション じんせいおーくしょん 『人生オークション』は、人生を売りに出すような題名を通じて、家族、労働、お金の感覚を描く原田ひ香の作品です。価値がつくものとつかないものの差が、人物の生活の切実さを照らします。日常的な語りのなかに、貧困や関係の再配置が見えてきます。
- 263 2011 寒灯 かんとう 『寒灯』は、西村賢太の北町貫多ものの系譜にある私小説的な作品です。既存データでは、貫多と秋恵の同棲生活が崩れていく過程が中心に置かれています。貧しさ、恋愛の破綻、自己嫌悪を、乾いた語りで露出させる作品です。
- 264 2011 かわいそうだね? かわいそうだね 『かわいそうだね?』は、恋人が元恋人と同居を始めるという理不尽な状況に置かれた女性を描く綿矢りさの小説です。誰かを「かわいそう」と呼ぶ視線そのものが、恋愛、同情、優越感の複雑な関係をあぶり出します。口語的な軽さの奥で、女性同士の比較や自己防衛が痛切に響きます。
- 265 2011 こちらあみ子 こちらあみこ 『こちらあみ子』は、周囲と噛み合わない少女あみ子の言動を通じて、家族、学校、共同体の残酷さを描く今村夏子のデビュー単行本です。純真さは美談としてではなく、他者とのずれを増幅する力として働きます。簡潔な文体のなかで、笑いと痛みが同時に立ち上がる作品です。 第24回 三島賞
- 266 2011 末裔 まつえい 『末裔』は、血筋や受け継がれるものをめぐって、家族と記憶の問題を描く絲山秋子の小説です。題名は、人物が自分の始まりではなく、誰かの後に続く存在として生きている感覚を示します。乾いた文体のなかに、家の歴史と自己認識の不穏さが漂います。
- 267 2011 マザーズ マザーズ 『マザーズ』は、小説家、モデル、専業主婦という三人の母親を通して、育児の孤独、身体の疲弊、母であることへの圧力を描く金原ひとみの長編です。多視点の構成により、母性を一枚岩の美徳としてではなく、生活を侵食する制度や感情として浮かび上がらせます。息苦しさのなかに、女性たちの怒りと切実さが強く残ります。 第22回 ドゥマゴ文学賞
- 268 2011 ぬるい毒 ぬるいどく 『ぬるい毒』は、学生時代に現れた得体の知れない男・向井との関係に、女性が長く絡め取られていく本谷有希子の小説です。暴力は分かりやすい激しさではなく、ぬるく続く支配や依存として描かれます。恋愛、孤独、自己破壊が、息苦しい一人称の感覚で迫ります。 第33回 野間新人賞
- 269 2011 おれたちの青空 おれたちのあおぞら 『おれたちの青空』は、佐川光晴が若者たちの生活、家族、社会の条件を描く小説です。青空という明るい像の下で、人物たちは貧しさや家庭の問題から完全には自由になれません。青春小説のかたちを取りながら、生活の切実さを読む作品です。
- 270 2011 東京ロンダリング とうきょうろんだりんぐ 『東京ロンダリング』は、事故物件に一定期間住むことで部屋の履歴を洗い流す女性を描く原田ひ香の小説です。住まいは安心の場所ではなく、死や過去の痕跡を引き受ける仕事の現場になります。東京の部屋をめぐって、孤独、労働、喪失が交差します。
- 271 2011 共喰い ともぐい 昭和63年夏、川辺の町に暮らす17歳の遠馬は、父・円とその愛人琴子との三人暮らし。父は性交の際に女を殴る男で、遠馬の実母・仁子はその暴力ゆえに家を出て、川向こうで魚屋を営んでいる。恋人の千種との関係が深まるにつれ、遠馬は自分の中にも父と同じ暴力の血が流れているのではないかという恐れに苛まれていく。鰻… 第146回 芥川賞
- 272 2011 私のいない高校 わたしのいないこうこう 『私のいない高校』は、1992年の小学校を舞台に、校舎から見える家に住む子供の視点で綴られる青木淳悟の連作です。学校という共同体のなかにいるようでいない感覚が、記憶と観察のずれとして積み上がります。子供の視界を通じて、同調圧力と孤立が静かに浮かぶ作品です。 第25回 三島賞
- 273 2011 甘露 かんろ 『甘露』は、家と家族をめぐる不穏さを描く水原涼のデビュー作です。若い書き手による作品ながら、家族の内部に潜む圧力や不快な甘さを鋭く扱います。第145回芥川賞候補にもなり、デビュー時から筆力を注目された作品です。 第112回 文學界新人賞
- 274 2011 異郷 いきょう 『異郷』は、津村節子が夫・吉村昭の死後の喪失と生者の日常を静かに描いた短篇です。身近な死を経た後の生活を、過剰な感傷ではなく抑制された語りで見つめます。配偶者の不在を抱えて生きる時間を、静謐な読み味で描く作品です。 第37回 川端賞
- 275 2010 「悪」と戦う あくとたたかう 2010年に河出書房新社から刊行された高橋源一郎の長編。小説家の父である語り手のもと、3歳の兄ランちゃんが、悪の手先ミアちゃんに連れ去られた弟キイちゃん(1歳半)を取り戻すために「悪」と戦う。冒険譚の体裁を借りつつ、家族・言葉・生と死をめぐる主題を重ねる。
- 276 2010 お別れの音 おわかれのおと 『お別れの音』は、別れの瞬間やその前後に残る気配を、青山七恵らしい抑制された文体で描く作品です。音という題名は、はっきりした出来事よりも、生活のなかに残響する感情を思わせます。家族や恋愛の終わりを、静かな距離感で読む小説として整理できます。
- 277 2010 あられもない祈り あられもないいのり 『あられもない祈り』は、支配的な恋愛関係のなかに自分を置き続ける女性の苦しさを描く島本理生の小説です。親密さは救いであると同時に、相手に自分を明け渡してしまう危うさも帯びています。痛切な恋愛小説であり、身体と自己肯定の問題を読む作品です。
- 278 2010 彼女のしあわせ かのじょのしあわせ 『彼女のしあわせ』は、女性にとっての幸福が何によって測られるのかを、家族、恋愛、仕事の文脈から描く朝比奈あすかの小説です。題名の「彼女」は、誰かに見られる存在であると同時に、自分で幸福を選び直す存在でもあります。日常的な場面から、同調圧力と自己決定の問題が見えてきます。
- 279 2010 やわらかな棘 やわらかなとげ 『やわらかな棘』は、傷つけるものが必ずしも硬く鋭いとは限らないことを、親密な関係のなかに描く朝比奈あすかの小説です。家庭や恋愛の穏やかな場面に、言葉や期待が刺さるような感覚が潜みます。日常のやわらかさと息苦しさの両方を読む作品です。
- 280 2010 団地の女学生 だんちのじょがくせい 『団地の女学生』は、団地という生活空間と女学生の視点を結びつけ、家族、学校、性をめぐる閉塞を描く伏見憲明の小説です。集合住宅の近さは共同性であると同時に、見られることや噂の圧力にもなります。成長の物語として、都市郊外の生活感とジェンダーの問題を読めます。
- 281 2010 うちに帰ろう うちにかえろう 『うちに帰ろう』は、家へ帰るという素朴な動作を通じて、家族や生活の拠点を見つめ直す広小路尚祈の小説です。帰る場所は安心だけでなく、過去や関係の重さを引き受ける場所でもあります。平明な題名のなかに、家族と地方的な生活感への問いが込められています。
- 282 2010 人もいない春 ひともいないはる 『人もいない春』は、西村賢太の私小説的な語りで、孤独、貧困、生活の荒みを描く作品です。春という明るい季節の言葉に対して、人のいなさが強調され、取り残された感覚が前面に出ます。乾いた自己暴露の文体が、生活の行き詰まりを読ませます。
