Est. 1904 / 新潮社
新潮
新潮社が発行する月刊文芸誌。現存する日本の文芸誌では最も歴史が長い。新潮新人賞を主催。
この誌が初出の収録作 First Appearances 116 works
- 001 2026 姥皮 うばかわ 『姥皮』は、『新潮』2026年4月号掲載の創作です。女系の強い家に、大叔母あけ美さんから譲られた「皮」があるという奇譚を起点にします。「皮」は身体の一部でありながら、家に伝わるもの、受け渡されるものとして語られ、血縁と欲望の境界を曖昧にします。皮膚というもっとも個人的なものが家系の持ち物になる設定に…
- 002 2025 橘の家 たちばなのいえ 『橘の家』は、中西智佐乃が『新潮』2025年3月号に発表し、同年6月に新潮社から刊行した小説です。幼い頃に2階から落ちたものの庭の橘の木のおかげで助かった恵実は、木の力を媒介する存在だという噂によって、子どもを望む人々から頼られるようになります。家に伝わる力への期待は、恵実の身体と役割を周囲の欲望に… 第38回 三島賞
- 003 2025 ズッキーニ病 ずっきーにびょう 『ズッキーニ病』は、『新潮』2025年4月号掲載の短篇です。特定の野菜に執着する母を、父の死以前から何かが変わっていたのではないかという回想的な視線で捉えます。食卓にあるはずの身近なものが、家族の記憶や母の変化を測る奇妙なしるしに変わり、日常の中で見過ごされてきた異変が少しずつ輪郭を持ちはじめる。家…
- 004 2024 サンショウウオの四十九日 サンショウウオのしじゅうくにち 外から見ればひとりの人間にしか見えないが、その身体には杏と瞬というふたつの意識が宿っている——半身ずつを分け合って生きる29歳の結合双生児の姉妹。父もまた、胎児のまま兄の身体に取り込まれた「胎児内胎児」として摘出されて生をうけた、稀有な来歴を持つ。その父の片割れともいえる伯父の訃報が届き、四十九日ま… 第171回 芥川賞
- 005 2024 エコー、あるいはEの消失 えこー、あるいはいーのしょうしつ 『エコー、あるいはEの消失』は、『新潮』2024年6月号に掲載された石沢麻依の短篇です。新潮社公式バックナンバーの目次で掲載を確認できる。現時点で公開公式梗概は確認できないため、題名が示す声・反響・文字の消失といったモチーフ以上の筋立ては断定しない。
- 006 2023 東京都同情塔 とうきょうとどうじょうとう ザハ・ハディド設計の国立競技場が実現した、もうひとつの東京。犯罪者を「同情されるべき人々(ホモ・ミゼラビリス)」と捉え直す寛容論が浸透し、新宿御苑に犯罪者が快適に暮らせる高層刑務所「シンパシータワートーキョー」の建設が計画される。設計コンペに名乗りを上げた建築家・牧名沙羅は、その理念に拭いがたい違和… 第170回 芥川賞
- 007 2023 紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」 むらさきしきぶほんにんによるげんだいごやく むらさきしきぶにっき 『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』は、古川日出男が『紫式部日記』を現代語へ移し替え、紫式部の肉声がいま響くように再構成する作品です。新潮社公式紹介では、中宮彰子の出産をめぐる宮廷の日々を、現代の同業者がリ・リリースする本として位置づけています。古典の注釈的な訳にとどまらず、作家同士の時代を超…
- 008 2022 荒地の家族 あれちのかぞく 宮城県亘理町の植木職人・坂井祐治、四十歳。あの「災厄」の二年後に妻を病で亡くし、再婚した相手も流産の後に家を出て、いまは老いた母と中学生の息子と暮らしている。津波という言葉を正面に掲げず「災厄」「海の膨張」と呼びながら、荒れた海辺の土地で黙々と木に向かう男の日常を描く。職を転々とする旧友や没落してい… 第168回 芥川賞
- 009 2022 霊たち れいたち 『霊たち』は、『新潮』2022年5月号掲載の短篇です。語り手である「私」と息子に、遠い実家の先祖が見えるという問いを出発点に、旧家や家系の暗がりが日常へ入り込みます。血縁や記憶が現在の生活に影を落とす感覚を、マジックリアリズム的な語りで立ち上げる作品です。見えるものが本当に霊なのか、家族史の中で語り…
- 010 2022 曼陀羅華X まんだらげえっくす 『曼陀羅華X』は、地下鉄サリン事件を想起させる未曾有のテロを起点に、もう一つの1995年以後の日本を組み立てる長篇です。作家Xが誘拐され、隠された復讐と「神の預言」をめぐって現実と虚構が混ざり合う筋立てが置かれています。国家、宗教、暴力、文学の役割を同時に問う構成で、事件の記憶を直接の記録ではなくフ…
- 011 2021 骨を撫でる ほねをなでる 大阪南部の旧家に生まれた五十歳のふき子を中心に、分家、婿養子、老いた親、弟、病などが絡む家族の歪みを描く表題作。『いかれころ』と南河内・旧家・血縁の設定を共有しつつ、幼い視点ではなく中年女性と親族の関係から同じ因習を描き直す。土地と血縁から逃れきれない人間のしたたかさと弱さを、身体の衰えや骨の感触に…
- 012 2021 オーバーヒート おーばーひーと 『オーバーヒート』は、関西へ移った哲学者の「僕」が、大学の仕事、年下の恋人への思慕、両親の言葉、失われた生家、バーやSNSの断片を重ねていく作品です。大きな事件よりも、記録と回想が日々の熱を少しずつ上げていく過程が中心になります。『デッドライン』の前史としても読める、思考と身体感覚の小説です。哲学的…
- 013 2020 お面 おめん 『新潮』2020年12月号の「三島由紀夫 没後五十年」特集内、「創作・私の『仮面の告白』」の一篇として掲載された短篇。三島の代表作を、没後に生まれた作家たちが自由に換骨奪胎する企画の中で、三国美千子は「お面」を寄せている。公式に確認できる紹介は企画趣旨と掲載情報が中心で、本文内容の詳細紹介は確認でき…
- 014 2020 首里の馬 しゅりのうま 『首里の馬』は、沖縄の私設資料館で資料整理をする未名子を通して、保存される記憶とこぼれ落ちる歴史のあわいを描く中篇です。オンライン通話でクイズを出す仕事、資料の撮影、台風後に現れる馬の世話が、孤独な人々の記憶と土地の時間を結びつけます。土地の固有性とアーカイブの問題を、宮古馬との幻想的な出会いを介し… 第163回 芥川賞
