Est. 1904 / 新潮社
新潮
新潮社が発行する月刊文芸誌。現存する日本の文芸誌では最も歴史が長い。新潮新人賞を主催。
この誌が初出の収録作 First Appearances 73 works
- 001 2026 姥皮 うばかわ 女系の強い家に伝わる大叔母・あけ美さんから譲り受けた「皮」をめぐる奇譚。性愛と生殖の不気味さを穿つ幻想的な短篇。単行本未収録。
- 002 2025 ズッキーニ病 ずっきーにびょう 特定の野菜(ズッキーニ)に執着する母の姿を、語り手が回想的に見つめる短篇。父が亡くなる以前からすでに始まっていた母のおかしさを問い直す。単行本未収録。
- 003 2024 サンショウウオの四十九日 サンショウウオのしじゅうくにち 外から見ればひとりの人間にしか見えないが、その身体には杏と瞬というふたつの意識が宿っている——半身ずつを分け合って生きる29歳の結合双生児の姉妹。父もまた、胎児のまま兄の身体に取り込まれた「胎児内胎児」として摘出されて生をうけた、稀有な来歴を持つ。その父の片割れともいえる伯父の訃報が届き、四十九日ま… 第171回 芥川賞
- 004 2023 東京都同情塔 とうきょうとどうじょうとう ザハ・ハディド設計の国立競技場が実現した、もうひとつの東京。犯罪者を「同情されるべき人々(ホモ・ミゼラビリス)」と捉え直す寛容論が浸透し、新宿御苑に犯罪者が快適に暮らせる高層刑務所「シンパシータワートーキョー」の建設が計画される。設計コンペに名乗りを上げた建築家・牧名沙羅は、その理念に拭いがたい違和… 第170回 芥川賞
- 005 2022 荒地の家族 あれちのかぞく 宮城県亘理町の植木職人・坂井祐治、四十歳。あの「災厄」の二年後に妻を病で亡くし、再婚した相手も流産の後に家を出て、いまは老いた母と中学生の息子と暮らしている。津波という言葉を正面に掲げず「災厄」「海の膨張」と呼びながら、荒れた海辺の土地で黙々と木に向かう男の日常を描く。職を転々とする旧友や没落してい… 第168回 芥川賞
- 006 2022 霊たち れいたち 「なぜ私と息子に遠い実家の先祖が見えるのか」を問う、マジックリアリズム的な短篇。先祖の霊が旧家の暗がりに宿るという不可思議な現象を幻想的に描く。単行本未収録。
- 007 2021 骨を撫でる ほねをなでる 大阪南部の旧家に生まれた娘・倉木ふき子(50歳)が分家を譲り受け婿養子を迎えるという設定のもと、土地と血縁に縛られしたたかに生きる人間の姿を描く表題作。デビュー作「いかれころ」と設定を共有しつつ異なる人物・視点で同時代を描き直した意欲作。単行本『骨を撫でる』(2021年6月、新潮社)に収録。第43回…
- 008 2020 お面 おめん 三島由紀夫没後50年記念特集「私の『仮面の告白』」(三島由紀夫の没後に生まれた作家4名による換骨奪胎創作)の一篇として掲載された短篇。単行本未収録。
- 009 2019 キュー キュー 平凡な医師である「僕」が突然拉致され、世界の趨勢をめぐる暗闘の中心に、長年寝たきりだったはずの祖父がいることを知る。新潮社公式は、祖父の秘密が「人類を一つに溶かす」使命に関わるものとして紹介している。戦争、愛、運命、人類の統合という大きな主題を、現代的な技術感覚と哲学的な思考実験の語りで押し広げる作…
- 010 2019 尾を喰う蛇 おをくうへび 大阪文学学校で学んだ著者が、230枚の力作として書き上げた作品。人と人の間の「狭間」に生きる者たちの物語。2025年に「橘の家」で三島由紀夫賞を受賞する中西智佐乃のデビュー作。 第51回 新潮新人賞
- 011 2019 デッドライン でっどらいん 博士論文の締め切りに追われる男性大学院生が、ゲイとしてのセクシュアリティと哲学的問いを抱えながら東京で生を享受する物語。哲学者・批評家として知られる著者の初小説で、芥川賞候補にもなった。 第41回 野間新人賞
