Narrative

中篇

語り口「中篇」に分類された 16 作品。

  1. 001 2021 オーバーヒート おーばーひーと 千葉雅也 初出・「新潮」2021年6月号に表題作を掲載。単行本は2021年7月、新潮社刊。 『オーバーヒート』は、関西へ移った哲学者の「僕」が、大学の仕事、年下の恋人への思慕、両親の言葉、失われた生家、バーやSNSの断片を重ねていく作品です。大きな事件よりも、記録と回想が日々の熱を少しずつ上げていく過程が中心になります。『デッドライン』の前史としても読める、思考と身体感覚の小説です。 身体言葉と言語
  2. 002 2021 ブラックボックス ぶらっくぼっくす 砂川文次 初出・「群像」2021年8月号、2022年1月講談社より単行本刊行 『ブラックボックス』は、自転車便メッセンジャーとして東京を走るサクマの身体感覚と、制御しきれない怒りの蓄積を描く中篇です。都市の道路、配達労働、速度、肉体の疲労が、主人公の内面の暴発と直結していきます。労働と暴力衝動を観念ではなく身体の運動として読ませる、切迫した文体が特徴です。 労働都市暴力 第166回 芥川賞
  3. 003 2020 首里の馬 しゅりのうま 高山羽根子 初出・「新潮」2020年3月号、2020年7月新潮社より単行本刊行 『首里の馬』は、沖縄の郷土資料館で資料を扱う主人公を通して、保存される記憶とこぼれ落ちる歴史のあわいを描く作品です。土地の固有性とアーカイブの問題を、宮古馬との幻想的な出会いを介して結びつけています。 記憶歴史土地 第163回 芥川賞
  4. 004 2019 カム・ギャザー・ラウンド・ピープル かむ・ぎゃざー・らうんど・ぴーぷる 高山羽根子 初出・『すばる』2019年5月号(p.10-50)掲載。2019年7月に集英社より単行本刊行。 『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』は、『すばる』2019年5月号に掲載され、同年7月に集英社から単行本化された中篇です。集英社公式ページでは、雨宿り先で出会ったイズミ、東京の記録、デモの群衆、かつての友人ニシダとの再会を通じて、敷き詰められた過去の記憶と渋谷の街を走る「私」を描く作品として紹介さ… 記憶都市身体
  5. 005 2006 八月の路上に捨てる 伊藤たかみ 初出・「文學界」2006年6月号掲載。単行本は文藝春秋から2006年8月刊行。 『八月の路上に捨てる』は、伊藤たかみの中篇小説です。文藝春秋BOOKSでは、暑い夏の一日、30歳を目前に離婚しようとしている主人公を通して、現代の若者を覆う社会のひずみと生態を軽やかに描く作品として紹介されています。初出は『文學界』2006年6月号で、2006年8月に文藝春秋から単行本化されました。 離婚労働若者 第135回 芥川賞
  6. 006 2002 パーク・ライフ ぱーくらいふ 吉田修一 初出・「文學界」2002年6月号に掲載。2002年8月、文藝春秋より単行本刊行。 『パーク・ライフ』は、東京の公園を横切る日常の時間を、会話と観察の細部で捉える作品です。大きな事件よりも、見知らぬ他者との距離や、都市のなかでふと生まれる親密さの手前を描くところに特徴があります。 都市孤独出会い 第127回 芥川賞
  7. 007 2000 熊の敷石 くまのしきいし 堀江敏幸 初出・「群像」2000年12月号に掲載。2001年2月、講談社より単行本刊行。 『熊の敷石』は、旅先の記憶や友人との対話を通じて、遠く離れた土地と言葉の感触を細やかに描く作品です。堀江敏幸らしい抑制された文体で、出来事の輪郭よりも記憶の手触りや時間の層が前面に出ます。 記憶言葉 第124回 芥川賞
  8. 008 2000 聖水 せいすい 青来有一 初出・「文學界」2000年12月号に掲載。2001年2月、文藝春秋より単行本刊行。 『聖水』は、長崎の宗教的・歴史的な記憶を背景に、人の生と死、土地に残る記憶を静かに掘り下げる作品です。既収録の「ジェロニモの十字架」と同じ単行本に収められ、青来有一の初期作品世界を代表する一篇です。 信仰記憶家族 第124回 芥川賞
