あくとたたかう

「悪」と戦う

高橋源一郎 2010

紹介 About

2010年に河出書房新社から刊行された高橋源一郎の長編。小説家の父である語り手のもと、3歳の兄ランちゃんが、悪の手先ミアちゃんに連れ去られた弟キイちゃん(1歳半)を取り戻すために「悪」と戦う。冒険譚の体裁を借りつつ、家族・言葉・生と死をめぐる主題を重ねる。

評価 Reception

NDLで2010年河出書房新社刊の書誌と、同作を扱う記事レコードを確認した。記事本文の評価は未確認だが、刊行時に批評対象となっていたことは確認できます。

出典 Sources

高橋源一郎のほかの収録作 More

  1. 001 1981 さようなら、ギャングたち さようならギャングたち 初出・群像 1981年12月号 1982年に講談社から刊行された高橋源一郎のデビュー長編。詩の学校で教える「僕」と、犯罪集団というより言語と記憶のなかで生成される虚構の仲間として現れるギャングたちの世界を、断章・引用・固有名の遊びで組み上げる。物語は詩、ポップカルチャー、メタフィクションを軽やかに横断し、青春小説の形式を借りながら… 芸術と表現青春アイデンティティ
  2. 002 1984 虹の彼方に にじのかなたに 単行本・中央公論社 高橋源一郎の初期長編で、ポップカルチャーの速度と文学的な実験が混ざり合う作品。既成の小説らしさをずらしながら、語りの軽さ、引用、遊びの感覚で現代の気分を立ち上げる。筋を追うだけでなく、言葉やジャンルがほどけていく過程を読む作品として扱いたい。 芸術と表現言葉と言語青春
  3. 003 1985 ジョン・レノン対火星人 ジョン・レノンたいかせいじん 単行本・角川書店 高橋源一郎の初期作品で、音楽、SF的な想像力、文学の制度を横断するような題名の通り、ジャンルの境界を遊びながら崩していく。物語の筋だけでなく、固有名やサブカルチャーの断片が語りを動かす点に読みどころがある。実験的な笑いと不穏さが同居する、ポストモダン文学の入口に置ける作品。 芸術と表現言葉と言語アイデンティティ
  4. 004 1985 優雅で感傷的な日本野球 ゆうがでかんしょうてきなにほんやきゅう 初出・文藝 1985年11月号〜1987年11月号(連載) 「ぼくは野球を知らなかった」――野球が忘れ去られた世界で、語り手は「日本野球」の神髄を教わろうとする。断片的な7つの章で構成され、実在の選手や球団の記憶、「1985年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか」という問いをめぐって、パロディとパスティーシュ(既存作品の文体模倣)を駆使した物語が時空を… 言葉と言語芸術と表現記憶 第1回 三島賞
  5. 005 1989 ペンギン村に陽は落ちて ペンギンむらにひはおちて 単行本・集英社 高橋源一郎が1989年に刊行した、ポップカルチャーの記号と小説の語りを交差させる作品。題名からも分かるように、既存の文化記号をずらして使い、文学とメディアの境目を揺さぶる。筋よりも、引用、冗談、語りの脱線が作る運動を読む作品。 芸術と表現言葉と言語実験的文体
  6. 006 1990 惑星P-13の秘密 わくせいピーじゅうさんのひみつ 単行本・角川書店 『惑星P-13の秘密』は、二台の壊れたロボットが読み漁る架空の書物を集めたという体裁の作品集です。音楽、スポーツ、文学などの言説を断片化し、偽書やパロディとして再構成するメタフィクションになっています。高橋源一郎らしい、世界文学を遊びながら解体するユーモアが前面に出た一冊です。 芸術と表現メタフィクション架空社会
