はいいろねこのふぃるむ

灰色猫のフィルム

天埜裕文 2008 第32回 すばる文学賞 受賞

紹介 About

母親を殺した「僕」は、動機も経緯も語らないまま町を放浪する。公園での野宿を経てホームレスの「ハタさん」と出会い、河川敷の小屋でともに暮らしはじめるが、ハタさんが大切にしていた灰色の猫が殺される日まで、束の間の安らぎは続かない。公衆トイレなどの不潔で醜悪な細部が彷徨う心理を映し出す一方、動物や迷子の少女へ向けられる優しい視線が失われた無垢を照らす。携帯電話で書き上げられた、出口なしの諦念に貫かれたデビュー作。

評価 Reception

翌2009年、本作で第22回三島由紀夫賞候補となった。22歳の受賞者が携帯電話で約10か月かけて執筆したことも話題を呼んだ。

受賞・候補歴 Awards

受賞 第32回 すばる文学賞 (2008年)