Themes
移民と越境
主題「移民と越境」に分類された 100 作品。
- 001 2026 舞う砂も道の実り まうすなもみちのみのり 孤児として育ったワオスリ、大家族の移住先を探すイフン、離れ離れになった子を探すダエが、ともに旅へ出るロードノベル。時代も場所も定かでない土地をたどり、町々での出会いと別れを通して、三人はそれぞれの喪失や人生の意味に向き合っていく。旅は目的地へ進む筋であると同時に、血縁ではない者同士が一時的な家族のよ…
- 002 2025 帰れない探偵 かえれないたんてい 語り手の「わたし」は世界探偵委員会連盟に属する探偵だが、探偵事務所でもあり家でもある部屋に突然帰れなくなる。急な坂の街、雨でも傘を差さない街、夏が続き夜が来ない街、砂と太陽の街など、変化し続ける世界の都市をめぐりながら、「帰れない」状態そのものを抱えたまま移動していく。事件を解決するよりも、街の手触…
- 003 2025 ティータイム ティータイム 『ティータイム』は、『百年泥』で芥川賞を受賞した石井遊佳による、奇想の強い4篇を収めた短篇集です。大人びた兄妹、インドから脱出できない日本人、電車の網棚の上で暮らす女性、恐ろしいサンタクロースなど、現実の足場を少しずつ外す人物や状況が並ぶ。短篇ごとに場所や常識がずれていき、読者は笑いと不安のあいだに…
- 004 2025 月を見に行こうよ つきをみにいこうよ 『月を見に行こうよ』は、アイオワ大学の国際創作プログラム IWP に招かれた経験をもとに、世界各地から集まった詩人や小説家たちの交流を描く物語です。背景も言語も異なる創作者たちが、約二か月半の滞在のなかで互いの作品観や創作への覚悟に触れていく。滞在先の共同生活は、言葉が通じることと理解し合えることの…
- 005 2025 わたしハ強ク・歌ウ わたしハつよク・うたウ 『わたしハ強ク・歌ウ』は、海へ行こうとする「わたし」が、自分の旅と母が残した旅の記録を重ねて書き始める小説です。停留所の謎の男、先住民たちとの出会い、アンネの日記や火山の町といった断片が、現実の旅行記を越えた冒険譚へ変形していく。母の記録と現在の移動が重なることで、旅は継承された記憶を別の声で歌い直…
- 006 2025 燃ゆる海 もゆるうみ 馬を愛する女性がドバイへ渡る物語として紹介され、第11回林芙美子文学賞佳作に選ばれた作品。受賞時タイトルは「燃ゆる海」だが、雑誌掲載時には「燃ゆる馬」へ改題され、馬への愛着が異国への移動を導く力として前面に出る。馬は単なる趣味や対象ではなく、主人公の身体感覚、欲望、生活圏の外へ出ていく衝動を結びつけ…
- 007 2024 かりそめの星巡り かりそめのほしめぐり ドイツでの暮らしのなかに、故郷である仙台の風景、文学作品、美術、過去からの声を重ねていくエッセイ集。Books 出版書誌データベースでは、河北新報連載「記憶の素描」と日本経済新聞連載「美の十選」を収録した、著者初のエッセイ集として紹介されている。小説作品で展開してきた記憶、土地、言葉、死者との距離と…
- 008 2024 言霊の幸う国で ことだまのさきわうくにで 芥川賞受賞後のLこと柳千慧が、ストーカー、女性差別、外国人差別、同性愛差別、トランス差別など、いくつもの災厄に襲われる大長篇。筑摩書房公式は、本作を「あらゆる差別に抗して生き延びるために言葉を紡ぐ」闘争と再生の書として紹介している。語りは被害の列挙に留まらず、言葉によって傷つけられる経験を、言葉で書…
- 009 2023 あなたの燃える左手で あなたのもえるひだりてで ハンガリーの病院で左手の移植手術を受けたアサトは、目覚めると自分の身体に見知らぬ白人の手がつながれていることを知る。身体の一部が他者のものになる違和感から、国境、民族、所有、故郷の喪失へと思考が広がっていく中篇である。移植された手は単なる医療上の異物ではなく、歴史や政治の境界線が身体の内部に入り込む… 第45回 野間新人賞
- 010 2023 観音様の環 『観音様の環』は、瀬戸内の島から東京へ逃れるように出たマヤが、恋人ジェシカとの結婚を機に台湾へ渡り、封じてきた家族の記憶と向き合う中編である。田舎の排他的な空気、暴力的な父、母の期待と支配からの逃走が、台湾での年夜飯と母の故郷への訪問を通して再び立ち上がる。日本語と中国語、島と東京と台湾をまたぐ移動…
- 011 2023 パッキパキ北京 パッキパキペキン コロナ禍の北京で単身赴任中の夫に呼ばれた菖蒲が、愛犬ペイペイを連れて中国へ渡る。隔離、食、交通、春節、北京の人々のふるまいを、主人公はしぶしぶ来たはずの立場を軽々と反転させるように貪欲に観察し、味わっていく。著者自身の中国滞在経験に基づく観察力を生かし、異国の都市を「視察」する語りの勢いとユーモアで…