  7. 007 1997 ゴーストバスターズ 冒険小説 ゴーストバスターズ ぼうけんしょうせつ 単行本・講談社 1997年に講談社から刊行された高橋源一郎の長編『ゴーストバスターズ 冒険小説』。謎の「ゴースト」を探してアメリカ横断の旅に出るブッチ・キャシディとサンダンス・キッド、「俳句鉄道888」で失踪した叔父を探すドン・キホーテの姪一行、東京の空を飛ぶ「正義の味方」超人マン・タカハシらが交錯する。アメリカが… 芸術と表現メタフィクション実験的文体
  8. 008 1997 日本文学盛衰史 にほんぶんがくせいすいし 初出・群像 1997年5月号〜2000年11月号(連載) 1997年から2001年まで『群像』に連載され、2001年に講談社から刊行された高橋源一郎の長編。「文学史が小説になった」と評されるように、統一された筋や明確な主人公を持たず、漱石・鴎外・二葉亭四迷・北村透谷・島崎藤村・樋口一葉ら近代文学の創始者たちが「何をどう書くか」という問いに苦しむ姿を断章的に… 芸術と表現言葉と言語記憶 第13回 伊藤整賞
  9. 009 1999 あ・だ・る・と あ・だ・る・と 単行本・主婦と生活社 1999年に主婦と生活社から刊行された高橋源一郎の小説。「AVのゴダール」と呼ばれるAV監督・ピンを中心に、撮影現場の描写を主軸に置きながら、性と愛の問いを追う異色作。さまざまな女性を相手にAVを完成させようとするピンの現場を描き、エピローグでは業界から忽然と姿を消した先輩がインドから送ってきたフィ… 身体アイデンティティ
  10. 010 2001 ゴヂラ ゴヂラ 単行本・新潮社 高橋源一郎が2001年に刊行した作品で、怪獣映画を思わせる表記を小説の入口に置く。戦後日本の記憶、メディアの記号、文学の語りを重ね、現実とフィクションの境界を揺さぶるタイプの作品として読める。内容細部は追加確認が必要だが、実験的な社会批評性を持つ作品として分類する。 芸術と表現言葉と言語戦争
  11. 011 2002 官能小説家 かんのうしょうせつか 単行本・朝日新聞社 永井荷風と森鷗外を軸に、「官能」と文学の歴史をめぐって展開する高橋源一郎の長編。近代文学の作家を素材にしながら、性、表現、文学史をメタフィクションとして組み替える。日本文学を読むこと自体を小説の快楽へ変える作品。 芸術と表現言葉と言語
  12. 012 2002 君が代は千代に八千代に きみがよはちよにやちよに 単行本・文藝春秋 「君が代」という強い公共的記号を題名に据え、国家、記憶、言葉の働きを小説の場で問い直す高橋源一郎の作品。政治的な主題を直接の主張に閉じず、語りの実験や文学的なずらしによって扱う。近代日本の制度と言語をめぐるメタフィクションとして読める。 言葉と言語記憶同調圧力
  13. 013 2005 ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ 単行本・集英社 宮沢賢治の作品やイメージを、高橋源一郎流に再配置するようなタイトルをもつ作品集。古典的な作家をそのまま讃えるのではなく、引用、変奏、遊びを通じて、文学を現在の言葉で鳴らし直す。メタフィクションとリミックス感覚が結びついた、高橋作品らしい一冊である。 芸術と表現言葉と言語記憶 第16回 宮沢賢治賞
  14. 014 2005 性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 せいこうとれんあいにまつわるいくつかのものがたり 単行本・朝日新聞社 『性交と恋愛にまつわるいくつかの物語』は、性と恋愛をめぐる語りを、物語そのものへの問いと重ねて扱う作品です。高橋源一郎の小説らしく、露骨な題材を単純な告白にせず、言葉が欲望をどう作り替えるかを意識させます。恋愛小説の形式をずらしながら、身体、関係、語りの自由度を探る読みどころがあります。 恋愛言葉と言語
