Est. 1933 / 文藝春秋
文學界
文藝春秋が発行する月刊文芸誌。文學界新人賞を主催し、芥川賞の登竜門として知られる。
この誌が初出の収録作 First Appearances 184 works
- 001 2026 理科がわからない りかがわからない 『理科がわからない』は、坂本湾が『文學界』2026年1月号に発表したエッセイです。NDLサーチでは今回雑誌記事書誌を確認できなかったため、作品内容の説明はWikipediaの作品リストで確認できる掲載情報に限定します。
- 002 2025 処暑 しょしょ 『処暑』は、阿部あみが「文學界」2025年12月号に発表した短篇です。NDLサーチとCiNii Researchでは「処暑 : 二〇二五年下半期同人雑誌優秀作」として記録され、掲載誌・巻号・ページ範囲・責任表示を確認できます。『裏庭』で第5回林芙美子文学賞佳作となった後の発表作として収録します。公開…
- 003 2023 ハンチバック ハンチバック 重度の先天性ミオチュブラー・ミオパチーのため人工呼吸器と電動車椅子を使い、両親が遺したグループホームで暮らす井沢釈華。背骨がS字に湾曲した彼女は、通信制大学で学び、ウェブにコタツ記事や性的な小説を書き、匿名アカウントで「妊娠と中絶がしてみたい」と挑発的な呟きを放つ。その呟きを、彼女の書いたものをすべ… 第169回 芥川賞
- 004 2023 マルギット・Kの鏡像 まるぎっと・けーのきょうぞう 『マルギット・Kの鏡像』は、『文學界』2023年5月号の特集「12人の“幻想”短篇競作」に掲載された石沢麻依の短篇です。公開情報では特集内掲載の確認が中心で、作品単独の公式梗概は確認できない。既存登録では、人物名と「鏡像」という題名を手がかりに幻想・アイデンティティの作品として低確信で整理している。
- 005 2021 彼岸花が咲く島 ひがんばながさくしま 彼岸花が咲き乱れる浜辺に、記憶を失った少女が流れ着く。海の向こうから来たため「宇実(ウミ)」と名付けられた彼女がたどり着いたのは、日本と台湾の間に浮かぶ架空の島。そこでは〈ニホン語〉と、女性だけが学ぶことを許された〈女語〉という二つの言語が話され、「ノロ」と呼ばれる女性たちが祭祀と政治、歴史の伝承を… 第165回 芥川賞
- 006 2021 恐竜時代が終わらない きょうりゅうじだいがおわらない 『恐竜時代が終わらない』は、山野辺太郎が『文學界』2021年7月号に発表した中篇小説です。NDLサーチとCiNii Researchで、同誌75巻7号の100-169ページに掲載された雑誌記事として確認できます。内容紹介や選評本文を確認できる一次情報は見つからなかったため、現時点では掲載誌・発表年を…
- 007 2021 悪い音楽 わるいおんがく 『悪い音楽』は、音楽家の父を持ち、卓越した才能を持ちながら他者への共感に乏しい中学校の音楽教師・三井ソナタを描く。彼女の平穏な日常は、音楽を熱烈に愛しながら耳に障害を抱える生徒との出会いで崩れていく。芸術的才能、感受性、教育現場の関係性をブラックユーモアで問う、九段理江のデビュー作である。音楽を「わ… 第126回 文學界新人賞
- 008 2020 裸婦 らふ 『裸婦』は、小暮夕紀子が「文學界」2020年9月号に発表した作品です。NDLサーチで掲載誌・巻号・ページ範囲と責任表示を確認できます。『タイガー理髪店心中』単行本刊行後にも文芸誌で作品発表を続けていたことを示す一作として収録します。
- 009 2020 復讐する相手がいない ふくしゅうするあいてがいない 『復讐する相手がいない』は、奥野紗世子が『逃げ水は街の血潮』で第124回文學界新人賞を受賞した後に発表した小説です。NDLサーチとCiNii Researchで、『文學界』2020年5月号、98-143ページ掲載の書誌を確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は掲…
- 010 2020 樒の家 しきみのいえ 『樒の家』は、「文學界」2020年5月号に掲載された田村広済の作品です。NDLサーチで掲載誌、発行年月、ページ範囲を確認できます。公開Webで出版社公式の号ページや内容紹介を確認できなかったため、題名から主題や舞台を推測しない形で登録します。
- 011 2019 五つ数えれば三日月が いつつかぞえればみかづきが 表題作は、日本で働く台湾人の「私」と、台湾人と結婚して台湾へ移った友人・実桜が、平成最後の夏に東京で五年ぶりに再会する物語。話す言葉、住む国、選び取った人生の差異が、再会の会話のなかで静かに立ち上がる。収録作「セイナイト」とあわせて、移動、言語、親密さ、記憶のずれを、越境する人のアイデンティティとし…
- 012 2019 逃げ水は街の血潮 にげみずはまちのちしお 『逃げ水は街の血潮』は、地下アイドルとして活動する二十代女性の疾走感と消耗を描くデビュー作です。都市のショービジネス的な場で、身体と承認欲求、自己像がすり減っていく様子を追います。アイドルという労働と自己表現の境界を、切迫した内面描写と速度感のある語りで扱う作品です。 第124回 文學界新人賞
- 013 2019 レンファント れんふぁんと 『レンファント』は、育児休暇中の父親が、重い皮膚疾患を抱える子の看護と妻との関係に直面するデビュー作です。育児参加をめぐる理想と現実、ケアの身体的・精神的負荷を、家庭の内側から描きます。父親の当事者性を問う点で、家族小説としてもケアの文学としても読めます。 第124回 文學界新人賞
- 014 2019 音に聞く おとにきく 『音に聞く』は、「文學界」2019年9月号に掲載され、同年11月に文藝春秋から単行本化された高尾長良の小説です。文藝春秋公式ページでは、ウィーンを舞台に音楽と言葉がぶつかり合う愛憎のドラマとして紹介されています。NDLサーチでは初出誌の掲載ページと単行本書誌、CiNii Researchでは関連レコ…
- 015 2018 送り火 おくりび 東北の小さな中学校へ転校した少年が、土地の集団に馴染んでいく過程で、同級生たちの危うい力関係に巻き込まれていく。表面的な適応の裏に、暴力と同調圧力が蓄積していく構造を描く作品。閉じた学校空間の息苦しさと、少年たちの均衡が崩れる瞬間が読みどころになる。土地の祭礼や遊びの気配が、成長物語の明るさではなく… 第159回 芥川賞
- 016 2018 ある男 あるおとこ 『ある男』は、戸籍上の名前と実際に生きた人物が一致しないという謎から、個人の同一性、家族、出自、社会的偏見を掘り下げる長篇です。弁護士の城戸が亡くなった依頼者の夫の身元を追う構成を通じて、他者を知ることの困難さが浮かび上がります。ミステリ的な構成を取りながら、平野啓一郎が継続して扱ってきた「分人」的…
- 017 2017 影裏 えいり 会社の出向で岩手に移り住んだ今野は、釣り仲間となった同僚・日浅にだけ心を許していた。二人で川に通った日々はやがて途絶え、日浅は何も告げずに会社を去る。そして東日本大震災の後、今野は日浅の行方を追ううちに、親しいと思っていた男のもう一つの顔に触れることになる。北国の自然や釣りの場面を丹念に描きながら… 第157回 芥川賞
- 018 2016 コンビニ人間 コンビニにんげん 36歳未婚の古倉恵子は、大学卒業後も就職せず、同じコンビニで18年間アルバイトを続けている。幼い頃から人と感覚がずれていることを自覚してきた恵子にとって、マニュアルが完備されたコンビニは「普通の人間」を演じられる唯一の場所だった。しかし、婚活目的で店にやってきた皮肉屋の新人男性・白羽の出現により、そ… 第155回 芥川賞
- 019 2016 かがやき かがやき 『かがやき』は、馳平啓樹が『文學界』2016年1月号に発表した作品で、2019年刊の初作品集の表題作です。Books出版書誌データベースでは、2011年に文學界新人賞を受賞し、兼業作家として創作活動を続けてきた馳平の初作品集として紹介されています。単行本には表題作のほか「梨の味」「クチナシ」「きんの…
- 020 2016 花の守 はなのもり 『花の守』は、杉本裕孝が第120回文學界新人賞受賞後に発表した第一作として「文學界」2016年2月号に掲載された作品です。文藝春秋公式の号ページとNDLサーチで、掲載誌・発行年月・受賞第一作表記を確認できます。
- 021 2016 市街戦 しがいせん 『市街戦』は、砂川文次のデビュー作であり、第121回文學界新人賞受賞作です。NDLサーチでは『文學界』2016年5月号掲載、文藝春秋公式ページでは後年の単行本『戦場のレビヤタン』に著者デビュー作として併録されたことを確認できます。公開されている出版社・書誌情報だけでは単独作品としての詳しい梗概までは… 第121回 文學界新人賞
- 022 2016 人生のアルバム じんせいのあるばむ 『人生のアルバム』は、『文學界』2016年5月号に第121回文學界新人賞受賞作として掲載された渡辺勝也のデビュー作。人生をアルバムのような記録として捉える既存梗概に沿い、記憶と現在の関係を扱う作品として整理した。公式・公的書誌では受賞と掲載情報は確認できるが、本文内容や選評本文の詳細は未確認である。 第121回 文學界新人賞
- 023 2016 カブールの園 かぶーるのその 日系アメリカ人三世の女性が、IT企業を立ち上げた友人とヨセミテへ向かい、日系人強制収容所の記憶に触れていく表題作を中心とする作品集。移民、戦争の記憶、アメリカ社会の周縁に置かれた人々を、作者らしい構成意識で扱う。収録作「半地下」とあわせ、越境するアイデンティティと継承されにくい記憶が主題となる。 第30回 三島賞
