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病
主題「病」に分類された 52 作品。
- 001 2025 百日と無限の夜 ひゃくにちとむげんのよる 『百日と無限の夜』は、第一子の妊娠中に切迫早産で入院した「わたし」が、横たわる時間のなかで出産と生命をめぐる幻視の旅へ入っていく長篇です。能『隅田川』の女物狂いを案内人に、中世の京、駆け込み寺、若狭のお水送り、海辺の産小屋へと時空を越えて進む構成が、病室の身体感覚と神話的な想像力を結びつける。動けな… 第42回 織田作之助賞
- 002 2025 受け手のいない祈り うけてのいないいのり 『受け手のいない祈り』は、感染症拡大で地域の救急医療が逼迫するなか、患者を受け入れ続ける病院で働く青年医師・公河を描く長篇です。長時間勤務と極度の疲労が、死、狂気、使命感、食欲や時間感覚の乱れをひとつの身体に押し寄せさせる。医療現場の切迫を記録的に扱うだけでなく、祈りや責任の向かう先が失われる感覚を…
- 003 2024 あきらめる あきらめる 『あきらめる』は、近所の川沿いを歩く早乙女雄大が、入院中の大切な人との時間や家を出た家族のことを抱えながら、親子風の二人組と出会う長編。火星移住が身近になった近未来を背景に、彼らと「オリンポス山」を目指す展開へ進む、現実の悩みとゆるいSF的飛躍が混ざる作品である。題名の「あきらめる」を敗北ではなく「…
- 004 2024 無形 むけい 立ち退き勧告が進む海辺の団地を舞台に、年老い病を患う祖父と孫娘、親が失踪した姉弟、夫に先立たれた老女、友情以上の感情を育む少女たちなどの生活が重なっていく長編。形には残らない生活の喜びや悲しみを、団地に流れる季節と記憶のなかに描く。取り壊される場所の記憶を、誰か一人の所有物ではなく、複数の生活が交差…
- 005 2023 植物少女 しょくぶつしょうじょ 『植物少女』は、出産時の脳出血で植物状態になった母の病室へ通う美桜の成長を通して、母と娘の関係がどう変わるかを描く長編である。母が「意思のある母」として応答できない状況を、単純な喪失や献身に閉じず、身体、ケア、親子関係の時間として見つめる。現役医師でもある著者の視点が、医療的な状況と家族の感情を乾い… 第36回 三島賞
- 006 2022 君たちはしかし再び来い きみたちはしかしふたたびこい 腹が破裂し死を告げられた「私」は、三度の入院、飼い猫の手術、コロナ禍を経て、痛みによって世界と自己の境界が変わっていくのを経験する。病の記録は歴史や宇宙、カフカ、『白鯨』、ブレイクなどへ跳躍し、私小説的な身体感覚と思想的な連想が重なる。時系列や視点を揺らしながら、病む身体から世界をもう一度呼び寄せる…
- 007 2022 まっとうな人生 まっとうなじんせい 『逃亡くそたわけ』から十数年後、花ちゃんとなごやんは富山で偶然再会する。かつて精神病院を抜け出して九州を旅した二人は、それぞれ家族を持ち、コロナ禍の同時代を生きる人として再び向き合う。富山の地名、食文化、方言、スーパーの細部までを織り込みながら、家庭を守ろうともがく花ちゃんの怒りや不安を、土地に根ざ…
- 008 2022 私の盲端 わたしのもうたん 表題作は、大学生活や飲食店のアルバイトを楽しんでいた涼子が、人工肛門とともに生きることになり、自分の身体の変化と周囲の視線に向き合う物語である。医師でもある作者が、病や障害を医学的説明だけに閉じず、身体の境界、恥、欲望、生活の手触りとして描く。併録の「塩の道」は第7回林芙美子文学賞受賞作で、朝比奈秋…
- 009 2021 水たまりで息をする みずたまりでいきをする ある日、衣津実は夫が風呂に入らなくなったことに気づく。夫は水が臭く、体につくと痒くなると言って入浴を拒み、やがて雨に濡れに外へ出るようになり、職場で体臭が問題にされる。退職と移住を経て、夫が川で水浴びをする生活へ向かう過程を、夫婦の問題として押し返される妻の視点から描き、身体、清潔、共同生活の境界を…