- 015 2019 キュー キュー 平凡な医師である「僕」が突然拉致され、世界の趨勢をめぐる暗闘の中心に、長年寝たきりだったはずの祖父がいることを知る。新潮社公式は、祖父の秘密が「人類を一つに溶かす」使命に関わるものとして紹介している。戦争、愛、運命、人類の統合という大きな主題を、現代的な技術感覚と哲学的な思考実験の語りで押し広げる作…
- 016 2019 尾を喰う蛇 おをくうへび 『尾を喰う蛇』は、病院で介護士として働く小沢興毅が、患者の老人、同僚、家族への憎悪を募らせ、暴力に呑まれていく過程を描く新潮新人賞受賞作。中西智佐乃は受賞者インタビューで、戦争における「仕方がなかった」という感覚と、現代の労働・介護の場に潜む暴力を接続して本作が動き出したと語っている。肌と肌が過剰に… 第51回 新潮新人賞
- 017 2019 デッドライン でっどらいん 『デッドライン』は、2000年代初頭の東京を舞台に、修士論文の締切を抱える「僕」が、哲学、身体感覚、ゲイとしての欲望、家族とのずれのなかを生きるデビュー小説。新潮社は「ゲイであること、思考すること、生きること」を掲げ、夜の街を回遊する男たちと大学院生活を交差させる作品として紹介している。朝吹真理子の… 第41回 野間新人賞
- 018 2019 青いポポの果実 あおいぽぽのかじつ 三島由紀夫賞受賞後第一作として『新潮』2019年12月号に150枚で掲載された短篇。十歳の少女ナナが、自分を「僕」と呼び、母や自らの女性性への拒否感を抱えながら、関西近郊の家族と奇妙な隣人の閉ざされた世界を見つめる。思春期前の身体感覚、性への嫌悪、生へのもがきを強い口語感とともに描く。のちに作品集『…
- 019 2018 TIMELESS たいむれす 『TIMELESS』は、恋愛感情も性関係もないまま結婚したうみとアミを軸に、高校時代、広島への修学旅行、六本木の現在、四百年前の麻布が原の記憶、そして2035年の息子アオの旅を重ねる長篇です。恋愛、結婚、生殖、家族という近代的な制度をほどきながら、人間の身体が歴史や土地、死者の時間へつながっていく感…
- 020 2018 1R1分34秒 いちらうんどいっぷんさんじゅうよんびょう デビュー戦後に勝ちきれなくなった21歳のプロボクサーを語り手に、競技の身体感覚と自意識の停滞を描く小説。長年のトレーナーから離れ、変わり者のウメキチとの練習に入ることで、敗北や弱さをめぐる思考が少しずつ揺さぶられていく。ボクシングを勝敗だけでなく、身体・時間・他者との関係の問題として読ませるところに… 第160回 芥川賞
- 021 2018 いかれころ いかれころ 昭和58年頃の南大阪を舞台に、四歳の奈々子の視点と後年の回想を通して、分家の暮らし、本家との格差、両親の不和、叔母の縁談を描く。河内弁の題名は「踏んだり蹴ったり」に近い不運の感覚を含み、土地と血縁の因習が幼い語りの中に濃く立ち上がる。差別や結婚規範、家父長的な親族関係を、日常会話に潜む価値判断として… 第50回 新潮新人賞
- 022 2018 ミライミライ みらいみらい 『ミライミライ』は、第二次世界大戦後の北海道がソ連に占領されたという架空の歴史を起点に、反ソ連ゲリラやインド=ニッポン連邦、ヒップホップ・グループ「最新」を結びつける長篇です。誘拐事件や核武装要求といった政治的な筋立てに、音楽と青春小説のリズムが重ねられます。古川日出男らしい高速の語りで、歴史の分岐…
- 023 2017 百年泥 ひゃくねんどろ 恋人の借金を肩代わりして多重債務に陥った「私」は、返済のため南インド・チェンナイのIT企業で日本語教師として働き始める。着任三か月半で百年に一度の大洪水が街を襲い、水が引いたアダイヤール川には百年分の泥が残された。泥の中からは死んだはずの人や記憶の品々が次々と現れ、橋を渡る数十分のあいだに、語り手の… 第158回 芥川賞
- 024 2017 ナイス・エイジ ないすえいじ 『ナイス・エイジ』は、「新潮」2017年7月号に掲載され、2018年1月に新潮社から同名単行本の表題作として刊行された鴻池留衣の小説です。新潮社公式ページでは、興味本位でオフ会に参加したAV嬢の絵里が、自分の孫を名乗る未来人の青年と知り合い同棲し、その日常がネット民の好奇心の対象になっていく物語とし…
- 025 2017 蛇沼 じゃぬま 『蛇沼』は、宮城県の田園地帯を舞台に、少年時代の監禁事件と少女セイコの不可解な死を抱え続ける青年・恭二を描く新潮新人賞受賞作。受賞者インタビューでは、作者が宮城県亘理郡の田んぼや沼のある風景を原風景としており、主人公が「生きていてもいいのか」という答えのない問いの中でもがく人物として構想されたことが… 第49回 新潮新人賞
- 026 2017 こことよそ ここ と よそ 『こことよそ』は、鎌倉の道を歩く場面を含む短編で、保坂和志自身の受賞のことばでは、川端康成の記憶や生者と死者の時間感覚が作品に触れられている。物語の具体的な筋は公式ページからは限定的にしか確認できないが、場所の記憶と死者との距離が読解の手がかりになる。川端康成文学賞の受賞作として、短編の凝縮された時… 第44回 川端賞
- 027 2016 しんせかい しんせかい 19歳のスミトは、神戸からフェリーと汽車を乗り継ぎ、北海道の【谷】で脚本家の【先生】が主宰する私塾に二期生として入る。俳優や脚本家を志す年齢も経歴も様々な仲間たちとの共同生活は、しかし稽古よりも、施設造りや農作業、馬の世話といった肉体労働に明け暮れるものだった。倉本聰主宰の富良野塾での著者自身の体験… 第156回 芥川賞
- 028 2016 似非りんご味 えせりんごあじ 『似非りんご味』は、「新潮」2016年10月号に掲載された高橋有機子の小説です。新潮社バックナンバーでは、新潮新人賞受賞第一作として掲載され、りんごの「本当の味」を知ってしまった人物と、偽物かもしれない友情をめぐる作品として紹介されています。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ…
