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父と子

主題「父と子」に分類された 38 作品。

  1. 001 2025 たのしい保育園 たのしいほいくえん 滝口悠生 単行本・河出書房新社 『たのしい保育園』は、ももちゃんと父が川べりを歩き、保育園へ向かい、連絡帳を書こうとする日々を描く連作小説です。大きな事件ではなく、育児の時間の長さ、忘れてしまう一瞬、子どもを見守る大人たちの視線を丁寧に積み重ねる。父の目線を軸にしながら、子どもの遠い時間感覚へも寄り添うところに読みどころがある。 家族父と子記憶
  2. 002 2025 携帯遺産 けいたいいさん 鈴木結生 単行本・朝日新聞出版 「携帯遺産」は、人気ファンタジー作家・舟暮按が自伝小説の執筆を依頼され、自分の人生の記録をたどっていく長編。実家の焼失、震災、父の失踪といった記憶を背景に、作家が「自分の人生」を小説にすることの意味を問う。出版社紹介では『ゲーテはすべてを言った』に続く作品として位置づけられ、記録、蒐集、父をめぐる探… 記憶芸術と表現父と子
  3. 003 2023 トゥデイズ とぅでいず 長嶋有 単行本・講談社 子育てのため郊外の大規模マンション「Rグランハイツ」に越してきた美春と恵示、五歳の息子コースケの一家を中心に、管理組合、リモートワーク、近隣住民との関わりが描かれる。大事件ではなく、住むこと、育てること、今日を続けることの小さな揺れを積み重ねる。日常の可笑しさと共同住宅の距離感を、長嶋有らしい軽やか… 家族父と子労働
  4. 004 2023 解答者は走ってください かいとうしゃは はしって ください 佐佐木陸 初出・「文藝」2023年冬季号 『解答者は走ってください』は、過去の記憶を失った怜王鳴門に「きみの物語」というテキストが届くところから始まるマルチバース小説。世界を破壊すべきかという問い、クイズ大会、国家転覆、爆発物が絡み、物語と現実の境界を越えていく。メタフィクション的な仕掛けと速度のある展開で、読者にも世界の存続を問う構造を持… 記憶父と子テクノロジー
  5. 005 2022 プリテンド・ファーザー ぷりてんど・ふぁーざー 白岩玄 単行本・集英社 シングルファーザーとして四歳の娘を育てる恭平と、シッターとして働きながら一歳半の息子を育てる章吾が、互いの事情から四人で暮らし始める物語。高校の同級生だった二人の共同生活は、家事・育児・仕事の負担を分かち合う試みであると同時に、ケアとキャリアをめぐるひずみを可視化していく。血縁や恋愛関係だけではない… 父と子ケアと介護労働
  6. 006 2021 星のように離れて雨のように散った ほしのようにはなれてあめのようにちった 島本理生 単行本・文藝春秋 行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説という三つの「未完」をめぐり、人生の岐路に立つ女子大学院生の「私」が自分自身の物語を探していく長編。宮沢賢治作品の影や、消えた父の残した手紙を手がかりに、家族の記憶と創作の衝動が重なり合う。父の不在を単なる謎解きにせず、失われたものを言葉で追いかけ… 父と子記憶芸術と表現
  7. 007 2020 小鳥、来る ことり、くる 山下澄人 単行本・中央公論新社 『小鳥、来る』は、夏休みの始まり、9歳の「おれ」が父を倒す日を待っているところから始まる長篇。周囲には、勉強のできる友人、万引きを繰り返す兄弟、学年一強い女子、何度も車にはねられる少年、動物園のゴリラがいて、子どもの日常が暴力とユーモアを帯びて浮かぶ。山下澄人らしい口語のリズムと飛躍する視点が、大人… 青春家族暴力