- 283 2010 星が吸う水 ほしがすうみず 『星が吸う水』は、「星が吸う水」と「ガマズミ航海」を収める作品集です。Amazonの商品紹介では、野間文芸新人賞受賞後第一作として、女であることが遠ざかっていく感覚、精神が肉体をもてあます感覚を、男と女、女と女の対の構図で描く作品集とされています。性別、身体、欲望のずれをめぐる村田作品の関心が濃く出…
- 284 2010 実験 じっけん 『実験』は、田中慎弥の硬質な語りで、人間関係や自己意識を極限まで試すように描く小説です。題名の「実験」は、科学的手続きというより、人物が自分や他者を材料にしてしまう冷たさを思わせます。不穏で息苦しい空気のなかに、孤独と暴力の気配が漂います。
- 285 2010 真綿荘の住人たち まわたそうのじゅうにんたち 『真綿荘の住人たち』は、下宿や共同住宅を思わせる場所に集まる人びとの孤独とつながりを描く島本理生の作品です。住人たちは近くにいながら、それぞれの痛みや幸福の基準を抱えています。真綿のような柔らかさと息苦しさが同居する、関係性の小説です。
- 286 2010 マイルド生活スーパーライト まいるどせいかつすーぱーらいと 『マイルド生活スーパーライト』は、軽く薄い生活感を題名に掲げながら、日常の疲労や空虚さを描く丹下健太の小説です。強い事件よりも、生活の温度が下がっていくような感覚が中心にあります。公開資料では内容細部が限られるため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 287 2010 おれのおばさん おれのおばさん 『おれのおばさん』は、少年院出身の少年が叔母の営む学習塾に引き取られ、居場所を作っていく佐川光晴の小説です。家族の外側にあるケアの場が、少年の成長と社会復帰を支えます。教育、貧困、家族の再編を、少年の視点に近い手触りで読む作品です。
- 288 2010 祝福 しゅくふく 『祝福』は、長嶋有らしい抑えたユーモアで、日常の会話や記憶のずれをすくう作品です。大きな事件よりも、人が誰かを祝う、あるいは祝福できない瞬間の微妙な距離に焦点があります。平明な語りのなかで、家族や友人関係に残る孤独が静かに見えてきます。
- 289 2010 とうさんは、大丈夫 とうさんは、だいじょうぶ 『とうさんは、大丈夫』は、父と子、家族の安心と不安を題名の一文に集める佐川光晴の小説です。公開資料で内容細部までは確認できていないが、家族のなかで支える側と支えられる側が入れ替わる感覚を読む作品として整理できます。平明な語りを通じて、ケアや生活の切実さが前面に出ます。
- 290 2010 妻の超然 つまのちょうぜん 『妻の超然』は、夫婦や男女の関係を、絲山秋子らしい乾いた距離感で描く作品です。身近な関係のなかにある理解不能さを、過度に説明せず、会話と沈黙の間から浮かび上がらせます。夫婦という制度、恋愛の疲れ、生活の違和感を読む小説です。
- 291 2010 きことわ きことわ 『きことわ』は、葉山の高台にある別荘で幼い夏をともに過ごした貴子と永遠子が、二十五年後、別荘の解体を前に再会する作品です。現在の時間のなかに幼年時代の記憶や夢がふいに現れ、途切れた親密さが静かに流れ直します。大きな事件よりも、夢・記憶・現実の境界と、積み重なる時間の層を繊細な文体で読む小説です。 第144回 芥川賞
- 292 2010 故郷のわが家 『故郷のわが家』は、村田喜代子が2010年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。 第63回 野間文芸賞
- 293 2009 かけら かけら 『かけら』は、日常の小さな破片のような出来事から、若い人物の孤独や関係の変化をすくい上げる青山七恵の作品です。簡潔な語りは感情を説明しすぎず、読者に余白を残します。家族や恋愛のはっきりしない揺れを、静かな手ざわりで読む小説です。
- 294 2009 ぼくたちは大人になる ぼくたちはおとなになる 『ぼくたちは大人になる』は、成長することの期待と重さを、若い人物の生活感覚から描く佐川光晴の作品です。題名はまっすぐですが、そこには家族や社会の中で大人にならざるをえない苦さも含まれます。青春を懐かしむより、労働や家族へ向かう時間として捉える作品です。
- 295 2009 独居45 どっきょしじゅうご 『独居45』は、四十五歳で独り暮らしをする人物の生活を通して、身体、欲望、孤独を露悪的に描く吉村萬壱の作品です。平凡な住まいの内側に、社会から切り離された感覚と不穏な衝動が溜まっていきます。ユーモアと気味悪さが同居する読み味が特徴です。
- 296 2009 犬と鴉 いぬとからす 『犬と鴉』は、田中慎弥の硬質な文体で、人間の生の暗さや動物的な感覚を前面に出す作品です。犬と鴉という題名の組み合わせは、従順さと不吉さ、近さと遠さを同時に呼び込みます。閉じた生活の中で、身体と孤独がざらついた手触りで描かれます。
- 297 2009 結婚小説 けっこんしょうせつ 『結婚小説』は、結婚をゴールではなく、生活と関係を組み替える出来事として描く中島たい子の作品です。日常的なユーモアのなかに、夫婦になることへの不安や違和感が置かれます。軽やかな語りで、制度としての結婚と個人の感情のずれを読ませます。
- 298 2009 月食の日 げっしょくのひ 『月食の日』は、日常のなかに差し込む陰りを、月食という天体現象のイメージと重ねる木村紅美の作品です。人との距離や生活の変化が、明るさを一時的に失う感覚として描かれます。静かで観察的な文体が、家族や孤独の輪郭を浮かび上がらせます。
- 299 2009 ねたあとに ねたあとに 『ねたあとに』は、眠った後、起きた後に残る気配のようなものを、長嶋有らしい淡いユーモアで描く作品です。日常の会話や場面は軽く見えますが、人物同士の距離は少しずつ変化します。生活の小さな時間を、静かなずれとして読む小説です。
- 300 2009 空に唄う そらにうたう 『空に唄う』は、通夜に現れた死んだはずの女子大生と、新米の坊主が寺で同居を始めるという設定の作品です。死者がいる日常をユーモラスに扱いながら、生者が死や信仰とどう向き合うかを描きます。寺という場所が、現実と非現実、生と死のあわいを支えています。
- 301 2009 霊降ろし れいおろし 『霊降ろし』は、死者や見えないものの気配を通じて、生者の記憶と喪失を描く田山朔美の小説です。霊的な題材は怪異そのものよりも、残された人が過去とどう向き合うかという問題に結びつきます。静かな不穏さのなかで、家族や信仰に近い感覚をたどる作品として整理できます。
- 302 2009 手 て 『手』は、身体の一部である手をめぐって、触れること、働くこと、他者との距離を考えさせる山崎ナオコーラの作品です。日常的な言葉づかいのなかに、ジェンダーや家族関係、親密さへの違和感が差し込まれます。軽く見える語りが、身体を通じた関係の非対称さを浮かび上がらせます。
- 303 2009 終の住処 ついのすみか 『終の住処』は、妻が突然口をきかなくなる朝から始まり、ある夫婦の二十年を描く磯﨑憲一郎の小説です。大きな事件よりも、時間の経過そのものが関係を変えていく様子に重心があります。淡々とした語りの背後で、夫婦、家、老い、記憶の問題が静かに積み重なります。 第141回 芥川賞
