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主題「食」に分類された 40 作品。

  1. 001 2024 ナチュラルボーンチキン ナチュラルボーンチキン 金原ひとみ 単行本・河出書房新社 45歳で一人暮らしの事務職・浜野文乃は、仕事、動画、ご飯という反復の生活を守ってきた。上司の指示で、捻挫を理由に在宅勤務を続ける若い編集者・平木直理の部屋を訪ねたことから、ホストクラブ通いの痕跡や奔放な価値観に触れ、忘れかけていた自分の欲望と向き合い始める。正反対に見える二人の出会いは、相手に救われ… 労働孤独と疎外アイデンティティ
  2. 002 2023 ハジケテマザレ ハジケテマザレ 金原ひとみ 単行本・講談社 コロナ禍で派遣切りにあった「私」が、生活のためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」で働き始める作品集。YouTuberの恋人をめぐる騒動、クラブでの爆踊り、激辛フェスでのプロポーズ演出など、バイト仲間との出来事が愉快さと切実さを帯びて連なる。「普通」をめぐる言葉を軸に、労働、居場所、混ざり合う… 労働同調圧力孤独と疎外
  3. 003 2023 腹を空かせた勇者ども はらをすかせたゆうしゃども 金原ひとみ 単行本・河出書房新社 コロナ禍のさなか、陽気な中学生レナレナが、「公然不倫」中の母と暮らしながら学校、友人、食べること、恋愛や家族の問題に向き合う青春長篇である。明るさと浅はかさを抱えた少女たちの日常を通して、困難が当たり前になった時代をどう生き抜くかが描かれる。従来の金原ひとみ作品の切迫した身体感覚を保ちつつ、軽やかな… 青春家族
  4. 004 2023 かっかどるどるどぅ かっかどるどるどぅ 若竹千佐子 単行本・河出書房新社 仕事、介護、家族、お金などの問題を抱え、孤立しながら生きる人々が、従来とは別のかたちで「共に生きる」道を探す群像劇。夢を捨てきれない60代の悦子、介護に明け暮れてきた芳江、非正規雇用を転々とする理恵、自死を考える保らが、食事をふるまう片倉吉野の古いアパートへ集まっていく。東北弁を含む声の響きと食卓の… 孤独と疎外労働ケアと介護
  5. 005 2023 パッキパキ北京 パッキパキペキン 綿矢りさ 単行本・集英社 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫に呼ばれた菖蒲が、愛犬ペイペイを連れて中国へ渡る。隔離、食、交通、春節、北京の人々のふるまいを、主人公はしぶしぶ来たはずの立場を軽々と反転させるように貪欲に観察し、味わっていく。著者自身の中国滞在経験に基づく観察力を生かし、異国の都市を「視察」する語りの勢いとユーモアで… 移民と越境夫婦
  6. 006 2023 ラーメンカレー ラーメンカレー 滝口悠生 単行本・文藝春秋 『ラーメンカレー』は、ロンドンの結婚式やペルージャへの旅をきっかけに、高校時代の同級生たちの言葉と記憶があふれ出す連作短編集である。表題作を含む「窓目くんの手記」連作と複数の短篇を収め、食べ物の名前の軽さとは裏腹に、青春の偶然や移動、他者との出会いが時間をまたいで響く構成になっている。滝口悠生らしい… 記憶青春
  7. 007 2023 図書館のお夜食 としょかんのおやしょく 原田ひ香 単行本・ポプラ社 『図書館のお夜食』は、東北の書店勤務がうまくいかず仕事を辞めようとしていた樋口乙葉が、東京郊外の「夜の図書館」で働き始める長編である。そこは夕方七時から深夜まで開く特殊な図書館で、亡くなった作家の蔵書を集めた本の博物館のような場所でもある。予想外の出来事と夜食を通して、本、食、仕事、ほどよい距離で語… 労働芸術と表現
