みとうびょうき

未闘病記

笙野頼子 2014 第67回 野間文芸賞 受賞

紹介 About

『未闘病記』は、膠原病、混合性結合組織病をめぐる経験を、従来の闘病記の形式からずらして書いた作品です。病名が与えられる前後の身体感覚、医療制度、社会の視線が、笙野頼子の批評的な文体で組み替えられる。病を書くことが、制度と言葉に抵抗する実践になる点が読みどころです。

評価 Reception

講談社の野間文芸賞履歴で第67回受賞作として確認した。NDLで単行本書誌に加え、『未闘病記 : 難病と知らずに書いてきた』というインタビュー記事を確認した。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第67回 野間文芸賞 (2014年)

笙野頼子のほかの収録作 More

  1. 001 1981 極楽 ごくらく 初出・「群像」1981年 『極楽』は、笙野頼子のデビュー作にあたる群像新人文学賞当選作です。既存情報では、のちにフェミニズム純文学や実験的語りを切り開く作家の出発点として位置づけられます。詳細な梗概は限定的ですが、制度や現実感への違和を独自の語りで押し出す初期作として読めます。 芸術と表現息苦しい 第24回 群像新人賞
  2. 002 1991 なにもしてない なにもしてない 初出・講談社1991年刊 『なにもしてない』は、生きている実感を求めて現実と幻想のあいだを往還するモノローグの世界を描く作品です。日常の停滞を、単なる無為ではなく、身体と意識がずれていく感覚として押し広げます。笙野頼子の前衛的な私小説性が強く現れた初期代表作です。 孤独と疎外身体私小説的 第13回 野間新人賞
  3. 003 1994 タイムスリップ・コンビナート たいむすりっぷ・こんびなーと 初出・「文學界」1994年6月号 『タイムスリップ・コンビナート』は、自宅から海芝浦駅へ向かう道程で時間が前後にずれていく幻想的な芥川賞受賞作です。都市近郊の移動と時間感覚の攪乱を通じて、記憶、身体、場所の境界が不安定になっていきます。笙野頼子の自由奔放な文体と時間への感覚が凝縮された作品として整理できます。 記憶実験的文体都市・郊外 第111回 芥川賞
  4. 004 1994 二百回忌 にひゃっかいき 初出・新潮社1994年刊 『二百回忌』は、父方の家で催される法事に「私」が出席するところから、死者も参列する異様な場へ入り込んでいく笙野頼子の作品です。家と血縁、死者の記憶、時間の歪みが、幻想的かつ祝祭的な空間として立ち上がります。現実と死者の世界を地続きに扱う点に、笙野作品らしい実験性があります。 家族記憶一人称 第7回 三島賞