とうきょうとどうじょうとう
東京都同情塔
紹介 About
ザハ・ハディド設計の国立競技場が実現した、もうひとつの東京。犯罪者を「同情されるべき人々(ホモ・ミゼラビリス)」と捉え直す寛容論が浸透し、新宿御苑に犯罪者が快適に暮らせる高層刑務所「シンパシータワートーキョー」の建設が計画される。設計コンペに名乗りを上げた建築家・牧名沙羅は、その理念に拭いがたい違和感を抱えながら、生成AIが吐き出す摩擦のない言葉に抗って思考を続け、年下の青年・拓人が口にした「東京都同情塔」という呼び名に手応えを見出す。AIが日常化した近未来の、言葉と正義をめぐる思弁的な小説。
評価 Reception
第170回芥川賞の選考では、平野啓一郎が三島由紀夫『金閣寺』を踏まえつつ荒唐無稽ながら力強い世界の構築と評して強く推し、川上弘美は読者に考えさせる小説への意志を、山田詠美はAI的な文章の中に叙情が浮かぶ瞬間を評価した。小川洋子は人物の人間的な息遣いの希薄さを、堀江敏幸は主人公の自己認識の鈍さを指摘した。受賞会見の「5%くらいは生成AIの文章をそのまま使っている」という発言は海外メディアでも報じられ、AI時代の創作をめぐる議論を呼んだ。翻訳権はアジア圏を除きペンギン・ランダムハウス系列が取得し、2025年から欧米各国で刊行が続く。
出典 Sources
- 『東京都同情塔』九段理江|新潮社 紹介評価書誌
書誌、第170回芥川賞受賞、著者談話「二人の編集者」で舞台設定と生成AI利用発言を確認。
受賞・候補歴 Awards
九段理江のほかの収録作 More
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