Est. 1970 / 集英社
すばる
集英社が発行する月刊文芸誌。すばる文学賞を主催する。
この誌が初出の収録作 First Appearances 51 works
- 001 2020 犬のかたちをしているもの いぬのかたちをしているもの 間橋薫は卵巣の手術を経て、恋人の郁也とも性交渉から距離を置いて暮らしている。そこへ郁也の子を妊娠したという女性が現れ、子どもを育ててくれないかと唐突に持ちかける。愛をどう証明するのか、子どもを産むことと持つことは何を意味するのかを、薫の身体感覚と故郷の家族への思いを通じて問うデビュー作。 第43回 すばる文学賞
- 002 2020 幼な子の聖戦 おさなごのせいせん 第162回芥川賞候補作の表題作と、ビルの窓拭きを描く『天空の絵描きたち』を収める作品集。表題作では、青森の小さな村で村議をしている「おれ」が、人妻との関係を県議に握られ、同級生候補への選挙妨害を強いられる。地方政治の閉塞、個人の弱み、労働現場の緊張を、怒りと諦めのあわいにかすかな希望を探る語りで描く…
- 003 2020 うつくしい羽 うつくしいはね 表題作『うつくしい羽』と『あさぎり』などを収めた、上村渉の初小説集。OpenBDの版元提供情報は、食の記憶が過去を呼び覚ます作品として、離婚で心の支えを失った男と、フランス修業時代に大切な人を失った料理人の軌跡を紹介している。併録作『あさぎり』では、十五歳の少女の一時保護を通して、家族の絆と外国人労…
- 004 2019 背高泡立草 せいたかあわだちそう 奈美は母・伯母・従姉妹とともに長崎の離島にある母の実家の納屋の草刈りへ向かう。現代の草刈りを軸にしながら、戦中・戦後・江戸期のクジラ漁まで、島に刻まれた複数の時代の記憶が大島方言とともに溶け合うように語られる。 第162回 芥川賞
- 005 2019 犬のかたちをしているもの いぬのかたちをしているもの 性と身体をめぐる関係性の不均衡を、乾いた観察眼で描いた作品。のちに芥川賞候補・受賞へ続く高瀬隼子のデビュー作。 第43回 すばる文学賞
- 006 2018 わるもん わるもん バスケットボールに打ち込んだ経験を持つ著者が、悪として生きる人間の内側を描いた作品。製造会社で働きながら書いたデビュー作。 第42回 すばる文学賞
- 007 2017 光点 こうてん 詩作の経験を持つ著者による、細やかな言語感覚と女性の内的世界を描いた受賞作。 第41回 すばる文学賞
- 008 2017 遊ぶ幽霊 あそぶゆうれい 幽霊という存在を通じて生と死の境界を探る作品。単行本は未刊。詳細情報は公開資料からは限定的。
- 009 2016 そういう生き物 そういういきもの 薬剤師として働きながら初めて小説を書いた著者が、生と性の問題を正面から描いた作品。執筆開始から約2か月で受賞した経緯も話題になった。 第40回 すばる文学賞
- 010 2016 えん えん 映画監督志望の著者が書いた、人と人のつながり(縁)を主題にした作品。映像的な感性が文体に活きたデビュー作。単行本は未刊。
- 011 2015 温泉妖精 おんせんようせい 香川県の温泉地を舞台に、妖精的な存在と人間との交わりを描いた幻想的な作品。シナリオ学習の経験を持つ著者による物語性の高いデビュー作。 第39回 すばる文学賞
- 012 2015 地に満ちる ちにみちる 誤って我が子を死なせた後に離婚し、人工授精技術士として働きながら孤独を生きる女性カナの物語。不眠と喪失を抱えた女性の内面を緻密に描いた。単行本は未刊。
- 013 2014 島と人類 しまとじんるい 大学院で人類学を研究しインドに長期滞在した著者が、島という閉じた世界と人類学的視点を融合させた作品。 第38回 すばる文学賞
- 014 2014 みずうみのほうへ みずうみのほうへ 幼少期の父の死の後、成長した主人公が過去に似た人物と出会う。喪失の余韻と、時間の経過の中で変容していく感情を繊細に追った作品。 第38回 すばる文学賞
- 015 2013 左目に映る星 ひだりめにうつるほし 左目だけが本当の世界を見えているという感覚を持つ女性と、彼女をめぐる恋愛を描いた作品。不思議な感覚と現実の間で揺れる繊細な文体が評価された。 第37回 すばる文学賞