- 304 2009 あなたと共に逝きましょう 『あなたと共に逝きましょう』は、村田喜代子が2009年に朝日新聞出版から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 305 2009 ドンナ・マサヨの悪魔 『ドンナ・マサヨの悪魔』は、村田喜代子が2009年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 306 2008 やさしいため息 やさしいためいき 『やさしいため息』は、芥川賞受賞後第一作として発表され、日常のなかで揺れる若い人物の息づかいを静かに描く作品です。家族や生活の小さな変化が、はっきりした事件よりも大きく人物の感情を動かします。青山七恵らしい簡潔な文体が、孤独と自立のあいだの時間をすくい取ります。
- 307 2008 蟋蟀 こおろぎ 『蟋蟀』は、虫の声や小さな気配を思わせる題名のもと、日常の奥に潜む不安や孤独を描く栗田有起の作品です。目立たないものに耳を澄ませるような語りが、家や都市の生活を少し奇妙なものに変えます。静かな現実感と寓話性の境目を読む小説です。
- 308 2008 小銭をかぞえる こぜにをかぞえる 『小銭をかぞえる』は、金欠と痴話喧嘩にまみれた同棲生活を、私小説的な露悪と乾いた笑いで描く作品です。小銭を数える行為が、貧しさ、欲望、関係の行き詰まりを象徴します。西村賢太の作品らしく、金と性と屈辱が分かちがたく結びつきます。
- 309 2008 乱暴と待機 らんぼうとたいき 『乱暴と待機』は、奇妙な共同生活のなかで、加害と被害、依存と復讐がねじれていく本谷有希子の小説です。閉じた生活空間にいる人物たちの言葉は、笑えるほど過剰でありながら、相手を縛る力を持っています。戯曲的な会話のテンポと、待ち続けることの不穏さが読みどころです。
- 310 2008 ポトスライムの舟 ぽとすらいむのふね 『ポトスライムの舟』は、工場で働きながら生活費を切り詰めるナガセを主人公にした中篇です。世界一周クルーズの費用が自分の年収とほぼ同じだと知ったナガセは、その金額を一年で貯めようとします。非正規労働、家計の細さ、友人や母との関係、ポトスライムを育てる日々が重なり、生活を続けることの苦しさと粘りが描かれ… 第140回 芥川賞
- 311 2007 青色讃歌 あおいろさんか 28歳の高橋は、同棲する彼女の収入で暮らしている。いなくなった猫を探し、気の進まない仕事を探す——その二つの「探しもの」をめぐるだけの日々が、妙な可笑しみとともに流れていく。働かない男のだめさを断罪も美化もせず、脱力したユーモアで肯定してみせる青春小説。NDLサーチでは第44回文藝賞受賞作としての掲… 第44回 文藝賞
- 312 2007 ひとり日和 ひとりびより 『ひとり日和』は、二十歳の知寿が高齢の遠縁・吟子さんと同居し、働きながら自立の感覚を少しずつ探る作品です。老いと若さ、家族ではない同居、ひとりでいることの自由と寂しさが、淡々とした語りで描かれます。大きな成長物語ではなく、日々の観察から生活の輪郭が変わるところが読みどころです。 第136回 芥川賞
- 313 2007 アサッテの人 あさってのひと 吃音を抱えていた叔父は、いつしか「ポンパ!」などの意味を持たない言葉=アサッテの言葉を突発的に口にするようになり、やがて失踪した。「私」はその叔父をめぐる小説を書こうとするが、語りは草稿、叔父の日記、回想が混在するまま進んでいく。言葉の規範から「アサッテ」の方向へ逸脱したいという渇望を、小説の形式そ… 第50回 群像新人賞
- 314 2007 乳と卵 ちちとらん 東京で一人暮らしをする「わたし」のもとへ、大阪でホステスとして働く姉の巻子と、その娘で小学6年生の緑子が上京してくる。離婚後ひとりで娘を育ててきた巻子は豊胸手術を受けることに執拗にこだわり、初潮を迎える年頃の緑子は、自分の身体が変わっていくことへの違和感をノートに書きつけ、母とは筆談でしか口をきかな… 第138回 芥川賞
- 315 2007 はじまらないティータイム はじまらないてぃーたいむ 子どものいない30代の専業主婦・奈都子は、母ミツエから従弟・博昭の離婚と再婚の顛末を聞かされる。博昭は部下を妊娠させ、子を産まない妻・佐智子と別れて再婚したのだった。奈都子、ミツエ、元妻の佐智子、再婚相手の里美——4人の女性の視点を切り替えながら、家族という制度の内側の風通しの悪さを描く。他人の家に… 第31回 すばる文学賞
- 316 2007 いい子は家で いいこはいえで 『いい子は家で』は、家という閉じた場所と「いい子」であることの圧力をめぐる青木淳悟の作品です。日常の言葉や振る舞いが少しずつずれ、家族や共同体の規範が不穏なものとして見えてきます。実験的な文体が、従順さの裏側にある違和感を浮かび上がらせます。
- 317 2007 大きな熊が来る前に、おやすみ。 おおきなくまがくるまえに、おやすみ。 『大きな熊が来る前に、おやすみ。』は、二人暮らしの親密さと不安を、熊という不穏なイメージをまとわせて描く作品です。恋愛や同居の幸福だけでなく、同じ部屋にいることの圧迫感や、相手を完全にはわからない怖さが前面に出ます。柔らかな題名の奥に、関係の危うさを読む小説です。
- 318 2007 建てて、いい? たてていい 『建てて、いい?』は、家を建てるという具体的な行為を通して、生活、結婚、将来への迷いを描く作品です。中島たい子らしい軽い語り口で、住まいを選ぶことが自分の生き方を選ぶことに変わっていきます。日常的な題材から、家族や関係の設計図を考えさせる小説です。
- 319 2007 図書準備室 としょじゅんびしつ 『図書準備室』は、高校卒業後にひきこもり続ける男の独白を中心に、閉じた場所と停滞する時間を描く第一作品集です。図書準備室という学校の余白のような場所が、社会へ出られない人物の内面と重なります。田中慎弥の硬質な語りが、青春の後に残った孤独を乾いた感触で示します。
- 320 2007 父のグッド・バイ ちちのぐっどばい 『父のグッド・バイ』は、井岡道子が2007年に刊行した作品です。Books出版書誌データベースの内容紹介では、癌を宣告された父を看取るまでの四か月間を、故郷・宇和島の風光とともに描いた一編とされています。家族の別れ、看取り、故郷の記憶を結びつける作品として登録します。
- 321 2006 暗渠の宿 あんきょのやど 『暗渠の宿』は、粗暴で不器用な私小説的主人公・北町貫多の同棲生活と生活感情を描く作品集です。貧困、労働、性的な執着が、露悪的な自己観察と乾いたユーモアのなかで語られます。暗渠という見えない水路の比喩のように、日常の底を流れる屈辱と欲望が読みどころになります。 第29回 野間新人賞
- 322 2006 どうで死ぬ身の一踊り どうでしぬみのひとおどり 『どうで死ぬ身の一踊り』は、大正期の私小説家・藤澤清造の「歿後弟子」を自任する男をめぐる、西村賢太初期の作品集です。文学への執着、貧しい生活、対人関係の不器用さが、露悪的でありながら妙に律儀な語りで押し出されます。私小説の系譜を現代に引き寄せる作品として読めます。
- 323 2006 ヘンリエッタ へんりえった みーさん、あきえさん、そして「わたし」。女3人は「ヘンリエッタ」に守られながら、ちょっと奇妙な共同生活を送っている。血縁とも友情ともつかない女たちの暮らしのディテールを、幼さの残るまっすぐな言葉でつづり、閉じた生活圏のやわらかさと危うさを同時に感じさせる。高校在学中の17歳が書いたデビュー作として注… 第43回 文藝賞
- 324 2006 生きてるだけで、愛。 いきてるだけで、あい。 『生きてるだけで、愛。』は、鬱と過眠に苦しむ寧子と、同棲相手・津奈木の関係を描く恋愛小説です。感情の爆発と生活の停滞が同時に描かれ、病や孤独が恋愛のなかでどう噴き出すかを見せます。荒さを残した一人称的な距離感が、登場人物の息苦しさを直接伝えます。
