かちくのあさ
家畜の朝
紹介 About
中卒で道路工事などの日雇い仕事をしながら日銭を稼ぐ主人公と、その仲間たちのうだつの上がらない日々。労働と競艇と愚行で埋まる時間の隙間に、父親の自殺、学習障害、友人の堕胎といった出来事が断片として挟み込まれ、貧困が人と土地をどう蝕むかが一人称の語りで立ち上がる。労働運動の現場にいた作者が、「ワーキングプア」という言葉が流通する前に底辺労働の世界を正面から書いた、プロレタリア文学の現代版ともいうべき一作。
評価 Reception
第35回新潮新人賞受賞(青木淳悟と同時受賞)。選考では貧困を生きる主人公の語りが「聡明すぎる」のではないかという議論もあった。受賞作はのちに第一創作集『ブルーシート』(朝日新聞出版、2009年)に収録された。
受賞・候補歴 Awards
浅尾大輔のほかの収録作 More
- 001 2009 ブルーシート ぶるーしーと 『ブルーシート』は、デビュー作「家畜の朝」を含む第一創作集として、底辺労働や生活の現場を描く作品です。都市の表面では見えにくい働く身体と貧困の感覚が、青いシートの仮設性と重なります。社会的な題材を、個人の孤独と身体感覚に引き寄せて読むことができます。
- 002 2023 立春大吉 りっしゅんだいきち 『立春大吉』は、過疎の町で町立病院の入院ベッド全廃計画が持ち上がり、病院と町への思いを抱えた住民たちが抗う長編である。新米町議・友川あさひを中心に、主義主張や家庭事情の異なる人々が交わり、地域医療、暮らし、政治参加の問題が重なっていく。『しんぶん赤旗』連載を単行本化した作品で、若い世代の苦悩と住民運…