- 012 2019 青いポポの果実 あおいぽぽのかじつ 「僕」と自称する小学五年生の女の子ナナの視点から、大阪南部の旧家に住む家族や近隣の親戚たちのさまざまな行状が語られる短篇。後に単行本『骨を撫でる』(2021年6月)に収録された。
- 013 2018 1R1分34秒 いちらうんどいっぷんさんじゅうよんびょう デビュー戦でKO勝ちした21歳のプロボクサーが、その後3敗1分けと結果が出せず、長年のトレーナーにも見切られる。奇妙な新トレーナー梅吉と出会い、次戦へ向けた過酷な減量と鍛錬のなかで、自身の身体・記憶・存在意義と向き合っていく。 第160回 芥川賞
- 014 2018 いかれころ いかれころ 河内弁「いかれころ(踏んだり蹴ったり)」を題名に掲げ、大阪の土地と言葉・家族の歴史を縦横に描いた作品。2019年に三島由紀夫賞も受賞した。 第50回 新潮新人賞
- 015 2017 百年泥 ひゃくねんどろ 恋人の借金を肩代わりして多重債務に陥った「私」は、返済のため南インド・チェンナイのIT企業で日本語教師として働き始める。着任三か月半で百年に一度の大洪水が街を襲い、水が引いたアダイヤール川には百年分の泥が残された。泥の中からは死んだはずの人や記憶の品々が次々と現れ、橋を渡る数十分のあいだに、語り手の… 第158回 芥川賞
- 016 2017 蛇沼 じゃぬま 宮城県の農家に暮らす青年の鬱屈した日常と炸裂する暴力を、東北の土地の記憶と重ねながら濃密に描いた作品。書店員として働き続けた著者のデビュー作。単行本未刊(後年は別作品で単行本デビュー)。 第49回 新潮新人賞
- 017 2017 こことよそ ここ と よそ 日常の時間の流れと意識の細部を丁寧にたどった短篇。第44回川端康成文学賞受賞作。 第44回 川端賞
- 018 2016 しんせかい しんせかい 19歳のスミトは、神戸からフェリーと汽車を乗り継ぎ、北海道の【谷】で脚本家の【先生】が主宰する私塾に二期生として入る。俳優や脚本家を志す年齢も経歴も様々な仲間たちとの共同生活は、しかし稽古よりも、施設造りや農作業、馬の世話といった肉体労働に明け暮れるものだった。倉本聰主宰の富良野塾での著者自身の体験… 第156回 芥川賞
- 019 2016 二人組み ふたりぐみ 二人一組という関係性の拘束と依存をめぐる実験的な作品。慶應義塾大学仏文科中退後に書かれたデビュー作。 第48回 新潮新人賞
- 020 2016 縫わんばならん ぬわんばならん 長崎の島・平戸市的山大島を舞台に、方言と複数の時代が重なり合う家族と土地の物語。のちに「背高泡立草」で芥川賞を受賞する古川真人のデビュー作。 第48回 新潮新人賞
- 021 2016 伯爵夫人 はくしゃくふじん 昭和初年、帝大入試を間近に控えた青年・二朗が謎めいた伯爵夫人に誘われ性の昂ぶりを知る。従妹や和製ルイーズ・ブルックスなど魅力的な女性たちが翻弄し、開戦の足音が近づく中で青春の狂騒を描く。著者22年ぶりの長編小説。 第29回 三島賞
- 022 2015 恐竜たちは夏に祈る きょうりゅうたちはなつにいのる 自分に無関心な継父の介護を担うことになった中年女性・衿子と、攻撃的な性格を持ち学校での苛めの秘密を抱える緋鞠の物語。家族の軋轢と孤立を描いた。単行本未刊。 第47回 新潮新人賞
- 023 2014 指の骨 ゆびのほね 太平洋戦争を舞台に、戦地で死んだ兵士の遺骨が語り手となる静謐な小説。戦争の暴力と個人の尊厳を鎮魂的な文体で描いたデビュー作。 第46回 新潮新人賞
- 024 2014 名誉と恍惚 めいよ と こうつ 昭和の東京を舞台に、ひとりの男の運命と欲望を千三百枚超の大作として描いた長編。第27回Bunkamuraドゥマゴ文学賞と第53回谷崎潤一郎賞をダブル受賞した。 第53回 谷崎賞
- 025 2013 爪と目 つめとめ 幼い娘と父、父の恋人の三人の視点が交差する短篇。第149回芥川賞受賞作。 第149回 芥川賞