- 024 2016 浮遊霊ブラジル ふゆうれいぶらじる 『浮遊霊ブラジル』は、表題作を含む短篇集です。死後にブラジルへ行きたい浮遊霊、日常の中で少しずつ位置をずらされる人々、老いや孤独を抱える人物たちが、奇妙さと生活感のあいだで描かれます。現実のすぐ横にある別の通路を、津村記久子らしい平明な語りで開く一冊です。 第27回 紫式部文学賞
- 025 2015 火花 ひばな 売れない若手漫才師の徳永は、熱海の花火大会の営業で出会った先輩芸人・神谷の才能と破天荒な生き方に惹かれ、弟子にしてほしいと申し出る。神谷の伝記を書くという条件で交流が始まり、二人は東京の街を飲み歩きながら笑いの本質をめぐる対話を重ねていく。やがて徳永のコンビは少しずつ世に出る一方、笑いに純粋すぎる神… 第153回 芥川賞
- 026 2015 スクラップ・アンド・ビルド スクラップ・アンド・ビルド 無職で資格試験の勉強と転職活動を続ける28歳の健斗は、母と、87歳の祖父との三人暮らし。「早う死にたか」と口癖のように繰り返す祖父に対し、健斗は介護職の友人の助言をひねって解釈し、あえて何もかも世話を焼いて自立の機会を奪う「足し算の介護」によって、祖父の望む穏やかな死を後押ししようと思い立つ。同時に… 第153回 芥川賞
- 027 2015 死んでいない者 しんでいないもの 秋のある日、大往生を遂げた85歳の男の通夜に、子や孫、ひ孫まで30人ほどの親族が集まってくる。通夜振る舞いの席で酒を酌み交わす者、川辺をさまよう者、初めて会う親戚と言葉を交わす少年少女。語りは特定の人物に留まらず、出席者から出席者へと自在に移りながら、故人の記憶と一族それぞれの来し方、共有しえない日… 第154回 芥川賞
- 028 2015 朝霧のテラ あさぎりのてら 『朝霧のテラ』は、前田隆壱が第117回文學界新人賞受賞後に発表した第一作として「文學界」2015年5月号に掲載された作品です。文藝春秋公式の号ページとNDLサーチで、掲載誌・発行年月・受賞第一作表記を確認できます。
- 029 2015 声がわり こえがわり 『声がわり』は、板垣真任が第119回文學界新人賞受賞後に発表した第一作として「文學界」2015年6月号に掲載された作品です。文藝春秋公式の号ページとNDLサーチで、掲載誌・発行年月・受賞第一作表記を確認できます。
- 030 2015 サバイブ さばいぶ 『サバイブ』は、第120回文學界新人賞受賞作として「文學界」2015年6月号に掲載された加藤秀行の作品です。文学賞データベースで受賞・掲載誌と、文藝春秋刊『シェア』への収録を確認できます。公開Webで内容紹介や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は保留します。
- 031 2015 シェア しぇあ 『シェア』は、加藤秀行が「サバイブ」での文學界新人賞受賞後に発表した第一作として「文學界」2015年10月号に掲載された作品です。文藝春秋公式の紹介では、IT企業やシェアハウスを題材に、同時代的な生活空間の奥にある感触へ迫る作品として紹介されています。
- 032 2015 ヴェジトピア ゔぇじとぴあ 『ヴェジトピア』は、第120回文學界新人賞受賞作として「文學界」2015年6月号に掲載された杉本裕孝の作品です。文学賞データベースで、受賞作名・著者名・掲載誌を確認できます。公開Webで内容紹介や選評本文を確認できないため、題名から主題や舞台を推測しない形で登録します。 第120回 文學界新人賞
- 033 2014 春の庭 はるのにわ 離婚を機に世田谷の取り壊し予定のアパートに越してきた太郎は、隣に建つ水色の洋館を熱心に観察する住人の女・西と知り合う。漫画家の西は、高校時代に魅了された写真集『春の庭』の舞台がその家であることを知り、この場所へ引っ越してきたのだった。二人は次第にその水色の家への接近を試みるようになる。再開発で消えて… 第151回 芥川賞
- 034 2014 熊の結婚 くまのけっこん 『熊の結婚』は、諸隈元の第118回文學界新人賞受賞作です。年収の低いアルバイトとして絵を描く夫と、弁護士として働く妻の奇妙な夫婦関係を、体外受精や離婚、息子の成長を含む長い時間の流れのなかで描きます。断定しては打ち消すような反復的な語りと言葉遊びが、夫婦小説でありながら寓話めいた読後感を生んでいます… 第118回 文學界新人賞
- 035 2014 トレイス とれいす 『トレイス』は、山形出身の大学院生だった著者が、地方都市と高齢化社会の現実を扱ったデビュー作として紹介された作品です。若い書き手の視点から、地方で生きることや老いが迫る社会の輪郭をたどる。文藝春秋の号ページとNDLサーチで受賞・掲載は確認できるが、詳細な筋は公開資料では限定的である。 第119回 文學界新人賞
- 036 2013 すなまわり すなまわり 『すなまわり』は、相撲好きの少年が自分の体格に見切りをつけ、行司の道を選ぶ青春小説です。文藝春秋公式ページでは、激しい稽古、間延びする自由時間、やめていく若手など、角界の裏方の生態を描く作品として紹介されています。元大相撲行司という鶴川健吉自身の経歴を背景にしながらも、作者は主人公との距離を意識した…
- 037 2013 今日の日はさようなら きょうのひはさようなら 『今日の日はさようなら』は、二瓶哲也が第115回文學界新人賞受賞後に発表した第一作として「文學界」2013年9月号に掲載された作品です。NDLサーチで掲載誌、発行年月、ページ範囲、受賞第一作表記を確認できます。
- 038 2013 アフリカ鯰 あふりかなまず 『アフリカ鯰』は、静岡で暮らす男性の日常に、アフリカ大陸をめぐる記憶が重なるデビュー作として登録されている。旅の記憶と現在の停滞を対置し、遠い土地の経験が生活の感覚を揺らす作品として読める。NDLサーチと文藝春秋の号ページで受賞・掲載情報は確認できるが、詳細な筋や選評本文は今回十分に確認できていない… 第117回 文學界新人賞
- 039 2013 息子の逸楽 むすこのいつらく 『息子の逸楽』は、『文學界』2013年12月号に第117回文學界新人賞受賞作として掲載された守島邦明のデビュー作。既存梗概では、息子の放逸な生き方と家族の関係を描く作品として整理されている。NDLサーチと文藝春秋の号ページで受賞・掲載は確認できるが、詳細な内容紹介や選評本文は今回確認できていない。 第117回 文學界新人賞
- 040 2013 卵割 らんかつ 『卵割』は、『文學界』2013年5月号掲載作として確認できる小祝百々子の作品。今回確認できた出典では、単行本化、梗概、批評上の評価は見つけられていない。受賞作後の同誌掲載作として、書誌情報を中心に登録する。
- 041 2012 関東平野 かんとうへいや 『関東平野』は、第106回文學界新人賞受賞作『逃げ道』の作者・北野道夫が「文學界」2012年9月号に発表した短篇です。NDLサーチで掲載誌・巻号・ページを確認でき、芥川賞候補作家の群像では第148回芥川賞候補作として整理されています。今回確認できた公開情報では単行本化は見当たらず、書誌と候補歴を中心…
- 042 2012 河童日誌 かっぱにっし 『河童日誌』は、鈴木善徳が「髪魚」で第113回文學界新人賞を受賞した後に発表した短篇です。NDLサーチでは『文學界』2012年5月号、54-85ページ掲載の記事として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は掲載情報と文学賞候補歴に限定します。
- 043 2012 こどもの指につつかれる こどものゆびにつつかれる 『こどもの指につつかれる』は、第114回文學界新人賞受賞作として「文學界」2012年6月号に掲載された小祝百々子の作品です。NDLサーチとCiNii Researchで、掲載誌・ページ範囲・受賞作表記を確認できます。公開Webで内容紹介や選評本文を確認できないため、題名から主題や人物設定を推測しない…
- 044 2012 隙間 すきま 『隙間』は、人と人の間にある見えない距離を主題にした森山忍のデビュー作です。具体的な筋は限られていますが、題名どおり、関係の裂け目や沈黙の余白を読む作品として整理できます。親密さの中にある距離感を、静かな語りで描く作品です。 第115回 文學界新人賞
- 045 2012 最後のうるう年 さいごのうるうどし 『最後のうるう年』は、第115回文學界新人賞受賞作として「文學界」2012年12月号に掲載された二瓶哲也の作品です。NDLサーチとCiNii Researchで、掲載誌・ページ範囲・受賞作表記を確認できます。公開Webで内容紹介や選評本文を確認できないため、題名から主題や語り口を推測しない形で登録し…
- 046 2012 給水塔と亀 きゅうすいとう と かめ 定年後に幼いころ暮らした土地へ戻ってきた独身男性を主人公に、給水塔の記憶と前住人が残した亀をめぐって老いと孤独を見つめる短篇。大きな事件ではなく、製麺所の排水、古い団地、ベランダからの風景といった細部が、人生の時間の流れを静かに立ち上げる。津村記久子らしい抑制された語りが、再出発のかすかな意欲を読み… 第39回 川端賞
- 047 2011 七月のばか しちがつのばか 『七月のばか』は、吉井磨弥が「ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ」で第111回文學界新人賞を受賞した後に発表した受賞第一作です。NDLサーチでは『文學界』2011年11月号、98~145ページ掲載の記事として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は掲載情報に限…