- 029 2016 二人組み ふたりぐみ 『二人組み』は、鴻池留衣のデビュー作で、第48回新潮新人賞受賞作。新潮社の『ナイス・エイジ』書籍ページでは、啓蒙欲と性欲をこじらせた男子中学生が暴走する作品として収録紹介されている。同ページ掲載の倉本さおり書評は、ほとんど返答しない女子生徒を前に主人公の饒舌が上滑りし、言葉と関係性の不気味で滑稽な姿… 第48回 新潮新人賞
- 030 2016 縫わんばならん ぬわんばならん 九州長崎の漁村の島を舞台に、一族をめぐる四世代の来歴を女性の語りで編む作品。ほころびていく意識から湧き出る声を拾い、記憶の断片を縫い合わせるように家族史を立ち上げる。方言と声の流れが、過去・記憶・語り継ぎの主題を支えている。島の生活と老いの身体感覚が、個人史を超えた時間の厚みを生む。 第48回 新潮新人賞
- 031 2016 伯爵夫人 はくしゃくふじん 帝大入試を控えた二朗が謎めいた伯爵夫人に誘われ、性の昂ぶりと戦争前夜の不穏な空気に巻き込まれていく長篇。伯爵夫人、従妹、和製ルイーズ・ブルックスら魅力的な女性たちが二朗を挑発し、個人の感情教育と時代の破滅が交錯する。エロス、映画的記憶、戦争の気配が入れ子状に重なる作品である。 第29回 三島賞
- 032 2015 恐竜たちは夏に祈る きょうりゅうたちはなつにいのる 『恐竜たちは夏に祈る』は、第47回新潮新人賞受賞作として「新潮」2015年11月号に掲載された高橋有機子の作品です。新潮社公式の過去の受賞作品一覧で、作品名・著者名を確認できます。公開Webで内容紹介や選評本文を確認できないため、題名から主題や人物設定を推測しない形で登録します。 第47回 新潮新人賞
- 033 2014 指の骨 ゆびのほね 太平洋戦争中の南方戦線で負傷した一等兵の「私」が、臨時野戦病院で過ごす日々を語る戦争小説。食料の調達、戦友の死、退避を余儀なくされる状況を通じて、戦場の空白と狂気が描かれる。身体の損傷と形見としての骨が、忘れられた戦場の記憶を呼び戻す。静かな語りのなかに、死が日常化した場所の異様さがにじむ。 第46回 新潮新人賞
- 034 2014 名誉と恍惚 めいよ と こうつ 日中戦争下の上海で、工部局に勤める日本人警官・芹沢が軍と青幇の面会を仲介したことから警察を追われ、潜伏生活へ追い込まれていく長篇。祖国や名前を失う男の生存を通じて、戦争、都市、裏社会、アイデンティティが交錯する。大部の分量で、歴史の混沌と個人の逃走を描き込む作品。 第27回 ドゥマゴ文学賞
- 035 2013 爪と目 つめとめ 『爪と目』は、幼い娘、父、父の恋人をめぐる関係を、視覚と身体感覚の不穏さから描く短篇です。家庭内の出来事は、保護されるはずの子どもの目を通して、異様な近さと距離を同時に帯びます。語りの中心に視覚を置くことで、家族と暴力の境目を静かに揺さぶる作品です。 第149回 芥川賞
- 036 2013 穴 あな 仕事を辞めて夫の田舎へ移った語り手が、黒い獣を追って土手の穴に落ちたことから、見慣れた日常が異界の気配を帯びていく。世羅さん、寡黙な義祖父、義兄を名乗る知らない男など、周囲の人物の奇妙さが郊外の夏を静かにゆがませる。表題作に加え、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦をめぐる作品を収める芥川賞受賞作。 第150回 芥川賞
- 037 2013 蛸の夢 たこのゆめ 『蛸の夢』は、「新潮」2013年7月号に掲載された門脇大祐の小説です。新潮社バックナンバーでは、新潮新人賞受賞第一作として紹介され、世界を一匹の蛸の夢として捉える認識の揺らぎを示す作品紹介が付されています。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ範囲を確認できます。
- 038 2013 太陽 たいよう 新宿のホテル、アフリカの「赤ちゃん工場」、パリの蚤の市、インドの湖畔などを横断し、人類の欲望と未来を極端なスケールで描くデビュー小説集。表題作「太陽」は金、不老不死、核融合といったモチーフを扱い、現代社会の資本と身体をSF的想像力で押し広げる。純文学とSFを接続する破格の語りが特徴。 第45回 新潮新人賞
- 039 2013 すっぽん心中 すっぽん しんじゅう 休職中で行き詰まった男と、痛い目に遭いつつもあっけらかんと生きる女が、不忍池で出会い霞ヶ浦へ向かう表題作を中心にした作品集。貧しさや失敗を重く閉じ込めず、滑稽さと哀愁が混じる道行きとして描く。会話と行動のずれから、人物の孤独と生活の可笑しみがにじむ。 第40回 川端賞
- 040 2012 肉骨茶 にくこつちゃ シンガポール・マレーシアへの旅の途中で母のもとを抜け出した17歳の赤猪子を描く。食べ物が自分の身体に蓄積していくことへの恐怖から逃れようとする彼女は、友人ゾーイーの海辺の別荘に身を寄せる。食、身体、母子関係を通じて、人間であることへの拒絶を激しく描くデビュー作。 第44回 新潮新人賞
- 041 2012 黙って喰え だまってくえ 食べることをめぐる欲望と暴力性を扱うデビュー短篇。身体的な行為としての食事を、人間関係や支配の感覚へ結びつける作品として登録されている。新潮新人賞公式ページで受賞事実は確認できるが、今回確認できた公式ページでは梗概までは示されていないため、内容紹介は既存梗概に基づく限定的な整理である。 第44回 新潮新人賞
- 042 2011 楽器 がっき 『楽器』は、記憶と語りの重なりを繊細に扱った滝口悠生のデビュー短篇です。音や楽器のイメージを通じて、過去の出来事や人の声が現在の語りに響きます。のちに芥川賞・野間文芸新人賞を受賞する作者の、時間感覚と語りの特徴を示す出発点です。 第43回 新潮新人賞
- 043 2011 犬とハモニカ いぬ と はもにか 『犬とハモニカ』は、孤独、記憶、男女の間に生じる微妙な感情を描く江國香織の短篇です。身近な事物である犬とハモニカのイメージが、語りの中で人と人の距離をやわらかく照らします。大きな事件よりも、感情のかすかな揺れを読む作品です。 第38回 川端賞