- 026 2013 穴 あな 非正規雇用の職を辞して夫の田舎に引っ越した主人公が、夏に黒い獣を追って土手の穴に落ちる。義祖父・義兄を名乗る見知らぬ男・甘い香りの老女など奇妙な人々との出会いを経て、日常と異界の境界が静かに溶けていく。 第150回 芥川賞
- 027 2013 太陽 たいよう 太陽内部の核融合からはじまり、新宿のホテルで女を待つ教授・アフリカの赤ちゃん工場・パリなど多様な場を横断する群像劇。テクノロジーと人類史を俯瞰するデビュー作。 第45回 新潮新人賞
- 028 2013 すっぽん心中 すっぽん しんじゅう 首のまわらなくなった男と不運な女が不忍池で出会い霞ヶ浦へ向かう道行きを軽妙な語り口で描いた短篇。第40回川端康成文学賞受賞作。 第40回 川端賞
- 029 2012 肉骨茶 にくこつちゃ マレーシアのスープ料理「バクテー(肉骨茶)」を題材に、異なる文化と身体の感覚を描いた作品。受賞時20歳という史上最年少記録でも話題を呼んだ。 第44回 新潮新人賞
- 030 2012 黙って喰え だまってくえ 食べることをめぐる人間の欲望と暴力性を描いた作品。文学・映画批評の知見を持つ著者によるデビュー短篇。 第44回 新潮新人賞
- 031 2011 楽器 がっき 記憶と語りの重なりを繊細に扱ったデビュー短篇。のちに芥川賞・野間文芸新人賞を受賞する滝口悠生の出発点となった作品。 第43回 新潮新人賞
- 032 2011 犬とハモニカ いぬ と はもにか 孤独と記憶、男女の間に生じる微妙な感情を描いた短篇。第38回川端康成文学賞受賞作。同名短篇集(新潮社)に収録。 第38回 川端賞
- 033 2010 苦役列車 くえきれっしゃ 中卒で家を出た19歳の北町貫多は、東京の埠頭で冷凍倉庫から荷を運び出す日雇い仕事でその日暮らしを続けている。日当はすぐに酒と風俗に消え、家賃は滞納し、人付き合いもない。そんな彼が職場で専門学校生の日下部と知り合い、初めて友人と呼べそうな存在を得るが、劣等感と過剰な自意識がその関係に影を落としていく… 第144回 芥川賞
- 034 2010 乙女の密告 おとめのみっこく アンネの日記を朗読させる授業を通じて、密告とは誰かを問う。芥川賞受賞作。 第143回 芥川賞
- 035 2010 きことわ きことわ 葉山の別荘で幼少期を共にした貴子(きこ)と永遠子(とわこ)が、25年後に別荘の解体を機に再会する。夢と記憶が交差する繊細な時間意識のなかで、二人の間にかつて流れていた時間が静かに蘇る。 第144回 芥川賞
- 036 2010 工場 こうじょう 巨大工場の敷地内で働く非正規雇用の作業員たちを描いた短篇連作。謎めいた業務・増殖するコケ・正体不明の生物が日常に浸食してくる「不穏な日常」の文学。 第42回 新潮新人賞
- 037 2010 ののの ののの 言語の反復・ずれ・遊びを極限まで押し進めた実験的な作品。受賞時は単行本化されず、約10年後に独立系出版社から改稿版として刊行された。 第42回 新潮新人賞
- 038 2009 神キチ かみきち 屋根屋として建築現場で働く主人公を、不条理な出来事が次々と襲う。だが彼や登場人物たちが本当に悩むのは、世界の理不尽そのものではなく、〈真剣に神に祈れない〉という一点だ。奇妙で黒い笑劇の合間に、切り刻まれた宗教性の断片が乱舞し、信じることが壊れてしまった時代の労働者の魂のありかを照らし出す。地方の建築… 第41回 新潮新人賞
- 039 2008 クロスフェーダーの曖昧な光 くろすふぇーだーのあいまいなひかり 三島由紀夫『金閣寺』をモチーフとし、宗教というテーマを現代の感覚で引き受けようとした意欲作。DJ機材の「クロスフェーダー」を題名に掲げ、ふたつの音源のあいだを行き来するように、聖なるものと現実のあいだで揺れる意識の「曖昧な光」を掬い取ろうとする。10代で文學界新人賞奨励賞を受けた早熟の書き手による… 第40回 新潮新人賞