- 048 2011 甘露 かんろ 『甘露』は、家と家族をめぐる不穏さを描く水原涼のデビュー作です。若い書き手による作品ながら、家族の内部に潜む圧力や不快な甘さを鋭く扱います。第145回芥川賞候補にもなり、デビュー時から筆力を注目された作品です。 第112回 文學界新人賞
- 049 2011 癌だましい がんだましい 『癌だましい』は、食道癌の患者の視点から、病と生をブラックユーモアを交えて描く山内令南のデビュー作です。看護経験を持つ作者ならではの距離感が、病を過度に美化せず、生のしぶとさとして描き出します。病院や身体の現実を、痛切さとユーモアの両方で読む作品です。 第112回 文學界新人賞
- 050 2011 癌ふるい がんふるい 『癌ふるい』は、山内令南が「癌だましい」で第112回文學界新人賞を受賞した後に発表した受賞第一作です。NDLサーチでは『文學界』2011年7月号、156~167ページ掲載の記事として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は掲載情報に限定します。
- 051 2011 髪魚 かみうお 『髪魚』は、人体と異形なるものの関係を独自の感覚で描く鈴木善徳のデビュー作です。髪と魚という異質なイメージを結びつけ、身体の境界が揺らぐ感覚を前面に出しています。後に芥川賞候補となる作者の、奇妙な身体感覚を示す出発点です。 第113回 文學界新人賞
- 052 2011 きんのじ きんのじ 『きんのじ』は、大阪文学学校在籍中に書かれた長谷原宏己のデビュー作です。製造業で働く人物の日常と内面を静かな文体で描く作品として整理されています。労働の反復の中にある孤独や尊厳を、派手な事件ではなく生活の手触りから読む作品です。 第113回 文學界新人賞
- 053 2011 異郷 いきょう 『異郷』は、津村節子が夫・吉村昭の死後の喪失と生者の日常を静かに描いた短篇です。身近な死を経た後の生活を、過剰な感傷ではなく抑制された語りで見つめます。配偶者の不在を抱えて生きる時間を、静謐な読み味で描く作品です。 第37回 川端賞
- 054 2011 孕みの木の実はされるがままだ はらみのこのみはされるがままだ 『孕みの木の実はされるがままだ』は、第113回文學界新人賞の候補作として確認できる小祝百々子の作品。単行本化、初出号、梗概は今回確認できた出典では明らかでないため、作品内容の紹介は保留する。現時点では、同作者の受賞作『こどもの指につつかれる』に先立つ候補作として位置づける。
- 055 2010 拍動 はくどう 『拍動』は、シリン・ネザマフィが第108回文學界新人賞受賞後に発表した小説です。NDLサーチでは「文學界新人賞受賞第一作」と副題が付され、『文學界』2010年6月号、98-137ページ掲載の記事として確認できます。日本語を母語としない書き手によるデビュー後の展開をたどるうえで、『白い紙』と並べて参照…
- 056 2010 乾燥腕 かんそうで 『乾燥腕』は、第110回文學界新人賞受賞作として確認できる鶴川健吉のデビュー作です。賞データベースでは『文學界』2010年6月号掲載作として確認できます。公開Webで梗概や選評本文を確認できないため、作品内容や文体の説明は追加調査まで保留します。
- 057 2010 自由高さH じゆうたかさH 『自由高さH』は、建築的な視点から人間の空間認識と自由の関係を探る保高洋三のデビュー作です。空間、身体、自由という抽象的な主題を、建築の語彙に近い感覚で小説化している点が特徴です。第143回芥川賞候補作にもなり、形式意識の強い新人作として位置づけられます。 第110回 文學界新人賞
- 058 2010 あぶらびれ あぶらびれ 『あぶらびれ』は、穂田川洋山が「自由高さH」で第110回文學界新人賞を受賞した後に発表した受賞第一作です。NDLサーチでは『文學界』2010年11月号、90~138ページ掲載の記事として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は掲載情報と文学賞候補歴に限定します。
- 059 2010 ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ ごるでぃーたはたべて ねて はたらくだけ 『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』は、中南米系移民女性ゴルディータの日常をユーモラスに描く吉井磨弥のデビュー作です。食べる、眠る、働くという生活の反復から、日本社会の異文化の交差が見えてきます。移民的な視点を重くしすぎず、軽やかな語りで日常のたくましさを読む作品です。 第111回 文學界新人賞
- 060 2009 ディヴィジョン でぃゔぃじょん 大阪在住の奥田真理子が、別名義での最終候補(第106回)、「カルテル」での最終候補(第108回)を経て、三度目の挑戦でつかんだ受賞作。応募総数2008編の頂点に立ち、『文學界』2009年12月号に掲載された。同じ回では合原壮一朗「狭い庭」が選考委員名を冠した「花村萬月・松浦理英子特別賞」に選ばれてお… 第109回 文學界新人賞
- 061 2009 カルテル かるてる 『カルテル』は、奥田真理子が第108回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、2009年4月13日決定、『文學界』2009年6月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 062 2009 白い紙 しろいかみ イラン・イラク戦争下のイランの地方都市。成績優秀な高校生の男女が、勉強を口実に心を通わせていく。だが前線が近づくにつれ、家族の事情と戦争の影がふたりの未来を静かに引き裂いていく。日本語を母語としない書き手が、平易で簡潔な日本語によって戦時下の日常と若い恋の痛みを描き、戦争文学と青春小説を重ねてみせた… 第108回 文學界新人賞
- 063 2009 武曲 むこく 『武曲』は、剣道をめぐる身体と言葉のせめぎ合いを描く藤沢周の長篇です。剣を教える男と、無自覚な才能を持つ少年が出会うことで、暴力、継承、父性、才能への恐れが浮かび上がります。武道小説の枠組みを使いながら、身体の奥に沈む痛みを純文学的な密度で描きます。
- 064 2009 麻布怪談 あざぶかいだん 『麻布怪談』は、小林恭二の小説単行本です。文藝春秋公式ページでは、江戸の末、鄙びた麻布に独り住む男のもとへ美少女幽霊と狐女が通いつめる妖異譚として紹介されています。NDLサーチでは2009年11月に文藝春秋から刊行された312ページの図書、NDC9 913.6として確認できます。
- 065 2008 冬蛇 ふゆへび 『冬蛇』は、第30回すばる文学賞受賞作『幻をなぐる』の作者・瀬戸良枝が「文學界」2008年3月号に発表した作品です。NDLサーチでは雑誌記事として、掲載誌・巻号・ページを確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品内容の説明は掲載情報に限定します。
- 066 2008 廃車 はいしゃ 車検切れが迫る壊れかけの車を、主人公は中国人留学生に無償で譲り渡す。ところが期限を過ぎても相手は約束した廃車手続きをせず、それどころか、わけのわからないまま主人公のほうが怨まれていく。日常の小さな親切が言葉も論理も通じない泥沼へ転がり落ちる過程を、乾いたユーモアで描いた不条理劇。受賞作は『文學界』2… 第107回 文學界新人賞
- 067 2008 射手座 いてざ 日系ブラジル人の語り手が、妹ルシアに関わる謎めいた男・加賀芳明と向き合う。妹の万引きに関わった加賀は、やがて妹が遺棄した赤ん坊について語り出し、赤ん坊を運んで山道をひとりさまよう。語り手が加賀から聞いた話を伝聞のかたちで重ねていく重層的な構造により、何が真実かは最後まで曖昧なまま、登場人物の誰ひとり… 第107回 文學界新人賞
- 068 2008 逃げ道 にげみち シャワートイレ業者に雇われ、一般人のふりをして製品を試す「モニター工作員」として働く若い女性が主人公。アルバイト先の不祥事を機に、彼女は営業担当の田尻とともに街を離れ、千葉の屛風ヶ浦へと車を走らせる。隣人が全裸で現れるなどのノンセンスな場面や、エクセルの表を組み込む形式の実験を織り交ぜながら、どこに… 第106回 文學界新人賞
- 069 2008 静寂の耳 せいじゃくのみみ 『静寂の耳』は、奥田真理子が響堂コウ名義で応募し、第106回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、2008年4月11日決定、『文學界』2008年6月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 070 2007 乳と卵 ちちとらん 東京で一人暮らしをする「わたし」のもとへ、大阪でホステスとして働く姉の巻子と、その娘で小学6年生の緑子が上京してくる。離婚後ひとりで娘を育ててきた巻子は豊胸手術を受けることに執拗にこだわり、初潮を迎える年頃の緑子は、自分の身体が変わっていくことへの違和感をノートに書きつけ、母とは筆談でしか口をきかな… 第138回 芥川賞
- 071 2007 舞い落ちる村 まいおちるむら 生まれ育った女系の村では、時間の進み方や年齢の重ね方が定まらず、ものの数も曖昧で、人々は個々の名前すらめったに持たない。「わたし」はその「言葉を信じない」村のあり方に違和感を抱き、村と大学のある街とを行き来するうち、言葉を信じ言葉で武装した人物に強く惹かれていく。土俗的な幻想と言語への意識を重ね合わ… 第104回 文學界新人賞