  15. 015 2008 いつかソウル・トレインに乗る日まで いつかソウル・トレインにのるひまで 単行本・集英社 高橋源一郎が「初の恋愛小説」と銘打って2008年に集英社から刊行した長編。20年ぶりにソウルを再訪した主人公ケンジが、かつての恋人の娘ファソンと出会い、二人が惹かれ合いながら純愛を探す3日間を追う。題名の「ソウル・トレイン」は、アメリカの黒人音楽番組『Soul Train』と、韓国のソウル(Seou… 恋愛記憶孤独と疎外
  16. 016 2009 今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇 こんやはひとりぼっちかい? にほんぶんがくせいすいし せんごぶんがくへん 初出・群像 2009年10月号〜2012年6月号(連載) 『日本文学盛衰史』の続編として、戦後文学そのものを小説の素材にする長編。大岡昇平や小林秀雄らを思わせる文学史上の存在が、ロック、パンク、ラップ、ブログ、Twitter、YouTubeまで巻き込みながら、読まれなくなった戦後文学を現在の言葉へ揉みほぐしていく。文学史講義、パロディ、メタフィクションが交… 芸術と表現言葉と言語戦争
  17. 017 2011 恋する原発 こいするげんぱつ 単行本・講談社 『恋する原発』は、東日本大震災後の言葉とメディアを、チャリティーAV制作という挑発的な設定から問い直す高橋源一郎の小説です。笑いや猥雑さを含む語りは、災害をきれいな物語に回収することへの抵抗として働きます。性、表現、原発事故後の社会を同時に扱うメタフィクションです。 災害芸術と表現
  18. 018 2012 さよならクリストファー・ロビン さよならクリストファー・ロビン 単行本・新潮社 2012年に新潮社から刊行された、高橋源一郎自身が「最高傑作」と称した短篇集。表題作「さよならクリストファー・ロビン」は『クマのプーさん』の登場人物を著者の世界に招き入れる試みから生まれ、ほかに「峠の我が家」「星降る夜に」「お伽草紙」「ダウンタウンへ繰り出そう」「アトム」の計六篇を収める。児童文学や… 芸術と表現言葉と言語記憶 第48回 谷崎賞
  19. 019 2013 銀河鉄道の彼方に ぎんがてつどうのかなたに 単行本・集英社 『銀河鉄道の彼方に』は、宮沢賢治的な銀河鉄道のイメージを踏まえながら、言葉、信仰、死者との対話を重ねる高橋源一郎の長篇です。旅の形式は、現実から逃げる装置ではなく、現代の読者が死や救いを考えるための実験的な場になります。物語の引用性と語り直しが読みどころです。 死と喪失信仰言葉と言語
  20. 020 2015 動物記 どうぶつき 単行本・河出書房新社 『動物記』は、高橋源一郎が動物という他者を通じて、人間社会や言葉のあり方を問い直す小説として整理できます。動物はかわいらしい存在ではなく、人間中心の物語をずらす視点として現れます。寓話と批評が交差する作品です。 言葉と言語身体芸術と表現
  21. 021 2017 ゆっくりおやすみ、樹の下で ゆっくりおやすみ、きのしたで 初出・朝日小学生新聞 2017年7月〜9月(連載) 小学5年生のミレイが「さるすべりの館」で夏休みを過ごすうち、遠い過去の謎に触れていく児童文学寄りの長編。赤い部屋、止まっていた時計、館に隠された秘密が、子どもの視点に近い軽やかさと不思議な緊張感で語られる。今日マチ子の挿絵を多数収録し、高橋源一郎が子どもと大人の読者をつなぐ語りに挑んだ作品。 青春記憶家族
  22. 022 2018 DJヒロヒト ディージェイヒロヒト 初出・新潮 2018年4月号〜(連載) 『DJヒロヒト』は、パラオ放送局のラジオ番組という奇想の形式を通して、昭和史・文学史・戦争の記憶を再構成する大長編です。中島敦、南方熊楠、森鴎外らの名が交差し、謎のDJの語りが歴史上の人物とフィクションの声をリミックスしていく。ラジオ、録音、放送というメディアの仕掛けを使いながら、天皇制と近代日本を… 戦争記憶芸術と表現