えいり

影裏

沼田真佑 2017 第157回 芥川賞 受賞 第122回 文學界新人賞 受賞

紹介 About

会社の出向で岩手に移り住んだ今野は、釣り仲間となった同僚・日浅にだけ心を許していた。二人で川に通った日々はやがて途絶え、日浅は何も告げずに会社を去る。そして東日本大震災の後、今野は日浅の行方を追ううちに、親しいと思っていた男のもう一つの顔に触れることになる。北国の自然や釣りの場面を丹念に描きながら、人が人を本当に知ることの不可能性、表層の下に潜む「影」を浮かび上がらせる。主人公の性的指向がほのめかされるなど、語られないものの気配を残す抑制された筆致が特徴の、著者のデビュー作。

評価 Reception

第157回芥川賞受賞。選考では吉田修一が日浅の人物造形と暗示の手法を高く評価し、高樹のぶ子は震災によって表層が剥がれ内面が剥き出しになる主題を秀作と推した。一方、村上龍は作者の伝えたいことが見えないとして推さず、宮本輝も巧さだけでは足りないと留保するなど評価は割れた。文學界新人賞受賞のデビュー作がそのまま芥川賞を受けたことも話題になった。2020年には岩手出身の大友啓史監督、綾野剛・松田龍平の共演で映画化された。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第157回 芥川龍之介賞 (2017年上半期)
受賞 第122回 文學界新人賞 (2017年)

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