- 012 2023 そこまでして覚えるようなコトバだっただろうか? そこまでしておぼえるようなことばだっただろうか 言葉、文字、発音、身体感覚をめぐる四篇を収めた短篇集。発音できない一音によって自国から疎外される「クィ」、サッカーから人類の起源へ飛躍する思考、ひらがな・カタカナ・漢字を身体で渡るような文字の冒険、子の言語習得を前に立ちつくす猫木豊が描かれる。言葉を扱うことの自由さと不自由さを、実験的な形式と切実な…
- 013 2022 月の三相 つきのさんそう 旧東ドイツの小さな街で「フローラが失踪した」という噂が広がり、歴史に引き裂かれた少年と少女の物語が呼び起こされる。その街では誰もが自分の「肖像面」を持ち、面に惹かれて移り住んだ望、グエット、ディアナの三人は、失われた「顔」を探して見えない境界を越えていく。いくつもの時間が重層する街を舞台に、歴史、記…
- 014 2022 ジャクソンひとり ジャクソン ひとり 『ジャクソンひとり』は、東京で整体師として働くブラックミックスの青年ジャクソンが、Tシャツに仕込まれたコードから流出した動画をめぐって職場で疑われるところから動き出す。本人が否定しても身体的特徴で同一視される彼は、動画の男は自分だと主張する三人の男と出会い、逆襲へ向かう。人種、身体、アイデンティティ… 第59回 文藝賞
- 015 2021 彼岸花が咲く島 ひがんばながさくしま 彼岸花が咲き乱れる浜辺に、記憶を失った少女が流れ着く。海の向こうから来たため「宇実(ウミ)」と名付けられた彼女がたどり着いたのは、日本と台湾の間に浮かぶ架空の島。そこでは〈ニホン語〉と、女性だけが学ぶことを許された〈女語〉という二つの言語が話され、「ノロ」と呼ばれる女性たちが祭祀と政治、歴史の伝承を… 第165回 芥川賞
- 016 2021 貝に続く場所にて かいにつづくばしょにて コロナ禍に覆われたドイツの学術都市ゲッティンゲンで暮らす日本人留学生の「私」のもとに、東日本大震災の津波で行方不明になったはずの友人・野宮が現れる。九年前に仙台で被災した記憶と、疫病下の異国の街の現在が静かに重なり合い、惑星の名を冠した小径、聖人伝や絵画の細部、庭に埋められた様々な品をたどりながら… 第165回 芥川賞
- 017 2021 満天の花 まんてんのはな 幕末の長崎・出島に生まれ、青い目を隠して育った花が、勝海舟との出会いを経て通詞として外交の渦中に入る歴史長篇。咸臨丸、ロシア艦、大政奉還、江戸無血開城へと続く時代の転換点を、女性通訳の視点からたどる。西欧列強、幕府、身分秩序に抗し、言葉と意思で生きる人物像が読みどころになる。幕末史を英雄中心ではなく…
- 018 2021 天路 てんろ 『天路』は、東アジアの土地を移動する経験と、日本語で書くことの感覚を重ね合わせるリービ英雄の長篇です。旅の行程は、単なる紀行ではなく、言葉、歴史、身体の位置を問い直す道筋になる。越境文学としての自意識と、土地の具体的な手触りが交差する作品です。 第74回 野間文芸賞
- 019 2020 星月夜 ほしつきよる 日本の大学で日本語を教える台湾出身の柳凝月と、新疆ウイグル自治区出身で大学院進学を目指す玉麗吐孜の恋を描く長篇。二人は日本語という共通語で近づくが、家族、国家、在留資格、セクシュアリティをめぐる負荷は同じ形では共有できない。親密さの甘さよりも、相手を分かっていると思うことの危うさを静かな語りで照らす…
- 020 2020 ポラリスが降り注ぐ夜 ぽらりすがふりそそぐよる 新宿二丁目のバー「ポラリス」に集う、多様な性的アイデンティティを持つ女性たちを描く七つの恋の物語。筑摩書房公式は、魂と身体の触れあいを求めて二丁目を訪れる女性たちの物語として紹介している。都市の夜の親密さを起点に、セクシュアリティ、移動、言語、歴史の記憶が国境を越えて響き合う。連作の形を通して、個々…
- 021 2020 うつくしい羽 うつくしいはね 表題作『うつくしい羽』と『あさぎり』などを収めた、上村渉の初小説集。OpenBDの版元提供情報は、食の記憶が過去を呼び覚ます作品として、離婚で心の支えを失った男と、フランス修業時代に大切な人を失った料理人の軌跡を紹介している。併録作『あさぎり』では、十五歳の少女の一時保護を通して、家族の絆と外国人労…
- 022 2019 五つ数えれば三日月が いつつかぞえればみかづきが 表題作は、日本で働く台湾人の「私」と、台湾人と結婚して台湾へ移った友人・実桜が、平成最後の夏に東京で五年ぶりに再会する物語。話す言葉、住む国、選び取った人生の差異が、再会の会話のなかで静かに立ち上がる。収録作「セイナイト」とあわせて、移動、言語、親密さ、記憶のずれを、越境する人のアイデンティティとし…
- 023 2018 独り舞 ひとりまい 台湾出身のレズビアン女性が、過去の痛みと孤独を抱えながら日本で生き直そうとするデビュー作。著者公式プロフィールでは、李琴峰が第二言語である日本語で初めて書いた小説とされており、移動と言語のずれ、性的マイノリティとしての孤立、自己回復の時間が重なる。内面に寄り添う一人称の語りが、越境する身体と言葉の不…