  8. 008 2019 父と私の桜尾通り商店街 ちちとわたしのさくらおどおりしょうてんがい 今村夏子 単行本・角川書店 商店街でパン屋を営む父を手伝う娘を描く表題作を中心に、「白いセーター」「ルルちゃん」「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」「モグラハウスの扉」を収めた短篇集。家族、店、近隣関係のごく日常的な場面から、今村夏子らしい微細なずれや不穏さが立ち上がる。平明な語り口の奥で、親しさと疎外、子どもっぽさと残酷… 家族父と子労働
  9. 009 2019 駒音高く こまおとたかく 佐川光晴 単行本・実業之日本社 『駒音高く』は、将棋の勝負の世界に関わる七人の青春と人生を描く短篇集。プロを志す中学生や引退間際の棋士だけでなく、将棋会館の清掃員など周辺にいる人々にも視線を向け、勝敗の外側にある家族、仕事、誇りを浮かび上がらせる。実業之日本社公式が「青春・家族小説の名手」の温かなまなざしと紹介する通り、競技小説で… 青春家族労働
  10. 010 2019 リボンの男 りぼんのおとこ 山崎ナオコーラ 初出・文藝 掲載 主人公の常雄は、自分を「ヒモ」ではなく「リボン」と言い換える専業主夫。三歳のタロウと野川沿いを歩く日常のなかで、家事や育児に値段をつけにくい社会、父であること、働くことの意味が静かに問い直される。山崎ナオコーラらしい平明な言葉で、家族の役割分担やジェンダー規範を大げさな対立ではなく生活の手触りから描… 家族労働ジェンダー
  11. 011 2019 レンファント れんふぁんと 田村広済 初出・「文學界」2019年5月号 育児休暇中の父親が、重い皮膚疾患を抱える子の看護と妻との関係に直面する。育児参加をめぐる理想と現実、ケアの身体的・精神的負荷を、家庭の内側から描く。父親の当事者性を問う点で、家族小説としてもケアの文学としても読める。 父と子ケアと介護 第124回 文學界新人賞
  12. 012 2019 デッドライン でっどらいん 千葉雅也 初出・「新潮」2019年9月号、同年12月新潮社より単行本刊行 『デッドライン』は、2000年代初頭の東京を舞台に、修士論文の締切を抱える「僕」が、哲学、身体感覚、ゲイとしての欲望、家族とのずれのなかを生きるデビュー小説。新潮社は「ゲイであること、思考すること、生きること」を掲げ、夜の街を回遊する男たちと大学院生活を交差させる作品として紹介している。朝吹真理子の… 身体アイデンティティ 第41回 野間新人賞
  13. 013 2018 わるもん わるもん 須賀ケイ 初出・「すばる」2018年11月号 『わるもん』は、硝子職人の父がいつの間にか家族から取り除かれたように見える家で、純子が父の痕跡をたどり始める物語。母や姉たち、家に現れる男性との関係が、純子の視点から少しずつ歪んで見えてくる。集英社の対談では、時間軸や純子の正体をめぐるわからなさも作品の魅力とされ、家族という閉じた船を外から見つめる… 家族父と子孤独と疎外 第42回 すばる文学賞
  14. 014 2017 蛇沼 じゃぬま 佐藤厚志 初出・「新潮」2017年11月号 『蛇沼』は、宮城県の田園地帯を舞台に、少年時代の監禁事件と少女セイコの不可解な死を抱え続ける青年・恭二を描く新潮新人賞受賞作。受賞者インタビューでは、作者が宮城県亘理郡の田んぼや沼のある風景を原風景としており、主人公が「生きていてもいいのか」という答えのない問いの中でもがく人物として構想されたことが… 暴力死と喪失父と子 第49回 新潮新人賞