  9. 009 2000 きれぎれ きれぎれ 町田康 初出・「文學界」2000年5月号掲載。文藝春秋2000年7月刊。 『きれぎれ』は、町田康が『文學界』2000年5月号に発表し、同年に文藝春秋から刊行した中篇小説です。文藝春秋BOOKSでは、浪費家で酒乱、ランパブ通いを趣味とする語り手が、かつて見合いで出会った友人の妻に恋慕し策謀を練る物語として紹介されています。単行本には「人生の聖」も併録されています。 欲望妄想恋愛 第123回 芥川賞
  10. 010 1999 段ボールハウスガール だんぼーる はうす がーる 萱野葵 初出・新潮社1999年7月刊 『段ボールハウスガール』は、萱野葵が1999年に新潮社から刊行した小説です。角川文庫版の出版書誌データベースでは、事件をきっかけに労働意欲を捨てたOLが、仕事、住まい、ライフライン、手持ちの金を失っていく物語として紹介されています。NDLサーチでは新潮社1999年版と、2001年の角川文庫版『ダンボ… 貧困労働女性
  11. 011 1993 寂寥郊野 じゃくりょうこうや 吉目木晴彦 初出・「群像」1993年1月号 『寂寥郊野』は、吉目木晴彦が第109回芥川賞を受賞した中編です。既存データでは、アメリカ在住の日本人女性がアルツハイマー症を発症し、当事者と家族の苦悩や愛情を描く作品として整理されています。日本文学振興会公式で受賞は確認できますが、内容説明は二次情報由来のため、細部は追加確認が必要です。 ケアと介護移民と越境家族 第109回 芥川賞
  12. 012 1993 石の来歴 いしのらいれき 奥泉光 初出・「文學界」1993年12月号 『石の来歴』は、奥泉光が第110回芥川賞を受賞した中編小説です。既存データでは、第二次大戦中から戦後にわたる男の人生と一個の石をめぐり、戦争経験と記憶の層が交錯する作品として整理されています。日本文学振興会公式で芥川賞受賞は確認できますが、今回確認できた出典は受賞・初出情報が中心で、細部の内容説明は… 戦争記憶中篇 第110回 芥川賞
  13. 013 1992 春の手品師 はるのてじなし 大島真寿美 初出・「文學界」1992年6月号(第74回受賞、安斎あざみと同時受賞) 『春の手品師』は、大島真寿美が第74回文學界新人賞を受賞したデビュー中篇です。名古屋を舞台に、ある関係性の始まりと変化を丁寧に描いた作品として既存調査で確認されています。恋愛や都市生活の気配を、清新な文体で扱う初期作品として位置づけられます。 恋愛中篇心理描写 第74回 文學界新人賞
  14. 014 1990 渇水 かっすい 河林満 初出・「文學界」1990年6月号 『渇水』は、水道料金を滞納した家庭の給水停止に向かう水道局員・岩切俊作と、その家の子どもたちをめぐる中篇です。行政の仕事としての「停止」と、生活の水を断たれる人々の現実がぶつかります。乾いた社会派リアリズムで、貧困、労働、家庭の孤立を描く作品です。 労働貧困家族 第70回 文學界新人賞
  15. 015 1982 ナビ・タリョン なびたりょん 李良枝 初出・『群像』1982年12月号の創作合評で李良枝「ナビ・タリョン」が扱われていることをNDLサーチで確認。作品本文の初出レコードは今回確認できないため、同号での合評確認をもとに year を1982とした。 『ナビ・タリョン』は、李良枝の初期作品です。NDLサーチでは、『群像』1982年12月号の創作合評で同作が扱われていること、また2006年刊の〈在日〉文学全集第8巻『李良枝』に収録されていることを確認できます。公開資料で詳しい梗概は確認できないため、紹介は書誌・収録情報と、李良枝文学に通底する在日性… 在日アイデンティティ言語
  16. 016 1967 カクテル・パーティー かくてるぱーてぃー 大城立裕 初出・単行本(文芸春秋社、1967年刊行)。初出誌は今回未確定のため単行本年を year に採用。 『カクテル・パーティー』は、沖縄出身作家として初めて芥川賞を受けた大城立裕の代表作です。占領下の沖縄と米軍、日本本土の関係をめぐる複雑な力学を、対話と緊張の場面を通して描きます。 沖縄占領米軍 第57回 芥川賞