- 044 2011 馬たちよ、それでも光は無垢で うまたちよ、それでもひかりはむくで 『馬たちよ、それでも光は無垢で』は、東日本大震災後の福島を起点に、古川日出男自身の小説世界と現実の被災地が交差する作品です。新潮社公式紹介では、『聖家族』の人物・狗塚牛一郎の声を小説家が福島で聞くという導入が示されています。被災地、郷土、言葉、想像力をめぐる応答として書かれ、フィクションが現実へ届き…
- 045 2010 苦役列車 くえきれっしゃ 中卒で家を出た19歳の北町貫多は、東京の埠頭で冷凍倉庫から荷を運び出す日雇い仕事でその日暮らしを続けている。日当はすぐに酒と風俗に消え、家賃は滞納し、人付き合いもない。そんな彼が職場で専門学校生の日下部と知り合い、初めて友人と呼べそうな存在を得るが、劣等感と過剰な自意識がその関係に影を落としていく… 第144回 芥川賞
- 046 2010 乙女の密告 おとめのみっこく 『乙女の密告』は、『アンネの日記』を読む大学の授業を舞台に、朗読、暗唱、密告の記憶が絡み合う小説です。語りは教室内の人間関係と戦争の記憶を重ね、誰が誰を裏切るのかという問いを現在の言葉の問題へ引き寄せます。軽やかな会話の奥に、同調圧力と自己認識の危うさが残る作品です。 第143回 芥川賞
- 047 2010 きことわ きことわ 『きことわ』は、葉山の高台にある別荘で幼い夏をともに過ごした貴子と永遠子が、二十五年後、別荘の解体を前に再会する作品です。現在の時間のなかに幼年時代の記憶や夢がふいに現れ、途切れた親密さが静かに流れ直します。大きな事件よりも、夢・記憶・現実の境界と、積み重なる時間の層を繊細な文体で読む小説です。 第144回 芥川賞
- 048 2010 工場 こうじょう 何を作っているのか判然としない巨大工場を舞台に、三人の従業員の視点から、働くことと生きることの不条理を描く作品集。表題作に加え、熱帯魚飼育に没頭する家と若い妻をめぐる「ディスカス忌」、心身の不調と虫の幻視を描く「いこぼれのむし」を収める。工場内の謎の動物や過剰な細部が、職場の日常を寓話的な生態系へ変… 第42回 新潮新人賞
- 049 2010 ののの ののの 『ののの』は、言語の反復、ずれ、遊びを極限まで押し進めた実験的な作品です。意味が固定される前の音や文字の運動を前面に出し、小説の語りそのものを問い直します。受賞時は単行本化されず、後に改稿版として刊行された経緯も含めて、制度外的な実験性が際立つ作品です。 第42回 新潮新人賞
- 050 2009 神キチ かみきち 屋根屋として建築現場で働く主人公を、不条理な出来事が次々と襲う。だが彼や登場人物たちが本当に悩むのは、世界の理不尽そのものではなく、〈真剣に神に祈れない〉という一点だ。奇妙で黒い笑劇の合間に、切り刻まれた宗教性の断片が乱舞し、信じることが壊れてしまった時代の労働者の魂のありかを照らし出す。地方の建築… 第41回 新潮新人賞
- 051 2009 インタビュー 神様だらけの世界の奇妙さ いんたびゅーかみさまだらけのせかいのきみょうさ 『インタビュー 神様だらけの世界の奇妙さ』は、赤木和雄の新潮新人賞受賞作『神キチ』に関連するインタビュー記事です。NDLサーチで『新潮』106巻11号、2009年11月号、p.106-109掲載を確認できます。本文内容は未確認のため、内容説明は掲載情報に限定します。
- 052 2009 流跡 りゅうせき 『流跡』は、朝吹真理子のデビュー作です。闇夜の川を進む舟頭、雨あがりを家へ向かう会社員、波止場で船を待つ女など、人物や場面が水の流れのように変化しながら連なります。筋の明快さよりも、言葉が残す跡、身体や性差の輪郭がほどける感覚、時間がたまりとして残る手ざわりを読む作品です。 第20回 ドゥマゴ文学賞
- 053 2008 クロスフェーダーの曖昧な光 くろすふぇーだーのあいまいなひかり 三島由紀夫『金閣寺』をモチーフとし、宗教というテーマを現代の感覚で引き受けようとした意欲作。DJ機材の「クロスフェーダー」を題名に掲げ、ふたつの音源のあいだを行き来するように、聖なるものと現実のあいだで揺れる意識の「曖昧な光」を掬い取ろうとする。第40回新潮新人賞受賞作で、受賞掲載誌はNDLサーチで… 第40回 新潮新人賞
- 054 2008 クォンタム・ファミリーズ くぉんたむ ふぁみりーず 『クォンタム・ファミリーズ』は、平行世界を行き来できる設定のもと、ある父親が別の世界の娘を救おうとする物語です。量子論的なSF装置を用いながら、家族、記憶、父子関係の可能性を問い直します。批評家・思想家である東浩紀が小説形式で現代的な家族像を探った作品です。 第23回 三島賞
- 055 2007 アウレリャーノがやってくる あうれりゃーのがやってくる 岩手出身のうっとりするほどの美少年・天地遍人は、高校卒業と同時に姉を頼って上京し、路上で詩を代筆する「代理詩人」を始める。やがて文芸同人「破滅派」に加入し、リーダー・紙上大兄皇子ら風変わりな同人たちにあてられて文芸活動に没頭するが、皇子の恋人・深川潮への恋心と同人の経営難が破滅を呼び寄せる。実在のオ… 第39回 新潮新人賞
- 056 2006 ポータブル・パレード ぽーたぶる・ぱれーど 第38回新潮新人賞の小説部門受賞作として、『新潮』2006年11月号に掲載された作品。NDLサーチでは「小説部門受賞作」としての雑誌掲載情報を確認できるが、出版社公式の単行本紹介や内容紹介は今回確認できなかった。内容細部は公開情報が少ないため、現時点では受賞・掲載情報を中心にした暫定紹介にとどめる。 第38回 新潮新人賞
- 057 2006 受賞者インタビュー 「物語」にならないように じゅしょうしゃいんたびゅーものがたりにならないように 『受賞者インタビュー 「物語」にならないように』は、吉田直美の新潮新人賞受賞作『ポータブル・パレード』に関連するインタビュー記事です。NDLサーチで『新潮』103巻11号、2006年11月号、p.234-237掲載を確認できます。本文内容は未確認のため、内容説明は掲載情報に限定します。