  15. 015 2017 無限の玄 むげんのくろ 古谷田奈月 初出・「早稲田文学」増刊女性号(2017年) 男性だけのストリングバンドを舞台に、絶対的な父の死と反復する再生のような出来事を軸に、共同体の変容を描く中篇。バンドの規律や父権をめぐる物語を、音楽と身体性を帯びた寓話として展開する。芸術の場が家族、共同体、権威の問題へ反転していく点が読みどころ。 父と子芸術と表現同調圧力 第31回 三島賞
  16. 016 2014 みずうみのほうへ みずうみのほうへ 上村亮平 初出・「すばる」2014年11月号(投稿時タイトル「その静かな、小さな声」を改題) 七歳の誕生日旅行で父を失った「ぼく」が、湖のある町で育ち、二十代の終わりに父との記憶に結びつく「サイモン」に似た人物と出会う。港町、水産物加工場、アイスホッケー観戦といった生活の細部が、喪失の記憶と幻想的な再会をゆっくり結びつけていく。静かな語りの中で、父の死の謎と過去への引力が持続する作品である。 父と子死と喪失記憶 第38回 すばる文学賞
  17. 017 2012 夜蜘蛛 よぐも 田中慎弥 単行本・文藝春秋 『夜蜘蛛』は、亡父の戦争の記憶をめぐる手紙の謎を描く田中慎弥の中篇です。父の過去は家族の内部に沈み込み、手紙という媒体を通じて遅れて現在に届きます。戦争、父子、記憶の問題を、不穏で乾いた語りで掘り下げます。 戦争父と子記憶
  18. 018 2011 共喰い ともぐい 田中慎弥 初出・すばる 2011年10月号 昭和63年夏、川辺の町に暮らす17歳の遠馬は、父・円とその愛人琴子との三人暮らし。父は性交の際に女を殴る男で、遠馬の実母・仁子はその暴力ゆえに家を出て、川向こうで魚屋を営んでいる。恋人の千種との関係が深まるにつれ、遠馬は自分の中にも父と同じ暴力の血が流れているのではないかという恐れに苛まれていく。鰻… 父と子暴力 第146回 芥川賞
  19. 019 2010 とうさんは、大丈夫 とうさんは、だいじょうぶ 佐川光晴 単行本・講談社 『とうさんは、大丈夫』は、父と子、家族の安心と不安を題名の一文に集める佐川光晴の小説です。公開資料で内容細部までは確認できていないが、家族のなかで支える側と支えられる側が入れ替わる感覚を読む作品として整理できます。平明な語りを通じて、ケアや生活の切実さが前面に出ます。 父と子家族ケアと介護
  20. 020 2009 水死 すいし 大江健三郎 単行本・講談社 『水死』は、父の死の記憶と「水死小説」の構想をめぐる、大江健三郎晩年の古義人もの長篇です。家族史、戦後史、文学を書くことが複層的に絡み、個人の記憶は国家や天皇制の問題にも接続します。長い息の文体で、作家自身の過去を再検討する作品です。 父と子記憶戦争
  21. 021 2008 いつかソウル・トレインに乗る日まで いつかソウル・トレインにのるひまで 高橋源一郎 単行本・集英社 『いつかソウル・トレインに乗る日まで』は、音楽の記憶と個人史を重ねる高橋源一郎の小説です。ソウル・トレインという題名が示すように、音楽は単なる背景ではなく、語りと記憶を運ぶ乗り物になります。ポップカルチャーと私的な痛みを接続する読みどころがあります。 芸術と表現記憶父と子
  22. 022 2008 神様のいない日本シリーズ かみさまのいないにほんシリーズ 田中慎弥 単行本・文藝春秋 『神様のいない日本シリーズ』は、「江夏の21球」で知られる1979年の日本シリーズを背景に、父と子の時間を描く中篇です。野球の記憶は、家族の記憶や時代の空気を呼び戻す装置になります。田中慎弥の乾いた語りが、父子関係の近さと断絶を浮かび上がらせます。 父と子記憶芸術と表現