- 024 2018 公園へ行かないか?火曜日に こうえんへいかないか?かようびに 2016年、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、世界各国の作家・詩人たちと過ごした3か月をもとに描く11篇の連作小説集。英語で議論し、街を歩き、アメリカ大統領選挙の瞬間にも居合わせる経験を通じて、そこにいること/いないこと、知りたいのに届かないことを考え続ける…
- 025 2018 鏡のなかのアジア かがみのなかのあじあ チベット、台湾、クアラルンプール、京都など、アジアの土地をモチーフにした全5篇の幻想短篇集。集英社公式は、少年僧が経典の歴史に触れる「……そしてまた文字を記していると」、台湾・九份の村を舞台にする「Jiufenの村は九つぶん」、熱帯雨林の巨樹であった過去を持つ男を描く「天蓋歩行」などを挙げている。翻…
- 026 2018 いつか深い穴に落ちるまで いつかふかいあなにおちるまで 日本とブラジルを直線で結ぶ穴を掘るという秘密プロジェクトをめぐる、壮大なホラ話としての会社員小説。戦後に若手官僚が思いついた計画を、大手建設会社子会社の広報係が調査することで、国家事業、会社組織、移民や国際関係が奇妙に絡み合う。真顔のユーモアで日本社会のシステムを描く点が読みどころ。 第55回 文藝賞
- 027 2018 あなたが私を竹槍で突き殺す前に あなたがわたしをたけやりでつきころすまえに 排外主義が強まる近未来の日本で、在日コリアン三世の柏木太一を中心にした若者たちが、それぞれの怒りと恐怖を抱えながら反攻を企てる長編。『文藝』連載を経て単行本化され、ヘイト、国家、在日性、仲間との連帯を、切迫した群像劇として描く。タイトルの過激さを、差別される側が追い詰められていく社会状況の比喩として… 第42回 野間新人賞
- 028 2017 百年泥 ひゃくねんどろ 恋人の借金を肩代わりして多重債務に陥った「私」は、返済のため南インド・チェンナイのIT企業で日本語教師として働き始める。着任三か月半で百年に一度の大洪水が街を襲い、水が引いたアダイヤール川には百年分の泥が残された。泥の中からは死んだはずの人や記憶の品々が次々と現れ、橋を渡る数十分のあいだに、語り手の… 第158回 芥川賞
- 029 2017 幸福な水夫 こうふくなすいへい 『幸福な水夫』は、木村友祐が水夫という移動する労働者の像を通じて、幸福と漂流の関係を描く作品として整理できます。海や船のイメージは、生活の不安定さと越境の感覚を呼び込みます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 030 2017 海亀たち うみがめたち 新潮社公式で2018年1月31日発売、ISBN 978-4-10-351481-7、文芸作品として確認できる未登録単行本。
- 031 2016 異郷の友人 いきょうのゆうじん 『異郷の友人』は、上田岳弘が「異郷」と「友人」という距離のある言葉を結び、共同性と疎外を描く長編として整理できます。見知らぬ場所や社会の中で、友人という関係がどこまで成立するのかが問われます。個人の孤立を、世界の構造へ広げて考える作品です。
- 032 2016 グローバライズ ぐろーばらいず 『グローバライズ』は、木下古栗がグローバル化する世界の言葉、身体、欲望を奇妙な文体で扱う作品として整理できます。タイトルの綴りや響きそのものが、世界を標準化する力への違和感を含んでいます。実験的な語りを通じて、表現と書く技法の問題が前面に出る作品です。
- 033 2016 ジニのパズル じにのぱずる オレゴン州の高校を退学になりかけているジニは、ホームステイ先で出会ったステファニーに、5年前の東京で起きた出来事を語り始めます。日本の小学校から朝鮮学校へ移ったジニは、朝鮮語ができないまま居場所を探し、二つの言語と複数の帰属の間で自分の輪郭を問い続ける。1998年のテポドン発射翌日にチマ・チョゴリ姿… 第59回 群像新人賞
- 034 2016 カブールの園 かぶーるのその 日系アメリカ人三世の女性が、IT企業を立ち上げた友人とヨセミテへ向かい、日系人強制収容所の記憶に触れていく表題作を中心とする作品集。移民、戦争の記憶、アメリカ社会の周縁に置かれた人々を、作者らしい構成意識で扱う。収録作「半地下」とあわせ、越境するアイデンティティと継承されにくい記憶が主題となる。 第30回 三島賞
- 035 2016 模範郷 もはんきょう Books/JPROは「故郷」という日本語を知らなかった語り手が、半世紀ぶりに故郷・台湾を訪れる時の旅人の物語として紹介している。NDLで2016年集英社単行本、2019年集英社文庫版をNDC 913.6として確認。
- 036 2014 離陸 りりく 『離陸』は、絲山秋子が時間と空間を大きく動かしながら、人の移動と記憶を描く長篇です。タイトルどおり、地上の生活から浮き上がるように物語が進み、現実の距離感が変わっていきます。旅や移動の小説であると同時に、記憶の重力をめぐる作品です。
