こうえん

公園

荻世いをら 2006 第43回 文藝賞 受賞

紹介 About

『公園』は、世界の縮図のような公園から下田、ニューヨーク、グラウンド・ゼロへと移動していく大学生の「ぼく」と友人オノサを描くデビュー作。河出書房新社の紹介では、目的のはっきりしない移動と9.11後の世界感覚が結びつけられており、場面を飛躍させる語りが若者の浮遊感を生む。青春小説の軽さと、世界の暴力を遠くに感じながら歩く不安定さが同居する作品である。

評価 Reception

第43回文藝賞受賞作で、河出書房新社の著者紹介でも同作での受賞・デビューが確認できる。出版社公式の内容紹介は「文学的野心と冒険」に満ちた問題作として位置づけているが、今回確認できた評価は主に出版社公式と書誌情報に限られる。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第43回 文藝賞 (2006年)

荻世いをらのほかの収録作 More

  1. 001 2009 東京借景 とうきょうしゃっけい 初出・文藝 2008年秋号 『東京借景』は、恩師らしき男、義眼の隣人、巨大な友人Qなど、距離の取りにくい人物たちとの関係を東京の風景に重ねる作品。河出書房新社は、いらだちを誘う相手との距離を描く「文藝賞受賞第一作」として紹介している。都市を単なる背景ではなく、他者への違和感や孤独を映し出す借景として扱うところに読みどころがある… 孤独と疎外記憶アイデンティティ
  2. 002 2013 ピン・ザ・キャットの優美な叛乱 ぴんざきゃっとのゆうびなはんらん 初出・文藝 2011年秋号・2013年春号/群像 2011年5月 『ピン・ザ・キャットの優美な叛乱』は、飼い猫と生まれた息子の境界が揺らぐ感覚を核に、家族・身体・動物的な気配を奇妙な寓話へ変形させる小説。河出書房新社は、猫をめぐるかつてない小説として紹介し、現実の秩序が少しずつずれていく不穏さを前面に出している。語りのユーモアと不安が同時に立ち上がる、荻世いをらら… 身体家族暴力
  3. 003 2026 彼女のカロート かのじょのかろーと 初出・すばる 2010年7月号/文學界 2013年12月号 『彼女のカロート』は、表題作「彼女のカロート」と「宦官への授業」を収める作品集。表題作では、耳が聞こえなくなった女性アナウンサーから新しい墓を依頼された主人公の日常が、彼女とのずれた応答によって静かに侵食されていく。もう一篇では、読むことに困難を抱えながら文学に向かう青年がシュールな冒険に巻き込まれ… 身体死と喪失芸術と表現