Themes
母と子
主題「母と子」に分類された 62 作品。
- 001 2026 私的応答 してきおうとう 『私的応答』は、1995年の震災を経験した銅子と、母、娘の厚美を軸に、母娘三代の時間をたどる長編です。倒れたミシン、避難所の体育館、梅田で浴びたシャワーといった記憶が、年月を隔てても日常の奥で反響し続けます。震災の経験を大きな出来事としてだけでなく、家族の会話、沈黙、許しがたさの中に残るものとして描…
- 002 2025 熊はどこにいるの くまはどこにいるの 『熊はどこにいるの』は、震災から7年後の地で、ショッピングモールで保護された身元不明の幼子と、暴力から逃れて山奥の家に暮らす女たちをめぐる小説です。リツ、アイ、サキ、ヒロらの視点が交錯し、保護と加害、避難場所と閉ざされた共同体の危うさを同時に浮かび上がらせる。安全な場所を作ろうとする営みが、別の支配… 第61回 谷崎賞
- 003 2025 百日と無限の夜 ひゃくにちとむげんのよる 『百日と無限の夜』は、第一子の妊娠中に切迫早産で入院した「わたし」が、横たわる時間のなかで出産と生命をめぐる幻視の旅へ入っていく長篇です。能『隅田川』の女物狂いを案内人に、中世の京、駆け込み寺、若狭のお水送り、海辺の産小屋へと時空を越えて進む構成が、病室の身体感覚と神話的な想像力を結びつける。動けな… 第42回 織田作之助賞
- 004 2025 わたしハ強ク・歌ウ わたしハつよク・うたウ 『わたしハ強ク・歌ウ』は、海へ行こうとする「わたし」が、自分の旅と母が残した旅の記録を重ねて書き始める小説です。停留所の謎の男、先住民たちとの出会い、アンネの日記や火山の町といった断片が、現実の旅行記を越えた冒険譚へ変形していく。母の記録と現在の移動が重なることで、旅は継承された記憶を別の声で歌い直…
- 005 2025 アナグマ あなぐま 『アナグマ』は、葬祭会社に出向した五十代の女性を語り手に、新しい職場での死との接触と、母の介護や看取りの記憶が重なるさまを描く作品です。死を扱う労働の現場と、家族内のケアの記憶が交差し、中年期の孤独と責任を静かな語りで見つめます。葬祭と介護という二つの場面を通じて、他者の死を手続きとして扱わざるをえ… 第11回 林芙美子賞
- 006 2025 ズッキーニ病 ずっきーにびょう 『ズッキーニ病』は、『新潮』2025年4月号掲載の短篇です。特定の野菜に執着する母を、父の死以前から何かが変わっていたのではないかという回想的な視線で捉えます。食卓にあるはずの身近なものが、家族の記憶や母の変化を測る奇妙なしるしに変わり、日常の中で見過ごされてきた異変が少しずつ輪郭を持ちはじめる。家…
- 007 2025 ものごころ ものごころ 『ものごころ』は、植物、花、虫、生きものがあふれる子供の世界を、身体感覚ごと描く九篇の短篇集です。怪我をした犬を拾った少年たち、飲み込んだスモモの種をめぐる不安など、子供の視界に近い感受性から世界の手触りを探ります。子供の認識は無垢なものとして固定されず、身体の違和感や怖さ、周囲の大人との距離を含ん…
- 008 2024 普通の子 ふつうのこ 小学5年生の晴翔が教室のベランダから転落して骨折し、理由を語らないところから始まる長篇。母の佐久間美保は、夫の和弥との日常を続けながら、いじめの可能性を疑って真相を探る。その過程で、自身の小学生時代のいじめに関わる記憶がよみがえり、現在の親子と学校の問題、過去の記憶が交錯していく。『普通の子』という…
- 009 2023 流れる島と海の怪物 ながれるしまとうみのかいぶつ 母に連れられて行った屋敷で、「俺」は朱音と朱里という二人の姉妹に出会う。母がなぜ二人に会わせたのかという謎は、伯母から聞く出生の秘密と、姉妹の母の故郷である「流れる島」の神話へつながっていく。下関という土地、家族と血の記憶、少年と少女の出会いを、現実と神話が絡む濃密な語りで描いた長編である。『共喰い…
