あさってのひと

アサッテの人

諏訪哲史 2007 第50回 群像新人賞 受賞

紹介 About

吃音を抱えていた叔父は、いつしか「ポンパ!」などの意味を持たない言葉=アサッテの言葉を突発的に口にするようになり、やがて失踪した。「私」はその叔父をめぐる小説を書こうとするが、語りは草稿、叔父の日記、回想が混在するまま進んでいく。言葉の規範から「アサッテ」の方向へ逸脱したいという渇望を、小説の形式そのものの揺らぎとして実装した、完成まで8年を要したというデビュー作。

評価 Reception

第50回群像新人文学賞と第137回芥川賞をダブル受賞。新人賞受賞作がそのまま芥川賞を取るのは村上龍『限りなく透明に近いブルー』以来31年ぶりの快挙とされ、2007年最大の文壇トピックのひとつとなった。

受賞・候補歴 Awards

受賞 第50回 群像新人文学賞 (2007年)

諏訪哲史のほかの収録作 More

  1. 001 2008 りすん りすん 単行本・講談社 『りすん』は、『アサッテの人』以後の諏訪哲史が、聞くこと、話すこと、言葉のずれをさらに押し広げる実験的な作品です。タイトルの響きそのものが、意味に届く前の音や聞き間違いを思わせます。言語への執着と、他者へ届かない感覚が重なった小説として読めます。 言葉と言語アイデンティティ孤独と疎外
  2. 002 2009 ロンバルディア遠景 ろんばるでぃあえんけい 単行本・講談社 『ロンバルディア遠景』は、遠景という距離の感覚を通して、記憶、場所、言葉の変形を描く諏訪哲史の作品です。現実の土地はそのまま写されるのではなく、語りの中でずれ、遠ざかり、別の像になります。『りすん』同様、言葉そのものが主題化される実験的な小説として読めます。 言葉と言語記憶芸術と表現
  3. 003 2011 領土 りょうど 単行本・新潮社 領土は、諏訪哲史による2011年発表の作品です。単行本は新潮社(2011年)。
  4. 004 2017 岩塩の女王 がんえんのじょおう 単行本・新潮社 岩塩の女王は、諏訪哲史による2017年発表の作品です。単行本は新潮社(2017年)。
  5. 005 2024 昏色の都 くれいろのみやこ 単行本・国書刊行会 表題作「昏色の都」に、「極光」「貸本屋うずら堂」を併録した幻想小説集。国書刊行会公式は、表題作を初出時の三倍の規模へ増補した中編として紹介し、夢と現実のあわいをさまよう旅の物語や、古い貸本漫画と幼年期の記憶をめぐる作品を収めると説明している。作品ごとに文体と世界観を変えながら、記憶、読書、幻想都市の… 記憶芸術と表現孤独と疎外