- 037 2014 あなたへの歌 あなたへのうた 『あなたへの歌』は、楊逸が他者へ向ける言葉と、移動する人びとの記憶を扱う小説として整理できます。歌という形式は、直接届かない思いを誰かへ送るための媒介になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 038 2014 吾輩ハ猫ニナル わがはいはねこになる 『吾輩ハ猫ニナル』は、横山悠太の第57回群像新人文学賞当選作です。日本人の父を持つ中国人青年の自己形成を、日本語と中国語が交差する文体で描いた作品として知られています。越境的なアイデンティティを、言葉の混交そのものを読む経験に変える点が大きな読みどころです。 第57回 群像新人賞
- 039 2014 名誉と恍惚 めいよ と こうつ 日中戦争下の上海で、工部局に勤める日本人警官・芹沢が軍と青幇の面会を仲介したことから警察を追われ、潜伏生活へ追い込まれていく長篇。祖国や名前を失う男の生存を通じて、戦争、都市、裏社会、アイデンティティが交錯する。大部の分量で、歴史の混沌と個人の逃走を描き込む作品。 第27回 ドゥマゴ文学賞
- 040 2013 流転の魔女 りゅうてんのまじょ 『流転の魔女』は、楊逸が移動する女性の生と、越境のなかで変わっていく家族や記憶を描く小説として整理できます。流転という語は、土地や身分が安定しない感覚を示し、魔女という像は周囲からの異物視も思わせます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 041 2013 アフリカ鯰 あふりかなまず 『アフリカ鯰』は、静岡で暮らす男性の日常に、アフリカ大陸をめぐる記憶が重なるデビュー作として登録されている。旅の記憶と現在の停滞を対置し、遠い土地の経験が生活の感覚を揺らす作品として読める。NDLサーチと文藝春秋の号ページで受賞・掲載情報は確認できるが、詳細な筋や選評本文は今回十分に確認できていない… 第117回 文學界新人賞
- 042 2013 太陽 たいよう 新宿のホテル、アフリカの「赤ちゃん工場」、パリの蚤の市、インドの湖畔などを横断し、人類の欲望と未来を極端なスケールで描くデビュー小説集。表題作「太陽」は金、不老不死、核融合といったモチーフを扱い、現代社会の資本と身体をSF的想像力で押し広げる。純文学とSFを接続する破格の語りが特徴。 第45回 新潮新人賞
- 043 2011 黒うさぎたちのソウル くろうさぎたちのそうる 『黒うさぎたちのソウル』は、ソウルという海外都市を舞台に、移動と孤独の感覚を描く木村紅美の作品です。黒いうさぎという像は、かわいらしさだけでなく、夜や不安の気配も帯びています。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 044 2011 獅子頭 しーずとう 『獅子頭』は、獅子舞を思わせる題名を通じて、移動する人びとの記憶や家族のつながりを描く楊逸の小説です。中国語圏の文化的な記憶と日本語で書く現在が重なり、越境の感覚が作品の核になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 045 2010 陽だまり幻想曲 ひだまりげんそうきょく 『陽だまり幻想曲』は、楊逸が日本語で描く移動者の生活感覚を、光のある場所への憧れと結びつける作品です。家族や言葉のずれは、異国で暮らす人物の孤独と希望を同時に映します。日常の会話に潜む違和感が、越境文学としての読みどころになります。
- 046 2010 ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ ごるでぃーたはたべて ねて はたらくだけ 『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』は、中南米系移民女性ゴルディータの日常をユーモラスに描く吉井磨弥のデビュー作です。食べる、眠る、働くという生活の反復から、日本社会の異文化の交差が見えてきます。移民的な視点を重くしすぎず、軽やかな語りで日常のたくましさを読む作品です。 第111回 文學界新人賞
- 047 2009 ボーダー&レス ぼーだーあんどれす 東京の大学を出て就職した新入社員・江口理倫は、独特の魅力を持つ在日コリアンの同期・趙成佑(ソンウ)と親しくなる。気の合う友人同士のはずのふたりのあいだにも、「在日」という歴史が刻んだ見えない溝が走っていることに、僕はやがて直面する。国籍や民族だけでなく、この世界のあらゆる場所にあるボーダーを、若い会… 第46回 文藝賞
- 048 2009 金魚生活 きんぎょせいかつ 『金魚生活』は、楊逸が日本語で描く生活の細部を通して、移動する人びとの感覚や家族の距離をすくう小説です。金魚という題名は、限られた水槽のなかで動く存在のように、環境に制約されながら生きる人物像を思わせます。異文化の間で暮らす日常のささやかな揺れが読みどころです。
