あさってのひと
アサッテの人
紹介 About
吃音を抱えていた叔父は、いつしか「ポンパ!」などの意味を持たない言葉=アサッテの言葉を突発的に口にするようになり、やがて失踪した。「私」はその叔父をめぐる小説を書こうとするが、語りは草稿、叔父の日記、回想が混在するまま進んでいく。言葉の規範から「アサッテ」の方向へ逸脱したいという渇望を、小説の形式そのものの揺らぎとして実装した、完成まで8年を要したというデビュー作。
評価 Reception
第50回群像新人文学賞と第137回芥川賞をダブル受賞。新人賞受賞作がそのまま芥川賞を取るのは村上龍『限りなく透明に近いブルー』以来31年ぶりの快挙とされ、2007年最大の文壇トピックのひとつとなった。講談社公式の群像新人文学賞当選作・優秀作一覧でも、第50回・受賞として作品名・著者名を確認した。
出典 Sources
- 芥川賞受賞者一覧 - 日本文学振興会 評価書誌
(公式)第137回芥川賞受賞作として確認。群像新人文学賞と単行本内容の公式出典は今回の確認範囲では未確定。
- 群像新人文学賞当選作・優秀作一覧 - 講談社 書誌評価
(講談社公式)第50回・受賞として作品名・著者名を確認。内容紹介は未掲載。
受賞・候補歴 Awards
諏訪哲史のほかの収録作 More
- 001 2008 りすん りすん 『りすん』は、『アサッテの人』以後の諏訪哲史が、聞くこと、話すこと、言葉のずれをさらに押し広げる実験的な作品です。タイトルの響きそのものが、意味に届く前の音や聞き間違いを思わせます。言語への執着と、他者へ届かない感覚が重なった小説として読めます。
- 002 2009 ロンバルディア遠景 ろんばるでぃあえんけい 『ロンバルディア遠景』は、遠景という距離の感覚を通して、記憶、場所、言葉の変形を描く諏訪哲史の作品です。現実の土地はそのまま写されるのではなく、語りの中でずれ、遠ざかり、別の像になります。『りすん』同様、言葉そのものが主題化される実験的な小説として読めます。
- 003 2011 領土 りょうど 『領土』は、諏訪哲史が土地、言葉、所有の感覚を問い直す作品です。領土という政治的な語は、国家だけでなく、身体や記憶、語りが占める場所の問題にも広がります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 004 2017 岩塩の女王 がんえんのじょおう 『岩塩の女王』は、諏訪哲史が硬質なイメージと言葉遊びを重ねる小説として整理できます。岩塩という結晶と女王という権威の組み合わせは、身体、鉱物、支配の幻想を呼び込みます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌と初出確認に基づく暫定的な紹介です。
- 005 2024 昏色の都 くれいろのみやこ 表題作「昏色の都」に、「極光」「貸本屋うずら堂」を併録した幻想小説集。国書刊行会公式は、表題作を初出時の三倍の規模へ増補した中編として紹介し、夢と現実のあわいをさまよう旅の物語や、古い貸本漫画と幼年期の記憶をめぐる作品を収めると説明している。幻想は現実逃避ではなく、記憶や読書体験の奥に潜む時間を呼び…