たいようのきせつ

太陽の季節

石原慎太郎 1955 第34回 芥川賞 受賞

紹介 About

裕福な家庭に育ち、拳闘に打ち込む高校生・津川竜哉が主人公。湘南の海やヨット、盛り場を舞台に、既成の倫理や大人の価値観を軽蔑し、喧嘩や女性関係を遊戯のように楽しむ戦後世代の若者たちの生態を描く。竜哉は英子という女性と出会い、互いに駆け引きめいた恋愛を続けるうちに、欲望と愛情の間で関係は思わぬ方向へ傾いていく。若さの傲慢と空虚をスピード感のある筆致で活写し、戦後日本の風俗を一変させた、第1回文學界新人賞受賞のデビュー作。

評価 Reception

第34回芥川賞。選考は賛否が真っ二つに割れ、佐藤春夫が「文芸として最も低級」とする趣旨の酷評を残し、宇野浩二・丹羽文雄も反対したのに対し、石川達三・舟橋聖一らが新時代の感覚を支持して受賞に至った。受賞後はベストセラーとなり、大宅壮一との対談から生まれた「太陽族」が流行語化。1956年の映画化では弟の石原裕次郎がデビューし、続く「太陽族映画」への批判が映画界の自主規制強化の契機となるなど、文学を超えた社会現象を引き起こした。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第34回 芥川龍之介賞 (1955年下半期)

石原慎太郎のほかの収録作 More

  1. 001 1956 処刑の部屋 しょけいのへや 単行本・新潮社 大学生の性的奔放と暴力を描いた石原慎太郎の初期代表短篇。若者の身体感覚、退屈、残酷さを挑発的に描き、「太陽族」文学の衝撃を広げる作品となった。戦後の新しい若者像を、道徳的な安定ではなく暴力と欲望の側から提示する。 青春暴力
  2. 002 1958 完全な遊戯 かんぜんなゆうぎ 単行本・新潮社 若者たちの倦怠と残虐な「遊び」を描いた石原慎太郎の中篇。遊戯の名の下に暴力がエスカレートしていく構図は、戦後若者文化への不安と反発を強く帯びる。太陽族文学の享楽性の裏側にある空虚さを読む作品である。 青春暴力
  3. 003 1958 亀裂 きれつ 単行本・新潮社 石原慎太郎が1950年代に刊行した作品で、戦後社会の価値観のひび割れを思わせる題名を持つ。公開情報では細部の梗概が少ないため、初期石原の若者像や社会への挑発を含む作品として暫定整理する。個人と社会、欲望と規範の間に走る亀裂を読む軸を置く。 青春同調圧力アイデンティティ
  4. 004 1970 化石の森 かせきのもり 単行本・新潮社 政界・財界の腐敗を描いた石原慎太郎の長編政治小説。若者の感覚を描いた初期作とは違い、権力の硬直と社会の閉塞を「化石」のイメージで捉える。篠田正浩監督による映画化もあり、政治小説としての石原を確認できる作品。 同調圧力労働アイデンティティ
  5. 005 1990 わが人生の時の時 わがじんせいのときのとき 単行本・新潮社 『わが人生の時の時』は、石原慎太郎が自身の人生の節目を小説として組み直した自伝的長篇です。作家・政治家としての自己像を、記憶をたどる私小説的な語りで扱います。NDLで新潮社1990年版の書誌を確認でき、紹介文は書誌と既存の短い概要に基づいています。 記憶私小説的
  6. 006 1996 おとうと 単行本・幻冬舎 弟・石原裕次郎の生涯を兄の視点から描いた伝記的長編小説。 家族死と喪失芸術と表現
  7. 007 2016 天才 てんさい 単行本・幻冬舎 田中角栄の一人称で語られる政治小説。角栄の政治哲学と生涯を描く。