- 016 2013 教授と少女と錬金術師 きょうじゅとしょうじょとれんきんじゅつし 教授・少女・錬金術師が交差するキッチュな笑いと文学的な実験性を持ち合わせた作品。武蔵野美術大学卒業後に演劇活動を経て書かれたデビュー作。 第37回 すばる文学賞
- 017 2012 狭小邸宅 きょうしょうていたく 不動産営業マンとして働く若者の、ノルマ・上司・客への軋轢と達成感を通じた成長譚。ブラック就労の実態をリアルに描いた受賞作は後に映像化もされた。 第36回 すばる文学賞
- 018 2012 黄金の庭 おうごんのにわ 曼荼羅的世界観と仏教的想像力を背景に、黄金の庭をめぐる幻想的な物語を展開する。イラストレーター出身の著者による視覚的な幻想性が特徴。 第36回 すばる文学賞
- 019 2012 東京自叙伝 とうきょうじじょでん 東京という都市の「地霊」が語り手となり、幕末から平成までの首都の歴史と変容を一人称モノローグで綴る異色の長編小説。 yearは連載開始年を採用。 第50回 谷崎賞
- 020 2011 共喰い ともぐい 昭和63年夏、川辺の町に暮らす17歳の遠馬は、父・円とその愛人琴子との三人暮らし。父は性交の際に女を殴る男で、遠馬の実母・仁子はその暴力ゆえに家を出て、川向こうで魚屋を営んでいる。恋人の千種との関係が深まるにつれ、遠馬は自分の中にも父と同じ暴力の血が流れているのではないかという恐れに苛まれていく。鰻… 第146回 芥川賞
- 021 2011 フラミンゴの村 ふらみんごのむら 20世紀初頭のベルギーの片田舎の村で、ある日突然に妻がフラミンゴになるという奇妙な事件をめぐる話。ヨーロッパ文学の系譜に連なる幻想小説として注目された。 第35回 すばる文学賞
- 022 2010 トロンプルイユの星 とろんぷるいゆのほし 視覚的錯視(トロンプルイユ)をモチーフに、見えているものと実際の世界の乖離を描いた作品。30歳の塾講師による文藝的感性あふれるデビュー作。 第34回 すばる文学賞
- 023 2009 海猫ツリーハウス うみねこつりーはうす 海猫の鳴き交わす青森県八戸。25歳の亮介は服飾デザイナーの夢を抱えつつ家業を手伝い、師匠のもとでツリーハウス作りに励んでいる。そこへ、自給自足の暮らしを求めて都会から人気者の兄・慎平が帰ってくると、田舎町の均衡は静かに乱れはじめる。標準語に回収されない南部弁の語りが土地の身体感覚をそのまま運び、地方… 第33回 すばる文学賞
- 024 2008 灰色猫のフィルム はいいろねこのふぃるむ 母親を殺した「僕」は、動機も経緯も語らないまま町を放浪する。公園での野宿を経てホームレスの「ハタさん」と出会い、河川敷の小屋でともに暮らしはじめるが、ハタさんが大切にしていた灰色の猫が殺される日まで、束の間の安らぎは続かない。公衆トイレなどの不潔で醜悪な細部が彷徨う心理を映し出す一方、動物や迷子の少… 第32回 すばる文学賞
- 025 2007 はじまらないティータイム はじまらないてぃーたいむ 子どものいない30代の専業主婦・奈都子は、母ミツエから従弟・博昭の離婚と再婚の顛末を聞かされる。博昭は部下を妊娠させ、子を産まない妻・佐智子と別れて再婚したのだった。奈都子、ミツエ、元妻の佐智子、再婚相手の里美——4人の女性の視点を切り替えながら、家族という制度の内側の風通しの悪さを描く。他人の家に… 第31回 すばる文学賞
- 026 2007 パワー系181 ぱわーけいいちはちいち 身長181センチ、強靭な肉体を持つ女性リカが開いた個人サロンには、身体測定マニア、張り手を浴びたいマゾヒスト、衣類フェチなど、それぞれ奇妙な性癖を抱えた男たちが通ってくる。彼らが求める「本物のエクスタシー」を、湿った官能ではなく即物的でドライな筆致で記録していく。身体とマゾヒズムという題材を真っ向か… 第31回 すばる文学賞
- 027 2006 幻をなぐる まぼろしをなぐる 失恋の痛手を抱えた女性が、目の前にいない相手=「幻」をシャドーボクシングのように殴るという身体的な行為を通して、行き場のない感情と折り合いをつけようとする。応募時の題「新しい歌」を改題して受賞した作品で、感情を言葉ではなく身体の運動で処理しようとするヒロインの姿が印象を残す。2007年1月に集英社か… 第30回 すばる文学賞