- 040 2008 クォンタム・ファミリーズ くぉんたむ ふぁみりーず 近未来、複数の平行世界を行き来できる「クォンタム・ファミリーズ」という設定のもと、ある父親が異なる世界の娘を救おうとする物語。SF的な装置を用いながら家族と記憶を問いかける。 第23回 三島賞
- 041 2007 アウレリャーノがやってくる あうれりゃーのがやってくる 岩手出身のうっとりするほどの美少年・天地遍人は、高校卒業と同時に姉を頼って上京し、路上で詩を代筆する「代理詩人」を始める。やがて文芸同人「破滅派」に加入し、リーダー・紙上大兄皇子ら風変わりな同人たちにあてられて文芸活動に没頭するが、皇子の恋人・深川潮への恋心と同人の経営難が破滅を呼び寄せる。実在のオ… 第39回 新潮新人賞
- 042 2006 ポータブル・パレード ぽーたぶる・ぱれーど 第38回新潮新人賞(小説部門)受賞作。同回の評論部門は受賞作なしだった。日本大学芸術学部出身で当時27歳の吉田直美のデビュー作で、「新潮」2006年11月号に全文掲載された。受賞後に単行本化されることはなく、著者のその後の作品発表の記録も乏しいため、雑誌掲載のみで読まれた「幻の受賞作」に近い存在とな… 第38回 新潮新人賞
- 043 2005 冷たい水の羊 つめたいみずのひつじ 級友たちの生け贄のようにいじめの標的にされた中学生の少年。彼は「いじめられたと感じたらそれがいじめ」という定義を逆手に取り、「自分はいじめられていない」という独自の論理に立てこもって、陰惨な仕打ちを受け続ける。いじめを告発した同級生の少女・水原里子との心中の計画が、物語に暗い水脈のように流れる。羊の… 第37回 新潮新人賞
- 044 2004 真空が流れる しんくうがながれる 図書印刷株式会社に勤める23歳の会社員だった佐藤弘のデビュー作で、第36回新潮新人賞(小説部門)受賞作。同年の評論部門は該当作なしで、本作が単独の受賞となった。単行本には収録されておらず、初出の『新潮』2004年11月号でしか読めないため、今日では参照の難しい「幻の受賞作」となっている。著者はその後… 第36回 新潮新人賞
- 045 2003 家畜の朝 かちくのあさ 中卒で道路工事などの日雇い仕事をしながら日銭を稼ぐ主人公と、その仲間たちのうだつの上がらない日々。労働と競艇と愚行で埋まる時間の隙間に、父親の自殺、学習障害、友人の堕胎といった出来事が断片として挟み込まれ、貧困が人と土地をどう蝕むかが一人称の語りで立ち上がる。労働運動の現場にいた作者が、「ワーキング… 第35回 新潮新人賞
- 046 2003 四十日と四十夜のメルヘン よんじゅうにちとよんじゅうやのめるへん チラシ配りをして暮らす「私」が書きつける日記。しかしその日付は素直に進まず、記述は反復と書き換えを繰り返しながら円環構造を描き、日常の風景がいつのまにか変容していく。「書くこと」自体を小説の駆動装置にした構成は、選考会で保坂和志が「これはピンチョンなんだ」と断言して強く推したことで知られる。単行本化… 第35回 新潮新人賞
- 047 2002 フェイク ふぇいく 第34回新潮新人賞を中村文則「銃」と分け合った受賞作。タイトルの「フェイク」は偽物・まがいものの意で、本物と偽物のあわいを生きる人物像をうかがわせるが、単行本化されておらず、内容を確認できる資料は乏しい。選考委員は川上弘美・沼野充義・福田和也・保坂和志・町田康。同時受賞の中村文則がその後芥川賞作家と… 第34回 新潮新人賞
- 048 2002 銃 じゅう 雨の夜、大学生の「私」は河原で死体のそばに落ちていた拳銃を拾う。磨き、眺め、持ち歩くうちに、銃は退屈な日常に輪郭を与える唯一の存在となり、「撃つ」ことへの欲望が抗いがたく膨らんでいく——。一挺の銃という即物的なモチーフだけで青年の内面の崩壊を追い詰めていく構成と、乾いた硬質な一人称は、ドストエフスキ… 第34回 新潮新人賞
