ハイドラ

ハイドラ

金原ひとみ 2007

紹介 About

『ハイドラ』は、身体、欲望、恋愛の結びつきを、金原ひとみらしい鋭い感覚で描く作品です。複数の頭を持つ怪物を思わせる題名のように、感情や関係は一つにまとまらず分岐していきます。自己破壊的な衝動と生への執着が同時に読める、不穏な恋愛小説です。

評価 Reception

国立国会図書館サーチで2007年新潮社刊の単行本と雑誌掲載記事を確認できます。今回確認できた評価情報は書誌中心で、書評本文の内容は未確認です。

出典 Sources

金原ひとみのほかの収録作 More

  1. 001 2003 蛇にピアス へびにピアス 初出・すばる 2003年11月号 19歳のルイは、蛇のように舌先が割れた「スプリット・タン」を持ち、全身にピアスと刺青を施した青年アマと出会い、同棲を始める。自らも舌にピアスを開け、拡張し、背中に麒麟と龍の刺青を彫ろうと、アマの紹介で知り合ったサディストの彫り師シバとも危険な関係を結んでいく。痛みによってしか生の実感をつかめない若者… 身体暴力 第130回 芥川賞
  2. 002 2004 アッシュベイビー アッシュベイビー 単行本・集英社 『蛇にピアス』後の第二作で、同居人の男と赤ん坊をめぐる歪んだ関係に巻き込まれる女性を描く。身体、依存、母性への違和感が、金原ひとみらしい硬い感覚の文体で押し出される。家庭的な題材を扱いながら、安心できる家族像を反転させる不穏な作品である。 家族身体
  3. 003 2005 AMEBIC アミービック 単行本・集英社 拒食やアルコールに蝕まれた女性ライターの意識を、断片的で揺らぐ独白として描く長編。身体の輪郭が崩れ、言葉や記憶がアメーバのように変形していく感覚が、タイトルどおり作品の構造にも入り込む。金原ひとみの身体感覚と実験的な語りが強く出た作品である。 身体
  4. 004 2006 オートフィクション オートフィクション 単行本・集英社 『オートフィクション』は、作家リンの現在から過去へさかのぼる構成で、愛、嫉妬、自己像の形成をたどる長編です。自分を書くことと自分を作ることが重なり、タイトル通り「私小説」と「作り物」の境界が揺れます。時間を逆行する構成が、感情の根を探る読み方を促します。 アイデンティティ恋愛
  5. 005 2007 星へ落ちる ほしへおちる 単行本・集英社 『星へ落ちる』は、恋愛や身体の感覚を、落下するような不安定さのなかで描く金原ひとみの作品です。きらびやかな題名とは対照的に、登場人物の感情は孤独や衝動に強く引かれます。短く鋭い語りが、関係の熱と冷えを同時に伝えます。 恋愛身体孤独と疎外
  6. 006 2009 TRIP TRAP トリップ・トラップ 単行本・角川書店 TRIP TRAPは、金原ひとみによる2009年発表の作品です。単行本は角川書店(2009年)。
  7. 007 2009 憂鬱たち ゆううつたち 単行本・文藝春秋 精神科に通う神田憂が、診察室にたどり着くまでの妄想と憂鬱を繰り返す連作短篇集。
  8. 008 2011 マザーズ マザーズ 単行本・新潮社 小説家・モデル・専業主婦という三人の母親たちの育児の孤独と狂気を描く長編。ドゥマゴ文学賞を受賞した。
  9. 009 2012 マリアージュ・マリアージュ マリアージュ・マリアージュ 単行本・新潮社 結婚をめぐるさまざまな男女の関係を描いた短篇集。
  10. 010 2015 持たざる者 もたざるもの 単行本・集英社 震災後の不安の中で、東京を離れる者と残る者、四人の男女の選択を描く長編。
  11. 011 2016 軽薄 けいはく 単行本・新潮社 甥である10代の弘斗と関係を持つ30歳のカナの、破滅的な愛を描く長編。
  12. 012 2017 クラウドガール クラウドガール 単行本・朝日新聞出版 対照的な姉妹・杏と理有の視点を往復しながら、姉妹の愛憎と記憶のずれを描く長編。
  13. 013 2019 アタラクシア アタラクシア 単行本・集英社 結婚生活の苦しさや不倫、家庭内の苛立ちを抱える複数の男女を描く群像長編。翻訳者の由依、シェフの瑛人、パティシエの英美、作家の桂らの視点を通じて、望んで結婚したはずなのに救われない人々の孤独と愛情への渇望が交錯する。倫理や制度では割り切れない親密さの痛みを、金原ひとみらしい熱量で描く。 恋愛夫婦家族