- 028 2005 踊るナマズ おどるなまず ナマズにまつわる民話や伝説が数多く残る田多間町。弥生は中学の同級生・一真と民話のレポートを作るうち、「ナマズの番人」と呼ばれる元図書館司書・水口さんから古い伝説を聞き、ナマズの幻を見たという叔母・小夜子の記憶にも触れていく。やがて母となった弥生が胎児に語りかけるという入れ子の構成で、土地の記憶と性… 第29回 すばる文学賞
- 029 2004 漢方小説 かんぽうしょうせつ 31歳独身の脚本家・みのりは、元恋人の結婚を知った夜に突然の体調不良に襲われる。西洋医学の検査では「異常なし」とされ、たどり着いたのは漢方医院だった。「気・血・水」という耳慣れない物差しで自分の身体を眺め直すうちに、仕事や恋愛で強張っていた心もゆっくりほぐれていく。病気未満の不調という現代的な主題を… 第28回 すばる文学賞
- 030 2004 白の咆哮 しろのほうこう 経済の衰退が止まらない近未来の日本で、「土踊り」と呼ばれる踊りが国全体を覆い尽くしていく。荒唐無稽ともいえる世界の変容を、改行の少ない硬く生真面目な文体で延々と語り続けるという、設定と語り口の落差そのものが読みどころの異色作。寓話的な世界設定によって、不況下の日本社会に広がる集団的な熱狂と閉塞を照ら… 第28回 すばる文学賞
- 031 2003 ダンボールボートで海岸 だんぼーるぼーとでかいがん 自分を「ボク」と呼ぶ女性アオイ(あだ名はドラ)は、母が借金を残して突然失踪したため大学を休学する。女装が趣味のクロ、自称アーティストのハナら、周縁を漂う人々と関わりながら、ドラはダンボール製のボートで海=外の世界へ漕ぎ出すことを夢想する。濡れればすぐ沈む紙のボートというイメージに、前にも後ろにも進め… 第27回 すばる文学賞
- 032 2003 蛇にピアス へびにピアス 19歳のルイは、蛇のように舌先が割れた「スプリット・タン」を持ち、全身にピアスと刺青を施した青年アマと出会い、同棲を始める。自らも舌にピアスを開け、拡張し、背中に麒麟と龍の刺青を彫ろうと、アマの紹介で知り合ったサディストの彫り師シバとも危険な関係を結んでいく。痛みによってしか生の実感をつかめない若者… 第130回 芥川賞
- 033 2002 ハミザベス はみざべす 二十歳の誕生日を前に、死んだと思っていた父が本当に死んだ。まちるが遺産として受け取ったのは、高層マンションの一室とハムスターの「ハミザベス」。母と暮らした家を出て、地上33階で始まる一人と一匹の生活に、元恋人の幼なじみや父の同居人だった女性が出入りし、奇妙な距離感の友情が育っていく。喪失から始まる物… 第26回 すばる文学賞
- 034 2002 スチール すちーる 男性客相手の風俗のアルバイトで日銭を得て、新宿の24時間営業のロッカールームで夜を過ごす17歳の高校生。ある日見かけた中年男性に惹かれ、彼が経営する倉庫で働き始めると、朗らかなパートの中年女性たちに囲まれて、少しずつ世の中との関わり方を学んでいく。だが、かつての「客」だった男が国語教師として学校に着… 第26回 すばる文学賞
- 035 2001 夜明けの音が聞こえる よあけのおとがきこえる 自ら声を封じ込めているうちに本当に声が出なくなってしまった「僕」が、治療者の勧めでホテルで働きはじめる。しかし職場に溶け込めず、ふとした誤解から従業員たちを敵に回し、執拗ないじめにさらされていく。語ることのできない主人公の内側に渦巻く苛立ちと怒りを、鮮烈な言葉の力で外へ撃ち出すような文章が特徴で、声… 第25回 すばる文学賞
- 036 2000 ロマンティック ろまんてぃっく 末弘喜久「塔」と並んで第24回すばる文学賞に選ばれた中篇。作者の大久秀憲は早稲田大学在学中の1996年に「葛西夏休み日記帳」で早稲田文学新人賞を受賞しており、本作は文芸誌の公募新人賞としては二度目の受賞となる、当時28歳の再デビュー作だった。『すばる』2000年11月号に掲載され、2001年1月に集… 第24回 すばる文学賞
- 037 2000 塔 とう 「果たして妻は同僚と関係があったのか」という疑念に取り憑かれた男が、絶望から精神の彷徨へ、さらに錯乱と覚醒へと沈み込んでいく過程を描く。現実の輪郭が次第に溶け、悪夢的・幻想的な世界へ滑り込んでいく筆致が特徴で、嫉妬という卑近な感情を入口に、人がどこまで暗がりへ降りていけるかを試すような作品になってい… 第24回 すばる文学賞