- 072 2007 オブ・ザ・ベースボール おぶ・ざ・べーすぼーる 年に一度くらいの割合で空から人が降ってくる町、ファウルズ。「私」はユニフォームとバットを支給されたレスキュー・チームの一員として、落ちてくる人をフルスイングで打ち返すべく日々待機している。およそ役に立たない職務をめぐる思弁が、乾いた論理の積み重ねでどこまでも転がっていく。不条理な設定を理詰めで駆動す… 第104回 文學界新人賞
- 073 2007 ワンちゃん わんちゃん 日本に渡って暮らす中国人女性「ワンちゃん」は、中国の女性たちと日本の男たちを引き合わせる見合いツアーの世話役を務めている。国境をまたぐ結婚の斡旋という生々しい現場を通して、経済格差のなかを生きる女たちのたくましさと哀感を、来日20年の作者がよどみのない日本語で描いた。日本語を母語としない書き手が日本… 第105回 文學界新人賞
- 074 2006 風化する女 ふうかするおんな 突然死んだ会社の先輩れい子には、職場で見せていたのとは別の顔があった。「私」はその謎をたどって東京から地方へと旅をし、死んだ女の生の痕跡に自分を重ねていく。日々がたえず「風化」していく都会の生活感覚を背景に、死者をなぞることでしか確かめられない自分の輪郭を、抑制された筆致で描いたデビュー作。 第102回 文學界新人賞
- 075 2006 いやしい鳥 いやしいとり 飲み会で初めて会った学生を家に連れ帰るはめになった非常勤の大学講師。その夜を発端に、男が鳥へと変身していく惨劇が起こる。講師の視点と隣に住む専業主婦の視点を交互に置き、時系列を少しずつずらす構成で、日常に走る裂け目をグロテスクな滑稽さとともに見せる。藤野の出発点となった変身譚で、奇想と冷静な観察眼の… 第103回 文學界新人賞
- 076 2006 裏庭の穴 うらにわのあな 主婦の朝子は、幼い頃に母親が裏庭に何かを埋めるのを目撃したという記憶を、大人になっても抱え続けている。掘り返されないまま家族の足元に空いた「穴」のような記憶を軸に、平穏に見える家庭の日常の底に沈む鬱屈と、母と娘のあいだのほどけない結び目を描く。受賞作は2009年刊の作品集『霊降ろし』(文藝春秋)に収… 第103回 文學界新人賞
- 077 2006 八月の路上に捨てる 『八月の路上に捨てる』は、伊藤たかみの中篇小説です。文藝春秋BOOKSでは、暑い夏の一日、30歳を目前に離婚しようとしている主人公を通して、現代の若者を覆う社会のひずみと生態を軽やかに描く作品として紹介されています。初出は『文學界』2006年6月号で、2006年8月に文藝春秋から単行本化されました。 第135回 芥川賞
- 078 2005 さりぎわの歩き方 さりぎわのあるきかた 29歳の「僕」は、青春の終わりを記念するかのように一泊の合コンに参加する。怪しげな新事業の話、旧友の転落と自殺——若さの賞味期限が切れかかった男たちの周りで起こる出来事を、「こういうのがお望みのドラマなんだろう?」と斜に構えた語りで突き放しながら、それでも去り際の身の処し方を探っていく。まっとうな成… 第101回 文學界新人賞
- 079 2004 初子さん はつこさん あんパンとクリームパンしか売らないパン屋の二階で、ひたすらミシンを踏む洋裁職人の初子さん。一枚の布が誰かの身体を待つ服になることに魅せられて職人になったものの、夢を叶えた先に広がるのは単調な日々だった。京都の田舎町のよどんだ空気と、そこで生きる女性の手仕事の時間を、とぼけたユーモアと正確な観察で描く… 第99回 文學界新人賞
- 080 2004 介護入門 かいごにゅうもん 寝たきりの祖母を在宅で介護する無職の「俺」が、深夜のおむつ替えや褥瘡のケアといった介護の現実を、ヒップホップのライムを思わせる呼びかけと畳みかける長文で語る。「ヨォ、と俺は呼びかける」という挑発的な語りは、介護を美談にも悲劇にも回収せず、祖母への愛と世間への呪詛を同じ熱量で吐き出していく。介護文学に… 第98回 文學界新人賞
- 081 2003 桜川の庭 さくらがわのにわ 『桜川の庭』は、第94回文學界新人賞受賞作『飴玉が三つ』の作者・蒔岡雪子が「文學界」2003年9月号に発表した作品です。NDLサーチでは「文學界新人賞受賞第一作」として、掲載誌・巻号・ページを確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品内容の説明は掲載情報に限定します。
- 082 2003 老いたる蜂 おいたるはち 『老いたる蜂』は、第94回文學界新人賞受賞作『わたしの好きなハンバーガー』の作者・北岡耕二が「文學界」2003年11月号に発表した作品です。NDLサーチでは「文學界新人賞受賞第一作」という副題付きの雑誌記事として、掲載誌・巻号・ページを確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品…
- 083 2003 ハンゴンタン はんごんたん タイトルの「ハンゴンタン(反魂丹)」は、死者の魂を呼び戻すという伝承を持つ富山の伝統的な丸薬の名。哲学科出身の27歳の新人が、第95回・第96回と受賞作が1作以下の状態が続いた文學界新人賞の2003年下期に単独受賞した。選考委員は浅田彰・奥泉光・島田雅彦・辻原登・山田詠美。単行本化されておらず、内容… 第97回 文學界新人賞
- 084 2003 イッツ・オンリー・トーク いっつ・おんりー・とーく 躁鬱病を抱えた30代半ばの独身女性「私」は、東京・蒲田の町に引っ越してくる。彼女の周りには、病や性、仕事や家族の事情を抱えた人々が集まり、深く結びつきすぎない会話が日常をつないでいく。出版社公式が強調する「しんどい事情」を抱えた人々の生き方を、自己憐憫に寄せず、乾いたユーモアと距離感のある一人称で描… 第96回 文學界新人賞
- 085 2003 鬼ケーキ 『鬼ケーキ』は、安斎あざみが『文學界』2003年3月号に発表した作品です。NDLサーチでは、同誌57巻3号の128ページから156ページに掲載された記事・論文種別の文学作品として確認できます。内容紹介や選評は公開書誌から確認できないため、書誌情報を中心に収録します。
- 086 2002 はじらい。 はじらい 『はじらい。』は、都築隆広が「看板屋の恋」で第91回文學界新人賞を受賞した後に発表した受賞第一作です。NDLサーチでは「文學界」2002年4月号掲載、176-221ページの雑誌記事として確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品内容の説明は掲載情報に限定します。
- 087 2002 飴玉が三つ あめだまがみっつ アルコール依存症者の自助グループ「断酒会」に母と通う既婚の娘が、死を前に断酒を誓った医師の父との歳月を振り返る。父から受けた一度きりの暴力すら幸福の記憶として抱え込み、会で告白する他の依存症者を見下す主人公は、自身もまた高校時代から酒に頼ってきた。父への愛と自己への愛が分かちがたく絡まり、その呪縛か… 第94回 文學界新人賞
- 088 2002 わたしの好きなハンバーガー わたしのすきなはんばーがー 広告会社を定年まで勤め上げた67歳の新人が、蒔岡雪子「飴玉が三つ」と同時に第94回文學界新人賞を射止めた作品。新人賞の受賞者が軒並み若返っていく2000年代初頭にあって、企業社会を生き切った世代の書き手の登場は異彩を放った。選考委員は浅田彰・奥泉光・島田雅彦・辻原登・山田詠美。単行本化されておらず… 第94回 文學界新人賞
- 089 2002 パーク・ライフ ぱーくらいふ 『パーク・ライフ』は、東京の公園を横切る日常の時間を、会話と観察の細部で捉える作品です。大きな事件よりも、見知らぬ他者との距離や、都市のなかでふと生まれる親密さの手前を描くところに特徴があります。 第127回 芥川賞
- 090 2001 クチュクチュバーン くちゅくちゅばーん ある時から人間たちが異形のものへと変容しはじめ、世界そのものが崩壊へ向かう過程を、複数の人物のエピソードを束ねて描く黙示録的な中篇。グロテスクで生々しい身体描写を畳みかけながら、悲惨さの中に奇妙な可笑しさと祝祭性が同居するのが特徴で、「世界の破壊か、新しい人類の始まりか」という終末イメージを正面から… 第92回 文學界新人賞
- 091 2001 サイドカーに犬 さいどかーにいぬ 小学四年生の夏、母が家出した薫の家に、父の知り合いである洋子さんが入り込んでくる。自転車を教えてくれ、缶コーヒーを飲み、堂々と振る舞う洋子さんと過ごしたひと夏を、大人になった薫が淡々と回想する。家庭の危機という湿りがちな題材を、軽やかでユーモラスな距離感と即物的なディテールで描き、深刻にならないのに… 第92回 文學界新人賞
- 092 2001 水の匂い みずのにおい 『水の匂い』は、「文學界」2001年6月号に掲載された羽根田康美の小説です。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ範囲を確認できます。公開Webで詳細な内容紹介は確認できないため、主題分類は題名と掲載媒体からの暫定整理です。
- 093 2000 看板屋の恋 かんばんやのこい 『看板屋の恋』は、第91回文學界新人賞を受賞し、『文學界』2000年12月号に掲載された都築隆広の作品です。PrizesWorldで受賞・掲載情報を確認できますが、NDLサーチでは個別書誌IDを特定できていません。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、題名から職業・舞台・恋愛描写の具体像を断… 第91回 文學界新人賞
- 094 2000 聖水 せいすい 『聖水』は、長崎の宗教的・歴史的な記憶を背景に、人の生と死、土地に残る記憶を静かに掘り下げる作品です。既収録の「ジェロニモの十字架」と同じ単行本に収められ、青来有一の初期作品世界を代表する一篇です。 第124回 芥川賞