  23. 023 2008 クォンタム・ファミリーズ くぉんたむ ふぁみりーず 東浩紀 初出・「新潮」2008年5月号〜2009年8月号(連載題名「ファントム・クォンタム」)、2009年12月新潮社より刊行時に改題・大幅改稿 『クォンタム・ファミリーズ』は、平行世界を行き来できる設定のもと、ある父親が別の世界の娘を救おうとする物語です。量子論的なSF装置を用いながら、家族、記憶、父子関係の可能性を問い直します。批評家・思想家である東浩紀が小説形式で現代的な家族像を探った作品です。 テクノロジー家族父と子 第23回 三島賞
  24. 024 2007 肝心の子供 かんじんのこども 磯﨑憲一郎 初出・文藝 2007年冬号 出家して悟りを開く前のブッダ、その息子のラーフラ、さらにその子へ——インドを舞台に親子三代の生をたどる。偉人の伝記ではなく、川の流れや樹木、身体の感覚といった即物的な描写を長い呼吸の文体で積み重ね、人の一生を超えて流れる時間そのものを小説に写し取ろうとする。商社マンとして働きながら書かれた42歳の遅… 父と子家族信仰 第44回 文藝賞
  25. 025 2005 家族芝居 かぞくしばい 佐川光晴 単行本・文藝春秋 家族を、血縁だけでなく、互いに役を演じ合う小さな舞台として捉える佐川光晴の作品。親密であるはずの関係の中にある見栄、遠慮、傷つけ合いを、生活の目線から描く。タイトルどおり、家族の会話や振る舞いが芝居めいて見える瞬間が読みどころになる。 家族父と子母と子
  26. 026 2003 ジャージの二人 じゃーじのふたり 長嶋有 単行本・集英社 仕事や家庭から少し離れた父と息子が、山の別荘で同じようなジャージを着て夏を過ごす。大きな事件の代わりに、食事、虫、テレビ、会話の間合いといった細部が積み重なり、親子でありながらどこか他人同士でもある二人の距離が浮かび上がる。長嶋有らしい、脱力したユーモアと静かな寂しさが同居する作品。 家族父と子労働
  27. 027 2002 飴玉が三つ あめだまがみっつ 蒔岡雪子 初出・文學界 2002年6月号 アルコール依存症者の自助グループ「断酒会」に母と通う既婚の娘が、死を前に断酒を誓った医師の父との歳月を振り返る。父から受けた一度きりの暴力すら幸福の記憶として抱え込み、会で告白する他の依存症者を見下す主人公は、自身もまた高校時代から酒に頼ってきた。父への愛と自己への愛が分かちがたく絡まり、その呪縛か… 父と子家族 第94回 文學界新人賞
  28. 028 2002 ハミザベス はみざべす 栗田有起 初出・すばる 2002年11月号 二十歳の誕生日を前に、死んだと思っていた父が本当に死んだ。まちるが遺産として受け取ったのは、高層マンションの一室とハムスターの「ハミザベス」。母と暮らした家を出て、地上33階で始まる一人と一匹の生活に、元恋人の幼なじみや父の同居人だった女性が出入りし、奇妙な距離感の友情が育っていく。喪失から始まる物… 父と子死と喪失家族 第26回 すばる文学賞
  29. 029 2002 海辺のカフカ うみべのかふか 村上春樹 単行本・新潮社 15歳の少年・田村カフカと老人ナカタの物語が並行して進む長編。家出、父と子、予言、暴力、異界的な出来事が絡み合い、現実と神話が重なる場所へ読者を導く。村上春樹の長編の中でも、寓話性と物語性が大きく広がった作品である。 父と子記憶暴力
  30. 030 2002 海馬の助走 かいばのじょそう 若合春侑 初出・単行本・書き下ろし(中央公論新社、2002年9月) 神道学・古典への造詣をもつ若合春侑の長編。佐川光晴「縮んだ愛」と同時受賞した第24回野間文芸新人賞受賞作。 父と子貧困家族 第24回 野間新人賞