  8. 008 2023 獏、石榴ソース和え ばく ざくろそーすあえ 石沢麻依 初出・「群像」2023年2月号(新年短篇特集) 『獏、石榴ソース和え』は、『群像』2023年2月号の新年短篇特集に掲載された幻想的な短篇です。不眠に陥った語り手が、友人に誘われ「獏の肉を食べる不眠者の集い」に参加するという筋立てが公式目次で示されている。夢を食べる獏のイメージを食と不眠の場面へ移し、現実と幻想の境目を揺らす作品として整理できる。 幻想
  9. 009 2022 古本食堂 ふるほんしょくどう 原田ひ香 単行本・角川春樹事務所 『古本食堂』は、神保町の小さな古書店を舞台に、本と食べ物を介して人がつながり直していく長篇。国文科の学生・美希喜は、急逝した大叔父の古書店を継ぐため上京した珊瑚を手伝ううちに、古本を探す客、町の食堂、店に残された記憶に触れていく。古書の具体的な手触りとカレー、中華、寿司などの食の描写が重なり、進路の… 記憶家族
  10. 010 2022 おいしいごはんが食べられますように おいしいごはんがたべられますように 高瀬隼子 初出・群像 2022年1月号 食品会社の支店を舞台に、三人の社員の関係を描く。そつなく働くが食への関心が薄い二谷、体が弱く周囲に守られ、手作り菓子を職場に持ってくる芦川、芦川の分の仕事まで引き受けてしまう押尾。二谷は芦川と付き合いながら、「おいしいごはん」を大切にする価値観への苛立ちを募らせ、押尾は守られる芦川への反感を二谷とひ… 労働同調圧力 第167回 芥川賞
  11. 011 2021 母親からの小包はなぜこんなにダサいのか ははおやからのこづつみはなぜこんなにださいのか 原田ひ香 単行本・中央公論新社 『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』は、実家から届く小包をめぐって、昭和・平成・令和をまたぐ家族の思いを描く連作集。業者から買った野菜を実家からの荷物と偽る女性、父が受け取っていた小包の謎、母からの最後の荷物など、物の中にしまわれた気遣い、ずれ、寂しさが開封されていく。タイトルの軽さに対して… 家族母と子記憶
  12. 012 2020 2020年の恋人たち にせんにじゅうねんのこいびとたち 島本理生 単行本・中央公論新社 母の急死によりワインバーを継ぐかどうか選択を迫られた前原葵を中心に、同棲相手、常連客、店を手伝う人々、新たな出会いが交錯する長篇。恋愛の高揚だけでなく、会話の途切れ、依存、別れ、仕事として店を引き受けることを描き、葵が何を選び何を手放すかを追う。直木賞受賞後の長篇第一作として、喪失後の生活再建と関係… 恋愛死と喪失労働
  13. 013 2020 木になった亜沙 きになったあさ 今村夏子 単行本・文藝春秋 『木になった亜沙』は、表題作「木になった亜沙」「的になった七未」「ある夜の思い出」の三篇を収めた作品集。誰かに食べ物を差し出したい少女が木へ、さらに割り箸へと転じる表題作をはじめ、身体の境界や役割が奇妙にずれた状況が、純粋な願いと不穏さを同時に帯びて進む。童話のような単純さと残酷さを併せ持つ語りで… 身体孤独と疎外
  14. 014 2020 口福のレシピ こうふくのれしぴ 原田ひ香 単行本・小学館 『口福のレシピ』は、フリーのSE兼料理研究家として働く留希子と、昭和二年の品川料理教習所で働くしずえの時間を行き来する家族小説。留希子は老舗料理学校を営む家の後継者であることに抵抗を抱きながらも、SNS発信をきっかけに料理研究家として認知されていく。簡単でおいしい献立企画をめぐる問題を通じて、家庭の… 家族労働
  15. 015 2020 うつくしい羽 うつくしいはね 上村渉 初出・すばる 2019年6月号 表題作『うつくしい羽』と『あさぎり』などを収めた、上村渉の初小説集。OpenBDの版元提供情報は、食の記憶が過去を呼び覚ます作品として、離婚で心の支えを失った男と、フランス修業時代に大切な人を失った料理人の軌跡を紹介している。併録作『あさぎり』では、十五歳の少女の一時保護を通して、家族の絆と外国人労… 記憶死と喪失
