いどがわ いこ

井戸川射子

b.1987

略歴 Profile

詩人として出発し、小説でも高い評価を得る。 このデータベースでは8作品を収録し、発表年は2021年から2026年に及びます。野間新人賞、芥川賞の受賞作を含みます。主題や読み味では清新、静謐、家族、記憶、孤独と疎外といった切り口から作品を探せます。

収録作品 Works

文芸誌での初出

  1. 001 2022 この世の喜びよ このよのよろこびよ 初出・群像 2022年7月号 ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、かつて幼い娘たちとこのセンターで長い時間を過ごした。いまはフードコートに入り浸る中学生の少女と言葉を交わすようになり、彼女との関わりのなかで、子育ての日々の記憶や、言葉にならないまま積もっていた感情が少しずつよみがえってくる。全編が「あなた」への呼… 母と子家族記憶 第168回 芥川賞

単行本

  1. 001 2021 ここはとても速い川 ここはとてもはやいかわ 単行本・講談社 児童養護施設で暮らす小学五年生の集と、園での年下の親友・ひじりの日々を描く表題作を中心にした小説集。近くの淀川にいる亀を見に行く楽しみなど、子どもたちの時間が、温もりを含んだ繊細な言葉でたどられる。詩人として出発した著者の初めての小説集で、表題作と小説第一作「膨張」を収録する。 青春家族ケアと介護 第43回 野間新人賞
  2. 002 2022 この世の喜びよ このよのよろこびよ 単行本・講談社 ショッピングセンターの喪服売り場で働く「あなた」は、かつて幼い娘たちとこのセンターで長い時間を過ごした。いまはフードコートに入り浸る中学生の少女と言葉を交わすようになり、彼女との関わりのなかで、子育ての日々の記憶や、言葉にならないまま積もっていた感情が少しずつよみがえってくる。全編が「あなた」への呼… 母と子家族記憶 第168回 芥川賞
  3. 003 2023 共に明るい ともにあかるい 単行本・講談社 『共に明るい』は、早朝のバス、野鳥園、恋人の家、島への修学旅行、工場の作業部屋など、異なる場所で人が抱える痛みや不安に触れる五篇の小説集である。語られない心の内がふと漏れ出す瞬間をすくい、「他人」がつながりたい「他者」へ変わる手つきを静かに描く。『この世の喜びよ』で芥川賞を受けた後の第一作として、井… 孤独と疎外家族労働
  4. 004 2024 無形 むけい 単行本・講談社 立ち退き勧告が進む海辺の団地を舞台に、年老い病を患う祖父と面倒を見る孫娘、親が失踪した姉弟、夫に先立たれた老女、友情以上の感情を育む少女たちなど、複数の生活がゆるやかに重なる群像長篇。確かにそこにあった暮らしの喜びや悲しみが、形として残らないまま季節とともに流れていく。団地という共同体の消滅を背景に… 家族記憶老い
  5. 005 2025 移動そのもの いどうそのもの 単行本・筑摩書房 『移動そのもの』は、表題作を含む九篇を収めた短篇集。筑摩書房公式は、一文ごと一語ごとに世界が生まれ変化していく作品集として紹介し、言葉そのものが物語を跳躍させる読書体験を前面に出している。市場、家、旅、老いなどの場面が小さな宇宙のように開かれ、筋を追うだけでなく、言葉に導かれて世界の相貌が変わる感覚… 言葉と言語芸術と表現老い
  6. 006 2025 曇りなく常に良く くもりなくつねによく 単行本・中央公論新社 『曇りなく常に良く』は、同じ高校に通う五人の少女たちの一年間を追う青春群像劇です。よく似た声が混ざり合うという公式紹介の言葉が示すように、個々の輪郭と集団の空気が重なり、友情や同調、来年も一緒にいるだろうという予感が揺れていく。大事件よりも、学校生活の時間の流れと会話の重なりから、少女たちの関係が変… 青春同調圧力アイデンティティ
  7. 007 2026 舞う砂も道の実り まうすなもみちのみのり 単行本・文藝春秋 『舞う砂も道の実り』は、孤児として育ったワオスリ、大家族の移住先を探すイフン、離れ離れになった子を探すダエの三人が旅に出るロードノベル。文藝春秋公式は、時代も場所も定かでない土地を進む旅人たちが、町々の出会いと別れを通じて人生の意味を手にしていく作品として紹介している。喪失を抱えた人々の移動を、詩的… 移民と越境家族死と喪失
  8. 008 2026 私的応答 してきおうとう 単行本・講談社 『私的応答』は、1995年の震災を経験した銅子と、母、娘・厚美の三代に流れる時間をたどる長篇。倒れたミシン、避難所の体育館、梅田で浴びるシャワーなどの記憶は、年月を経ても日常の奥に残り続ける。忘れることと許すことの違いを、母娘の時間と震災の記憶を通して問い直す作品である。 災害記憶母と子