- 325 2006 いやしい鳥 いやしいとり 飲み会で初めて会った学生を家に連れ帰るはめになった非常勤の大学講師。その夜を発端に、男が鳥へと変身していく惨劇が起こる。講師の視点と隣に住む専業主婦の視点を交互に置き、時系列を少しずつずらす構成で、日常に走る裂け目をグロテスクな滑稽さとともに見せる。藤野の出発点となった変身譚で、奇想と冷静な観察眼の… 第103回 文學界新人賞
- 326 2006 裏庭の穴 うらにわのあな 主婦の朝子は、幼い頃に母親が裏庭に何かを埋めるのを目撃したという記憶を、大人になっても抱え続けている。掘り返されないまま家族の足元に空いた「穴」のような記憶を軸に、平穏に見える家庭の日常の底に沈む鬱屈と、母と娘のあいだのほどけない結び目を描く。受賞作は2009年刊の作品集『霊降ろし』(文藝春秋)に収… 第103回 文學界新人賞
- 327 2006 憂鬱なハスビーン ゆううつなはすびーん 東大を卒業して外資系企業で順調に出世したのち、弁護士の夫との結婚を機に退職した29歳の凛子を描く。安定した結婚生活の中でも満たされず怒りを抱える彼女は、かつて神童と呼ばれた熊沢くんとの再会をきっかけに、自分や他者への期待、優越感と劣等感、社会的成功と自己評価の空洞に向き合っていく。has-beenと… 第49回 群像新人賞
- 328 2006 家のロマンス いえのロマンス 『新潮』連載後、新潮社から2006年11月に単行本化された加藤幸子の未登録作品。
- 329 2006 鯉浄土 『鯉浄土』は、村田喜代子が2006年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 330 2005 永遠の誓い えいえんのちかい 佐川光晴の2005年刊行作で、約束や誓いが人間関係を支える一方、重荷にもなる局面を描く作品として整理できる。生活者の視点を離れず、家族や恋愛、働くことの中で、言葉だけでは保てない関係を見つめる。佐川作品らしい、過度に装飾しない文体が読みどころになる。
- 331 2005 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ ふぬけども、かなしみのあいをみせろ 両親の事故死をきっかけに、女優を夢見る自己中心的な姉・澄伽が田舎の実家へ戻ってくる。妹、兄夫婦、家族内の記憶と嫉妬が、痛烈な喜劇として噴き出す。本谷有希子の戯曲的な会話と、家族を安全な場所として描かない毒の強さが読みどころである。
- 332 2005 平成マシンガンズ へいせいましんがんず 母は家を出て行き、家には横暴な父とその愛人。学校は戦場のようで、教室に居場所はない。逃げ場のない女子中学生の夢に死神が降臨し、マシンガンを手渡す——。現役中学生の書き手が、ローティーンの苛立ちと無力感を、撃ちまくるような言葉のスピードで叩きつけた。マシンガンという暴力的なイメージは実際の銃撃ではなく… 第42回 文藝賞
- 333 2005 家族芝居 かぞくしばい 家族を、血縁だけでなく、互いに役を演じ合う小さな舞台として捉える佐川光晴の作品。親密であるはずの関係の中にある見栄、遠慮、傷つけ合いを、生活の目線から描く。タイトルどおり、家族の会話や振る舞いが芝居めいて見える瞬間が読みどころになる。
- 334 2005 まぼろし まぼろし 母娘の確執を描く表題作と、実家に戻った娘の日常を描く「十八階ビジョン」を収める作品集。見えているはずの家族や故郷が、どこか「まぼろし」のように掴めなくなる感覚を、若い女性の視点から描く。日常の薄い不安と、過去から離れきれない心理が静かに重なる。
- 335 2005 ニート にーと 「ニート」という言葉が社会的に広まった時期に、働くことから外れた人物の時間を描く絲山秋子の作品。無職であることを単純な問題や説教にせず、生活の細部、会話、周囲とのずれとして描く。乾いたユーモアの中に、労働規範から外れた人間の居場所のなさが見える。
- 336 2004 アッシュベイビー アッシュベイビー 『蛇にピアス』後の第二作で、同居人の男と赤ん坊をめぐる歪んだ関係に巻き込まれる女性を描く。身体、依存、母性への違和感が、金原ひとみらしい硬い感覚の文体で押し出される。家庭的な題材を扱いながら、安心できる家族像を反転させる不穏な作品である。
- 337 2004 灰色の瞳 はいいろのひとみ 佐川光晴の2004年刊行作で、NDLには第一部・第二部として雑誌掲載記事が確認できる。人間関係や家族の記憶を、明るく割り切れない「灰色」の領域として見つめる作品として整理できる。佐川作品に通底する、生活の手触りと関係の痛みを追う読みに向いている。
- 338 2004 介護入門 かいごにゅうもん 寝たきりの祖母を在宅で介護する無職の「俺」が、深夜のおむつ替えや褥瘡のケアといった介護の現実を、ヒップホップのライムを思わせる呼びかけと畳みかける長文で語る。「ヨォ、と俺は呼びかける」という挑発的な語りは、介護を美談にも悲劇にも回収せず、祖母への愛と世間への呪詛を同じ熱量で吐き出していく。介護文学に… 第98回 文學界新人賞
- 339 2004 百年佳約 『百年佳約』は、村田喜代子が2004年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 340 2003 ジャージの二人 じゃーじのふたり 仕事や家庭から少し離れた父と息子が、山の別荘で同じようなジャージを着て夏を過ごす。大きな事件の代わりに、食事、虫、テレビ、会話の間合いといった細部が積み重なり、親子でありながらどこか他人同士でもある二人の距離が浮かび上がる。長嶋有らしい、脱力したユーモアと静かな寂しさが同居する作品。
- 341 2003 授乳 じゅにゅう 『授乳』は、第46回群像新人文学賞優秀作となった表題作を含む村田沙耶香の初作品集です。Amazonの商品紹介では「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の3篇を収め、日常の細部を新しい感受性で描くデビュー作として紹介されています。既存紹介の家庭教師との倒錯した関係という筋は作品理解として有用ですが、更新案…
- 342 2003 黒冷水 こくれいすい 弟の修作は兄・正気の部屋を毎日執拗に「家捜し」し、兄はそれに気づいて巧妙な罠と報復を仕掛ける。家庭内の些細な悪意の応酬は、黒く冷たい水のような憎悪へと際限なくエスカレートしていく——。思春期の自意識と家族間の生理的な憎しみを、17歳の現役高校生がここまで執拗に書き切ったという事実そのものが衝撃を与え… 第40回 文藝賞
- 343 2003 魔女の息子 まじょのむすこ 40歳を目前にしたゲイのフリーライター・和紀。77歳の母が「老いらくの恋」に燃え始めたことで、亡き父との確執、ハッテン場の旅館で出会った男との関係、そして自分自身の来し方と否応なく向き合うことになる。ゲイ・ムーブメントの先頭に立ってきた評論家が、運動の言葉では掬えない母子の情愛と人間の弱さを、ユーモ… 第40回 文藝賞
- 344 2003 オアシス おあしす 愛用の青い自転車を盗まれたフリーターの「私」は、呆然としたままそれを探す日々を送る。家には家事を放棄してしまった母と、その母に「パラサイト」されているOLの姉・サキ。女三人の奇妙な家族の均衡が、自転車の喪失を起点に少しずつあらわになっていく。母を疎みながら捨てられない娘たちの姿は「現代の新種の姥捨て… 第40回 文藝賞