- 049 2009 すき・やき すきやき 『すき・やき』は、食卓の親密さを通じて、国境を越えて暮らす人びとの関係や違和感を描く楊逸の作品です。題名は日本の料理名を思わせながら、好意や関係の「好き」をも響かせます。食、家族、言葉のずれが、移民文学としての読みどころにつながります。
- 050 2009 トモスイ ともすい 『トモスイ』は、タイ、バリ、韓国などアジア各地を舞台に、男女の密接な関係とエロスを描く短篇集です。旅先の空気、身体の距離、異文化の感触が、恋愛や性の場面に入り込みます。短篇ごとに土地の湿度や食、儀礼の気配が変わり、関係の親密さと不安定さを浮かび上がらせます。高樹のぶ子の官能性と越境感覚が、圧縮された… 第36回 川端賞
- 051 2008 廃車 はいしゃ 車検切れが迫る壊れかけの車を、主人公は中国人留学生に無償で譲り渡す。ところが期限を過ぎても相手は約束した廃車手続きをせず、それどころか、わけのわからないまま主人公のほうが怨まれていく。日常の小さな親切が言葉も論理も通じない泥沼へ転がり落ちる過程を、乾いたユーモアで描いた不条理劇。受賞作は『文學界』2… 第107回 文學界新人賞
- 052 2008 射手座 いてざ 日系ブラジル人の語り手が、妹ルシアに関わる謎めいた男・加賀芳明と向き合う。妹の万引きに関わった加賀は、やがて妹が遺棄した赤ん坊について語り出し、赤ん坊を運んで山道をひとりさまよう。語り手が加賀から聞いた話を伝聞のかたちで重ねていく重層的な構造により、何が真実かは最後まで曖昧なまま、登場人物の誰ひとり… 第107回 文學界新人賞
- 053 2008 マイクロバス マイクロバス 『マイクロバス』は、移動する小さな乗り物を通して、地方の場所や人々の距離を描く小野正嗣の作品です。バスという共有空間は、共同体に属することと、そこから外れることの両方を見せます。静かな語りのなかで、土地の記憶と孤独がゆっくり浮かび上がります。
- 054 2008 時が滲む朝 ときがにじむあさ 『時が滲む朝』は、天安門事件前後の中国に生きる若者たちの青春と政治の時間を描く作品です。留学生作家である楊逸の日本語が、祖国の記憶、民主化への希望、移動する身体の感覚を重ねます。個人の朝の光景に、歴史が滲み出してくる点が読みどころです。 第139回 芥川賞
- 055 2008 仮の水 かりのみず 2008年8月講談社刊。NDLでNDC 913.6の図書として確認し、Books/JPROと講談社公式で書誌を確認できる。
- 056 2007 エロマンガ島の三人 えろまんがじまのさんにん 『エロマンガ島の三人』は、長嶋有の異色作品集として、奇妙な地名や設定から日常の感覚をずらしていく作品です。旅行記や冒険譚のような外見を借りながら、人と場所の距離感をユーモラスに扱います。題名の軽さの奥に、どこにも完全には属せない感覚が残ります。
- 057 2007 ワンちゃん わんちゃん 日本に渡って暮らす中国人女性「ワンちゃん」は、中国の女性たちと日本の男たちを引き合わせる見合いツアーの世話役を務めている。国境をまたぐ結婚の斡旋という生々しい現場を通して、経済格差のなかを生きる女たちのたくましさと哀感を、来日20年の作者がよどみのない日本語で描いた。日本語を母語としない書き手が日本… 第105回 文學界新人賞
- 058 2006 公園 こうえん 『公園』は、世界の縮図のような公園から下田、ニューヨーク、グラウンド・ゼロへと移動していく大学生の「ぼく」と友人オノサを描くデビュー作。河出書房新社の紹介では、目的のはっきりしない移動と9.11後の世界感覚が結びつけられており、場面を飛躍させる語りが若者の浮遊感を生む。青春小説の軽さと、世界の暴力を… 第43回 文藝賞
- 059 2006 森のはずれで もりのはずれで 『森のはずれで』は、共同体の中心ではなく「はずれ」に立つ人物の感覚を、小野正嗣らしい静かな語りで描く作品です。森や周縁の場所は、記憶、土地、言葉の違いを考えるための舞台になります。中心から外れた場所で人がどう他者と出会うかを読む作品として位置づけられます。
- 060 2005 命の風(上・下) いのちのかぜ NDLで2005年9月幻冬舎刊の上巻・下巻をいずれもNDC 913.6の図書として確認。Books/JPROでも上下巻のISBN、判型、ページ数、発売日を確認できる。
- 061 2004 西安の柘榴 セイアン ノ ザクロ 『韓素音の月』以後の中国・越境モチーフに連なる単行本候補。集英社刊、192ページ。
- 062 2004 千々にくだけて ちぢにくだけて 『千々にくだけて』は、リービ英雄が9・11体験の核心から、現代世界の変容と危機を描いた小説です。講談社公式ページでは「ノンフィクションを超えたフィクション」と紹介され、2001年夏の終わりに日本から母国アメリカへ旅立った主人公が、同時多発テロによる国境閉鎖で経由地カナダに足止めされる物語として確認で…
