いてざ
射手座
紹介 About
日系ブラジル人の語り手が、妹ルシアに関わる謎めいた男・加賀芳明と向き合う。妹の万引きに関わった加賀は、やがて妹が遺棄した赤ん坊について語り出し、赤ん坊を運んで山道をひとりさまよう。語り手が加賀から聞いた話を伝聞のかたちで重ねていく重層的な構造により、何が真実かは最後まで曖昧なまま、登場人物の誰ひとり通じ合わないという荒涼とした世界が立ち上がる。
評価 Reception
選考委員の松浦理英子は「理解と共感の望めない交わりから生まれ得るもの」へ目を向けた新しさを、角田光代は「通じ合わない彼らの間を、死んだ赤ん坊が行き来する不気味さ」を評価した。