- 058 2005 冷たい水の羊 つめたいみずのひつじ 級友たちの生け贄のようにいじめの標的にされた中学生の少年。彼は「いじめられたと感じたらそれがいじめ」という定義を逆手に取り、「自分はいじめられていない」という独自の論理に立てこもって、陰惨な仕打ちを受け続ける。いじめを告発した同級生の少女・水原里子との心中の計画が、物語に暗い水脈のように流れる。羊の… 第37回 新潮新人賞
- 059 2005 海の宮 うみのみや 『海の宮』は、「新潮」2005年5月号に掲載され、2009年3月に集英社から単行本化された中上紀の小説です。NDLサーチで雑誌初出と単行本書誌、CiNii Researchで関連レコードを確認できます。公開Webで詳細な梗概は確認できないため、内容紹介は書誌情報に限定します。
- 060 2004 真空が流れる しんくうがながれる 第36回新潮新人賞受賞作として『新潮』2004年11月号に掲載された、佐藤弘のデビュー作。公開書誌で確認できる情報は掲載号と受賞発表にほぼ限られるため、具体的な筋の断定は避ける。単行本書誌は今回のNDL検索では確認できず、雑誌掲載作として記録しておくべき作品である。 第36回 新潮新人賞
- 061 2003 アストリッド あすとりっど 『アストリッド』は、第34回新潮新人賞受賞作『フェイク』の作者・犬山丈が「新潮」2003年12月号に発表した作品です。NDLサーチでは「新潮新人賞受賞第一作」という副題付きの雑誌記事として、掲載誌・巻号・ページを確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品内容の説明は掲載情報に限…
- 062 2003 家畜の朝 かちくのあさ 中卒で道路工事などの日雇い仕事をしながら日銭を稼ぐ主人公と、その仲間たちのうだつの上がらない日々。労働と競艇と愚行で埋まる時間の隙間に、父親の自殺、学習障害、友人の堕胎といった出来事が断片として挟み込まれ、貧困が人と土地をどう蝕むかが一人称の語りで立ち上がる。労働運動の現場にいた作者が、「ワーキング… 第35回 新潮新人賞
- 063 2003 四十日と四十夜のメルヘン よんじゅうにちとよんじゅうやのめるへん チラシ配りをして暮らす「私」が書きつける日記。しかしその日付は素直に進まず、記述は反復と書き換えを繰り返しながら円環構造を描き、日常の風景がいつのまにか変容していく。「書くこと」自体を小説の駆動装置にした構成は、選考会で保坂和志が「これはピンチョンなんだ」と断言して強く推したことで知られる。単行本化… 第35回 新潮新人賞
- 064 2003 博士の愛した数式 はかせのあいしたすうしき 『博士の愛した数式』は、事故の後遺症で新しい記憶を80分しか保てない数学者と、彼の家で働く家政婦、その息子の関係を描く長篇です。素数、友愛数、完全数などの数学的な美しさが、他者を思いやる言葉やふるまいと重ねられます。
- 065 2003 泥人魚 どろにんぎょ 『泥人魚』は、唐十郎が『新潮』2003年4月号に発表した戯曲です。NDLサーチでは同号p.144-199掲載の「最新戯曲 泥人魚」として確認でき、2004年4月に新潮社から単行本化されています。唐十郎の後期戯曲を代表する一作として、アングラ演劇の過剰なイメージと言葉のうねりを受け継ぐ作品です。
- 066 2002 フェイク ふぇいく 第34回新潮新人賞を中村文則「銃」と分け合った受賞作。タイトルの「フェイク」は偽物・まがいものの意で、本物と偽物のあわいを生きる人物像をうかがわせるが、単行本化されておらず、内容を確認できる資料は乏しい。選考委員は川上弘美・沼野充義・福田和也・保坂和志・町田康。同時受賞の中村文則がその後芥川賞作家と… 第34回 新潮新人賞
- 067 2002 銃 じゅう 雨の夜、大学生の「私」は河原で死体のそばに落ちていた拳銃を拾う。磨き、眺め、持ち歩くうちに、銃は退屈な日常に輪郭を与える唯一の存在となり、「撃つ」ことへの欲望が抗いがたく膨らんでいく。一挺の銃という即物的なモチーフだけで青年の内面の崩壊を追い詰めていく構成と、乾いた硬質な一人称が特徴的なデビュー作… 第34回 新潮新人賞
- 068 2002 本格小説 ほんかくしょうせつ 『本格小説』は、水村美苗が『新潮』連載をもとに2002年に新潮社から上下巻で刊行した長篇小説です。新潮社公式ページでは、米国での少女時代に出会った男の「小説のような人生」を、軽井沢に芽生え国境を越えて育まれる恋と、血族史・戦後日本の肖像として描く作品と紹介されています。上巻公式ページには『波』200…
- 069 2001 グラウンド ぐらうんど 『グラウンド』は、第33回新潮新人賞受賞作として新潮社公式の過去受賞作一覧に掲載されている鈴木弘樹の作品です。単行本は『よしわら』として2002年4月に新潮社から刊行された書誌をNDLサーチとBooksで確認できます。今回確認できた公開Web出典では元題から単行本題への改題経緯や公式梗概を確認できな… 第33回 新潮新人賞
- 070 2001 断念の海 だんねんのうみ 『断念の海』は、遠藤純子による『新潮』掲載作品です。NDLサーチで『新潮』98巻7号、2001年7月号、p.37-63掲載を確認できます。公開Webで梗概や本文内容は確認できないため、内容説明は書誌情報に限定します。
- 071 2001 ニッポニアニッポン にっぽにあにっぽん 『ニッポニアニッポン』は、阿部和重が2001年に新潮社から刊行した長編小説です。少年がインターネットを通じてトキ保護センターのトキ殺害を計画する作品として、著者ページで初出・刊行情報が確認できます。
- 072 2000 生活の設計 せいかつのせっけい 『生活の設計』は、第32回新潮新人賞小説部門受賞作として「新潮」2000年11月号に掲載された佐川光晴のデビュー作です。NDLサーチでは受賞発表号の雑誌掲載レコードと新潮社単行本の書誌を確認できます。今回確認できた公開Web出典では公式の内容紹介本文までは確認できないため、内容面の説明とタグ付けは追… 第32回 新潮新人賞