- 095 2000 きれぎれ きれぎれ 『きれぎれ』は、町田康が『文學界』2000年5月号に発表し、同年に文藝春秋から刊行した中篇小説です。文藝春秋BOOKSでは、浪費家で酒乱、ランパブ通いを趣味とする語り手が、かつて見合いで出会った友人の妻に恋慕し策謀を練る物語として紹介されています。単行本には「人生の聖」も併録されています。 第123回 芥川賞
- 096 1999 蔭の棲みか かげのすみか 『蔭の棲みか』は、大阪の在日朝鮮人集落を舞台に、最古参の住人ソバンの人生と共同体の日常を描く作品です。戦争で手首を失ったソバンの記憶、家族と集落の関係、事件の気配が重なり、個人史と地域史が交差します。在日文学の系譜に連なりつつ、生活の場の細部から重い歴史を立ち上げる点が読みどころです。 第122回 芥川賞
- 097 1999 LA心中 えるえーしんじゅう 『LA心中』は、羽根田康美が第88回文學界新人賞を受けた短篇です。PrizesworldとNDLサーチで、1999年4月14日決定の第88回文學界新人賞受賞作であり、『文學界』1999年6月号掲載であることを確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から舞台や主題を推測せず… 第88回 文學界新人賞
- 098 1999 DAY LABOUR でい・れいばー 『DAY LABOUR』は、松崎美保が第88回文學界新人賞を受けた短篇です。PrizesworldとNDLサーチで、1999年4月14日決定の同賞受賞作であり、『文學界』1999年6月号掲載であることを確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から労働や舞台を断定せず、現時点… 第88回 文學界新人賞
- 099 1999 ミューズ みゅーず 十七歳の女子高生・美緒が、矯正歯科医への恋を通して自分の身体感覚と欲望に触れていく中篇です。恋愛の物語でありながら、歯列矯正という身体への介入を軸に、青春期の感覚の鋭さを前面に出している。赤坂真理の初期作品らしく、若い女性の内面と都市的な空気が近い距離で語られます。 第22回 野間新人賞
- 100 1998 ゲルマニウムの夜 げるまにうむのよる 『ゲルマニウムの夜』は、かつて暮らした修道院兼教護院へ、殺人の後に戻ってくる青年を中心にした長篇です。信仰の場であるはずの空間に、暴力、性、罪悪感が濃密に入り込み、聖と俗の境界が崩れていきます。荒々しい身体感覚と過剰な熱量によって、逃げ場のない生を押し出す作品です。 第119回 芥川賞
- 101 1998 腦病院へまゐります。 のうびょういんへまゐります。 『腦病院へまゐります。』は、旧仮名遣いを用いた文体で、精神の病と言葉の働きを絡ませて描く作品です。表記そのものが読者の速度を変え、病院や身体をめぐる経験を、通常のリアリズムからずらして見せます。言語の異物感を作品の主題に接続する、実験的な語りが読みどころです。 第86回 文學界新人賞
- 102 1997 水滴 すいてき 『水滴』は、沖縄の老人の足から水が流れ出すという奇妙な出来事を起点に、戦争の死者と生者の現在が交わる短篇です。民話的な幻想と生活のユーモアを重ねながら、沖縄戦の記憶が日常の身体へ戻ってくる瞬間を描きます。荒唐無稽な設定の奥に、加害と悔恨、共同体の記憶が沈んでいる点が読みどころです。 第117回 芥川賞
- 103 1997 最後の息子 さいごのむすこ 『最後の息子』は、長崎から上京した若者が新宿で中年のゲイ男性と同居し、親密さと依存のあわいを見つめていく中篇です。都市の片隅で居場所を探す人物たちを、乾いた一人称の感覚で追い、性と孤独が生活の細部に染み出す様子を描きます。吉田修一のデビュー作として、以後の都市と人間関係への関心の出発点に位置づけられ… 第84回 文學界新人賞
- 104 1997 くろい、こうえんの くろい、こうえんの 『くろい、こうえんの』は、橘川有弥が第85回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは「第85回文学界新人賞発表」の記事として、『文學界』1997年12月号に受賞作が掲載されたことを確認できます。梗概や本文に基づく主題・語りの説明は未確認のため、内容面の分類は保留します。 第85回 文學界新人賞
- 105 1997 いないあなた いないあなた 『いないあなた』は、橘川有彌が第84回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1997年4月17日決定、『文學界』1997年6月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 106 1996 蛇を踏む へびをふむ 『蛇を踏む』は、藪で蛇を踏んだ女性の前に、その蛇が女の姿で現れ、「蛇になれ」と迫ってくる芥川賞受賞作です。日常の手触りを残したまま異界が入り込み、現実と幻想の境界が曖昧になっていくところに読みどころがある。身体の変容、親密さへの恐れ、奇妙な同居感を、川上弘美の初期作らしい静かな不穏さで描く。 第115回 芥川賞
- 107 1996 物語が殺されたあとで ものがたりがころされたあとで 『物語が殺されたあとで』は、最上煬介が第83回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは「第83回文学界新人賞発表」の記事として、大村麻梨子『ギルド』とともに『文學界』1996年12月号に掲載されたことを確認できます。内容紹介や選評本文の要約はオンラインで確認できる範囲が限られるため、現時点では書誌… 第83回 文學界新人賞
- 108 1996 ギルド ぎるど 『ギルド』は、大村麻梨子が第83回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは「第83回文学界新人賞発表」の記事として、最上煬介『物語が殺されたあとで』とともに『文學界』1996年12月号へ掲載されたことを確認できます。オンラインで確認できる範囲では詳細な梗概が見つからないため、内容面の分類は保留しま… 第83回 文學界新人賞
- 109 1996 くっすん大黒 くっすん だいこく 『くっすん大黒』は、仕事を辞め、妻にも去られた楠が、身の回りの不運を自宅にある不気味な大黒像のせいにして捨てに行く町田康のデビュー作です。日常の失敗や自意識の空回りが、大阪弁に近いリズムと独特の口語で転がっていく。貧しさ、夫婦の破綻、労働からの離脱を、陰惨さだけでなく滑稽さとして読ませる語りが大きな… 第7回 ドゥマゴ文学賞
- 110 1995 豚の報い ぶたのむくい 『豚の報い』は、沖縄のスナックに豚が乱入する出来事を起点に、厄落としのため離れ小島の御嶽へ向かう一行を描く芥川賞受賞作です。ファルス的な出来事の連鎖の中に、沖縄の霊的世界観、身体感覚、生の逞しさが重なります。方言・口語の感触と祝祭性を帯びた語りが読みどころです。 第114回 芥川賞
- 111 1995 アンドリュー・ワイエス展--ひそやかで濃密な静けさ あんどりゅーわいえすてんひそやかでのうみつなしずけさ 『アンドリュー・ワイエス展--ひそやかで濃密な静けさ』は、高林杳子による美術展評です。NDLサーチで『文學界』49巻6号、1995年6月号、p.166-168掲載を確認できます。本文内容は未確認のため、内容説明は題名と書誌情報の範囲に限定します。
- 112 1995 映画「スモーク」--煙草の煙の重さを量れるか えいがすもーくたばこのけむりのおもさをはかれるか 『映画「スモーク」--煙草の煙の重さを量れるか』は、木崎巴による映画評です。NDLサーチで『文學界』49巻11号、1995年11月号、p.150-152掲載を確認できます。本文内容は未確認のため、内容説明は題名と書誌情報の範囲に限定します。
- 113 1995 ジェロニモの十字架 じぇろにものじゅうじか 『ジェロニモの十字架』は、青来有一のデビュー期にあたる第80回文學界新人賞受賞作です。『文學界』掲載後、芥川賞受賞作を含む作品集『聖水』に収録されたことを、文学賞データ、NDL、文藝春秋公式ページで確認できます。収録書『聖水』の公式紹介は父と救済をめぐる物語性を示していますが、本作単独の梗概は公開情… 第80回 文學界新人賞
- 114 1995 目印はコンビニエンス めじるしはこんびにえんす 『目印はコンビニエンス』は、塩崎豪士が第81回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは、清野栄一『デッドエンド・スカイ』などとともに受賞作発表記事へ掲載されたことを確認できます。内容紹介や選評本文はオンライン上で十分確認できないため、作品内容の説明は保留します。 第81回 文學界新人賞
- 115 1995 デッド・エンド・スカイ でっど・えんど・すかい 『デッド・エンド・スカイ』は、清野栄一の第81回文學界新人賞受賞作を含む長篇小説です。河出書房新社公式ページでは、レイヴのDJが過去を振り返りながら地の果てを彷徨する作品として紹介されています。音楽文化、移動、回想が重なり、若者の閉塞感をスピリチュアルな放浪の感覚へ変換していく読みどころがあります。 第81回 文學界新人賞
- 116 1994 タイムスリップ・コンビナート たいむすりっぷ・こんびなーと 『タイムスリップ・コンビナート』は、自宅から海芝浦駅へ向かう道程で時間が前後にずれていく幻想的な芥川賞受賞作です。都市近郊の移動と時間感覚の攪乱を通じて、記憶、身体、場所の境界が不安定になっていきます。笙野頼子の自由奔放な文体と時間への感覚が凝縮された作品として整理できます。 第111回 芥川賞