- 063 2002 にぎやかな湾に背負われた船 にぎやかなわんにせおわれたふね 九州の海辺の集落「浦」を舞台に、土地の人々の記憶と語りを紡ぐ長編。個人の物語が、海辺の共同体、死者、土地の歴史と重なり合う。小野正嗣らしい、声の重なりと土地の記憶を読む作品。 第15回 三島賞
- 064 2002 インターナショナル いんたーなしょなる 『インターナショナル』は、「すばる」2002年6月号に掲載された引間徹の小説です。NDLサーチとCiNii Researchで掲載誌とページ範囲を確認できます。公開Webで内容紹介は確認できないため、題名から国際性や舞台を断定しない形で登録します。
- 065 2002 ヘンリーたけしレウィツキーの夏の紀行 へんりーたけしれうぃつきーのなつのきこう 2002年10月講談社刊。NDLでNDC 913.6の図書として確認し、Books/JPROと講談社公式でページ数・発売日等を確認できる。
- 066 2001 ベラクルス べらくるす 『ベラクルス』は、メキシコ湾岸の都市ベラクルスを舞台にした堂垣園江の小説です。カナダとメキシコに在住経験をもつ作者の越境的な視点から、土地の歴史、記憶、暴力の気配を重ねる作品として位置づけられます。海外の都市を日本語小説の舞台に据え、移動と異文化の感覚を読む作品です。 第23回 野間新人賞
- 067 2000 アレグリア あれぐりあ 『アレグリア』は、デビット・ゾペティの小説単行本です。出版書誌データベースでは、14歳でトロントへバレエ留学した陽子が、かつての英語教師で東京に住む米国人画家の「僕」に留学生活を語る作品として紹介されています。NDLサーチでは2000年6月に集英社から刊行された193ページの図書、NDC9 913…
- 068 1999 蔭の棲みか かげのすみか 『蔭の棲みか』は、大阪の在日朝鮮人集落を舞台に、最古参の住人ソバンの人生と共同体の日常を描く作品です。戦争で手首を失ったソバンの記憶、家族と集落の関係、事件の気配が重なり、個人史と地域史が交差します。在日文学の系譜に連なりつつ、生活の場の細部から重い歴史を立ち上げる点が読みどころです。 第122回 芥川賞
- 069 1999 彼女のプレンカ かのじょのぷれんか 中上紀の小説デビュー作で、熊野・新宮の土地の記憶と、作者自身の越境的な感覚が重なっていく作品です。既存資料では中上健次の娘として注目された出発点とされ、土地との縁を背負った語りが作品の核になっています。詳細な梗概は公開資料で十分に確認できないため、ここではデビュー作としての位置づけと主題を中心に紹介… 第23回 すばる文学賞
- 070 1999 クレア、冬の音 くれあ、ふゆのおと 外国人花嫁を迎えた家庭をめぐる物語として紹介されている新潮新人賞受賞作です。家族の内側に入ってくる異文化の存在を通じて、家庭、言葉、距離の問題を扱う作品と読めます。公開資料で詳細な梗概や選評本文は確認できないため、現時点では受賞・掲載・単行本情報を中心に扱います。 第31回 新潮新人賞
- 071 1998 大陸游民 タイリク ユウミン 既収録の『韓素音の月』と同じ集英社刊の単行本で、著者の中国・越境テーマを補える候補。
- 072 1998 国民のうた こくみんのうた 1998年講談社刊。NDLでNDC 913.6の図書として確認し、Books/JPROと講談社公式で書誌を確認できる。
- 073 1996 いちげんさん いちげんさん 『いちげんさん』は、京都の大学で日本文学を学ぶスイス人留学生の「僕」が、対面朗読のボランティアを通じて目の不自由な女性・京子と出会う恋愛小説です。外国語として日本語を生きる語り手の距離感が、京都での留学生活や人間関係を静かに照らします。異文化の観察記ではなく、言葉・身体・親密さの境界をたどる作品とし… 第20回 すばる文学賞
- 074 1996 「アボジ」を踏む あぼじをふむ 『「アボジ」を踏む』は、小田実の第24回川端康成文学賞受賞作です。『群像』1996年10月号掲載後、1998年刊の短篇集および講談社文芸文庫版で再刊されたことを確認できます。父を指す朝鮮語を題に含む作品として、父子、戦争、差別、越境の問題系に接続するが、公開資料で確認できる内容紹介は限定的なため、紹… 第24回 川端賞
- 075 1996 天安門 てんあんもん 1996年講談社刊。NDLで単行本および2011年講談社文芸文庫版をNDC 913.6として確認できる。講談社公式とBooks/JPROで書誌も確認可能。
- 076 1995 KYOKO キョウコ ダンスを最優先に生きるキョウコが、東京、ニューヨーク、マイアミ、ハバナを旅する物語。かつてダンスを教えてくれた米兵を探す旅は、未来への鼓動、やすらぎ、再生を秘めた移動として描かれる。国境を越える身体表現と、孤独な旅のなかで自分の未来を手に取ろうとする清新さが読みどころになる。