- 345 2003 博士の愛した数式 はかせのあいしたすうしき 『博士の愛した数式』は、事故の後遺症で新しい記憶を80分しか保てない数学者と、彼の家で働く家政婦、その息子の関係を描く長篇です。素数、友愛数、完全数などの数学的な美しさが、他者を思いやる言葉やふるまいと重ねられます。
- 346 2002 飴玉が三つ あめだまがみっつ アルコール依存症者の自助グループ「断酒会」に母と通う既婚の娘が、死を前に断酒を誓った医師の父との歳月を振り返る。父から受けた一度きりの暴力すら幸福の記憶として抱え込み、会で告白する他の依存症者を見下す主人公は、自身もまた高校時代から酒に頼ってきた。父への愛と自己への愛が分かちがたく絡まり、その呪縛か… 第94回 文學界新人賞
- 347 2002 アルゼンチンババア アルゼンチンババア 母の死後、「アルゼンチンババア」と呼ばれる女性と暮らし始めた父をめぐる物語。奇妙な人物や場所への戸惑いを通して、家族の喪失を別の関係へ開いていく。吉本ばなならしい、死後の時間をやわらかく生き直す物語。
- 348 2002 縮んだ愛 ちぢんだあい 佐川光晴の作品で、既存データでは野間文芸新人賞受賞作とされる。家族や親密な関係に潜む痛みを、小さく「縮む」感覚として捉える作品として整理できる。佐川作品らしい生活への視線と、関係の中で変形していく愛のかたちを読む入口になる。 第24回 野間新人賞
- 349 2002 ハミザベス はみざべす 二十歳の誕生日を前に、死んだと思っていた父が本当に死んだ。まちるが遺産として受け取ったのは、高層マンションの一室とハムスターの「ハミザベス」。母と暮らした家を出て、地上33階で始まる一人と一匹の生活に、元恋人の幼なじみや父の同居人だった女性が出入りし、奇妙な距離感の友情が育っていく。喪失から始まる物… 第26回 すばる文学賞
- 350 2002 リトル・バイ・リトル りとる・ばい・りとる 母の不在と継父との関係に揺れる少女の成長を描く島本理生の初期長編。十代の語り手が、家族への違和感、恋愛以前の孤独、日常の不安を少しずつ言葉にしていく。静かな文体で、傷つきやすい感情の変化を丁寧に追う作品。 第25回 野間新人賞
- 351 2002 猛スピードで母は もうすぴーどでははは 芥川賞受賞作「猛スピードで母は」と、デビュー作「サイドカーに犬」を収める短篇集。子どもの視点から、奔放な母や家族の変化を、過度に説明せず鮮やかな場面で捉える。ユーモアと痛切さが同居し、家族小説を軽やかな速度で更新した作品。 第126回 芥川賞
- 352 2002 死せる魂の幻想 しせるたましいのげんそう お節介な祖母と二人暮らしで、アパートと大学を往復するだけの真面目な女子大生・千明。女友達はいても恋人はいない彼女の日常に潜む孤独感と、他者との関係への切実な渇望を描く。後半、奇妙な雨宿りの場面で物語は一変し、卑近な日常が途方もない神々しさへと接続される。現役京大生だった22歳の作者によるデビュー作で… 第45回 群像新人賞
- 353 2002 タンノイのエジンバラ たんのいのえじんばら 長嶋有の2002年の作品で、オーディオ機器を思わせる題名が、生活の中の音や記憶への感度を示す。公開情報は限定的だが、日常の小さな違和感や人間関係の距離を、静かでユーモラスな筆致で捉える長嶋作品の系譜に置ける。内容細部は追加確認が必要。
- 354 2002 憂い顔の童子 うれいがおのどうじ 大江健三郎の「おかしな二人組」三部作に連なる後期長編。作家・古義人を中心に、家族史、過去の暴力、共同体の記憶が重なり合う。晩年の大江が、自身の文学的記憶と死者との対話を小説化していく流れの中で読む作品である。
- 355 2002 空中庭園 くうちゅうていえん 文藝春秋公式で2002年11月28日発売、初版奥付2002年11月30日、ISBN 978-4-16-321450-4、婦人公論文芸賞受賞作として確認できる。
- 356 2002 雲南の妻 『雲南の妻』は、村田喜代子が2002年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 357 2001 インストール いんすとーる 高校生活から突然降りてしまった17歳の朝子が、部屋の荷物を全部捨てたことをきっかけに、マンションの押入れに住み着くような小学生・かずよしと知り合い、拾った中古パソコンで風俗チャットの「バイト」を代行するようになる。インターネット黎明期の風俗チャットという際どい題材を扱いながら、筆致はあくまで軽やかで… 第38回 文藝賞
- 358 2001 最後の家族 さいごのかぞく 引きこもりの息子を抱えた四人家族の解体と再生を描く長編。家族の愛情が、支配、依存、逃避と紙一重であることを、村上龍らしい社会問題への視線で描き出す。家庭という閉じた場所を通じて、2000年前後の孤立とケアの難しさを読む作品。
- 359 2001 サイドカーに犬 さいどかーにいぬ 小学四年生の夏、母が家出した薫の家に、父の知り合いである洋子さんが入り込んでくる。自転車を教えてくれ、缶コーヒーを飲み、堂々と振る舞う洋子さんと過ごしたひと夏を、大人になった薫が淡々と回想する。家庭の危機という湿りがちな題材を、軽やかでユーモラスな距離感と即物的なディテールで描き、深刻にならないのに… 第92回 文學界新人賞
- 360 2001 人が見たら蛙に化れ 『人が見たら蛙に化れ』は、村田喜代子が2001年に朝日新聞社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 361 2000 体は全部知っている からだはぜんぶしっている 身体の記憶をモチーフにした吉本ばななの掌篇集。心では整理できない痛みや違和感が、身体の感覚として先に反応する瞬間をすくう。短い形式の中で、病、恋愛、喪失、生活の手ざわりを静かに重ねる。
- 362 2000 きょうのできごと きょうのできごと 京都で開かれた引っ越し祝いの飲み会に集まった若者たちの一夜を、複数の視点から描く柴崎友香のデビュー作。大きな事件よりも、会話、部屋の空気、街への移動が作る微細なずれを積み重ねる。日常の時間をそのまま文学の中心に置く、後の柴崎作品へつながる出発点。
- 363 2000 共生虫 きょうせいちゅう 引きこもりの青年ウエハラが、「共生虫」という妄想に取り憑かれていく長編。ネット、孤立、身体への不安が結びつき、社会から退いた人物の内側が危うく膨張していく。2000年前後のテクノロジーと精神の不穏な接続を描く村上龍作品。 第36回 谷崎賞
- 364 2000 取り替え子(チェンジリング) とりかえこ 義兄・吾良の自死をきっかけに、作家・古義人が過去の謎をたどる長編。録音された声や記憶を通して死者と対話し、家族史、映画、芸術、自己の来歴が絡み合う。大江後期の「おかしな二人組」三部作へつながる、喪失と再生の作品。
- 365 2000 夜のヴィーナス 『夜のヴィーナス』は、村田喜代子が2000年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 366 1999 クレア、冬の音 くれあ、ふゆのおと 外国人花嫁を迎えた家庭をめぐる物語として紹介されている新潮新人賞受賞作です。家族の内側に入ってくる異文化の存在を通じて、家庭、言葉、距離の問題を扱う作品と読めます。公開資料で詳細な梗概や選評本文は確認できないため、現時点では受賞・掲載・単行本情報を中心に扱います。 第31回 新潮新人賞
