いぬはいつもあしもとにいて
犬はいつも足元にいて
紹介 About
中学生の主人公の日常に、犬が公園の茂みから探り当てた正体不明の「肉」が入り込んでくる。誰も名指せないその物体は、思春期の鬱屈や家族のぎこちなさと響き合いながら、生き物の生々しさと死の気配を物語の中心に居座らせる。登場人物はどこか不快なのに目を離せないという独特の距離感で語られ、生命の循環を思わせる視点が貫く。兄弟ユニットによる完全共作のデビュー作として文学史的にも珍しい一冊で、単行本は2009年11月に河出書房新社から刊行された。
評価 Reception
刊行直後に第142回芥川賞(受賞作なしの回)の候補となった。選考では、公園の「肉」というもうひとりの主人公を探り当てた点が評価され、兄弟による完全共作という執筆形態も大きな話題を呼んだ。
出典 Sources
- 受賞作 犬はいつも足元にいて - 国立国会図書館サーチ 書誌評価
『文芸』掲載、第46回文藝賞発表の受賞作として確認。
- 犬はいつも足元にいて - 国立国会図書館サーチ 書誌
河出書房新社、2009年11月刊の単行本書誌を確認。
- 香山リカ×大森兄弟 日々の習慣と妄想の境目を書くということ - 国立国会図書館サーチ 評価
『犬はいつも足元にいて』をめぐる対談記事の書誌を確認。
受賞・候補歴 Awards
大森兄弟のほかの収録作 More
- 001 2011 まことの人々 まことのひとびと 『まことの人々』は、誠実さや信じることをめぐる人物群を描く大森兄弟の小説として整理できます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認と『陽だまり幻想曲』を含む創作合評レコードでの扱いに基づく暫定的な紹介です。ユーモアと不穏さを含む群像的な読み味が想定されます。
- 002 2013 わたしは妊婦 わたしはにんぷ 『わたしは妊婦』は、妊娠という身体の変化を手がかりに、家族、性、自己像の揺れを描く大森兄弟の小説です。妊婦である「わたし」は、祝福される存在であると同時に、周囲の視線や制度にさらされます。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。
- 003 2019 ウナノハテノガタ うなのはてのがた 海の民の少年オトガイは父からある役目を引き継ぎ、山の民の少女マダラコは生贄の儀式から逃れて山を下りる。中央公論新社の文庫版公式ページは、二人の出会いからすべてが始まる「原始の物語」として紹介している。共同体の掟、信仰、暴力、出会いによる世界の更新を、神話や寓話に近い距離感で描く作品。
- 004 2024 めでたし、めでたし めでたしめでたし 桃太郎の「その後」を出発点に、鬼ヶ島から財宝を持ち帰った桃次郎をめぐる物語として昔話を組み替える長編。桃次郎は財宝の元の持ち主を集めるものの、犬・猿・雉たちが困惑するほど一向に返そうとしない。勝者が正義を語る昔話の構図をずらすことで、物語の外に置かれてきた損失や返済の問題が見えてくる。勧善懲悪の結末…