しばこうえんろっかくどうあと

芝公園六角堂跡

西村賢太 2017

紹介 About

『芝公園六角堂跡』は、「芝公園六角堂跡」「終われなかった夜の彼方で」「深更の巡礼」「十二月に泣く」を収める作品集です。文藝春秋BOOKSは、北町貫多が師・藤澤清造の終焉地に佇む場面と、私小説を書く理由を問う作品集として紹介しています。藤澤清造への執着、夜の東京、作家としての惑いが重なり、西村賢太の私小説的世界を凝縮した一冊として読めます。

評価 Reception

文藝春秋BOOKSとBooks出版書誌データベースで内容紹介・書誌を確認した。OpenBDでは読売新聞朝刊(2017年3月26日)の書評掲載記録を確認できるが、本文評価は未確認のため評語の要約は行わない。

出典 Sources

西村賢太のほかの収録作 More

  1. 001 2006 暗渠の宿 あんきょのやど 単行本・新潮社 『暗渠の宿』は、粗暴で不器用な私小説的主人公・北町貫多の同棲生活と生活感情を描く作品集です。貧困、労働、性的な執着が、露悪的な自己観察と乾いたユーモアのなかで語られます。暗渠という見えない水路の比喩のように、日常の底を流れる屈辱と欲望が読みどころになります。 労働恋愛貧困 第29回 野間新人賞
  2. 002 2006 どうで死ぬ身の一踊り どうでしぬみのひとおどり 単行本・講談社 『どうで死ぬ身の一踊り』は、大正期の私小説家・藤澤清造の「歿後弟子」を自任する男をめぐる、西村賢太初期の作品集です。文学への執着、貧しい生活、対人関係の不器用さが、露悪的でありながら妙に律儀な語りで押し出されます。私小説の系譜を現代に引き寄せる作品として読めます。 芸術と表現労働貧困
  3. 003 2007 二度はゆけぬ町の地図 にどはゆけぬまちのちず 単行本・角川書店 『二度はゆけぬ町の地図』は、戻れない場所への執着と、貧しい生活の記憶を私小説的な語りでたどる作品です。西村賢太らしい露悪的な自己凝視が、地図に残る町と、もう行けない過去を重ねます。労働、金銭、孤独が乾いた笑いと屈辱の感覚で結びついています。 貧困記憶孤独と疎外
  4. 004 2008 小銭をかぞえる こぜにをかぞえる 単行本・文藝春秋 『小銭をかぞえる』は、金欠と痴話喧嘩にまみれた同棲生活を、私小説的な露悪と乾いた笑いで描く作品です。小銭を数える行為が、貧しさ、欲望、関係の行き詰まりを象徴します。西村賢太の作品らしく、金と性と屈辱が分かちがたく結びつきます。 貧困恋愛労働
  5. 005 2009 瘡瘢旅行 そうはんりょこう 単行本・講談社 『瘡瘢旅行』は、藤澤清造の墓参と女性との旅を描く、北町貫多ものの作品集です。私小説的な語りは、文学への執着、貧しさ、対人関係のこじれを隠さずに差し出します。旅の形を取りながら、過去の傷や屈辱を抱え直す作品として読めます。 貧困芸術と表現孤独と疎外
  6. 006 2010 人もいない春 ひともいないはる 単行本・角川書店 『人もいない春』は、西村賢太の私小説的な語りで、孤独、貧困、生活の荒みを描く作品です。春という明るい季節の言葉に対して、人のいなさが強調され、取り残された感覚が前面に出ます。乾いた自己暴露の文体が、生活の行き詰まりを読ませます。 貧困孤独と疎外労働
  7. 007 2010 苦役列車 くえきれっしゃ 初出・新潮 2010年12月号 中卒で家を出た19歳の北町貫多は、東京の埠頭で冷凍倉庫から荷を運び出す日雇い仕事でその日暮らしを続けている。日当はすぐに酒と風俗に消え、家賃は滞納し、人付き合いもない。そんな彼が職場で専門学校生の日下部と知り合い、初めて友人と呼べそうな存在を得るが、劣等感と過剰な自意識がその関係に影を落としていく… 労働貧困孤独と疎外 第144回 芥川賞
  8. 008 2011 寒灯 かんとう 単行本・新潮社 『寒灯』は、西村賢太の北町貫多ものの系譜にある私小説的な作品です。既存データでは、貫多と秋恵の同棲生活が崩れていく過程が中心に置かれています。貧しさ、恋愛の破綻、自己嫌悪を、乾いた語りで露出させる作品です。 貧困恋愛孤独と疎外
  9. 009 2013 棺に跨がる かんにまたがる 単行本・文藝春秋 『棺に跨がる』は、北町貫多ものの系譜に属し、秋恵との同棲の終わりを軸にする西村賢太の連作集です。語りは私小説的で、屈辱、執着、生活の破綻がむき出しの文体で綴られます。恋愛や家族の物語というより、自己破壊的な男の孤立を読む作品です。 恋愛孤独と疎外暴力