- 077 1995 韓素音の月 かんそいんのつき 『韓素音の月』は、茅野裕城子のデビュー作にあたる第19回すばる文学賞受賞作です。旅行作家・元女優としての経験や中国研究を背景に、中国をめぐる記憶、越境、表現者のまなざしを扱う作品として整理できます。表題作を含む作品集として1996年に集英社から刊行され、2001年には集英社文庫にも収められました。 第19回 すばる文学賞
- 078 1995 私小説 from left to right ししょうせつ ふろむ れふと とぅ らいと 『私小説 from left to right』は、アメリカに暮らす日本語話者の姉妹をめぐり、日本語と英語、縦書きと横書きの境界を作品形式そのものに組み込んだ私小説です。移動と翻訳の経験を、単なる海外生活の物語ではなく、どの言語で自分を語るのかという問いへ押し広げます。私小説の枠を借りながら、その制… 第17回 野間新人賞
- 079 1993 寂寥郊野 じゃくりょうこうや 『寂寥郊野』は、吉目木晴彦が第109回芥川賞を受賞した中編です。既存データでは、アメリカ在住の日本人女性がアルツハイマー症を発症し、当事者と家族の苦悩や愛情を描く作品として整理されています。日本文学振興会公式で受賞は確認できますが、内容説明は二次情報由来のため、細部は追加確認が必要です。 第109回 芥川賞
- 080 1992 星条旗の聞こえない部屋 せいじょうきの きこえない へや 『星条旗の聞こえない部屋』は、1960年代後半の横浜で、アメリカ外交官の息子ベン・アイザックが領事館を飛び出し、東京をさまよう物語です。日英二言語の狭間で、自分がどこに属するのかを探る越境文学の先駆的作品です。日本語で書くことそのものが、主人公のアイデンティティの問いと重なっています。 第14回 野間新人賞
- 081 1992 遠い国からの殺人者 トオイ クニ カラ ノ サツジンシャ 1992年に文藝春秋から刊行された笹倉明の単著図書。海外翻訳版の検索ノイズがあるため、日本語単著のNDLレコードを採用する。
- 082 1991 海を渡る植物群 うみをわたるしょくぶつぐん 『海を渡る植物群』は、みどりゆうこが第72回文學界新人賞を受賞した作品です。NDLで受賞作発表記事と『文學界』1991年6月号の書誌を確認できました。題名から越境や移動のイメージがうかがえますが、物語内容を具体的に確認できる公開資料は今回見つからず、紹介は書誌中心です。 第72回 文學界新人賞
- 083 1990 村の名前 むらのなまえ 『村の名前』は、中国奥地を舞台に、ある村の名をめぐる記憶と謎を追う中篇です。旅と聞き書きのような手触りを持ちながら、地名が個人や共同体の歴史をどのように抱え込むかを幻想的に描きます。辻原登のデビュー期の越境感覚と、語りの迷宮性が読みどころです。 第103回 芥川賞
- 084 1989 ネコババのいる町で ねこばばのいるまちで 『ネコババのいる町で』は、ロサンゼルスから一人で日本に送られた少女・恵里子が、祖母と叔母のもとで育つ姿を描く作品です。場面緘黙症を抱える少女にとって、隣家の猫たちとの関係が、言葉にならない孤独の受け皿になっていきます。移動、家族、言語化できない傷を、子どもの視界に近い静けさで描く点が読みどころです。 第69回 文學界新人賞
- 085 1989 流離譚 りゅうりたん 『流離譚』は、中村隆資のデビュー作にあたる第69回文學界新人賞受賞作です。題名が示すように、定住できない感覚や移動の経験を軸にした作品として整理できます。第102回芥川賞候補にもなり、1989年下半期の新人賞作品として注目されました。 第69回 文學界新人賞
- 086 1988 由煕 ゆひ 『由煕』は、韓国に留学した在日韓国人女性・由煕が、理想化していた「祖国」と現実の韓国語・韓国社会のずれに苦しむ姿を描く中篇です。日本語と韓国語のあいだで裂かれる自己認識が、言葉の問題としても身体感覚としても迫ってきます。越境やアイデンティティを、外側から説明するのでなく当事者の息苦しさとして読ませる… 第100回 芥川賞
- 087 1988 ルイジアナ杭打ち るいじあなくいうち 父の仕事の都合でルイジアナ州バトンルージュに暮らす日々を、少年の目を通して書きとめた短篇集。紀伊國屋書店の紹介では、深南部に住む異邦人としての非適応感覚を、クールさとユーモアを交えて捉えた作品とされる。移住先の風物、家族、周囲の人々との距離感が、記憶と越境の物語になっている。 第10回 野間新人賞
- 088 1985 過越しの祭 すごしのまつり 『過越しの祭』は、ロサンゼルス在住の日本人女性の視点から、日系・白人・黒人が交錯するアメリカ社会の摩擦を描く作品です。ユダヤ教の過越祭という宗教的な枠組みを手がかりに、異文化の理解と断絶、日本人としての立ち位置を問い直します。越境文学として、家族や信仰の場面に社会的緊張が入り込むところが重要です。 第94回 芥川賞