- 117 1994 ファースト・ブルース ふぁーすと・ぶるーす 『ファースト・ブルース』は、松尾光治が第78回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは「第78回文学界新人賞決定発表--受賞作『ファースト・ブルース』松尾光治」として、『文學界』1994年6月号に掲載された発表記事を確認できます。オンラインで梗概や選評本文を確認できないため、内容面の説明は受賞・掲… 第78回 文學界新人賞
- 118 1994 マイナス因子 まいなすいんし 『マイナス因子』は、木崎巴が第79回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは「第79回文学界新人賞発表--『マイナス因子』木崎巴」として、『文學界』1994年12月号に掲載された発表記事を確認できます。梗概や本文に基づく主題説明は未確認のため、現段階では受賞・掲載情報を中心に記録します。 第79回 文學界新人賞
- 119 1993 石の来歴 いしのらいれき 『石の来歴』は、奥泉光が第110回芥川賞を受賞した中編小説です。既存データでは、第二次大戦中から戦後にわたる男の人生と一個の石をめぐり、戦争経験と記憶の層が交錯する作品として整理されています。日本文学振興会公式で芥川賞受賞は確認できますが、今回確認できた出典は受賞・初出情報が中心で、細部の内容説明は… 第110回 芥川賞
- 120 1993 無人車 むじんしゃ 『無人車』は、高林杳子が第76回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事と『文學界』1993年6月号の書誌を確認できます。詳細なあらすじ・書評は今回確認できなかったため、題名から内容を推測せず、受賞・掲載情報を中心に記録します。 第76回 文學界新人賞
- 121 1993 冗談関係のメモリアル じょうだんかんけいのめもりある 『冗談関係のメモリアル』は、中村邦生が第77回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事と『文學界』1993年12月号の書誌を確認できます。題名から、冗談や記憶をめぐる人間関係を扱う作品と見られますが、内容の詳細は未確認です。 第77回 文學界新人賞
- 122 1993 壊音 KAI-ON かいおん 『壊音 KAI-ON』は、高校生の少女が自分の身体感覚の崩壊と再生をたどるデビュー作です。若い身体と精神の不安定さを、音や感覚の乱れとして捉える作品として整理できます。17歳で文學界新人賞を受賞した篠原一の初期代表作で、1995年に文藝春秋から単行本化されました。 第77回 文學界新人賞
- 123 1992 樹木内侵入臨床士 じゅもくないしんにゅうりんしょうし 『樹木内侵入臨床士』は、架空の職業をめぐる実験的な物語です。人間の身体や治療の感覚を、樹木の内部へ侵入するという奇妙な設定に置き換えています。現実的な職業小説ではなく、身体と自然の境界をずらす寓話として読むのが近い作品です。 第74回 文學界新人賞
- 124 1992 春の手品師 はるのてじなし 『春の手品師』は、大島真寿美が第74回文學界新人賞を受賞したデビュー中篇です。名古屋を舞台に、ある関係性の始まりと変化を丁寧に描いた作品として既存調査で確認されています。恋愛や都市生活の気配を、清新な文体で扱う初期作品として位置づけられます。 第74回 文學界新人賞
- 125 1992 ちょっとムカつくけれど、居心地のいい場所 ちょっとむかつくけれど、いごこちのいいばしょ 『ちょっとムカつくけれど、居心地のいい場所』は、伏本和代が第75回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事と『文學界』1992年12月号の書誌を確認できます。詳細な内容紹介・選評本文は未確認のため、作品内容の説明は受賞・掲載情報に限定します。 第75回 文學界新人賞
- 126 1991 自動起床装置 じどうきしょうそうち 『自動起床装置』は、通信社の仮眠室で眠る人々を起こす「起こし屋」を主人公にした作品です。眠りを管理する仕事を通して、現代の労働、身体、文明の疲弊を問います。ジャーナリストでもある辺見庸の観察眼と、実験的な文体が交差する芥川賞受賞作です。 第105回 芥川賞
- 127 1991 背負い水 せおいみず 『背負い水』は、荻野アンナが三年連続候補を経て芥川賞を受けた作品です。ラブレー研究者としての言語感覚を背景に、肉体、性、笑いを奔放な語りで絡ませます。湿った私小説性よりも、身体と言葉がはねるようなユーモアが前面に出る作品です。 第105回 芥川賞
- 128 1991 海を渡る植物群 うみをわたるしょくぶつぐん 『海を渡る植物群』は、みどりゆうこが第72回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLで受賞作発表記事と『文學界』1991年6月号の書誌を確認できました。題名から越境や移動のイメージがうかがえますが、物語内容を具体的に確認できる公開資料は今回見つからず、紹介は書誌中心です。 第72回 文學界新人賞
- 129 1991 名前のない表札 なまえのないひょうさつ 『名前のない表札』は、市村薫が第73回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事として掲載情報を確認できますが、詳細な内容紹介は今回確認できませんでした。題名から主題や舞台を推測せず、受賞・掲載情報を中心に記録します。 第73回 文學界新人賞
- 130 1990 村の名前 むらのなまえ 『村の名前』は、中国奥地を舞台に、ある村の名をめぐる記憶と謎を追う中篇です。旅と聞き書きのような手触りを持ちながら、地名が個人や共同体の歴史をどのように抱え込むかを幻想的に描きます。辻原登のデビュー期の越境感覚と、語りの迷宮性が読みどころです。 第103回 芥川賞
- 131 1990 妊娠カレンダー にんしんかれんだー 『妊娠カレンダー』は、妊娠した姉とその夫と同居する「私」が、妊娠の経過を日々観察していく短篇です。生命の誕生を祝福だけでなく、匂い、食べ物、身体への嫌悪や違和感として描く点が際立ちます。淡々とした一人称の記録が、家族の親密さの裏にある不穏さを増幅します。 第104回 芥川賞
- 132 1990 渇水 かっすい 『渇水』は、水道料金を滞納した家庭の給水停止に向かう水道局員・岩切俊作と、その家の子どもたちをめぐる中篇です。行政の仕事としての「停止」と、生活の水を断たれる人々の現実がぶつかります。乾いた社会派リアリズムで、貧困、労働、家庭の孤立を描く作品です。 第70回 文學界新人賞
- 133 1990 狂いバチ、迷いバチ くるいバチ、まよいバチ 『狂いバチ、迷いバチ』は、竹野昌代が第71回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLでは受賞作発表記事と『文學界』1990年12月号の書誌を確認できますが、公開された詳細なあらすじ・書評は今回確認できませんでした。題名の不穏さを含め、現時点では新人賞受賞作としての書誌的紹介を中心に扱います。 第71回 文學界新人賞
- 134 1989 ネコババのいる町で ねこばばのいるまちで 『ネコババのいる町で』は、ロサンゼルスから一人で日本に送られた少女・恵里子が、祖母と叔母のもとで育つ姿を描く作品です。場面緘黙症を抱える少女にとって、隣家の猫たちとの関係が、言葉にならない孤独の受け皿になっていきます。移動、家族、言語化できない傷を、子どもの視界に近い静けさで描く点が読みどころです。 第69回 文學界新人賞
- 135 1989 表層生活 ひょうそうせいかつ 『表層生活』は、都市に生きる現代人の浮遊した意識と、薄く接続された人間関係を描く中篇です。言葉や情報、自己意識が「表層」として流れていく感覚を通じて、実存の手応えのなさを問い直します。都市的な乾きと、テクノロジー時代の言語感覚が前面に出た作品です。 第102回 芥川賞
- 136 1989 ソウル・トリップ そうる・とりっぷ 第68回文學界新人賞受賞作として『文學界』1989年6月号に掲載された作品。NDLサーチでは受賞作発表記事と掲載誌号を確認できる。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容の分類は保留し、受賞掲載情報を中心に扱う。 第68回 文學界新人賞
- 137 1989 流離譚 りゅうりたん 『流離譚』は、中村隆資のデビュー作にあたる第69回文學界新人賞受賞作です。題名が示すように、定住できない感覚や移動の経験を軸にした作品として整理できます。第102回芥川賞候補にもなり、1989年下半期の新人賞作品として注目されました。 第69回 文學界新人賞
- 138 1988 尋ね人の時間 たずねびとのじかん 『尋ね人の時間』は、別れた妻子や死別した妹、好意を寄せる女性との距離を抱えたカメラマンの意識を追う作品です。都会で自分を見失った人物の感覚が、詩的で短い文の連なりとして表現されます。喪失を過剰に劇化せず、削ぎ落とした言葉で浮遊感を残す点が特徴です。 第99回 芥川賞
- 139 1988 ダイヤモンドダスト だいやもんどだすと 『ダイヤモンドダスト』は、信州の病院に勤務する医師が末期患者の死と向き合う日々を描く短篇です。医療現場の現実を過度に説明せず、死のそばにある静けさや、凍った水蒸気が光る表題のイメージを重ねていきます。病と死を扱いながら、情緒に流されない抑制された文体が印象に残ります。 第100回 芥川賞