- 049 2001 グラウンド ぐらうんど 第33回新潮新人賞の受賞作で、『新潮』2001年11月号に掲載された。作者の鈴木弘樹は中学卒業後に風俗雑誌の編集をはじめ様々な職を渡り歩いた経歴の持ち主で、学歴エリートではない叩き上げの書き手の登場として注目された。発表直後に第126回芥川賞候補となり、同回で芥川賞を受賞した長嶋有「猛スピードで母は… 第33回 新潮新人賞
- 050 2000 生活の設計 せいかつのせっけい 大学を出て出版社に勤めたのち、埼玉の食肉処理場で牛の解体に従事する「私」が、読者に向かって「諸君」と呼びかけながら、屠畜という労働の現場と自分の生活について語っていく自伝的小説。差別と偏見にさらされてきた仕事を、告発でも美化でもなく、ナイフ捌きの習熟といった身体的なディテールの積み重ねで描くところに… 第32回 新潮新人賞
- 051 1999 クレア、冬の音 くれあ、ふゆのおと 元都立高校教員・大学准教授が59歳でのデビュー。 第31回 新潮新人賞
- 052 1999 ロックンロールミシン ろっくんろーる みしん 会社員の主人公が高校時代の友人が旗揚げしたインディーズファッションブランド「ストロボ・ラッシュ」に関わるうち服作りに巻き込まれていく物語。ファッション業界経験を持つ作者の実感が生きた軽快な青春小説。第12回三島由紀夫賞受賞(堀江敏幸と同時)。 第12回 三島賞
- 053 1998 日蝕 にっしょく 15世紀フランスを舞台に、若い修道士が異端の哲学者を追い求め日蝕の瞬間に神秘的な体験をする中編。三島由紀夫を彷彿させる文語的な格調高い文体で書かれ、デビュー作にして40万部のベストセラーとなった。23歳の最年少(当時)受賞作。 第120回 芥川賞
- 054 1998 底ぬけ そこぬけ 底ぬけは、青垣進による1998年発表の作品です。初出は「新潮」1998年11月号。単行本は新潮社。第30回新潮新人賞受賞。 第30回 新潮新人賞
- 055 1998 望潮 もちしお 潮の満ち引きを軸に、老年期の女性の意識と記憶が揺れ動く短篇。村田喜代子の南九州的な感性と幻視的な文体が際立つ代表的な短篇作品。 第25回 川端賞
- 056 1997 叶えられた祈り かなえられたいのり 後に「段ボールハウス・ガール」が映画化された萱野葵のデビュー作。 第29回 新潮新人賞
- 057 1996 海峡の光 かいきょうのひかり 津軽海峡を望む青函連絡船の乗組員たちの群像と、かつての仲間との宿命的な再会を描いた海洋的叙情詩。柳美里「家族シネマ」と同時受賞。 第116回 芥川賞
- 058 1996 マンモスの牙 まんもすのきば 医学とアートを渉猟した独自の視点による小説。後に映画化もされた。 第28回 新潮新人賞
- 059 1996 台所 だいどころ サラリーマン作家・坂上弘が夕暮れの台所という日常の場に立ちながら、過去と現在を静かに往還する短篇。小田実「「アボジ」を踏む」との同時受賞。 第24回 川端賞
- 060 1995 この人の閾 このひとのいき 近隣に住む人々の日常の会話や時間の流れを、思索的かつ穏やかな視点でたどった短編。保坂和志の「日常の哲学」が凝縮された作品で、芥川賞選考委員から高く評価された。 第113回 芥川賞
- 061 1995 紅栗 べにぐり SF翻訳家としても活動する作者が書いた短編小説。 第27回 新潮新人賞
- 062 1993 骸骨山脈 がいこつさんみゃく 『骸骨山脈』は、野間井淳が第25回新潮新人賞を受賞した作品です。NDLでは『新潮』1993年11月号と受賞作発表記事を確認できますが、具体的な筋や書評は今回確認できませんでした。題名の死や山岳のイメージを手がかりにした分類は暫定です。 第25回 新潮新人賞
- 063 1993 セミの追憶 せみのついおく 戦時中の記憶とセミの声を結びつけた老境の短篇。従軍体験を持つ古山高麗雄が、生き残った者の罪責感と記憶の透明な残像を繊細に描く。 第21回 川端賞