- 367 1999 ワニを抱く夜 : 作品集 『ワニを抱く夜 : 作品集』は、村田喜代子が1999年に葦書房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 368 1999 X電車にのって : 作品集 『X電車にのって : 作品集』は、村田喜代子が1999年に葦書房から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 369 1998 龍秘御天歌 『龍秘御天歌』は、村田喜代子が1998年に文藝春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 370 1997 ハネムーン ハネムーン 『ハネムーン』は、若くして結婚したまなかと幼なじみの裕志が、喪失や孤独を抱えたまま互いを支え合い、旅立ちへ向かう長編です。中央公論新社の中公文庫ページでは、二人がどこにいても家を見いだす恋人たちの物語として紹介されている。恋愛小説でありながら、夫婦、家、死者の記憶、癒えにくい過去を静かに見つめるよし…
- 371 1997 うるわしき日々 うるわしきひび NDLサーチで1997年10月刊の読売新聞社版単行本、関連論考「雨漏りする戦後・家という思想」を確認できる。
- 372 1997 お化けだぞう 『お化けだぞう』は、村田喜代子が1997年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 373 1996 家族シネマ かぞくしねま 『家族シネマ』は、崩壊した家族が映画の中で「家族」を演じるという設定を通して、家族らしさが演技や記憶によって作られていく不安定さを描く作品です。映画撮影という枠組みが、親密さの欠落や役割としての家族を露出させる。柳美里の戯曲的な緊張を小説に移し、家族をめぐる自己像と他者のまなざしを問う芥川賞受賞作と… 第116回 芥川賞
- 374 1996 フルハウス ふるはうす 『フルハウス』は、ばらばらになった家族をもう一度集めるため、父が家を建てるという発端から、家族の結びつきの空虚さと可笑しさを描く作品です。家という器を用意しても親密さが自動的に戻るわけではないというずれが、柳美里らしい家族小説の緊張を生む。公開情報では詳しい公式梗概を確認できないため、内容紹介は既存… 第18回 野間新人賞
- 375 1996 くっすん大黒 くっすん だいこく 『くっすん大黒』は、仕事を辞め、妻にも去られた楠が、身の回りの不運を自宅にある不気味な大黒像のせいにして捨てに行く町田康のデビュー作です。日常の失敗や自意識の空回りが、大阪弁に近いリズムと独特の口語で転がっていく。貧しさ、夫婦の破綻、労働からの離脱を、陰惨さだけでなく滑稽さとして読ませる語りが大きな… 第7回 ドゥマゴ文学賞
- 376 1996 台所 だいどころ 『台所』は、坂上弘の第24回川端康成文学賞受賞作です。『新潮』1996年9月号掲載、1997年新潮社刊の同名単行本への収録を、文学賞データとNDLで確認できます。作品内容の詳しい公開梗概は未確認ですが、既存分類では家、日常、家族、記憶を静かな文体でたどる短篇として整理しています。 第24回 川端賞
- 377 1996 硫黄谷心中 『硫黄谷心中』は、村田喜代子が1996年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 378 1996 蟹女 『蟹女』は、村田喜代子が1996年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 379 1995 不随の家 ふずいのいえ 『不随の家』は、広谷鏡子の第19回すばる文学賞受賞作で、同賞の受賞者インタビューとともに『すばる』1995年11月号に掲載された作品です。集英社から単行本化されたことはNDLで確認できます。公開情報で確認できる内容紹介は限られるため、家族、身体、介護をめぐる既存分類は低確信の読みとして扱い、詳細な筋… 第19回 すばる文学賞
- 380 1995 母への尋問 ははへのじんもん 『母への尋問 : 昭和二十年、夏』は、大村麻梨子の単行本です。NDLサーチで1995年7月刊、253ページ、20cmの書誌を確認できます。公開情報では詳細な梗概を確認できなかったため、作品紹介は副題と書誌情報に限定します。
- 381 1995 12のトイレ 『12のトイレ』は、村田喜代子が1995年に新潮社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 382 1994 おどるでく おどるでく 『おどるでく』は、室井光広が第111回芥川賞を受賞した作品です。既存データでは、ロシア文字で表音化された日本語の日記を主人公が翻訳していく、言語と記憶をめぐる実験的な小説として整理されています。日本文学振興会公式で受賞は確認できますが、内容説明は二次情報由来で、出版社公式の商品紹介は未確認です。 第111回 芥川賞
- 383 1994 二百回忌 にひゃっかいき 『二百回忌』は、父方の家で催される法事に「私」が出席するところから、死者も参列する異様な場へ入り込んでいく笙野頼子の作品です。家と血縁、死者の記憶、時間の歪みが、幻想的かつ祝祭的な空間として立ち上がります。現実と死者の世界を地続きに扱う点に、笙野作品らしい実験性があります。 第7回 三島賞
- 384 1994 緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道 みどりいろのにごったおちゃあるいはこうふくのさんぽみち 『緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道』は、山本昌代が第8回三島由紀夫賞を受賞した作品です。既存データでは、難病で下半身が不自由な鱈子と家族の日常を淡々と描く中編として整理されています。新潮社公式で受賞は確認できますが、内容紹介はWikipedia中心のため低確信です。 第8回 三島賞
- 385 1994 蕨野行 『蕨野行』は、村田喜代子が1994年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 386 1993 花野 『花野』は、村田喜代子が1993年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 387 1992 慶応わっふる日記 『慶応わっふる日記』は、村田喜代子が1992年に潮出版社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 388 1991 なにもしてない なにもしてない 『なにもしてない』は、生きている実感を求めて現実と幻想のあいだを往還するモノローグの世界を描く作品です。日常の停滞を、単なる無為ではなく、身体と意識がずれていく感覚として押し広げます。笙野頼子の前衛的な私小説性が強く現れた初期代表作です。 第13回 野間新人賞
- 389 1991 伯父の墓地 おじのぼち 『伯父の墓地』は、亡くなった伯父の墓参を題材に、生と死、記憶の連鎖を老境から見つめる短篇です。大きな事件を置かず、親族の記憶と墓地という場所から、時間の堆積を静かに浮かび上がらせます。安岡章太郎晩年の私小説的な成熟が感じられる作品です。 第18回 川端賞