- 010 2023 植物少女 しょくぶつしょうじょ 『植物少女』は、出産時の脳出血で植物状態になった母の病室へ通う美桜の成長を通して、母と娘の関係がどう変わるかを描く長編である。母が「意思のある母」として応答できない状況を、単純な喪失や献身に閉じず、身体、ケア、親子関係の時間として見つめる。現役医師でもある著者の視点が、医療的な状況と家族の感情を乾い… 第36回 三島賞
- 011 2023 子宮の夢 しきゅうの ゆめ 女たちが「子宮投げ」に興じる町を舞台に、「私」と「時間」、そして母をめぐる一夜を描く短篇。身体の内部を外へ投げ出すような奇想を、母子関係と時間感覚のゆらぎに結びつける。寓話的な設定と強いイメージで、短い枚数の中に身体と生の不穏さを凝縮した作品。受賞時の年齢が話題になった作品だが、若さの話題性だけでな… 第60回 文藝賞
- 012 2022 デクリネゾン デクリネゾン 二度の離婚を経て中学生の娘・理子と暮らす小説家の志絵が、年下の大学生・蒼葉との同居を娘に告げるところから、母であることと恋愛することの緊張が露わになる長篇。仕事、家庭、恋愛のすべてを求める女性たちと、その周囲に生まれる家族的なつながりを描く。母子、ステップファミリー、欲望、生活の配分をめぐる会話が…
- 013 2022 この世の喜びよ このよのよろこびよ ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、かつて幼い娘たちとこのセンターで長い時間を過ごした。いまはフードコートに入り浸る中学生の少女と言葉を交わすようになり、彼女との関わりのなかで、子育ての日々の記憶や、言葉にならないまま積もっていた感情が少しずつよみがえってくる。全編が「あなた」への呼… 第168回 芥川賞
- 014 2022 くるまの娘 くるまのむすめ 17歳のかんこは、家族とともに車中泊をしながら祖母の葬儀へ向かう。狭い車内と旅先の景色は、父母と子のあいだに積み重なった暴力、依存、愛着を逃げ場なく浮かび上がらせる。少女の身体感覚に寄り添う濃密な語りが、家族を単純な加害と被害に分けられないものとして描き、読者に「救うなら誰を救うのか」という問いを突…
- 015 2022 Schoolgirl すくーるがーる 表題作は太宰治「女生徒」を現代に移し、社会派YouTuberとして活動する14歳の娘と、小説に囚われた母のすれ違いを描く。娘の投稿が「女生徒」へ向かうことで、母娘の断絶は文学の記憶と現在のメディア環境のなかで照らし返される。第126回文學界新人賞受賞作「悪い音楽」も併録し、学校、芸術、言葉への過剰な… 第73回 芸術選奨新人賞
- 016 2021 翼の翼 つばさのつばさ 『翼の翼』は、小学二年生の息子・翼が進学塾の全国テストをきっかけに中学受験へ向かい、母・円佳が塾、ライバル、保護者、家族の期待に巻き込まれていく長篇。子を思う気持ちが、親のプライドや世間の噂、家族内の力学と結びつき、愛情と支配の境目が見えにくくなる過程を描く。中学受験という制度の熱を通じて、家族の内…
- 017 2021 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか ははおやからのこづつみはなぜこんなにださいのか 『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』は、実家から届く小包をめぐって、昭和・平成・令和をまたぐ家族の思いを描く連作集。業者から買った野菜を実家からの荷物と偽る女性、父が受け取っていた小包の謎、母からの最後の荷物など、物の中にしまわれた気遣い、ずれ、寂しさが開封されていく。タイトルの軽さに対して…
- 018 2020 今も未来も変わらない いまもみらいもかわらない 『今も未来も変わらない』は、40代のシングルマザーで小説家の星子を主人公にした長編。大学受験を控える娘を見守り、親友とカラオケやスーパー銭湯を楽しみ、元夫や20代の男性との関係にも揺れながら、星子の日常は静かににぎやかに続いていく。大きな事件よりも、娯楽、恋、親子、仕事の小さな重なりを通じて、大人が…