- 064 1992 螺旋の肖像 らせんのしょうぞう 『螺旋の肖像』は、別唐晶司が第24回新潮新人賞を受賞したデビュー作です。医学研究科に在籍していた著者の経歴もあり、身体や認識をめぐる知的な題材が想起されますが、今回確認できた公開資料は受賞発表と掲載誌書誌が中心です。内容面は今後の追加調査が必要です。 第24回 新潮新人賞
- 065 1992 カワサキタン かわさきたん 『カワサキタン』は、中山幸太が第24回新潮新人賞を受賞した作品です。既存調査では川崎を舞台にした作品とされ、NDLでは受賞発表記事と『新潮』1992年11月号を確認できました。詳細な筋や批評は未確認のため、都市を舞台にした新人賞受賞作として暫定紹介します。 第24回 新潮新人賞
- 066 1992 鹽壺の匙 しおつぼのさじ 『鹽壺の匙』は、「なんまんだあ絵」「白桃」「愚か者」などを収める車谷長吉の短篇集です。料理人や下足番としての経験、一族の記憶、身近な死を、私小説的で陰影の濃い文体で描きます。生活の卑近さと死の感覚が近接する、車谷文学の出発点となる作品集です。 第6回 三島賞
- 067 1992 犬(影について・その一) いぬ かげについて そのいち 『犬(影について・その一)』は、「影」というモチーフをめぐる連作の第一作です。犬を通して人間の存在の輪郭を問い直し、視覚的で幻想的なイメージを重ねます。画家・装丁家でもある司修の感覚が、寓話的な短篇の形に反映された作品です。 第20回 川端賞
- 068 1991 十二階 じゅうにかい 『十二階』は、小口正明が第23回新潮新人賞を受賞した作品です。NDLでは『新潮』1991年11月号と受賞作発表記事を確認できる一方、詳細なあらすじや批評は今回確認できませんでした。作品内容の断定は避け、現時点では新人賞受賞作としての書誌情報を中心に扱います。 第23回 新潮新人賞
- 069 1991 西行花伝 さいぎょうかでん 『西行花伝』は、平安末期の歌人・西行の生涯を、架空の弟子・藤原秋実の視点から描く大作歴史小説です。出家の謎、和歌、信仰、絶対美への希求が、貴族社会の精緻な描写の中で重なっていきます。歴史小説でありながら、芸術とは何かを問う思索小説として読めます。 第31回 谷崎賞
- 070 1991 伯父の墓地 おじのぼち 『伯父の墓地』は、亡くなった伯父の墓参を題材に、生と死、記憶の連鎖を老境から見つめる短篇です。大きな事件を置かず、親族の記憶と墓地という場所から、時間の堆積を静かに浮かび上がらせます。安岡章太郎晩年の私小説的な成熟が感じられる作品です。 第18回 川端賞
- 071 1990 ランタナの花の咲く頃に らんたなのはなのさくころに 『ランタナの花の咲く頃に』は、知的障害を持つ甥に見合い話が来るという設定から、家族と地域の関係を描く表題作を含む短篇集です。沖縄出身の長堂英吉が、障害者の結婚や家族の戸惑いを、硬い告発ではなくユーモアと温かみを交えて描きます。受賞時58歳という遅い文壇デビューも、作品の受け止められ方を特徴づけていま… 第22回 新潮新人賞
- 072 1990 ドッグ・デイズ どっぐ・でいず 『ドッグ・デイズ』は、『新潮』1990年11月号に掲載された藤枝和則の新潮新人賞受賞作です。NDLでは受賞作発表記事と掲載誌の書誌を確認できる一方、筋や語り口を詳述した信頼できる公開資料は今回確認できませんでした。そのため、現時点の紹介は受賞作・デビュー作としての位置づけを中心に留めます。 第22回 新潮新人賞
- 073 1956 金閣寺 きんかくじ 『金閣寺』は、1950年の金閣寺放火事件に着想を得て、吃音と自己嫌悪を抱える若い僧が美に囚われていく過程を描く長篇です。金閣の絶対的な美が主人公の現実感を侵食し、破壊衝動へ変わるまでを緊密な心理描写で追います。三島由紀夫の美意識とニヒリズムが最も鋭く結びついた戦後文学の代表作です。