くまはどこにいるの
熊はどこにいるの
紹介 About
『熊はどこにいるの』は、震災から7年後の地で、ショッピングモールで保護された身元不明の幼子と、暴力から逃れて山奥の家に暮らす女たちをめぐる小説です。リツ、アイ、サキ、ヒロらの視点が交錯し、保護と加害、避難場所と閉ざされた共同体の危うさを同時に浮かび上がらせる。熊という存在は、現実の脅威であると同時に、暴力や恐怖の記憶を問い続ける象徴として働く。
評価 Reception
河出書房新社公式で第61回谷崎潤一郎賞受賞が確認でき、同ページには古川日出男、斎藤真理子、水上文らの推薦・評価コメントも掲載されている。Web河出のはらだ有彩評は、女たちの避難場所が同時に加害の温床にもなり得る点や、複数視点の語りの効果に注目している。
出典 Sources
- 『熊はどこにいるの』木村紅美|河出書房新社 紹介評価書誌
書誌、作品紹介、第61回谷崎潤一郎賞受賞、推薦・評価コメントを確認。
- はらだ有彩評「『熊はどこにいるの』書評」|Web河出 評価
出版社系文芸メディア掲載の書評。
受賞・候補歴 Awards
木村紅美のほかの収録作 More
- 001 2006 風化する女 ふうかするおんな 突然死んだ会社の先輩れい子には、職場で見せていたのとは別の顔があった。「私」はその謎をたどって東京から地方へと旅をし、死んだ女の生の痕跡に自分を重ねていく。日々がたえず「風化」していく都会の生活感覚を背景に、死者をなぞることでしか確かめられない自分の輪郭を、抑制された筆致で描いたデビュー作。 第102回 文學界新人賞
- 002 2007 島の夜 しまのよる 『島の夜』は、島という隔てられた場所と夜の時間を背景に、孤独や記憶の濃度を描く作品として整理できます。閉じた地理は、人間関係を近づける一方で、逃げ場のなさも作ります。静かな語りのなかに、不安と親密さが同時に漂う読み味があります。
- 003 2008 花束 はなたば 『花束』は、贈り物としての花束が持つ親密さと儀礼性を手がかりに、人と人の関係を描く作品です。美しいものを差し出す行為の裏に、言えなかった感情や生活の痛みが潜みます。静かな語りのなかで、家族や恋愛の距離が少しずつ見えてきます。
- 004 2008 イギリス海岸 イーハトーヴ短篇集 いぎりすかいがん いーはとーう たんぺんしゅう 『イギリス海岸 イーハトーヴ短篇集』は、宮沢賢治のイーハトーヴを思わせる場所の記憶や文学的想像力を、短篇のかたちでたどる作品集です。実在の土地と架空の地名が重なり、読むこと、訪ねること、思い出すことがひとつにつながります。静かな幻想性と地方の手触りが読みどころです。
- 005 2009 月食の日 げっしょくのひ 『月食の日』は、日常のなかに差し込む陰りを、月食という天体現象のイメージと重ねる木村紅美の作品です。人との距離や生活の変化が、明るさを一時的に失う感覚として描かれます。静かで観察的な文体が、家族や孤独の輪郭を浮かび上がらせます。
- 006 2010 見知らぬ人へ、おめでとう みしらぬひとへおめでとう 見知らぬ人へ、おめでとうは、木村紅美による2010年発表の作品です。単行本は講談社(2010年)。
- 007 2011 春待ち海岸カルナヴァル はるまちかいがんかるなゔぁる 春待ち海岸カルナヴァルは、木村紅美による2011年発表の作品です。単行本は新潮社(2011年)。
- 008 2011 黒うさぎたちのソウル くろうさぎたちのそうる 黒うさぎたちのソウルは、木村紅美による2011年発表の作品です。単行本は集英社(2011年)。
- 009 2012 夜の隅のアトリエ よるのすみのあとりえ 夜の隅のアトリエは、木村紅美による2012年発表の作品です。単行本は文藝春秋(2012年)。
- 010 2016 まっぷたつの先生 まっぷたつのせんせい まっぷたつの先生は、木村紅美による2016年発表の作品です。単行本は中央公論新社(2016年)。
- 011 2018 雪子さんの足音 ゆきこさんのあしおと 東京出張中の薫は、大学時代を過ごした高円寺のアパートの大家・雪子さんが熱中症でひとり亡くなったことを新聞記事で知り、20年ぶりにその場所へ向かう。アパートへ近づく道のりと回想を重ねながら、大家と下宿人、若者と年長者、好意と負担の境目が少しずつ浮かび上がる。日常の会話や距離感の微細な違和を通して、人間…
- 012 2021 あなたに安全な人 あなたにあんぜんなひと 3.11直前の少年の死をめぐる出来事に苛まれる元教師の妙と、沖縄新基地建設反対デモの警備中の事故を抱える便利屋の忍が、「感染者第一号」を誰もが恐れる土地で出会う。二人は人を傷つけ、傷つけられる社会のなかで、孤独で安全な逃亡生活のような関係を築いていく。東日本大震災、沖縄、感染症下の共同体の視線を交差…
- 013 2023 夜のだれかの岸辺 よるのだれかのきしべ 十九歳の春、茜は八十九歳のソヨミから毎晩の添い寝と朝食を頼まれ、家計を助けるためにその仕事を受ける。血縁でも介護契約でもない奇妙な近さのなかで、若さと老い、孤独、生活の手触りが交わっていく。講談社公式の本文抜粋が示すように、語りは茜の現実感に根ざし、働くことと誰かのそばにいることの境目を静かに問う作…