- 019 2020 犬のかたちをしているもの いぬのかたちをしているもの 間橋薫は卵巣の手術を経て、恋人の郁也とも性交渉から距離を置いて暮らしている。そこへ郁也の子を妊娠したという女性が現れ、子どもを育ててくれないかと唐突に持ちかける。集英社公式の紹介が示す「愛を証明する」問いは、恋人同士の倫理だけでなく、出産、身体、家族の期待へ広がっていく。薫の身体感覚と故郷の家族への… 第43回 すばる文学賞
- 020 2020 口福のレシピ こうふくのれしぴ 『口福のレシピ』は、フリーのSE兼料理研究家として働く留希子と、昭和二年の品川料理教習所で働くしずえの時間を行き来する家族小説。留希子は老舗料理学校を営む家の後継者であることに抵抗を抱きながらも、SNS発信をきっかけに料理研究家として認知されていく。簡単でおいしい献立企画をめぐる問題を通じて、家庭の…
- 021 2020 MISSING 失われているもの ミッシング うしなわれているもの 『MISSING 失われているもの』は、制御しがたい抑うつや不眠を抱える小説家の「わたし」が、謎めいた女優や母の声に導かれて、混乱と不安に満ちた迷宮的な世界を彷徨う長篇。章題には成瀬巳喜男映画の題名が並び、現在と過去、現実と幻想、記憶と自己分析が重なり合う。村上龍が自らの創作の源泉や老い、母の記憶に…
- 022 2020 流卵 りゅうらん 『流卵』は、中学2年の男子が性の目覚めとオカルト的な妄想に取りつかれ、自分を「選ばれた民」とみなして向こう側の世界へ進もうとする長篇。河出書房新社公式は、官能と陶酔を帯びた吉村萬壱版『金閣寺』として紹介している。母親に「ヘンタイ」と呼ばれる少年の半生をたどる書評もあり、性・信仰・自己神話が混ざる不穏…
- 023 2019 DRY どらい 不倫の末に二人の子を置いて家を出た北沢藍が、十年ぶりに実家へ戻るところから始まる長編。母と祖母の暮らす袋小路の家、そして祖父を一人で介護する幼馴染・馬場美代子の家を通じて、家族、介護、女性の行き場のなさが暗く絡み合う。光文社公式が示す袋小路の家に潜む罪の構図どおり、生活の現実がサスペンスへ変質してい…
- 024 2019 かか かか 19歳の浪人生うーちゃんは、離婚を機に心を病み、酒に酔っては荒れる母「かか」と、弟とともに暮らしている。かかを誰より愛しながらその存在に苦しむうーちゃんは、かかの痛みが自分の身体にも及ぶような一体感のなかで、「自分がかかを生み直すしかない」という切実な祈りを抱え、ひとり熊野へと旅に出る。SNSの裏ア… 第33回 三島賞
- 025 2019 夏物語 なつものがたり 『乳と卵』の世界を引き継ぎ、作家となった夏子が、パートナーなしで妊娠・出産し子どもを持つ可能性を考え始める長篇。姉・巻子や姪・緑子の身体をめぐる物語を背後に、生まれること、産むこと、産まないこと、家族の形をめぐる声が重なっていく。文藝春秋公式が掲げる「生まれること」と「産むこと」の非対称性の問いを中…
- 026 2018 みなさんの爆弾 みなさんのばくだん 「初恋」「譲治のために」「メアリーとセッツ」など六篇を収め、女性たちの内部に抱え込まれた欲望や怒り、関係の歪みを描く短篇集。同性への欲望、母と息子の倒錯的な結びつき、創作や日常に潜む衝動が、それぞれの「爆弾」として立ち上がる。平穏に見える生活の奥で感情が臨界に近づく瞬間を、鋭くも読みやすい語りで追う…
- 027 2018 偽姉妹 にせしまい 宝くじで3億円を当てた正子が、風変わりな「屋根だけの家」を建て、離婚後に姉妹との共同生活へ入っていく家族小説。血縁や結婚に縛られた関係に息苦しさを覚えた正子は、姉妹もまた別れたり新しく作ったりできるのではないかと考え始める。山崎ナオコーラらしい軽やかな語りで、家族制度の当たり前、女性同士の距離、暮ら…
- 028 2017 ハッチとマーロウ はっちとまーろう 11歳の誕生日に母から「大人を卒業する」と告げられた双子のハッチとマーロウが、突然自分たちの生活を引き受けることになる長編。料理や服選び、双子であることの個性、父の不在といった日常の問いを通じて、子どもから大人へ向かう時間を軽やかに描く。かわいらしい双子の語り口の奥に、母子関係や自立の痛みが少しずつ…