- 010 2021 死者にこそふさわしいその場所 ししゃにこそふさわしいそのばしょ 折口山に暮らす奇妙でどこか壊れた人々が、町はずれの植物園へ引き寄せられていく連作短篇集。介護、欲望、病、善意の暴走といった日常の歪みを、グロテスクで滑稽な筆致で少しずつ現実からずらしていく。表題作を含む六篇を通じて、怖さと可笑しさが同居する吉村萬壱の寓話的な人間観察が前面に出る。植物園という場が、生…
- 011 2021 象の皮膚 ぞうのひふ 幼少時から重度のアトピー性皮膚炎に苦しんできた五十嵐凜は、仙台の書店で契約社員として働きはじめる。肌を隠し、他人と距離を取ることで日々をやり過ごす凜に、今度は接客業の理不尽な客対応や、震災後に本を求める人々の姿が重なっていく。子どもの頃の記憶と現在の職場を往還しながら、身体に刻まれた痛み、労働の疲弊…
- 012 2020 MISSING 失われているもの ミッシング うしなわれているもの 『MISSING 失われているもの』は、制御しがたい抑うつや不眠を抱える小説家の「わたし」が、謎めいた女優や母の声に導かれて、混乱と不安に満ちた迷宮的な世界を彷徨う長篇。章題には成瀬巳喜男映画の題名が並び、現在と過去、現実と幻想、記憶と自己分析が重なり合う。村上龍が自らの創作の源泉や老い、母の記憶に…
- 013 2020 pray human ぷれいひゅーまん 『pray human』は、崔実が『群像』2020年3月号に発表し、同年9月に講談社から刊行した小説です。創作が芥川賞候補になった「わたし」は、17歳で入院した精神科で出会った安城さんからの電話を受け、精神病棟での日々、救えなかった親友、子供時代の傷を語り始めます。講談社公式は、少女たちのレジスタン…
- 014 2019 かか かか 19歳の浪人生うーちゃんは、離婚を機に心を病み、酒に酔っては荒れる母「かか」と、弟とともに暮らしている。かかを誰より愛しながらその存在に苦しむうーちゃんは、かかの痛みが自分の身体にも及ぶような一体感のなかで、「自分がかかを生み直すしかない」という切実な祈りを抱え、ひとり熊野へと旅に出る。SNSの裏ア… 第33回 三島賞
- 015 2019 レンファント れんふぁんと 『レンファント』は、育児休暇中の父親が、重い皮膚疾患を抱える子の看護と妻との関係に直面するデビュー作です。育児参加をめぐる理想と現実、ケアの身体的・精神的負荷を、家庭の内側から描きます。父親の当事者性を問う点で、家族小説としてもケアの文学としても読めます。 第124回 文學界新人賞
- 016 2017 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして わたしたちはぎんのふぉーくとくすりをてにして 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』は、島本理生が食事、薬、恋愛を結びつけて、身体と親密さを描く小説として整理できます。銀のフォークは生活の華やぎを、薬は病や不安を示し、その二つが同じ手に置かれます。恋愛の甘さだけでなく、身体の脆さを含んだ関係を読む作品です。
- 017 2016 美しい距離 うつくしいきょり 『美しい距離』は、妻の末期がんに寄り添う夫の視点から、死に向かう日常を静かに描く小説です。看病や病院での時間を、劇的な悲嘆ではなく、相手との距離を測り続ける営みとして捉えます。死を前にした夫婦の親密さと孤独を、抑えた語りで読ませる作品です。
- 018 2015 院内カフェ いんないかふぇ 『院内カフェ』は、中島たい子が病院内のカフェという場から、病やケア、日常の会話を描く小説として整理できます。病院という非日常の空間に、カフェのような日常的な場所が挟まることで、人と人の距離が変わります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 019 2015 心臓異色 しんぞういしょく 『心臓異色』は、中島たい子が身体の違和感と人間関係のずれを扱う小説として整理できます。心臓という生命の中心と、「異色」という言葉が、普通であることから外れる感覚を示します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 020 2015 地に満ちる ちにみちる 『地に満ちる』は、竹林美佳の第39回すばる文学賞佳作です。自らの過失で子を亡くしたカナが、離婚、不眠、睡眠セラピー、人工授精技師としての仕事を抱えながら生きる姿を描きます。喪失と生殖医療の精密な描写が交差し、壊れた内面と職能の冷静さが同居する点に緊張があります。