- 073 2000 へいせい夢ばやし へいせいゆめばやし 『へいせい夢ばやし』は、NDLサーチで「新潮」掲載記事として確認できるふくださちの作品です。NDLではタイトル読み「ヘイセイ ユメ ハヤシ」、責任表示、掲載誌「新潮」12号、ページ範囲 p.140-164 が記録されています。公開Webで内容紹介は確認できないため、作品内容の説明は保留します。
- 074 2000 雨のち雨? あめのちあめ 『雨のち雨?』は、岩阪恵子が第26回川端康成文学賞を受賞した短篇です。NDLサーチでは『新潮』2000年6月号掲載の受賞作記事として確認でき、同年6月には新潮社から単行本『雨のち雨?』が刊行されています。公開Webで詳細な梗概は確認できなかったため、作品説明は初出・刊行・受賞情報を中心に整理していま… 第26回 川端賞
- 075 2000 烙印 らくいん 『烙印』は、青垣進が「新潮」2000年11月号に発表した小説です。NDLサーチで雑誌記事として確認できます。公開Webで信頼できる梗概を確認できなかったため、作品内容の説明は初出情報に限定します。
- 076 1999 クレア、冬の音 くれあ、ふゆのおと 外国人花嫁を迎えた家庭をめぐる物語として紹介されている新潮新人賞受賞作です。家族の内側に入ってくる異文化の存在を通じて、家庭、言葉、距離の問題を扱う作品と読めます。公開資料で詳細な梗概や選評本文は確認できないため、現時点では受賞・掲載・単行本情報を中心に扱います。 第31回 新潮新人賞
- 077 1998 日蝕 にっしょく 『日蝕』は、15世紀フランスを舞台に、若い修道士が異端的な知と神秘の気配を追っていく中篇です。文語的で格調の高い文体を前面に出し、歴史小説、宗教小説、幻想小説の要素を重ねながら、日蝕という瞬間へ向けて緊張を高めます。デビュー作でありながら、古典的な知と現代文学の技巧を接続した点が読みどころです。 第120回 芥川賞
- 078 1998 底ぬけ そこぬけ 第30回新潮新人賞受賞作として『新潮』1998年11月号に掲載された作品。新潮社公式の過去の受賞作品一覧で作品名・著者名を確認でき、NDLサーチでは同号の書誌情報を確認できる。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、内容紹介・分類は今後、出版社公式、Amazon、掲載誌本文などで裏取りしたうえ… 第30回 新潮新人賞
- 079 1998 望潮 もちしお 『望潮』は、潮の満ち引きに呼応するように、老年期の女性の意識と記憶が揺れ動く短篇です。海辺の時間感覚と身体の衰えが重なり、現実の風景の中に幻視的な層が立ち上がります。村田喜代子らしい土地の感覚と、老いをめぐる静かな緊張が読みどころです。 第25回 川端賞
- 080 1997 叶えられた祈り かなえられたいのり 『叶えられた祈り』は、萱野葵のデビュー作にあたる新潮新人賞受賞作です。既存情報では、後に映画化される『段ボールハウス・ガール』へつながる作者の出発点として整理されています。祈りという題名が示す願望と現実のずれを軸に、都市的な孤独を読む作品として位置づけました。 第29回 新潮新人賞
- 081 1996 海峡の光 かいきょうのひかり 『海峡の光』は、廃航を控えた青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守となった「私」が、少年時代に自分を苦しめた相手と受刑者として再会する物語です。新潮社公式の紹介では、監視する者と監視される者の関係が、船舶訓練の海へ向かう場面で極限化される構図が示されている。津軽海峡と函館を背景に、いじめの記憶… 第116回 芥川賞
- 082 1996 マンモスの牙 まんもすのきば 『マンモスの牙』は、小山右人が第28回新潮新人賞を受賞した作品です。著者自身のnoteでは、映画化作品『牙の曲線』の原作小説として言及され、医学・アートを横断する視点を持つ作品として既存データに整理されています。新潮社公式で受賞事実は確認できますが、出版社公式の商品紹介は未確認のため、内容説明は低確… 第28回 新潮新人賞
- 083 1996 台所 だいどころ 『台所』は、坂上弘の第24回川端康成文学賞受賞作です。『新潮』1996年9月号掲載、1997年新潮社刊の同名単行本への収録を、文学賞データとNDLで確認できます。作品内容の詳しい公開梗概は未確認ですが、既存分類では家、日常、家族、記憶を静かな文体でたどる短篇として整理しています。 第24回 川端賞
- 084 1995 この人の閾 このひとのいき 『この人の閾』は、近隣に住む人々との会話や移ろう時間を、事件性よりも意識の動きとして追う保坂和志の短篇です。登場人物の関係や日常の場面は淡く保たれ、その隙間に考えること、感じることの閾が浮かび上がります。平明な文体でありながら、何げない生活の中に哲学的な問いを置く点が読みどころです。 第113回 芥川賞
- 085 1995 紅栗 べにぐり 『紅栗』は、SF翻訳家としても活動した冬川亘の短編小説で、新潮新人賞受賞作として登録されています。既存情報では詳細な筋は限られますが、翻訳・SF的想像力を背景にした作家の純文学的実作として位置づけられます。題名の色彩感と身体的な質感から、幻想性を含む短篇として分類しました。 第27回 新潮新人賞
- 086 1993 骸骨山脈 がいこつさんみゃく 『骸骨山脈』は、野間井淳が第25回新潮新人賞を受賞した作品です。NDLでは『新潮』1993年11月号と受賞作発表記事を確認できますが、具体的な筋や書評は今回確認できませんでした。題名の死や山岳のイメージを手がかりにした分類は暫定です。 第25回 新潮新人賞
- 087 1993 セミの追憶 せみのついおく 『セミの追憶』は、古山高麗雄が第21回川端康成文学賞を受賞した短編です。既存データでは、戦時の記憶とセミの声を結びつけ、従軍体験を持つ作家が生き残った者の記憶と罪責感を描く作品として整理されています。今回確認できた出典は受賞・初出情報が中心で、内容紹介は既存調査由来として扱います。 第21回 川端賞