- 029 2017 ランチ酒 らんちざけ 『ランチ酒』は、夜に子どもを預け昼間に働くシングルマザーが、仕事後の一人ランチに酒を飲む連作です。食事と酒は、労働の疲れをほどき、自分だけの時間を取り戻すための小さな儀式になります。母であること、働くこと、孤独を、店の風景から読ませる作品です。
- 030 2016 大きくなる日 おおきくなるひ 『大きくなる日』は、佐川光晴が子どもの成長と家族の時間を描く小説として整理できます。成長は単に年齢を重ねることではなく、家族や学校の中で自分の場所を見つけ直す経験として描かれます。日常的な出来事を通して、青春と家族の関係を読みやすくたどれる作品です。
- 031 2015 あの子が欲しい あのこがほしい 『あの子が欲しい』は、朝比奈あすかが子どもや他者への欲望をめぐる感情を描く小説として整理できます。題名の「欲しい」は、愛情、羨望、所有の境界を曖昧にします。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 032 2015 地に満ちる ちにみちる 『地に満ちる』は、竹林美佳の第39回すばる文学賞佳作です。自らの過失で子を亡くしたカナが、離婚、不眠、睡眠セラピー、人工授精技師としての仕事を抱えながら生きる姿を描きます。喪失と生殖医療の精密な描写が交差し、壊れた内面と職能の冷静さが同居する点に緊張があります。
- 033 2014 九年前の祈り くねんまえのいのり 35歳のさなえは、カナダ人の夫に去られたあと、激しい癇癪を起こす幼い息子・希敏を連れて、故郷である大分の海辺の小さな集落に帰ってくる。育児に疲弊する彼女の脳裏には、九年前、集落の女たちとカナダを旅した際、世話役の「みっちゃん姉」が異国の教会で見せた祈りの姿が繰り返し蘇る。そのみっちゃん姉の息子がいま… 第152回 芥川賞
- 034 2013 わたしは妊婦 わたしはにんぷ 『わたしは妊婦』は、妊娠という身体の変化を手がかりに、家族、性、自己像の揺れを描く大森兄弟の小説です。妊婦である「わたし」は、祝福される存在であると同時に、周囲の視線や制度にさらされます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 035 2012 母親ウエスタン ははおやうえすたん 『母親ウエスタン』は、母親という役割を西部劇的な題名でずらし、家族と女性の生き方を描く原田ひ香の小説です。母は家庭内の静かな存在ではなく、荒野を進む人物のように社会や家族の圧力に向き合います。公開資料では内容細部を確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 036 2012 タダイマトビラ タダイマトビラ 『タダイマトビラ』は、子を愛せない母のもとで育った少女・恵奈が、満たされない「家族欲」を秘密の行為で処理しようとする長編です。新潮社公式紹介では、高校に入って年上の学生と同棲を始めても理想の家族への渇きが止まらず、世界が一変していく物語として説明されています。家族を自然な愛の場とみなす前提を疑い、家…
- 037 2012 肉骨茶 にくこつちゃ シンガポール・マレーシアへの旅の途中で母のもとを抜け出した17歳の赤猪子を描く。食べ物が自分の身体に蓄積していくことへの恐怖から逃れようとする彼女は、友人ゾーイーの海辺の別荘に身を寄せる。食、身体、母子関係を通じて、人間であることへの拒絶を激しく描くデビュー作。 第44回 新潮新人賞
- 038 2011 マザーズ マザーズ 『マザーズ』は、小説家、モデル、専業主婦という三人の母親を通して、育児の孤独、身体の疲弊、母であることへの圧力を描く金原ひとみの長編です。多視点の構成により、母性を一枚岩の美徳としてではなく、生活を侵食する制度や感情として浮かび上がらせます。息苦しさのなかに、女性たちの怒りと切実さが強く残ります。 第22回 ドゥマゴ文学賞
- 039 2010 もしもし下北沢 もしもししもきたざわ 『もしもし下北沢』は、父の死後に母と娘が下北沢へ移り住み、喪失から少しずつ生活を立て直す吉本ばななの長篇です。街の店や人との関わりが、母娘の傷を癒やす場として機能します。死別の痛みと都市の温かさが同時に描かれる、再生の物語です。