- 021 2014 疒の歌 やまいだれのうた 『疒の歌』は、北町貫多の青年期を描く西村賢太の長篇私小説です。病だれを含む題名が示すように、身体の不調、生活の荒み、内面の歪みが語りの中心になります。自己嫌悪と執着を、乾いた文体で押し出し、青年期の孤立を生活の手ざわりから読ませる作品です。
- 022 2014 未闘病記 みとうびょうき 『未闘病記』は、膠原病、混合性結合組織病をめぐる経験を、従来の闘病記の形式からずらして書いた作品です。病名が与えられる前後の身体感覚、医療制度、社会の視線が、笙野頼子の批評的な文体で組み替えられる。病を書くことが、制度と言葉に抵抗する実践になる点が読みどころです。 第67回 野間文芸賞
- 023 2012 沈黙のレシピエント ちんもくのれしぴえんと 2012年刊行。英題は NDL 上で Recipient of Silence と併記される。
- 024 2011 心はあなたのもとに こころはあなたのもとに 『心はあなたのもとに』は、村上龍が恋愛と病、身体の問題を重ねて描く長編です。親密な関係は感情だけでは支えきれず、医療、経済、身体の条件によって揺さぶられます。恋愛小説でありながら、現代社会の生の不安を読む作品でもあります。
- 025 2011 癌だましい がんだましい 『癌だましい』は、食道癌の患者の視点から、病と生をブラックユーモアを交えて描く山内令南のデビュー作です。看護経験を持つ作者ならではの距離感が、病を過度に美化せず、生のしぶとさとして描き出します。病院や身体の現実を、痛切さとユーモアの両方で読む作品です。 第112回 文學界新人賞
- 026 2011 癌ふるい がんふるい 『癌ふるい』は、山内令南が「癌だましい」で第112回文學界新人賞を受賞した後に発表した受賞第一作です。NDLサーチでは『文學界』2011年7月号、156~167ページ掲載の記事として確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は掲載情報に限定します。
- 027 2009 憂鬱たち ゆううつたち 『憂鬱たち』は、精神科へ向かう神田憂の妄想と憂鬱を連ねる金原ひとみの連作短篇集です。診察室にたどり着くまでの反復が、病の記録であると同時に、自己を保つための語りにもなっています。鋭い身体感覚と内面の過剰さが、閉じた都市生活の息苦しさを強めます。
- 028 2008 ばかもの ばかもの 『ばかもの』は、大学生の恋愛の終わりから十年後の再会までをたどり、アルコール依存を抱える男の時間を描く作品です。恋愛の失敗は単なる思い出ではなく、生活の崩れや病と結びついて残ります。絲山秋子の乾いた文体が、不器用な愛情と回復の難しさを抑制して描きます。
- 029 2007 ハイドラ ハイドラ 『ハイドラ』は、身体、欲望、恋愛の結びつきを、金原ひとみらしい鋭い感覚で描く作品です。複数の頭を持つ怪物を思わせる題名のように、感情や関係は一つにまとまらず分岐していきます。自己破壊的な衝動と生への執着が同時に読める、不穏な恋愛小説です。
- 030 2006 生きてるだけで、愛。 いきてるだけで、あい。 『生きてるだけで、愛。』は、鬱と過眠に苦しむ寧子と、同棲相手・津奈木の関係を描く恋愛小説です。感情の爆発と生活の停滞が同時に描かれ、病や孤独が恋愛のなかでどう噴き出すかを見せます。荒さを残した一人称的な距離感が、登場人物の息苦しさを直接伝えます。
- 031 2005 AMEBIC アミービック 拒食やアルコールに蝕まれた女性ライターの意識を、断片的で揺らぐ独白として描く長編。身体の輪郭が崩れ、言葉や記憶がアメーバのように変形していく感覚が、タイトルどおり作品の構造にも入り込む。金原ひとみの身体感覚と実験的な語りが強く出た作品である。