- 088 1992 螺旋の肖像 らせんのしょうぞう 『螺旋の肖像』は、別唐晶司が第24回新潮新人賞を受賞したデビュー作です。医学研究科に在籍していた著者の経歴もあり、身体や認識をめぐる知的な題材が想起されますが、今回確認できた公開資料は受賞発表と掲載誌書誌が中心です。内容面は今後の追加調査が必要です。 第24回 新潮新人賞
- 089 1992 カワサキタン かわさきたん 『カワサキタン』は、中山幸太が第24回新潮新人賞を受賞した作品です。新潮社公式の過去の受賞作品一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldで発表年と掲載誌情報を補助確認できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、既存記述にあった舞台・内容の推測は抑え、現時点では新人賞受賞作とし… 第24回 新潮新人賞
- 090 1992 鹽壺の匙 しおつぼのさじ 『鹽壺の匙』は、「なんまんだあ絵」「白桃」「愚か者」などを収める車谷長吉の短篇集です。料理人や下足番としての経験、一族の記憶、身近な死を、私小説的で陰影の濃い文体で描きます。生活の卑近さと死の感覚が近接する、車谷文学の出発点となる作品集です。 第6回 三島賞
- 091 1992 犬(影について・その一) いぬ かげについて そのいち 『犬(影について・その一)』は、「影」というモチーフをめぐる連作の第一作です。犬を通して人間の存在の輪郭を問い直し、視覚的で幻想的なイメージを重ねます。画家・装丁家でもある司修の感覚が、寓話的な短篇の形に反映された作品です。 第20回 川端賞
- 092 1991 十二階 じゅうにかい 『十二階』は、小口正明が第23回新潮新人賞を受賞した作品です。NDLでは『新潮』1991年11月号と受賞作発表記事を確認できる一方、詳細なあらすじや批評は今回確認できませんでした。作品内容の断定は避け、現時点では新人賞受賞作としての書誌情報を中心に扱います。 第23回 新潮新人賞
- 093 1991 西行花伝 さいぎょうかでん 『西行花伝』は、平安末期の歌人・西行の生涯を、架空の弟子・藤原秋実の視点から描く大作歴史小説です。出家の謎、和歌、信仰、絶対美への希求が、貴族社会の精緻な描写の中で重なっていきます。歴史小説でありながら、芸術とは何かを問う思索小説として読めます。 第31回 谷崎賞
- 094 1991 伯父の墓地 おじのぼち 『伯父の墓地』は、亡くなった伯父の墓参を題材に、生と死、記憶の連鎖を老境から見つめる短篇です。大きな事件を置かず、親族の記憶と墓地という場所から、時間の堆積を静かに浮かび上がらせます。安岡章太郎晩年の私小説的な成熟が感じられる作品です。 第18回 川端賞
- 095 1990 ランタナの花の咲く頃に らんたなのはなのさくころに 『ランタナの花の咲く頃に』は、知的障害を持つ甥に見合い話が来るという設定から、家族と地域の関係を描く表題作を含む短篇集です。沖縄出身の長堂英吉が、障害者の結婚や家族の戸惑いを、硬い告発ではなくユーモアと温かみを交えて描きます。受賞時58歳という遅い文壇デビューも、作品の受け止められ方を特徴づけていま… 第22回 新潮新人賞
- 096 1990 ドッグ・デイズ どっぐ・でいず 『ドッグ・デイズ』は、『新潮』1990年11月号に掲載された藤枝和則の新潮新人賞受賞作です。NDLでは受賞作発表記事と掲載誌の書誌を確認できる一方、筋や語り口を詳述した信頼できる公開資料は今回確認できませんでした。そのため、現時点の紹介は受賞作・デビュー作としての位置づけを中心に留めます。 第22回 新潮新人賞
- 097 1989 縄文流 じょうもんりゅう 警備員と妻カリンちゃんの日常を、過激で滑稽な文体で描いた作品。既存梗概では、選考委員の笑いを誘ったとされるほど、生活の卑近さと文体の勢いが前面に出る。労働と夫婦の生活を、通常のリアリズムからずらしたユーモラスな語りで押し出す作品として読める。 第21回 新潮新人賞
- 098 1988 温かな素足 あたたかなすあし 『温かな素足』は、上田理恵による第20回新潮新人賞受賞作です。NDLサーチで受賞作発表記事が確認でき、『新潮』1988年11月号掲載の新人賞作品として整理できます。公開Webで梗概や選評本文は確認できないため、作品内容の説明は受賞・掲載事実に限定します。 第20回 新潮新人賞
- 099 1987 カワセミ かわせみ 戦時下の四国を舞台に、飛ぶ宝石とも呼ばれるカワセミの生命に魅せられた少年の日々を描く表題作を含む短篇集。紀伊國屋の内容説明では、無頼の道を歩む幼なじみの苛烈な生を写す「牙」なども収録される。自然へのまなざし、少年の感受性、戦時下の地方の時間が静かに重なっていく。 第19回 新潮新人賞
- 100 1985 過越しの祭 すごしのまつり 『過越しの祭』は、ロサンゼルス在住の日本人女性の視点から、日系・白人・黒人が交錯するアメリカ社会の摩擦を描く作品です。ユダヤ教の過越祭という宗教的な枠組みを手がかりに、異文化の理解と断絶、日本人としての立ち位置を問い直します。越境文学として、家族や信仰の場面に社会的緊張が入り込むところが重要です。 第94回 芥川賞
- 101 1985 過越しの祭 すぎこしのまつり ロサンゼルスに暮らす日本人女性の視点から、日系、白人、黒人が混在するアメリカ社会の文化的・人種的摩擦を描く。ユダヤ教の「過越しの祭」を題材に、異文化のなかで自分の位置を測り直す過程が物語の軸になる。移民の生活感覚と信仰儀礼が交差し、理解と断絶の両方を浮かび上がらせる作品。 第17回 新潮新人賞
- 102 1985 カナコ ボーイズ かなこぼーいず 『カナコ ボーイズ』は、杉山恵治が第17回新潮新人賞の最終候補となった作品。文学賞データベースでは、1985年5月17日発表、『新潮』1985年7月号選評掲載の回で候補作として確認できる。本文掲載、単行本化、梗概は今回確認できないため、内容紹介は保留する。
- 103 1984 星からの風 ほしからのかぜ 『星からの風』は、第16回新潮新人賞受賞作として確認できる青木健の作品です。新潮社公式アーカイブで受賞作名と著者名を確認でき、Prizesworldでは1984年6月1日発表、『新潮』1984年8月号掲載、のちに2010年刊『星からの風』へ収録されたことが確認できます。NDLサーチでも同書の書誌を確… 第16回 新潮新人賞