- 040 2009 線路と川と母のまじわるところ せんろとかわとははのまじわるところ 『線路と川と母のまじわるところ』は、線路と川という移動のイメージを、母の記憶や土地の感覚と重ねる小野正嗣の作品です。場所の記憶は個人の家族史と結びつき、語りは土地をたどるように進みます。母と子、故郷、移動の主題を静かに読む小説です。
- 041 2009 二度死んだ母のこと。 ニド シンダ ハハ ノ コト 作品社から2009年に刊行された高橋一起の単著。
- 042 2008 グ、ア、ム グ、ア、ム 『グ、ア、ム』は、グアムという観光地を舞台に、家族旅行の明るさの裏にある母娘や姉妹の違和感を描く本谷有希子の作品です。海外の解放感は、むしろ家族の関係の息苦しさを浮かび上がらせます。滑稽さと不穏さが同時に進む、劇作家的な場面の強さがあります。
- 043 2008 灰色猫のフィルム はいいろねこのふぃるむ 母親を殺した「僕」は、動機も経緯も語らないまま町を放浪する。公園での野宿を経てホームレスの「ハタさん」と出会い、河川敷の小屋でともに暮らしはじめるが、ハタさんが大切にしていた灰色の猫が殺される日まで、束の間の安らぎは続かない。公衆トイレなどの不潔で醜悪な細部が彷徨う心理を映し出す一方、動物や迷子の少… 第32回 すばる文学賞
- 044 2007 乳と卵 ちちとらん 東京で一人暮らしをする「わたし」のもとへ、大阪でホステスとして働く姉の巻子と、その娘で小学6年生の緑子が上京してくる。離婚後ひとりで娘を育ててきた巻子は豊胸手術を受けることに執拗にこだわり、初潮を迎える年頃の緑子は、自分の身体が変わっていくことへの違和感をノートに書きつけ、母とは筆談でしか口をきかな… 第138回 芥川賞
- 045 2007 八日目の蝉 ようかめのせみ 中央公論新社から2007年3月に刊行された角田光代の未登録代表作。NDLで単行本書誌と中央公論文芸賞関連記事を確認。
- 046 2006 裏庭の穴 うらにわのあな 主婦の朝子は、幼い頃に母親が裏庭に何かを埋めるのを目撃したという記憶を、大人になっても抱え続けている。掘り返されないまま家族の足元に空いた「穴」のような記憶を軸に、平穏に見える家庭の日常の底に沈む鬱屈と、母と娘のあいだのほどけない結び目を描く。受賞作は2009年刊の作品集『霊降ろし』(文藝春秋)に収… 第103回 文學界新人賞
- 047 2005 家族芝居 かぞくしばい 家族を、血縁だけでなく、互いに役を演じ合う小さな舞台として捉える佐川光晴の作品。親密であるはずの関係の中にある見栄、遠慮、傷つけ合いを、生活の目線から描く。タイトルどおり、家族の会話や振る舞いが芝居めいて見える瞬間が読みどころになる。
- 048 2005 まぼろし まぼろし 母娘の確執を描く表題作と、実家に戻った娘の日常を描く「十八階ビジョン」を収める作品集。見えているはずの家族や故郷が、どこか「まぼろし」のように掴めなくなる感覚を、若い女性の視点から描く。日常の薄い不安と、過去から離れきれない心理が静かに重なる。
- 049 2005 踊るナマズ おどるなまず ナマズにまつわる伝説が息づく土地で、幼い二人の恋心と民話的な想像力が交差する恋愛奇談。弥生が過去の記憶を語り直す構成を通じて、土地に残る言い伝えと性、生命の連なりが重ねられる。現実の成長譚を土俗的なイメージへ開いていくところに、すばる文学賞受賞作らしい新鮮さがある。 第29回 すばる文学賞
- 050 2003 ダンボールボートで海岸 だんぼーるぼーとでかいがん 母の失踪と借金をきっかけに大学を休学したアオイが、周縁的な人々との関わりのなかで、ダンボールのボートで海へ出るという危うい夢想を抱く物語。紙のボートという壊れやすいイメージが、生活の足場を失った若者の閉塞感と、外へ向かいたい衝動を重ねて見せる。公開Webで確認できる公式情報は書誌と受賞掲載が中心のた… 第27回 すばる文学賞