- 390 1991 お供え おそなえ 『お供え』は、盆棚の供え物をめぐって、生者と死者の境界が奇妙に揺らぐ幻想的な短篇です。家庭内の儀礼を起点に、死者への記憶、ユーモア、薄気味悪さが同居します。吉田知子らしい、日常のリアリズムを少しずつ異界へずらしていく語りが読みどころです。 第19回 川端賞
- 391 1991 耳納山交歓 『耳納山交歓』は、村田喜代子が1991年に講談社から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 392 1991 真夜中の自転車 : 作品集 『真夜中の自転車 : 作品集』は、村田喜代子が1991年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 393 1990 静かな生活 しずかなせいかつ 『静かな生活』は、父の不在中、障害を持つ兄イーヨーと妹マーちゃんが暮らす日々を描く連作です。家族のケア、創作、日常の小さな秩序が、妹の視点を通して穏やかに語られます。大江健三郎の家族をめぐる作品群のなかでも、家庭内の静けさと緊張を同時に感じさせる一冊です。
- 394 1990 妊娠カレンダー にんしんかれんだー 『妊娠カレンダー』は、妊娠した姉とその夫と同居する「私」が、妊娠の経過を日々観察していく短篇です。生命の誕生を祝福だけでなく、匂い、食べ物、身体への嫌悪や違和感として描く点が際立ちます。淡々とした一人称の記録が、家族の親密さの裏にある不穏さを増幅します。 第104回 芥川賞
- 395 1990 白い山 : 作品集 『白い山 : 作品集』は、村田喜代子が1990年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 396 1989 白河夜船 しらかわよふね 眠りに沈んでいく女性たちを描く三篇を収めた作品集。恋愛、喪失、孤独が、眠りという身体の状態を通じて静かに語られる。吉本ばなな初期の透明な語りと、生死の境目に触れる感覚がよく表れた一冊。
- 397 1989 TUGUMI つぐみ 海辺の町を舞台に、語り手まりあと、病弱で美しいが激しい気性を持つ少女つぐみの最後の夏を描く長編。家族経営の宿、海辺の時間、恋の予感、病と別れの気配が重なり、青春のまぶしさと残酷さが同時に立ち上がる。吉本ばなならしい平明な一人称で、親密な関係が永遠には続かないことを痛切に描く。
- 398 1989 ルームメイト 『ルームメイト』は、村田喜代子が1989年に文芸春秋から刊行した小説作品です。書誌は出版社公式、NDLサーチ、Books/JPRO、Amazonの商品ページ等で確認しました。
- 399 1988 哀しい予感 かなしいよかん 記憶の空白を抱えた少女が、風変わりな親族の家で自分の過去へ近づいていく長編。家族の秘密、喪失、直感のような感覚が、吉本ばなな初期作らしい静かな語りで結びつく。大きな事件よりも、眠りや気配に近い感情の変化を読む作品。
- 400 1988 うたかた/サンクチュアリ うたかた/サンクチュアリ 吉本ばななの初期作品集で、「うたかた」と「サンクチュアリ」を併録する。喪失や恋愛、居場所をめぐる不安を、柔らかく透明な語り口で描く。日常の小さな違和感から、生死のあわいや心の避難場所へ入っていく初期吉本作品らしさがある。
- 401 1988 インド綿の服 いんどめんのふく NDLサーチで1988年2月刊の講談社版単行本を確認できる。
- 402 1987 キッチン キッチン 唯一の肉親だった祖母を亡くし、天涯孤独となった大学生の桜井みかげ。眠れるのは冷蔵庫のそばだけ――そんな彼女に、祖母と親しかった青年・田辺雄一が同居を申し出る。雄一の家には、女性として生きる「母」えり子さん(実は父親)がいて、奇妙であたたかい三人の暮らしが始まる。台所と食べることを心の拠り所に、喪失の…
- 403 1987 懐かしい年への手紙 なつかしいとしへのてがみ 語り手が導き手である「ギー兄さん」との関係をたどりながら、自分の文学的半生と故郷の森の記憶を再構成する自伝的長編。私小説の形式を借りながら、実際には作家自身と架空の人物をずらし、記憶・読書・共同体の物語を重ねていく。ダンテを媒介に、帰郷できない作家が森の村と文学の場所を問い直す。
- 404 1987 長男の出家 ちょうなんのしゅっけ 『長男の出家』は、中学生の息子が突然「禅僧になりたい」と言い出したことから、平凡な家族の関係が揺れ始める物語です。父親の視点を通じて、出家という非日常の選択が、親子の絆、別れ、家族の期待を照らし出します。深刻な題材をユーモラスに扱う語り口が特徴です。 第98回 芥川賞
- 405 1987 ホーム・パーティー ホーム パーティー 新潮社刊の単行本で、家庭小説・女性の生活をめぐる作品として追加候補になる。
- 406 1986 パン屋再襲撃 ぱんやさいしゅうげき 表題作は、深夜に激しい空腹に襲われた夫婦が、過去の「パン屋襲撃」の呪いを解くため再び街へ出る奇妙な短篇。文春文庫公式ページでは「象の消滅」や“ねじまき鳥”の原型となる作品を含む初期短篇集として紹介されており、食欲、結婚生活、都市の空白が寓話的に結びつく。軽い会話と不穏な空気が同時に進む、初期村上短篇…
- 407 1986 しずかにわたすこがねのゆびわ しずかにわたすこがねのゆびわ 家族、育児、夫婦をめぐる日常を、抑えた感触で描いた干刈あがたの作品。家庭の内側にある親密さと疲労、母と子の時間、夫婦の距離が、静かな生活描写の中から浮かび上がる。大きな事件よりも、日々の関係が少しずつ人を変えていく感触を読む作品。 第8回 野間新人賞
- 408 1985 ワンルーム ワンルーム 母子・家庭だけでなく都市生活の孤独を補える候補。福武書店刊、のち再刊あり。
- 409 1984 螢・納屋を焼く・その他の短編 ほたる・なやをやく・そのたのたんぺん 「螢」「納屋を焼く」などを収めた初期短編集。新潮社の紹介では「螢」が『ノルウェイの森』の原点とされ、学生時代の喪失と届かない温もりが抑制された一人称で描かれる。「納屋を焼く」は日常会話の奥に説明されない空白を置き、静かな恋愛小説と不穏な幻想が同じ冊子のなかで並ぶ構成になっている。
- 410 1984 ウホッホ探険隊 うほっほたんけんたい 『ウホッホ探険隊』は、離婚をきっかけに夫、妻、小学生の二人の息子たちが、新しい家族のかたちを探っていく干刈あがたの長篇小説です。河出書房新社公式は、離婚という未知の領域を探険するために家族それぞれが役を担う作品として紹介しています。家庭の再編を、子どもを含む複数の立場からやわらかく、しかし痛みを伴っ…
- 411 1983 新しい人よ眼ざめよ あたらしいひとよめざめよ 障害を持つ息子イーヨーとの日常を、ウィリアム・ブレイクの詩を媒介に見つめ直す連作小説。語り手は息子の成長、死や性への問い、家族のなかの不安を受け止めながら、文学の言葉が現実のケアとどのように結びつくかを探る。私小説的な素材を思想的な読解と重ねることで、父と子の関係を閉じた家族の物語にせず、他者と共に…
- 412 1983 光抱く友よ ひかりいだくともよ 『光抱く友よ』は、北陸の旧家を背景に、若い女性の官能と精神の成熟を光のイメージとともに描く中篇です。家、身体、女性の内面が重なり合い、恋愛や性を単純な事件としてではなく、自己の輪郭を獲得する過程として読ませます。抒情性と緊張感のある心理描写が作品の核です。 第90回 芥川賞