- 032 2005 逃亡くそたわけ とうぼうくそたわけ 『逃亡くそたわけ』は、精神病院を抜け出した二人の若者が、博多から九州を北へ進む逃避行を描く小説です。方言を含む勢いのある語りが、病や孤立を重く固定せず、滑稽さと切実さの両方で走らせます。逃げることが同時に自分の輪郭を確かめることになる、青春ロードノベルとして読めます。
- 033 2005 蟹と彼と私 『蟹と彼と私』は、荻野アンナが『すばる』連載を経て集英社から刊行した作品です。癌という重い題材を、病の記録だけに閉じず、語りの跳躍、言葉のずれ、奇妙なユーモアによって多層化しています。身体と死をめぐる切実さと、荻野作品らしいパロディ的な文体感覚が同居する一冊です。
- 034 2004 女の子と病気の感染 おんなのことびょうきのかんせん 『女の子と病気の感染』は、第46回群像新人文学賞受賞作『火薬と愛の星』の作者・森健が2004年に角川書店から刊行した単行本です。NDLサーチで書名、著者、出版社、刊行年月、ページ数を確認できます。公開Webで梗概や本文内容を確認できないため、作品内容の説明は書誌情報に限定します。
- 035 2004 漢方小説 かんぽうしょうせつ 31歳独身の脚本家・みのりは、元恋人の結婚を知った夜に突然の体調不良に襲われる。西洋医学の検査では「異常なし」とされ、たどり着いたのは漢方医院だった。「気・血・水」という耳慣れない物差しで自分の身体を眺め直すうちに、仕事や恋愛で強張っていた心もゆっくりほぐれていく。病気未満の不調という現代的な主題を… 第28回 すばる文学賞
- 036 2003 イッツ・オンリー・トーク いっつ・おんりー・とーく 躁鬱病を抱えた30代半ばの独身女性「私」は、東京・蒲田の町に引っ越してくる。彼女の周りには、病や性、仕事や家族の事情を抱えた人々が集まり、深く結びつきすぎない会話が日常をつないでいく。出版社公式が強調する「しんどい事情」を抱えた人々の生き方を、自己憐憫に寄せず、乾いたユーモアと距離感のある一人称で描… 第96回 文學界新人賞
- 037 2003 モルヒネ もるひね 初版は祥伝社2003年刊。2008年・2009年の関連版もNDLで追跡できる。
- 038 2002 飴玉が三つ あめだまがみっつ アルコール依存症者の自助グループ「断酒会」に母と通う既婚の娘が、死を前に断酒を誓った医師の父との歳月を振り返る。父から受けた一度きりの暴力すら幸福の記憶として抱え込み、会で告白する他の依存症者を見下す主人公は、自身もまた高校時代から酒に頼ってきた。父への愛と自己への愛が分かちがたく絡まり、その呪縛か… 第94回 文學界新人賞
- 039 2001 処方箋 しょほうせん 『処方箋』は、清水博子が「すばる」に発表し、2001年に集英社から刊行した小説です。病院や身体をめぐる不安、恋愛の息苦しさを軸に、日常のなかで揺れる感情を硬質に追います。第125回芥川賞候補にもなった作品で、清水博子の短い作家活動の中でも初期の重要作です。 第23回 野間新人賞
- 040 2000 体は全部知っている からだはぜんぶしっている 身体の記憶をモチーフにした吉本ばななの掌篇集。心では整理できない痛みや違和感が、身体の感覚として先に反応する瞬間をすくう。短い形式の中で、病、恋愛、喪失、生活の手ざわりを静かに重ねる。
- 041 1998 腦病院へまゐります。 のうびょういんへまゐります。 『腦病院へまゐります。』は、旧仮名遣いを用いた文体で、精神の病と言葉の働きを絡ませて描く作品です。表記そのものが読者の速度を変え、病院や身体をめぐる経験を、通常のリアリズムからずらして見せます。言語の異物感を作品の主題に接続する、実験的な語りが読みどころです。 第86回 文學界新人賞