- 051 2003 授乳 じゅにゅう 『授乳』は、第46回群像新人文学賞優秀作となった表題作を含む村田沙耶香の初作品集です。Amazonの商品紹介では「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の3篇を収め、日常の細部を新しい感受性で描くデビュー作として紹介されています。既存紹介の家庭教師との倒錯した関係という筋は作品理解として有用ですが、更新案…
- 052 2003 魔女の息子 まじょのむすこ 40歳を目前にしたゲイのフリーライター・和紀。77歳の母が「老いらくの恋」に燃え始めたことで、亡き父との確執、ハッテン場の旅館で出会った男との関係、そして自分自身の来し方と否応なく向き合うことになる。ゲイ・ムーブメントの先頭に立ってきた評論家が、運動の言葉では掬えない母子の情愛と人間の弱さを、ユーモ… 第40回 文藝賞
- 053 2003 オアシス おあしす 愛用の青い自転車を盗まれたフリーターの「私」は、呆然としたままそれを探す日々を送る。家には家事を放棄してしまった母と、その母に「パラサイト」されているOLの姉・サキ。女三人の奇妙な家族の均衡が、自転車の喪失を起点に少しずつあらわになっていく。母を疎みながら捨てられない娘たちの姿は「現代の新種の姥捨て… 第40回 文藝賞
- 054 2002 猛スピードで母は もうすぴーどでははは 芥川賞受賞作「猛スピードで母は」と、デビュー作「サイドカーに犬」を収める短篇集。子どもの視点から、奔放な母や家族の変化を、過度に説明せず鮮やかな場面で捉える。ユーモアと痛切さが同居し、家族小説を軽やかな速度で更新した作品。 第126回 芥川賞
- 055 1999 ラニーニャ らにーにゃ カリフォルニアに暮らす日本人女性を中心に、異国での育児と日本にいる老親の介護が交差していく長篇です。母であること、娘であること、移動する身体を、詩人としての言語感覚を残した散文でたどります。生活の具体と身体感覚が強く、家族小説であると同時に越境文学としても読める作品です。 第21回 野間新人賞
- 056 1995 母への尋問 ははへのじんもん 『母への尋問 : 昭和二十年、夏』は、大村麻梨子の単行本です。NDLサーチで1995年7月刊、253ページ、20cmの書誌を確認できます。公開情報では詳細な梗概を確認できなかったため、作品紹介は副題と書誌情報に限定します。
- 057 1991 母よ ははよ 1991年6月に講談社から刊行された本人単著。NDLのBooks系レコードおよび講談社文芸文庫版の書誌で確認できる。
- 058 1990 妊娠カレンダー にんしんかれんだー 『妊娠カレンダー』は、妊娠した姉とその夫と同居する「私」が、妊娠の経過を日々観察していく短篇です。生命の誕生を祝福だけでなく、匂い、食べ物、身体への嫌悪や違和感として描く点が際立ちます。淡々とした一人称の記録が、家族の親密さの裏にある不穏さを増幅します。 第104回 芥川賞
- 059 1986 しずかにわたすこがねのゆびわ しずかにわたすこがねのゆびわ 家族、育児、夫婦をめぐる日常を、抑えた感触で描いた干刈あがたの作品。家庭の内側にある親密さと疲労、母と子の時間、夫婦の距離が、静かな生活描写の中から浮かび上がる。大きな事件よりも、日々の関係が少しずつ人を変えていく感触を読む作品。 第8回 野間新人賞
- 060 1984 ウホッホ探険隊 うほっほたんけんたい 『ウホッホ探険隊』は、離婚をきっかけに夫、妻、小学生の二人の息子たちが、新しい家族のかたちを探っていく干刈あがたの長篇小説です。河出書房新社公式は、離婚という未知の領域を探険するために家族それぞれが役を担う作品として紹介しています。家庭の再編を、子どもを含む複数の立場からやわらかく、しかし痛みを伴っ…
- 061 1983 樹下の家族 ジュカ ノ カゾク 『ウホッホ探険隊』以前の家族小説として登録優先度が高い候補。
- 062 1979 光の領分 ひかりのりょうぶん 『光の領分』は、津島佑子の初期代表作で、第1回野間文芸新人賞受賞作です。講談社公式は、夫との別居から離婚に至る若い母と幼い娘の一年を、12篇の短篇連作で描く作品として紹介しています。揺れ動く女親の不安と生活感を、連作形式で精妙に組み立てる点が読みどころです。 第1回 野間新人賞