- 413 1983 住宅 じゅうたく 『住宅』は、赤羽建美のデビュー作にあたる第57回文學界新人賞受賞作です。題名が示す住まいの空間を軸に、家や都市生活の閉塞を扱う作品として整理しました。芥川賞候補にもなっており、新人賞受賞作にとどまらず同時代の純文学選考でも注目された作品です。 第57回 文學界新人賞
- 414 1983 樹下の家族 ジュカ ノ カゾク 『ウホッホ探険隊』以前の家族小説として登録優先度が高い候補。
- 415 1982 「雨の木」を聴く女たち 「レイン・ツリー」をきくおんなたち 「雨の木」という象徴的なイメージを核に、死者の記憶、喪失、救いの可能性をめぐる連作短篇集。マルカム・ラウリーなど西洋文学への参照と、樹木・音・女性たちの声が重なり、現実の痛みを神話的な想像力へ押し広げていく。大江健三郎の1980年代の作品群のなかでも、個人的な死生観と文学的引用が静かに響き合う作品と…
- 416 1981 家族ゲーム かぞくげーむ 『家族ゲーム』は、受験競争に巻き込まれた小市民一家が、落第生の家庭教師を迎えることで崩れていく過程を描く作品です。家庭、学校、学歴社会の圧力を、家族内の不穏なゲームとして見せるところに鋭さがあります。後に森田芳光監督・松田優作主演で映画化され、家族と教育をめぐる1980年代的な不安を広く印象づけまし… 第5回 すばる文学賞
- 417 1980 1973年のピンボール せんきゅうひゃくななじゅうさんねんのぴんぼーる 『風の歌を聴け』に続く「鼠三部作」第二作で、翻訳事務所を営む「僕」の生活と、故郷に残る鼠の停滞が並行して語られる。「僕」はかつて通ったバーにあったピンボール台を探し、双子の女性との奇妙な同居や電話配電盤の葬送を経て、失われた時間の手触りに近づいていく。軽い会話と乾いたユーモアの背後に、青春の終わり…
- 418 1979 光の領分 ひかりのりょうぶん 『光の領分』は、津島佑子の初期代表作で、第1回野間文芸新人賞受賞作です。講談社公式は、夫との別居から離婚に至る若い母と幼い娘の一年を、12篇の短篇連作で描く作品として紹介しています。揺れ動く女親の不安と生活感を、連作形式で精妙に組み立てる点が読みどころです。 第1回 野間新人賞
- 419 1976 ピンチランナー調書 ピンチランナーちょうしょ 大江健三郎が1976年に刊行した実験的長編。父子関係、身体、記録や調書の形式を通して、現実と幻想の境界を揺らす。障害のある子をめぐる大江の継続的主題が、メタフィクション的な構成と結びつく作品である。
- 420 1973 洪水はわが魂に及び こうずいはわがたましいにおよび 核シェルターに籠る父子と「自由航海団」の若者たちの交流と破局を描く長編。核時代の不安、障害のある子との関係、共同体への希求が、大江らしい寓話的な構図で結びつく。個人の魂の危機を、世界的な破局の想像力へ接続する作品。 第26回 野間文芸賞
- 421 1972 みずから我が涙をぬぐいたまう日 みずからわがなみだをぬぐいたまうひ 大江健三郎の1970年代の作品で、個人的な記憶や家族の傷が、天皇制や戦後史への問いと重なっていく。題名の荘重さに対し、語りは自己の痛みを過剰なほど意識化する。大江の私的主題と政治的主題が強く結びつく作品である。
- 422 1971 絵合せ えあわせ NDLサーチで1971年刊の講談社版単行本、および1977年版を確認できる。
- 423 1969 愉しかりし年月 たのしかりしとしつき 石川達三が1969年に刊行した作品で、新潮社版の書誌が確認できる。題名は過ぎ去った年月への回想を示し、記憶と老い、生活の時間を扱う作品として読める。公開情報が限られるため、後期へ向かう石川の回想的な小説として暫定整理する。
- 424 1969 われらの狂気を生き延びる道を教えよ われらのきょうきをいきのびるみちをおしえよ 父と障害のある息子、狂気や暴力にさらされた若者たちをめぐる中短篇を束ねた作品集。表題作では家族の内部にある痛みと外部世界の不穏が結びつき、個人的な危機が時代の狂気をどう生き延びるかという問いへ広がる。大江が1960年代に深めた身体・父性・責任の主題を、寓話性と切迫した心理描写で展開する。
- 425 1969 暗室 あんしつ 『暗室』は、男女関係の親密さと断絶、欲望と倦怠を、吉行淳之介らしい冷ややかな観察で描く長篇です。明るい恋愛小説ではなく、関係の内部にある孤独や自己欺瞞を見つめる作品として、第三の新人以後の心理小説の系譜に置くことができます。 第5回 谷崎賞
- 426 1965 夕べの雲 ゆうべのくも 『夕べの雲』は、郊外の家庭生活を大きな事件ではなく、家族の会話、子どもの成長、季節の変化の積み重ねとして描く庄野潤三の代表的長篇です。日常の細部を丁寧に見ることで、戦後の家庭小説に独自の静けさをもたらしています。
- 427 1965 抱擁家族 ほうようかぞく 『抱擁家族』は、妻とアメリカ兵との関係をきっかけに、家庭が内側から崩れていく過程を描く長篇です。夫婦、子ども、住居、英語、アメリカ的生活様式が絡み合い、戦後日本の家族が抱えた滑稽さと痛みを浮かび上がらせます。 第1回 谷崎賞
- 428 1964 個人的な体験 こじんてきなたいけん 脳に重い障害をもつ子の誕生に直面した青年バードが、父になることへの恐怖と逃避願望に追い詰められていく長編。酒、性、アフリカへの空想に逃げ込むバードの混乱を追いながら、私的な出来事が責任、倫理、家族の問題へ変わっていく過程を描く。滑稽さと残酷さが同居する語り口で、父性を美談にせず、引き受けることの困難…
- 429 1961 充たされた生活 みたされたせいかつ 石川達三が1960年代初頭に刊行した生活小説。題名の「充たされた」が逆説的に響くように、安定した生活の中にある不満や空虚を扱う作品として読める。公開情報が限られるため、家族、階層、生活倫理の揺らぎを主題にした暫定紹介とする。
- 430 1959 死の棘(初期連作) しのとげ(しょきれんさく) 『死の棘(初期連作)』は、妻の精神疾患と夫婦生活の崩壊を、逃げ場のない一人称で書き継いだ私小説的連作です。家庭という最も近い場所が病と疑念によって変質していく過程を、苛烈な自己凝視で描きます。のちに完結版へ至る島尾敏雄文学の中心的モチーフが、初期の連作段階からすでに現れています。
- 431 1959 海辺の光景 うみべのこうけい 講談社1959年刊の単行本。既存収録の初期芥川賞受賞作・晩年作の間を補う代表作。
- 432 1956 四十八歳の抵抗 よんじゅうはっさいのていこう 中年男性が若い女性に惹かれ、家庭と欲望の間で揺れる姿を描いた長編。年齢、性、家庭内の役割が絡み合い、戦後の中産階級的生活の安定が揺らぐ。映画化もされた話題作で、石川達三が家族と欲望を社会的に描いた一作。
- 433 1949 山の音 やまのおと 『山の音』は、鎌倉に暮らす老齢の会社重役・信吾を中心に、家族の崩れと老いの気配を見つめる連作長篇です。嫁の菊子への静かな愛着、息子夫婦の不和、死の予感が、抑制された三人称の語りで重なっていきます。戦後の家庭小説でありながら、川端康成らしい感覚的な細部が、老いと記憶の陰影を際立たせます。 第7回 野間文芸賞
- 434 1938 結婚の生態 けっこんのせいたい 結婚という制度と生活の内側を観察する石川達三の長編。家庭や男女関係を社会の縮図として見る作家の関心がうかがえ、私的な感情と制度的な役割のずれが主題になる。公開梗概は薄いが、家族・夫婦・生活倫理をめぐる作品として暫定整理する。