はいしゃ

廃車

松波太郎 2008 第107回 文學界新人賞 受賞

紹介 About

車検切れが迫る壊れかけの車を、主人公は中国人留学生に無償で譲り渡す。ところが期限を過ぎても相手は約束した廃車手続きをせず、それどころか、わけのわからないまま主人公のほうが怨まれていく。日常の小さな親切が言葉も論理も通じない泥沼へ転がり落ちる過程を、乾いたユーモアで描いた不条理劇。受賞作は『文學界』2008年12月号に掲載され、単行本『よもぎ学園高等学校蹴球部』(文藝春秋、2009年)に併録された。

評価 Reception

第107回文學界新人賞受賞作。NDLサーチで『文學界』2008年12月号掲載の受賞作書誌と、2009年刊の単行本『よもぎ学園高等学校蹴球部』の書誌を確認できる。今回確認した範囲では、選評本文や単独書評は未確認。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第107回 文學界新人賞 (2008年下期)

松波太郎のほかの収録作 More

  1. 001 2009 よもぎ学園高等学校蹴球部 よもぎがくえんこうとうがっこうしゅうきゅうぶ 単行本・文藝春秋 『よもぎ学園高等学校蹴球部』は、高校サッカー部を題材に、競技、学校、青春の共同体を描く松波太郎の長篇です。勝敗だけでなく、集団のなかで身体を動かすこと、仲間や制度に巻き込まれることが主題になります。スポーツ小説の形を取りながら、若者の同調圧力や孤独も見えてくる作品です。 青春同調圧力身体
  2. 002 2014 LIFE らいふ 単行本・講談社 『LIFE』は、松波太郎が生きることそのものを題名に掲げ、身体、生活、言葉の不安定さを描く小説です。人物の経験は分かりやすい筋に回収されず、断片的な感覚として立ち上がります。純文学の実験性と生活感が同居する作品です。 身体孤独と疎外言葉と言語 第36回 野間新人賞
  3. 003 2016 月刊「小説」 げっかんしょうせつ 単行本・河出書房新社 『月刊「小説」』は、松波太郎が小説という媒体や制度そのものを題名に取り込み、書くことと読むことの場を扱う作品として整理できます。月刊誌のような周期性や掲載の感覚が、文学の生産と消費を意識させます。物語だけでなく、小説が置かれる文芸誌の文脈も読む作品です。 芸術と表現言葉と言語労働
  4. 004 2016 ホモサピエンスの瞬間 ほもさぴえんすのしゅんかん 単行本・文藝春秋 『ホモサピエンスの瞬間』は、松波太郎が人間を生物種として捉える視野と、個人の瞬間的な感覚を重ねる作品として整理できます。タイトルは、人間であることを大きな分類から眺める一方、生活の一瞬へも焦点を合わせます。既存データには芥川賞候補作とあるが、今回の調査では公式候補出典を確認できていません。 身体アイデンティティ孤独と疎外
  5. 005 2022 カルチャーセンター かるちゃーせんたー 単行本・書肆侃侃房 カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』を収録し、その小説に寄せられた作家・編集者たちのコメントまでも作品の一部として組み込む小説。松波太郎がニシハラくんへ語りかける形で、書きたいという欲望、書かれたものへの責任、そして「これは小説なのか」という問いを空白ごと立ち上げていく… 芸術と表現言葉と言語青春
  6. 006 2023 そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか? そこまでしておぼえるようなことばだっただろうか 単行本・書肆侃侃房 言葉、文字、発音、身体感覚をめぐる四篇を収めた短篇集。発音できない一音によって自国から疎外される「クィ」、サッカーから人類の起源へ飛躍する思考、ひらがな・カタカナ・漢字を身体で渡るような文字の冒険、子の言語習得を前に立ちつくす猫木豊が描かれる。言葉を扱うことの自由さと不自由さを、実験的な形式と切実な… 言葉と言語アイデンティティ身体