- 038 1999 彼女のプレンカ かのじょのぷれんか 中上健次の娘として注目されたデビュー作。熊野・新宮の土地との深い縁を持つ作者の初小説。 第23回 すばる文学賞
- 039 1999 零歳の詩人 れいさいのしじん 短歌誌「玲瓏」同人でもある詩歌人・楠見朋彦の小説デビュー作。第122回芥川賞候補となった。 第23回 すばる文学賞
- 040 1998 あなたがほしい je te veux あなたがほしい じゅ とぅ ゔー 第120回芥川賞候補ともなった受賞作。30代主婦の作家デビューとして注目された。 第22回 すばる文学賞
- 041 1997 世間知らず せけんしらず 世間知らずは、岩崎保子による1997年発表の作品です。初出は「すばる」1997年。単行本は集英社。第21回すばる文学賞受賞。 第21回 すばる文学賞
- 042 1997 街の座標 まちのざひょう 下北沢を舞台に、文学系女子大生が「S区S街」を描いた女性作家を追いながら、書くことと読むことの関係を問うデビュー作。2001年「処方箋」で野間文芸新人賞を受賞した。 第21回 すばる文学賞
- 043 1996 いちげんさん いちげんさん スイス人留学生が主人公。外国人の視点から見た日本社会・同志社大学・京都の人間関係を描く。日本語を母語としない作家のデビュー作として注目された。 第20回 すばる文学賞
- 044 1995 韓素音の月 かんそいんのつき 旅行作家・元女優の経験と中国研究を背景にしたデビュー作。 第19回 すばる文学賞
- 045 1995 不随の家 ふずいのいえ 老人介護をめぐる家族の「不随の病」を描いたデビュー作。続く「げつようびのこども」で芥川賞候補となった。 第19回 すばる文学賞
- 046 1993 19分25秒 じゅうきゅうふんにじゅうごびょう 競歩の選手を題材にした小説。義足の競歩選手との出会いを通じて、自分の人生を問い直す青年を描く。続く「地下鉄の軍曹」で芥川賞候補となった。 第17回 すばる文学賞
- 047 1992 チューリップの誕生日 ちゅーりっぷのたんじょうび 『チューリップの誕生日』は、女子高生がロックバンドで活動する姿を描く青春小説です。音楽を通じて学校生活や仲間との関係が動き、若い身体感覚と自己表現への欲求が前面に出ます。すばる文学賞受賞作として、1990年代初頭の若い書き手の感性を示す作品です。 第16回 すばる文学賞
- 048 1991 予感 よかん 『予感』は、釉木淑乃が第15回すばる文学賞を受賞した作品です。NDLでは『すばる』1991年12月号の受賞作発表記事と、1992年集英社版の単行本書誌を確認できます。詳細なあらすじは今回確認できなかったため、紹介は新人賞受賞作としての位置づけに留めます。 第15回 すばる文学賞
- 049 1990 スプラッシュ すぷらっしゅ 『スプラッシュ』は、大鶴義丹が大学在学中に発表し、第14回すばる文学賞を受けたデビュー小説です。NDLでは単行本と受賞作発表記事を確認できますが、作品内容を詳述した信頼できる公開資料は今回確認できませんでした。現時点では、若い書き手の登場を示す新人賞受賞作として紹介します。 第14回 すばる文学賞
- 050 1990 革命のためのサウンドトラック かくめいのためのさうんどとらっく 『革命のためのサウンドトラック』は、言葉が相手に届かず、ノイズのように増殖していく感覚を描く清水アリカのデビュー作です。筋を一直線に追わせるよりも、音、言葉、退廃的な気分を重ねて、都市の閉塞感を前景化します。言語への不信と終末的なムードが交差する、実験色の強い新人賞受賞作です。 第14回 すばる文学賞
- 051 1990 キャプテンの星座 きゃぷてんのせいざ 『キャプテンの星座』は、市立動物園にゾウがやって来るという出来事をめぐり、動物園に関わる人々の思いと施設の歴史を描く作品です。動物園という公共的な場所を舞台に、働く人々や来園者の記憶が交差します。受賞発表記事と単行本書誌を確認できる一方、詳細な書評は今回確認できていません。 第14回 すばる文学賞