  14. 014 2020 fishy フィッシー 単行本・朝日新聞出版 三十代の女性三人が、それぞれの恋愛、結婚、仕事、女友だちとの距離を抱えながら、言い切れない本音をにじませていく連作長篇。男に対する屈託や違和感を、単純な対立ではなく、関係性が少しずつ更新される過程として描く。会話と内面の揺れを重ね、友情、欲望、自立の輪郭が変わっていく読み味がある。 恋愛ジェンダー労働
  15. 015 2021 アンソーシャル ディスタンス アンソーシャル ディスタンス 単行本・新潮社 パンデミックに閉塞する社会で、生への希望だったバンドのライブ中止をきっかけに心中旅行へ向かう若い男女を描く表題作を含む作品集。ほかに、高アルコール飲料、整形、身体、インターネット上の視線など、追い詰められた人々の臨界点を描く作品を収める。コロナ禍の距離感を単なる時事性に閉じず、依存、疎外、自己破壊の… 孤独と疎外死と喪失身体 第57回 谷崎賞
  16. 016 2022 デクリネゾン デクリネゾン 単行本・ホーム社 二度の離婚を経て中学生の娘・理子と暮らす小説家の志絵が、年下の大学生・蒼葉との同居を娘に告げるところから、母であることと恋愛することの緊張が露わになる長篇。仕事、家庭、恋愛のすべてを求める女性たちと、その周囲に生まれる家族的なつながりを描く。母子、ステップファミリー、欲望、生活の配分をめぐる会話が… 家族恋愛母と子
  17. 017 2022 ミーツ・ザ・ワールド ミーツ・ザ・ワールド 単行本・集英社 焼肉擬人化漫画を愛する腐女子の会社員・由嘉里は、合コン帰りに酔いつぶれた新宿歌舞伎町で、キャバ嬢のライと出会う。ライの「この世界から消えなきゃいけない」という言葉をきっかけに共同生活が始まり、由嘉里は推しへの愛、三次元の恋、結婚や出産への思い込みを揺さぶられていく。対照的な二人の会話と歌舞伎町の人間… 恋愛孤独と疎外ジェンダー
  18. 018 2023 ハジケテマザレ ハジケテマザレ 単行本・講談社 コロナ禍で派遣切りにあった「私」が、生活のためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」で働き始める作品集。YouTuberの恋人をめぐる騒動、クラブでの爆踊り、激辛フェスでのプロポーズ演出など、バイト仲間との出来事が愉快さと切実さを帯びて連なる。「普通」をめぐる言葉を軸に、労働、居場所、混ざり合う… 労働同調圧力孤独と疎外
  19. 019 2023 腹を空かせた勇者ども はらをすかせたゆうしゃども 単行本・河出書房新社 コロナ禍のさなか、陽気な中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と暮らしながら学校、友人、食べること、恋愛や家族の問題に向き合う青春長篇である。明るさと浅はかさを抱えた少女たちの日常を通して、困難が当たり前になった時代をどう生き抜くかが描かれる。従来の金原ひとみ作品の切迫した身体感覚を保ちつつ、軽やかな… 青春家族
  20. 020 2024 ナチュラルボーンチキン ナチュラルボーンチキン 単行本・河出書房新社 45歳で一人暮らしの事務職・浜野文乃は、仕事、動画、ご飯という反復の生活を守ってきた。上司の指示で、捻挫を理由に在宅勤務を続ける若い編集者・平木直理の部屋を訪ねたことから、ホストクラブ通いの痕跡や奔放な価値観に触れ、忘れかけていた自分の欲望と向き合い始める。職場小説の軽さと中年の再生譚を重ね、ルーテ… 労働孤独と疎外アイデンティティ
  21. 021 2025 YABUNONAKA ヤブノナカ 単行本・文藝春秋 『YABUNONAKA』は、文芸誌元編集長への性加害告発をきっかけに、加害者、被害者、その家族や周囲の人物たちの日常が絡み合っていく長篇です。MeToo運動、マッチングアプリ、SNSといった現代の環境を背景に、性、権力、暴力、愛、そして「わかりあえないこと」の先を群像劇として描く。文芸業界そのものを… ジェンダー暴力