- 089 1985 遠来の客 えんらいのきゃく 『遠来の客』は、ロサンゼルス在住の米谷ふみ子が「過越しの祭」と同時期に発表したデビュー期の作品です。既存データでは、家族、障害、移民的な越境感覚を扱う作品として整理されています。海外に暮らす日本語作家の視点から、家族の内部にある距離と異文化の緊張を読む作品です。 第60回 文學界新人賞
- 090 1985 ゼロはん ぜろはん 『ゼロはん』は、第28回群像新人文学賞の小説当選作となった李起昇の作品です。講談社公式の商品ページでは、オートバイ事故で親友を失った在日韓国人青年・朴英浩が父祖の地である韓国を訪れ、二つの国のはざまで自己の不確かさに向き合う物語として紹介されています。喪失、在日性、越境的なアイデンティティを扱うデビ… 第28回 群像新人賞
- 091 1985 過越しの祭 すぎこしのまつり ロサンゼルスに暮らす日本人女性の視点から、日系、白人、黒人が混在するアメリカ社会の文化的・人種的摩擦を描く。ユダヤ教の「過越しの祭」を題材に、異文化のなかで自分の位置を測り直す過程が物語の軸になる。移民の生活感覚と信仰儀礼が交差し、理解と断絶の両方を浮かび上がらせる作品。 第17回 新潮新人賞
- 092 1984 女からの声 おんなからのこえ 『女からの声』は、壊れかけた自己を抱える語り手と、真実の絆を求めて遍歴する妻ナホミを軸にした青野聰の長篇です。講談社公式ページでは、ニューヨーク、小笠原、東京、ネパール、アフガニスタンへと続く旅と、性愛や生の根源を求める人物たちの彷徨が紹介されています。男女関係、越境、孤独を濃密な文体で描く作品とし… 第6回 野間新人賞
- 093 1983 虹のカマクーラ にじのかまくーら 『虹のカマクーラ』は、東京で出会った黒人青年ボブとタイ人少女ソムシーが、虹を見たという鎌倉へ向かう旅を描く作品です。既存データでは、外国人を主人公に据え、周囲の偏見や暴力を扱う先駆的な長篇として整理されています。内容紹介は主にAmazon書誌と個人書評に依拠しており、出版社公式の梗概は今回確認できま… 第7回 すばる文学賞
- 094 1982 夢の壁 ゆめのかべ 『夢の壁』は、北京での幼少期の記憶を背景に、異文化の中で形成された自己感覚と現在のまなざしを重ねる作品です。人間と自然、記憶と現実の境目を探る語りには、生態学的な観察と越境の感覚が混ざっています。歴史や国境を大きく語るより、個人の記憶の層から世界を見直すところに読みどころがあります。 第88回 芥川賞
- 095 1981 金色の象 こんじきのぞう 世界を放浪してきた青年と、自分を持て余す家出娘の一瞬の出会いから、同棲と出産へ進む物語。河出書房新社の紹介では、小さな生命の誕生が若い二人に愛と性の輝きをもたらす作品として位置づけられている。移動する身体、出会い、家族の始まりを、祝祭性と痛みを含んだ青春譚として読むことができる。 第3回 野間新人賞
- 096 1980 ギンネム屋敷 ぎんねむやしき 『ギンネム屋敷』は、1950年代の米軍占領期の沖縄・浦添を舞台に、ギンネムの茂る屋敷に住む朝鮮人男性への疑惑と暴力を描く又吉栄喜のデビュー作です。沖縄、朝鮮人、米軍占領という複数の歴史的圧力が、地域社会の空気の中に沈み込んでいます。土地の記憶と差別の構造を読む作品です。 第4回 すばる文学賞
- 097 1980 海を越えた者たち うみをこえたものたち 『海を越えた者たち』は、笹倉明が第4回すばる文学賞佳作となった作品です。Prizesworldで受賞区分と掲載情報を確認できますが、公開Webで信頼できる梗概や選評本文は確認できませんでした。既存記述にあった海外放浪・青春の分類は題名や二次情報からの推測が残るため、現時点では保留します。
- 098 1951 広場の孤独 ひろばのこどく 『広場の孤独』は、朝鮮戦争下の東京を舞台に、新聞社に勤める在日中国人の知識人が戦争と民族のあいだで引き裂かれていく姿を描く作品です。政治状況を背景にしながら、個人の倫理と所属の不安を前景化する点に読みどころがあります。戦後文学の中でも、国際政治と内面の孤独を同時に扱った作品として位置づけられます。 第26回 芥川賞
- 099 1949 異邦人 いほうじん 『異邦人』は、敗戦後の中国で中国共産党軍に徴用された日本人の体験を描く短篇です。異国の軍事・政治状況に投げ込まれた人物を通して、戦後直後の日本人が抱えた疎外感と帰属の不安を切り取ります。物語の細部については公開出典が限られるため、ここでは受賞作として確認できる範囲を中心に紹介します。 第23回 芥川賞
- 100 1935 蒼氓 そうぼう 昭和初頭、国策としてブラジル移民に応じた人々を描く三部構成の群像劇。第一部では神戸の国立移民収容所で出港を待つ数日間が、東北の寒村から一家で海を渡ろうとする者たちを中心に描かれ、続いて移民船での45日間の航海、ブラジル到着後に過酷な労働へ踏み出す姿へと続く。貧しさゆえに故郷を棄てざるをえない名もなき… 第1回 芥川賞