ひとりまい

独り舞

李琴峰 2018 第60回 群像新人賞 優秀作

紹介 About

台湾出身のレズビアン女性が、過去の痛みと孤独を抱えながら日本で生き直そうとするデビュー作。著者公式プロフィールでは、李琴峰が第二言語である日本語で初めて書いた小説とされており、移動と言語のずれ、性的マイノリティとしての孤立、自己回復の時間が重なる。内面に寄り添う一人称の語りが、越境する身体と言葉の不安定さをそのまま読ませる。

評価 Reception

著者公式プロフィールで、第60回群像新人文学賞優秀作に選ばれ、作家デビュー作となったことを確認。OpenBDには東京新聞/中日新聞朝刊2020年4月19日の書評掲載記録がある。新聞書評の本文までは確認できていないため、評価内容の詳細は未記載とする。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

優秀作 第60回 群像新人文学賞 (2017年)

李琴峰のほかの収録作 More

  1. 001 2019 五つ数えれば三日月が いつつかぞえればみかづきが 初出・文學界 2019年6月号 表題作は、日本で働く台湾人の「私」と、台湾人と結婚して台湾へ移った友人・実桜が、平成最後の夏に東京で五年ぶりに再会する物語。話す言葉、住む国、選び取った人生の差異が、再会の会話のなかで静かに立ち上がる。収録作「セイナイト」とあわせて、移動、言語、親密さ、記憶のずれを、越境する人のアイデンティティとし… 移民と越境言葉と言語恋愛
  2. 002 2020 星月夜 ほしつきよる 単行本・集英社 日本の大学で日本語を教える台湾出身の柳凝月と、新疆ウイグル自治区出身で大学院進学を目指す玉麗吐孜の恋を描く長篇。二人は日本語という共通語で近づくが、家族、国家、在留資格、セクシュアリティをめぐる負荷は同じ形では共有できない。親密さの甘さよりも、相手を分かっていると思うことの危うさを静かな語りで照らす… 恋愛移民と越境ジェンダー
  3. 003 2020 ポラリスが降り注ぐ夜 ぽらりすがふりそそぐよる 初出・早稲田文学 第十次 第22号 新宿二丁目のバー「ポラリス」に集う、多様な性的アイデンティティを持つ女性たちを描く七つの恋の物語。筑摩書房公式とOpenBDは、国や歴史を越えて思い合う気持ちがつながっていく連作として紹介している。都市の夜の親密さを起点に、セクシュアリティ、移動、言語や歴史の記憶を交差させるところが読みどころ。 ジェンダー恋愛移民と越境
  4. 004 2021 彼岸花が咲く島 ひがんばながさくしま 初出・文學界 2021年3月号 彼岸花が咲き乱れる浜辺に、記憶を失った少女が流れ着く。海の向こうから来たため「宇実(ウミ)」と名付けられた彼女がたどり着いたのは、日本と台湾の間に浮かぶ架空の島。そこでは〈ニホン語〉と、女性だけが学ぶことを許された〈女語〉という二つの言語が話され、「ノロ」と呼ばれる女性たちが祭祀と政治、歴史の伝承を… 言葉と言語ジェンダー記憶 第165回 芥川賞
  5. 005 2021 生を祝う せいをいわう 単行本・朝日新聞出版 子どもを産むためには、その子自身から「この世界に生まれてきたい」という同意を得なければならない社会を舞台にした長編。出生を祝福するはずの制度が、親になること、同意、身体、存在の選択をめぐる問いを鋭く浮かび上がらせる。芥川賞受賞作『彼岸花が咲く島』の後に刊行された作品で、現実の倫理問題を架空制度として… 身体家族アイデンティティ
  6. 006 2023 観音様の環 単行本・U-NEXT 『観音様の環』は、瀬戸内の島から東京へ逃れるように出たマヤが、恋人ジェシカとの結婚を機に台湾へ渡り、封じてきた家族の記憶と向き合う中編である。田舎の排他的な空気、暴力的な父、母の期待と支配からの逃走が、台湾での年夜飯と母の故郷への訪問を通して再び立ち上がる。日本語と中国語、島と東京と台湾をまたぐ移動… 家族移民と越境ジェンダー
  7. 007 2023 肉を脱ぐ にくをぬぐ 単行本・筑摩書房 新人作家の柳佳夜がエゴサーチで同姓同名のVTuberを見つけ、なりすましなのか、偶然なのか、その正体を探り始める。作家名、身体、声、オンライン上の分身がずれていく設定を通して、自己像と他者から見られる像の境界が揺さぶられる。李琴峰らしいアイデンティティへの関心を、VTuberという現代的なメディア環… アイデンティティ身体テクノロジー
  8. 008 2024 言霊の幸う国で ことだまのさきわうくにで 単行本・筑摩書房 芥川賞受賞後のLこと柳千慧が、ストーカー、女性差別、外国人差別、同性愛差別、トランス差別など、いくつもの災厄に襲われる大長篇。筑摩書房公式は、本作を「あらゆる差別に抗して生き延びるために言葉を紡ぐ」闘争と再生の書として紹介している。公と私、フィクションとノンフィクション、怒りと文学の境界を行き来しな… 言葉と言語ジェンダー移民と越境
  9. 009 2025 月を見に行こうよ つきをみにいこうよ 単行本・集英社 『月を見に行こうよ』は、アイオワ大学の国際創作プログラム IWP に招かれた経験をもとに、世界各地から集まった詩人や小説家たちの交流を描く物語です。背景も言語も異なる創作者たちが、約二か月半の滞在のなかで互いの作品観や創作への覚悟に触れていく。越境、言語、創作をめぐる李琴峰の関心が、国際的な文学共同… 芸術と表現言葉と言語移民と越境