- 140 1988 四日間 よっかかん 『四日間』は、坂谷照美による第66回文學界新人賞受賞作です。NDLサーチでは受賞作発表記事の題名に『4日間』と表記され、小浜清志『風の河』との同時受賞として確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容の説明は掲載・受賞情報に限定します。 第66回 文學界新人賞
- 141 1988 風の河 かぜのかわ 『風の河』は、小浜清志による第66回文學界新人賞受賞作です。坂谷照美『四日間』との同時受賞作として、NDLサーチで受賞作発表記事が確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、題名から内容を推測せず、受賞・掲載情報を中心に扱います。 第66回 文學界新人賞
- 142 1988 夏の果て なつのはて 『夏の果て』は、浜口隆義による第67回文學界新人賞受賞作です。梶井俊介『僕であるための旅』との同時受賞作として、NDLサーチで受賞作発表記事が確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容は推測せず、受賞・掲載情報を中心に紹介します。 第67回 文學界新人賞
- 143 1988 僕であるための旅 ぼくであるためのたび 『僕であるための旅』は、梶井俊介による第67回文學界新人賞受賞作です。浜口隆義『夏の果て』との同時受賞作として、NDLサーチで受賞作発表記事が確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、題名から内容を推測せず、受賞・掲載情報に限定して整理します。 第67回 文學界新人賞
- 144 1987 鍋の中 なべのなか 『鍋の中』は、九州の農村を舞台に、土地の記憶、老い、血縁の連なりを濃密な語りで掘り起こす作品です。日常の台所や家族の場面から、土地に沈んだ神話的な感覚までを引き寄せるところに村田喜代子の個性が表れています。泥臭い生の肯定と、死や老いへの視線が同じ鍋の中で煮込まれるような読み味です。 第97回 芥川賞
- 145 1987 川べりの道 かわべりのみち 『川べりの道』は、鷺沢萠のデビュー作にあたる第64回文學界新人賞受賞作です。在日コリアン二世の少女の揺れを繊細に描いた作品として整理され、川べりという境界的な場所が、血筋や帰属の不安を映します。若年での受賞という話題性だけでなく、移民的な自己認識を扱う点でも重要です。 第64回 文學界新人賞
- 146 1987 東明の浜 とうめいのはま 『東明の浜』は、第64回文學界新人賞受賞作として確認できる尾崎昌躬の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1987年4月9日決定、『文學界』1987年6月号掲載、鷺沢萠『川べりの道』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は受賞・掲載情報… 第64回 文學界新人賞
- 147 1987 遠方より えんぽうより 『遠方より』は、谷口哲秋のデビュー作にあたる第65回文學界新人賞受賞作です。遠くから届くもの、遠くへ向かう視線を題名に持つ作品として、距離と記憶を主題化する初期作として整理しました。後に芥川賞候補にもなっており、文學界新人賞から純文学の選考圏へ進んだ作品です。 第65回 文學界新人賞
- 148 1986 比叡を仰ぐ ひえいをあおぐ 『比叡を仰ぐ』は、藤本恵子による第62回文學界新人賞受賞作です。NDLサーチで受賞作発表記事が確認でき、雑誌掲載された新人賞作品として位置づけられます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容の説明は受賞・掲載事実に限定します。 第62回 文學界新人賞
- 149 1986 気配 けはい 『気配』は、片山恭一のデビュー作にあたる第63回文學界新人賞受賞作です。受賞歴とデビュー経緯は確認できますが、公開Webで信頼できる梗概や選評本文は確認できませんでした。既存記述にあった青春・孤独などの内容分類は根拠が弱いため、現時点では受賞作としての位置づけに限定します。 第63回 文學界新人賞
- 150 1986 野薔薇の道 のばらのみち 『野薔薇の道』は、松本富生による第63回文學界新人賞受賞作です。片山恭一『気配』との同時受賞作として、NDLサーチの受賞作発表記事で確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容の分類は保留します。 第63回 文學界新人賞
- 151 1985 明希子 あきこ 『明希子』は、第60回文學界新人賞受賞作として確認できる武部悦子の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1985年4月17日決定、『文學界』1985年6月号掲載、米谷ふみ子『遠来の客』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、人物像・舞台・主題は推測せず… 第60回 文學界新人賞
- 152 1985 遠来の客 えんらいのきゃく 『遠来の客』は、ロサンゼルス在住の米谷ふみ子が「過越しの祭」と同時期に発表したデビュー期の作品です。既存データでは、家族、障害、移民的な越境感覚を扱う作品として整理されています。海外に暮らす日本語作家の視点から、家族の内部にある距離と異文化の緊張を読む作品です。 第60回 文學界新人賞
- 153 1985 朝鮮人街道 ちょうせんじんかいどう 『朝鮮人街道』は、第61回文學界新人賞受賞作として確認できる早野貢司の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1985年10月15日決定、『文學界』1985年12月号掲載、中島俊輔『夏の賑わい』との同時受賞が確認できます。題名から歴史・地域・民族的主題を断定せず、公開Webで確認できる範囲… 第61回 文學界新人賞
- 154 1985 夏の賑わい なつのにぎわい 『夏の賑わい』は、第61回文學界新人賞受賞作として確認できる中島俊輔の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1985年10月15日決定、『文學界』1985年12月号掲載、早野貢司『朝鮮人街道』との同時受賞が確認できます。公開Webで梗概や選評本文を確認できないため、内容紹介は受賞・掲載情… 第61回 文學界新人賞
- 155 1984 青桐 あおぎり 『青桐』は、乳癌に冒されながら医療を拒む叔母を、姪・充江の視点から見つめる作品です。看取りの時間に、北陸の旧家、幼時の火傷、叔母との愛憎が重なり、家族の記憶と身体の傷がゆっくり露出していきます。死をめぐる静けさの奥に、親密さの暴力性を感じさせる点が読みどころです。 第92回 芥川賞
- 156 1984 端黒豹紋 つまぐろひょうもん 『端黒豹紋』は、第58回文學界新人賞受賞作として確認できる海辺鷹彦の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1984年4月16日決定、『文學界』1984年6月号掲載、阿南泰『錨のない部屋』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は受賞・掲載… 第58回 文學界新人賞
- 157 1984 錨のない部屋 いかりのないへや 『錨のない部屋』は、第58回文學界新人賞受賞作として確認できる阿南泰の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1984年4月16日決定、『文學界』1984年6月号掲載、海辺鷹彦『端黒豹紋』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から舞台や主題を推測せ… 第58回 文學界新人賞
- 158 1984 月姫降臨 つきひめこうりん 『月姫降臨』は、第59回文學界新人賞受賞作として確認できる佑木美紀の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1984年10月16日決定、『文學界』1984年12月号掲載、石島あづさ『水位』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、幻想性などを題名から断定せ… 第59回 文學界新人賞
- 159 1984 水位 すいい 『水位』は、第59回文學界新人賞受賞作として確認できる石島あづさの作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1984年10月16日決定、『文學界』1984年12月号掲載、佑木美紀『月姫降臨』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から水辺や心理描写を推… 第59回 文學界新人賞
- 160 1984 雛の宿 ひなのやど 『雛の宿』は、石島あづさが悠喜あづさ名義で応募し、第58回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1984年4月16日決定、『文學界』1984年6月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 161 1983 犬のように死にましょう いぬのようにしにましょう 『犬のように死にましょう』は、コピーライター出身の高橋一起のデビュー作にあたる文學界新人賞受賞作です。題名からも死や自己否定のイメージが強く、既存情報では受賞・初出確認が中心です。詳細な筋は未確認のため、作品紹介はデビュー作としての位置づけと題名が喚起する不穏さに留めています。 第56回 文學界新人賞
