としょじゅんびしつ

図書準備室

田中慎弥 2007

紹介 About

『図書準備室』は、高校卒業後にひきこもり続ける男の独白を中心に、閉じた場所と停滞する時間を描く第一作品集です。図書準備室という学校の余白のような場所が、社会へ出られない人物の内面と重なります。田中慎弥の硬質な語りが、青春の後に残った孤独を乾いた感触で示します。

評価 Reception

国立国会図書館サーチで2007年新潮社刊の単行本として確認できます。収録作に関わる新人賞情報は既存データにありますが、今回の調査では公式資料を確認していないため `awards[]` には追加していません。

出典 Sources

田中慎弥のほかの収録作 More

  1. 001 2005 冷たい水の羊 つめたいみずのひつじ 初出・新潮 2005年11月号 級友たちの生け贄のようにいじめの標的にされた中学生の少年。彼は「いじめられたと感じたらそれがいじめ」という定義を逆手に取り、「自分はいじめられていない」という独自の論理に立てこもって、陰惨な仕打ちを受け続ける。いじめを告発した同級生の少女・水原里子との心中の計画が、物語に暗い水脈のように流れる。羊の… 暴力同調圧力孤独と疎外 第37回 新潮新人賞
  2. 002 2008 神様のいない日本シリーズ かみさまのいないにほんシリーズ 単行本・文藝春秋 『神様のいない日本シリーズ』は、「江夏の21球」で知られる1979年の日本シリーズを背景に、父と子の時間を描く中篇です。野球の記憶は、家族の記憶や時代の空気を呼び戻す装置になります。田中慎弥の乾いた語りが、父子関係の近さと断絶を浮かび上がらせます。 父と子記憶芸術と表現
  3. 003 2008 切れた鎖 きれたくさり 単行本・新潮社 『切れた鎖』は、地方の閉ざされた土地に生きる血族を描く三篇を収めた作品集です。家族や土地の結びつきは守りではなく、逃れがたい暴力や因縁として迫ってきます。簡潔で硬い語りが、血縁の鎖が切れる瞬間の不穏さを際立たせます。 家族暴力死と喪失 第21回 三島賞
  4. 004 2009 犬と鴉 いぬとからす 単行本・講談社 『犬と鴉』は、田中慎弥の硬質な文体で、人間の生の暗さや動物的な感覚を前面に出す作品です。犬と鴉という題名の組み合わせは、従順さと不吉さ、近さと遠さを同時に呼び込みます。閉じた生活の中で、身体と孤独がざらついた手触りで描かれます。 身体孤独と疎外暴力
  5. 005 2010 実験 じっけん 単行本・新潮社 実験は、田中慎弥による2010年発表の作品です。単行本は新潮社(2010年)。
  6. 006 2011 共喰い ともぐい 初出・すばる 2011年10月号 昭和63年夏、川辺の町に暮らす17歳の遠馬は、父・円とその愛人琴子との三人暮らし。父は性交の際に女を殴る男で、遠馬の実母・仁子はその暴力ゆえに家を出て、川向こうで魚屋を営んでいる。恋人の千種との関係が深まるにつれ、遠馬は自分の中にも父と同じ暴力の血が流れているのではないかという恐れに苛まれていく。鰻… 父と子暴力 第146回 芥川賞
  7. 007 2012 田中慎弥の掌劇場 たなかしんやのてのひらげきじょう 単行本・毎日新聞出版 新聞連載から生まれた掌編小説集。
  8. 008 2012 夜蜘蛛 よぐも 単行本・文藝春秋 亡父の戦争の記憶をめぐる手紙の謎を描く中篇。
  9. 009 2013 燃える家 もえるいえ 単行本・講談社 下関を舞台に、家族と国家の暴力を問う1000枚超の大長編。
  10. 010 2015 宰相A さいしょうエー 単行本・新潮社 「平和主義」を掲げる独裁国家と化したもう一つの日本に迷い込んだ小説家Tを描くディストピア長編。
  11. 011 2016 炎と苗木 田中慎弥の掌劇場 ほのおとなえぎ たなかしんやのてのひらげきじょう 単行本・毎日新聞出版 掌編小説集『田中慎弥の掌劇場』の続編。
  12. 012 2017 美しい国への旅 うつくしいくにへのたび 単行本・集英社 美しい国への旅は、田中慎弥による2017年発表の作品です。単行本は集英社(2017年)。
  13. 013 2019 ひよこ太陽 ひよこたいよう 単行本・新潮社 一緒に住んでいた女に去られ、切り詰めた生活のなかで小説を書こうとする40代の男を描く連作小説集。書けない日々と死への誘惑に取り憑かれた語り手は、母から頼まれた人探しをきっかけに、現実と幻想の境界が揺らぐ世界へ入っていく。書けなさ、不在、生活の索漠さを見つめる私小説的な作品。 芸術と表現孤独と疎外死と喪失
  14. 014 2020 地に這うものの記録 ちにはうもののきろく 単行本・文藝春秋 再開発計画に揺れる駅前ビルに現れた、言葉を話すネズミのポールを主人公にした寓話的長篇。市議会議員の浦田さんの助けを得て、ポールは欲望や利害が渦巻く人間社会へ踏み込み、やがて市議会で語るところまで進む。人間とネズミの古い因縁を、都市再開発、政治、他者への嫌悪と共存の問題に重ねて描く。 同調圧力暴力労働
  15. 015 2020 完全犯罪の恋 かんぜんはんざいのこい 単行本・講談社 『完全犯罪の恋』は、芥川賞受賞後も地味な暮らしを送る四十男の小説家「田中」が、新宿で初恋の相手の娘に声をかけられるところから始まる長編。物語は現在の東京と、下関の高校時代に読書を通じて近づいた才女・真木山緑との記憶を往還し、恋の独りよがりと罪悪感を掘り下げる。作家本人を思わせる語り手を置き、私小説的… 恋愛記憶芸術と表現
  16. 016 2023 流れる島と海の怪物 ながれるしまとうみのかいぶつ 単行本・集英社 母に連れられて行った屋敷で、「俺」は朱音と朱里という二人の姉妹に出会う。母がなぜ二人に会わせたのかという謎は、伯母から聞く出生の秘密と、姉妹の母の故郷である「流れる島」の神話へつながっていく。下関という土地、家族と血の記憶、少年と少女の出会いを、現実と神話が絡む濃密な語りで描いた長編である。 家族母と子記憶
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