- 042 1994 緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道 みどりいろのにごったおちゃあるいはこうふくのさんぽみち 『緑色の濁ったお茶あるいは幸福の散歩道』は、山本昌代が第8回三島由紀夫賞を受賞した作品です。既存データでは、難病で下半身が不自由な鱈子と家族の日常を淡々と描く中編として整理されています。新潮社公式で受賞は確認できますが、内容紹介はWikipedia中心のため低確信です。 第8回 三島賞
- 043 1991 言葉が消えた! ことばがきえた 『言葉が消えた!』は、早野貢司が1991年に風媒社から刊行した手記です。副題は「失語症と闘う新人賞作家の手記」。NDLサーチで、著者名、刊行年、出版社、NDC 916を確認できます。公開Webで信頼できる詳細梗概を確認できなかったため、内容説明は書誌情報に限定します。
- 044 1988 ダイヤモンドダスト だいやもんどだすと 『ダイヤモンドダスト』は、信州の病院に勤務する医師が末期患者の死と向き合う日々を描く短篇です。医療現場の現実を過度に説明せず、死のそばにある静けさや、凍った水蒸気が光る表題のイメージを重ねていきます。病と死を扱いながら、情緒に流されない抑制された文体が印象に残ります。 第100回 芥川賞
- 045 1987 巨食症の明けない夜明け きょしょくしょうのあけないよあけ 『巨食症の明けない夜明け』は、摂食障害に苦しむ女子大生の不安と孤独を描く松本侑子のデビュー作です。当時まだ広く認知されていなかった過食症を正面から扱い、身体と心の切迫を小説の主題にしています。青春小説であると同時に、女性の身体をめぐる社会的圧力を読む作品です。 第11回 すばる文学賞
- 046 1984 青桐 あおぎり 『青桐』は、乳癌に冒されながら医療を拒む叔母を、姪・充江の視点から見つめる作品です。看取りの時間に、北陸の旧家、幼時の火傷、叔母との愛憎が重なり、家族の記憶と身体の傷がゆっくり露出していきます。死をめぐる静けさの奥に、親密さの暴力性を感じさせる点が読みどころです。 第92回 芥川賞
- 047 1982 浮上 ふじょう 『浮上』は、医師・田野武裕のデビュー作にあたる第55回文學界新人賞受賞作です。既存梗概では、病や死を背景にした青春の痛みを扱う作品として整理されています。文學界新人賞から芥川賞候補へ進んだ作品で、1980年代前半の新人賞と芥川賞の接続を示す一作です。 第55回 文學界新人賞
- 048 1981 破水 はすい 『破水』は、医師・南木佳士のデビュー作にあたる第53回文學界新人賞受賞作です。病院や身体に近い場所から、生と死の境界を見つめる作者の関心が初期から現れています。後の芥川賞受賞作『ダイヤモンドダスト』へつながる、医療と死をめぐる文学の起点として読めます。 第53回 文學界新人賞
- 049 1970 無明長夜 むみょうちょうや 『無明長夜』は、吉田知子が第63回芥川龍之介賞を受けた短篇です。日本文学振興会公式の受賞者一覧では、1970年上半期の受賞作、掲載誌『新潮』として確認できます。NDLサーチでは、新潮社1970年刊の単行本『無明長夜』に収録されていること、同書に『寓話』『豊原』『海へ』『静かな夏』『終りのない夜』『歯… 第63回 芥川賞
- 050 1959 死の棘(初期連作) しのとげ(しょきれんさく) 『死の棘(初期連作)』は、妻の精神疾患と夫婦生活の崩壊を、逃げ場のない一人称で書き継いだ私小説的連作です。家庭という最も近い場所が病と疑念によって変質していく過程を、苛烈な自己凝視で描きます。のちに完結版へ至る島尾敏雄文学の中心的モチーフが、初期の連作段階からすでに現れています。
- 051 1959 海辺の光景 うみべのこうけい 講談社1959年刊の単行本。既存収録の初期芥川賞受賞作・晩年作の間を補う代表作。
- 052 1951 悪い仲間・陰気な愉しみ わるいなかま・いんきなたのしみ 『悪い仲間・陰気な愉しみ』は、病と貧しさ、青年期の停滞を背景にした安岡章太郎の初期短篇群です。結核療養や日常の挫折をめぐる内省を、過剰な劇化を避けた私小説的な語りで描きます。第三の新人と呼ばれる世代の、戦後の日常感覚と弱さへのまなざしがよく出た作品です。 第29回 芥川賞