- 104 1984 夏の淵 なつのふち 『夏の淵』は、第16回新潮新人賞受賞作として確認できる高瀬千図の作品です。新潮社公式アーカイブで受賞作名と著者名を確認でき、Prizesworldでは1984年6月1日発表、『新潮』1984年8月号掲載、青木健『星からの風』との同時受賞が確認できます。公開Webで梗概や選評本文を確認できないため、題… 第16回 新潮新人賞
- 105 1983 光抱く友よ ひかりいだくともよ 『光抱く友よ』は、北陸の旧家を背景に、若い女性の官能と精神の成熟を光のイメージとともに描く中篇です。家、身体、女性の内面が重なり合い、恋愛や性を単純な事件としてではなく、自己の輪郭を獲得する過程として読ませます。抒情性と緊張感のある心理描写が作品の核です。 第90回 芥川賞
- 106 1983 ハイデラパシャの魔法 はいでらぱしゃのまほう 『ハイデラパシャの魔法』は、第15回新潮新人賞受賞作として確認できる左能典代の作品です。新潮社公式アーカイブで受賞作名と著者名を確認でき、Prizesworldでは1983年5月13日発表、『新潮』1983年7月号掲載、1984年7月の新潮社刊行が確認できます。公開Webでは梗概や選評本文を確認でき… 第15回 新潮新人賞
- 107 1982 夢の壁 ゆめのかべ 『夢の壁』は、北京での幼少期の記憶を背景に、異文化の中で形成された自己感覚と現在のまなざしを重ねる作品です。人間と自然、記憶と現実の境目を探る語りには、生態学的な観察と越境の感覚が混ざっています。歴史や国境を大きく語るより、個人の記憶の層から世界を見直すところに読みどころがあります。 第88回 芥川賞
- 108 1982 カメ男 かめおとこ 『カメ男』は、第14回新潮新人賞受賞作として確認できる小磯良子の作品です。新潮社公式の受賞作一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldでは1982年5月14日発表、『新潮』1982年7月号掲載と整理されています。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から内容を推測せず、受賞… 第14回 新潮新人賞
- 109 1982 野餓鬼のいた村 のがきのいたむら 『野餓鬼のいた村』は、加藤幸子の第14回新潮新人賞受賞作です。Prizesworldでは1982年5月14日発表、『新潮』1982年7月号掲載、1983年2月新潮社刊『夢の壁』所収と確認でき、新潮社公式でも同回受賞作として作品名・著者名を確認できます。公開Webで作品単体の詳細な梗概は確認できないた… 第14回 新潮新人賞
- 110 1981 小さな貴婦人 ちいさなきふじん 『小さな貴婦人』は、死んだ猫〈雲〉への愛惜を抱える女性と老いた女流詩人Gの対話を中心に、喪失と幻想の境界を静かに描く作品です。猫という身近な存在を媒介に、孤独、死者への執着、言葉では届ききらない感情が詩的に立ち上がります。現実の事件よりも、声や気配が醸す幻想性を読む作品です。 第85回 芥川賞
- 111 1981 橋の上から はしのうえから 『橋の上から』は、第13回新潮新人賞受賞作として確認できる川勝篤の作品です。新潮社公式の受賞作一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldでは1981年5月15日発表、『新潮』1981年7月号掲載と整理されています。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から内容を推測せず、受… 第13回 新潮新人賞
- 112 1981 幻の川 まぼろしのかわ 『幻の川』は、第13回新潮新人賞受賞作として確認できる小田泰正の作品です。新潮社公式の受賞作一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldでは1981年5月15日発表、『新潮』1981年7月号掲載と整理されています。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から内容を推測せず、受賞… 第13回 新潮新人賞
- 113 1980 二十歳の朝に はたちのあさに 『二十歳の朝に』は、第12回新潮新人賞受賞作として確認できる木田拓雄の作品です。新潮社公式の受賞作一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldでは1980年5月16日発表、『新潮』1980年7月号掲載と整理されています。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から内容を推測せず… 第12回 新潮新人賞
- 114 1980 ぼくの出発 ぼくのしゅっぱつ 『ぼくの出発』は、第12回新潮新人賞受賞作として確認できる運上旦子の作品です。新潮社公式の受賞作一覧で作品名・著者名を確認でき、Prizesworldでは1980年5月16日発表、『新潮』1980年7月号掲載と整理されています。公開Webでは梗概や選評本文を確認できないため、題名から内容を推測せず… 第12回 新潮新人賞
- 115 1970 無明長夜 むみょうちょうや 『無明長夜』は、吉田知子が第63回芥川龍之介賞を受けた短篇です。日本文学振興会公式の受賞者一覧では、1970年上半期の受賞作、掲載誌『新潮』として確認できます。NDLサーチでは、新潮社1970年刊の単行本『無明長夜』に収録されていること、同書に『寓話』『豊原』『海へ』『静かな夏』『終りのない夜』『歯… 第63回 芥川賞
- 116 1956 金閣寺 きんかくじ 『金閣寺』は、1950年の金閣寺放火事件に着想を得て、吃音と自己嫌悪を抱える若い僧が美に囚われていく過程を描く長篇です。金閣の絶対的な美が主人公の現実感を侵食し、破壊衝動へ変わるまでを緊密な心理描写で追います。三島由紀夫の美意識とニヒリズムが最も鋭く結びついた戦後文学の代表作です。