  31. 031 1996 「アボジ」を踏む あぼじをふむ 小田実 初出・「群像」1996年10月号初出。 「アボジ」(朝鮮語で「父」)という言葉を踏みにじった戦前日本の歴史を、在日コリアンの父親への眼差しを通して問い直す短篇。ベ平連設立者でもある小田実の思想的核心が凝縮されている。坂上弘「台所」との同時受賞。 移民と越境父と子戦争 第24回 川端賞
  32. 032 1987 長男の出家 ちょうなんのしゅっけ 三浦清宏 初出・「海燕」1987年9月号(第6巻第9号)。単行本は1988年2月・福武書店刊 『長男の出家』は、中学生の息子が突然「禅僧になりたい」と言い出したことから、平凡な家族の関係が揺れ始める物語です。父親の視点を通じて、出家という非日常の選択が、親子の絆、別れ、家族の期待を照らし出します。深刻な題材をユーモラスに扱う語り口が特徴です。 家族父と子信仰 第98回 芥川賞
  33. 033 1983 応為坦坦録 おういたんたんろく 山本昌代 初出・「文藝」1983年冬季号(河出書房新社) 『応為坦坦録』は、浮世絵師・葛飾北斎の娘である応為(お栄)と父北斎の関係を描く歴史小説的なデビュー作です。芸術家の家族関係、創作の継承、父娘の緊張が、江戸の美術史的な題材を通して浮かび上がります。女性の創作者を中心に据える視点が読みどころです。 芸術と表現父と子方言・口語 第20回 文藝賞
  34. 034 1980 父が消えた ちちがきえた 尾辻克彦 初出・「文學界」1980年12月号(第34巻第12号) 『父が消えた』は、父の遺骨を納める墓地を見に中央線で高尾へ向かう「私」の意識をたどる中篇です。現在の車中の時間に、父をめぐる記憶や前衛芸術家としての作者の感覚が交錯し、家族小説でありながら形式そのものを揺さぶる作品になっています。死者を送る手続きの物語を、記憶の断片と都市郊外の移動感覚で組み立てる点… 記憶父と子一人称 第84回 芥川賞
  35. 035 1980 ストレイ・シープ すとれい・しーぷ 中平まみ 初出・「文藝」1980年冬季号(河出書房新社) 『ストレイ・シープ』は、幼くして映画監督の父を失ったテレビ局勤務の女性が、喪失を抱えたまま年上の既婚男性との関係に入り込む私小説的作品です。父への思慕と恋愛、仕事の失敗が重なり、娘から女へと移行する過程の痛みが描かれます。都市で働く女性の孤独を、感情の揺れに寄せて読む作品です。 父と子恋愛孤独と疎外 第17回 文藝賞
  36. 036 1976 ピンチランナー調書 ピンチランナーちょうしょ 大江健三郎 単行本・新潮社 大江健三郎が1976年に刊行した実験的長編。父子関係、身体、記録や調書の形式を通して、現実と幻想の境界を揺らす。障害のある子をめぐる大江の継続的主題が、メタフィクション的な構成と結びつく作品である。 父と子障害身体
  37. 037 1973 洪水はわが魂に及び こうずいはわがたましいにおよび 大江健三郎 単行本・新潮社 核シェルターに籠る父子と「自由航海団」の若者たちの交流と破局を描く長編。核時代の不安、障害のある子との関係、共同体への希求が、大江らしい寓話的な構図で結びつく。個人の魂の危機を、世界的な破局の想像力へ接続する作品。 障害父と子戦争
  38. 038 1972 みずから我が涙をぬぐいたまう日 みずからわがなみだをぬぐいたまうひ 大江健三郎 単行本・講談社 大江健三郎の1970年代の作品で、個人的な記憶や家族の傷が、天皇制や戦後史への問いと重なっていく。題名の荘重さに対し、語りは自己の痛みを過剰なほど意識化する。大江の私的主題と政治的主題が強く結びつく作品である。 記憶父と子戦争