- 162 1983 住宅 じゅうたく 『住宅』は、赤羽建美のデビュー作にあたる第57回文學界新人賞受賞作です。題名が示す住まいの空間を軸に、家や都市生活の閉塞を扱う作品として整理しました。芥川賞候補にもなっており、新人賞受賞作にとどまらず同時代の純文学選考でも注目された作品です。 第57回 文學界新人賞
- 163 1983 雪野 ゆきの 『雪野』は、尾辻克彦名義で発表された赤瀬川原平の作品で、実在の画家・雪野恭弘を軸に若い頃の体験を描く実名小説として整理されています。Prizesworldでは1983年6月の文藝春秋刊行が確認でき、既存データでは『文學界』1983年2月号初出とされています。芸術家同士の記憶と関係を、私小説的な手触り… 第5回 野間新人賞
- 164 1982 あなしの吹く頃 あなしのふくころ 『あなしの吹く頃』は、第54回文學界新人賞受賞作として確認できる田中健三の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1982年4月15日決定、『文學界』1982年6月号掲載が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は受賞・掲載情報に限定します。 第54回 文學界新人賞
- 165 1982 受賞の言葉 じゅしょうのことば 『受賞の言葉』は、田中健三の第54回文學界新人賞受賞に関連する短いコメント記事です。NDLサーチで『文學界』36巻6号、1982年6月号、p.88掲載を確認できます。本文内容は未確認のため、内容説明は掲載情報に限定します。
- 166 1982 浮上 ふじょう 『浮上』は、医師・田野武裕のデビュー作にあたる第55回文學界新人賞受賞作です。既存梗概では、病や死を背景にした青春の痛みを扱う作品として整理されています。文學界新人賞から芥川賞候補へ進んだ作品で、1980年代前半の新人賞と芥川賞の接続を示す一作です。 第55回 文學界新人賞
- 167 1982 雷電石縁起 らいでんせきえんぎ 『雷電石縁起』は、第55回文學界新人賞受賞作として確認できる山川一作の作品です。NDLサーチでは受賞作発表記事として作品名・受賞者を確認でき、Prizesworldでは『文學界』1982年12月号掲載、田野武裕『浮上』との同時受賞が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名か… 第55回 文學界新人賞
- 168 1981 風のけはい かぜのけはい 『風のけはい』は、第52回文學界新人賞受賞作として確認できる峰原緑子の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1981年4月13日決定、『文學界』1981年6月号掲載、同年7月に文藝春秋から刊行された単行本『風のけはい』所収であることが確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できな… 第52回 文學界新人賞
- 169 1981 破水 はすい 『破水』は、医師・南木佳士のデビュー作にあたる第53回文學界新人賞受賞作です。病院や身体に近い場所から、生と死の境界を見つめる作者の関心が初期から現れています。後の芥川賞受賞作『ダイヤモンドダスト』へつながる、医療と死をめぐる文学の起点として読めます。 第53回 文學界新人賞
- 170 1981 剥製師 はくせいし 『剥製師』は、山川一作が第52回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1981年4月13日決定、『文學界』1981年6月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 171 1981 晴れた日に はれたひに 『晴れた日に』は、山川一作が第53回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1981年10月15日決定、『文學界』1981年12月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 172 1980 父が消えた ちちがきえた 『父が消えた』は、父の遺骨を納める墓地を見に中央線で高尾へ向かう「私」の意識をたどる中篇です。現在の車中の時間に、父をめぐる記憶や前衛芸術家としての作者の感覚が交錯し、家族小説でありながら形式そのものを揺さぶる作品になっています。死者を送る手続きの物語を、記憶の断片と都市郊外の移動感覚で組み立てる点… 第84回 芥川賞
- 173 1980 狸 たぬき 『狸』は、第50回文學界新人賞受賞作として確認できる村上節の作品です。Prizesworldの受賞作一覧では、1980年4月16日決定、『文學界』1980年6月号掲載、1985年11月刊の『ふくしまの文学2 小説戦後篇』への収録が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、作品内容… 第50回 文學界新人賞
- 174 1980 裸足 はだし 『裸足』は、木崎さと子のデビュー作にあたる第51回文學界新人賞受賞作です。PrizesWorldで受賞回・作品名・受賞者を確認できます。公開Webで梗概や選評本文を確認できないため、作品内容の説明は受賞・作家史上の位置づけに限定します。 第51回 文學界新人賞
- 175 1980 ゆらり、と ゆらりと 『ゆらり、と』は、峰原緑子が『文學界』1980年12月号に発表した作品です。第51回文學界新人賞佳作で、のち文藝春秋刊『風のけはい』に収録されました。公開Webで信頼できる梗概を確認できなかったため、作品内容の説明は掲載・佳作・収録情報に限定します。
- 176 1979 愚者の夜 ぐしゃのよる 『愚者の夜』は、青野聰が第81回芥川龍之介賞を受賞した小説です。日本文学振興会の公式一覧では1979年上半期の受賞作として掲載誌『文學界』とともに記録され、NDLサーチでは1979年文藝春秋版および1983年文春文庫版の書誌を確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概は確認できなかったため、作品紹… 第81回 芥川賞
- 177 1979 夏のさなかに なつのさなかに 『夏のさなかに』は、峰原緑子が『文學界』1979年12月号に発表した作品です。第49回文學界新人賞候補作で、のち文藝春秋刊『風のけはい』に収録されました。公開Webで信頼できる梗概を確認できなかったため、作品内容の説明は掲載・候補・収録情報に限定します。
- 178 1962 媒煙 ばいえん 『媒煙』は、運上旦子が第14回文學界新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1962年上期、『文學界』1962年5月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 179 1958 飼育 しいく 戦争末期、外界から隔てられた山間の寒村に米軍機が墜落し、生き残った黒人兵が捕虜として捕らえられる。県の指示が出るまで村で「飼う」ことになった黒人兵に食事を運ぶ役を担った少年「僕」は、言葉の通じない相手とのあいだに、獣を飼い馴らすような、しかし確かな親密さを育てていく。子どもたちの祝祭めいた共生の日々… 第39回 芥川賞
- 180 1957 裸の王様 はだかのおうさま 『裸の王様』は、企業の付設美術教室で働く主人公が、子どもたちの表現を管理しようとする組織と向き合う短篇です。子どもの自由な絵と大人の制度的な論理を対比させ、個人が組織に取り込まれていく過程を批評します。開高健の社会批評性と寓話性が、読みやすい構図のなかに収まった出世作です。 第38回 芥川賞
- 181 1956 海人舟 かいとぶね 『海人舟』は、千葉・鴨川の海辺を背景に、漁師たちの労働と土地に根ざした生活を描く短篇です。近藤啓太郎自身の漁業体験に近い素材を、海と身体の感覚を伴うリアリズムで扱っています。都市の内面劇とは違う、海辺の共同体と労働の重さが読みどころです。 第35回 芥川賞
- 182 1955 太陽の季節 たいようのきせつ 裕福な家庭に育ち、拳闘に打ち込む高校生・津川竜哉が主人公。湘南の海やヨット、盛り場を舞台に、既成の倫理や大人の価値観を軽蔑し、喧嘩や女性関係を遊戯のように楽しむ戦後世代の若者たちの生態を描く。竜哉は英子という女性と出会い、互いに駆け引きめいた恋愛を続けるうちに、欲望と愛情の間で関係は思わぬ方向へ傾い… 第34回 芥川賞
- 183 1954 驟雨 しゅうう 『驟雨』は、料亭の女との短い逢瀬を軸に、中年男の倦怠と孤独を描く短篇です。感情を大きく説明せず、会話や身振りの細部から男女の距離を読ませるところに特徴があります。吉行淳之介の乾いた都市的感覚が、第三の新人の作風を代表するかたちで現れています。 第31回 芥川賞
- 184 1954 アメリカン・スクール あめりかん・すくーる 『アメリカン・スクール』は、占領下日本の英語教師たちがアメリカ人学校を見学する一日を描く短篇です。英語を教えながら英語に怯える教師たちの滑稽さを通して、敗戦後の対米感情と自意識のゆがみが浮かびます。小島信夫らしいユーモアと違和感のある会話が、戦後日本の心理的占領状態を照らします。 第32回 芥川賞