だんぼーるぼーとでかいがん
ダンボールボートで海岸
紹介 About
自分を「ボク」と呼ぶ女性アオイ(あだ名はドラ)は、母が借金を残して突然失踪したため大学を休学する。女装が趣味のクロ、自称アーティストのハナら、周縁を漂う人々と関わりながら、ドラはダンボール製のボートで海=外の世界へ漕ぎ出すことを夢想する。濡れればすぐ沈む紙のボートというイメージに、前にも後ろにも進めない若者の閉塞感を託した。金原ひとみ「蛇にピアス」と同時受賞だったため陰に隠れがちだが、同じ「行き場のない女性の身体と生活」を別の角度から描いた一作。
評価 Reception
第27回すばる文学賞受賞。同時受賞の金原ひとみ「蛇にピアス」が直後に芥川賞を受賞し社会現象となったため対照的に注目は薄かったが、受賞作は2004年1月に単行本化され、著者は以後も『すばる』に作品を発表した。