  10. 010 2013 歪んだ忌日 ゆがんだきじつ 単行本・新潮社 『歪んだ忌日』は、西村賢太が忌日と記憶をめぐる感情のねじれを描く私小説的作品です。故人への思いは清らかな追悼ではなく、怒り、屈辱、生活の停滞を含んだものとして現れます。乾いた語りで、喪失と執着の歪みを読ませます。 死と喪失記憶孤独と疎外
  11. 011 2014 疒の歌 やまいだれのうた 単行本・新潮社 『疒の歌』は、北町貫多の青年期を描く西村賢太の長篇私小説です。病だれを含む題名が示すように、身体の不調、生活の荒み、内面の歪みが語りの中心になります。自己嫌悪と執着を、乾いた文体で押し出し、青年期の孤立を生活の手ざわりから読ませる作品です。 孤独と疎外労働
  12. 012 2015 痴者の食卓 ちしゃのしょくたく 単行本・新潮社 『痴者の食卓』は、西村賢太が食卓という生活の場に、屈辱や欲望、関係のこじれを持ち込む小説として整理できます。食べる場は穏やかな家庭の象徴ではなく、人物の弱さや執着が露出する場所になります。私小説的な語りで、生活の荒れと孤立を読ませる作品です。 孤独と疎外家族
  13. 013 2015 無銭横町 むせんよこちょう 単行本・文藝春秋 『無銭横町』は、西村賢太が北町貫多の生活、金銭、鬱屈を私小説的に描く作品集として整理できます。横町という場は、貧しさや人づきあいの狭さを抱えた生活圏として機能します。金のなさ、怒り、屈辱を乾いた語りで押し出すところに読みどころがあります。 貧困孤独と疎外労働
  14. 014 2016 蠕動で渉れ、汚泥の川を ぜんどうでわたれ、おでいのかわを 単行本・集英社 『蠕動で渉れ、汚泥の川を』は、17歳の北町貫多が新聞専売所で働く日々を描く長編私小説です。労働の単調さ、貧しさ、屈辱感が、身体を引きずるような題名の感覚と重なります。西村賢太らしい苛立ちと自己嫌悪を、青年期の労働現場から読む作品です。 労働貧困孤独と疎外
  15. 015 2018 羅針盤は壊れても らしんばんはこわれても 単行本・講談社 西村賢太の分身的主人公・北町貫多が、二十三歳を迎え、日雇い暮らしのなかで人生の敗北感を濃くしていく小説集。田中英光や藤澤清造の私小説に救いを求める貫多が、自らも私小説を書き始めようとする姿を軸に、貧困、文学への執着、自己嫌悪が泥臭く絡み合う。表題作に加え「陋劣夜曲」などを収め、惨めさと不屈さが同時に… 貧困労働孤独と疎外
  16. 016 2018 夜更けの川に落葉は流れて よふけのかわにおちばはながれて 初出・群像 2017年10月号 北町貫多の二十代前半を描く「寿司乞食」「夜更けの川に落葉は流れて」「青痰麺」の三篇を収める作品集。表題作では、無気力で受け身になっていた貫多が梁木野佳穂という女性との関わりによって、わずかに外の世界へ引き戻されていく。貧しさ、職場の失敗、恋愛の痛み、長く尾を引く恨みを、私小説的な乾いた筆致で読ませる… 貧困労働孤独と疎外
  17. 017 2019 瓦礫の死角 がれきのしかく 初出・群像 2018年7月号・2019年2月号・2019年7月号 『瓦礫の死角』は、父の性犯罪によって解体した家族の記憶と、服役を終えようとする「あの人」の影を描く表題作を中心にした短篇集。講談社公式は、十七歳で無職の北町貫多が、刑期を終えようとする父、復讐に怯える母、消息不明の姉を抱えた家族の瓦礫に向き合う物語として紹介している。「病院裏に埋める」と表裏をなす不… 家族暴力貧困
  18. 018 2022 雨滴は続く うてきはつづく 単行本・文藝春秋 2004年、北町貫多は同人誌発表作「けがれなき酒のへど」が同人雑誌優秀作に選ばれ、純文学誌に転載されたことで文壇デビューを果たす。藤澤清造の歿後弟子であろうとする執念、純文学誌への執筆、恋情と自尊心の揺れが、貫多らしい苛立ちと滑稽さを伴って進む。完成直前で未完となった遺作長篇であり、作家になる以前の… 芸術と表現恋愛孤独と疎外
  19. 019 2023 蝙蝠か燕か こうもりかつばめか 単行本・文藝春秋 2022年2月に急逝した西村賢太の未刊行小説集で、完結作としては最後の表題作を含む三篇を収める。北町貫多が藤澤清造資料の調査や書簡の額装をめぐって動く「廻雪出航」「黄ばんだ手蹟」と、死の前年の貫多を描く「蝙蝠か燕か」によって、師への執着と自分の文学を問い直す。私小説的な分身を通じ、歿後弟子としての覚… 芸術と表現死と喪失記憶