  16. 016 2019 まずはこれ食べて まずはこれたべて 原田ひ香 単行本・双葉社 池内胡雪は、散らかった社内と不規則な生活に疲れながらベンチャー企業で働く三十歳。社長が会社に家政婦を雇ったことで、無愛想な筧みのりが作る料理が、殺伐とした職場に小さな休息をもたらしていく。食べることを通じて、労働の疲れ、ケアの手触り、人と人が同じ場にいることの温度を描く連作短編集。料理の題名を冠した… 労働ケアと介護
  17. 017 2019 生命式 せいめいしき 村田沙耶香 単行本・河出書房新社 『生命式』は、死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作を含む、著者自選の12篇を収めた短篇集です。OpenBDでは「素敵な素材」「素晴らしい食卓」「街を食べる」「孵化」などの収録作が確認できます。食、死、身体、家族の常識を別の社会の習俗として反転させ、正常さの輪郭を揺さぶる一冊です。推薦コメント群が… 死と喪失身体
  18. 018 2019 おいしい家族 おいしいかぞく ふくだももこ 初出・「すばる」2019年8月号 『おいしい家族』は、「すばる」2019年8月号に掲載され、同年9月に集英社から単行本化されたふくだももこの小説です。母の三回忌に故郷の島へ帰った橙花が、母の服を着た父、義妹、見知らぬ人々が家族のように食卓を囲む場に向き合います。集英社公式の文庫版紹介では、性別、血縁、国籍を超えた新しい家族のかたちを… 家族身体
  19. 019 2018 5時過ぎランチ ごじすぎランチ 羽田圭介 単行本・実業之日本社 「グリーンゾーン」「内なる殺人者」「誰が為の昼食」の三篇からなる、労働と犯罪が絡み合う短篇集。ガソリンスタンドのアルバイト、アレルギーを抱える殺し屋、写真週刊誌の女性記者が、それぞれ過酷な仕事の延長線上でヤクザや警察、国家権力に触れていく。ブラックな職場感覚とクライムノベルの緊張を重ね、仕事にまつわ… 労働暴力貧困
  20. 020 2018 星ヶ丘高校料理部 偏差値68の目玉焼き ほしがおかこうこうりょうりぶ へんさちろくじゅうはちのめだまやき 樋口直哉 単行本・講談社 廃部寸前の私立星ヶ丘高校料理部に、篠原皐月が友人に誘われて入部する連作料理ミステリ。目玉焼き、オムレツ、ハンバーグ、カレーなどの料理を通じて、皐月たちは調理の理屈と、身近な出来事に潜む謎を少しずつ解いていく。学校小説の軽やかさに、料理の知識と日常の推理を重ねた読み味が特徴。 青春芸術と表現
  21. 021 2017 ランチ酒 らんちざけ 原田ひ香 単行本・祥伝社 『ランチ酒』は、夜に子どもを預け昼間に働くシングルマザーが、仕事後の一人ランチに酒を飲む連作です。食事と酒は、労働の疲れをほどき、自分だけの時間を取り戻すための小さな儀式になります。母であること、働くこと、孤独を、店の風景から読ませる作品です。 労働母と子
  22. 022 2017 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして わたしたちはぎんのふぉーくとくすりをてにして 島本理生 単行本・幻冬舎 『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』は、島本理生が食事、薬、恋愛を結びつけて、身体と親密さを描く小説として整理できます。銀のフォークは生活の華やぎを、薬は病や不安を示し、その二つが同じ手に置かれます。恋愛の甘さだけでなく、身体の脆さを含んだ関係を読む作品です。 恋愛
  23. 023 2015 痴者の食卓 ちしゃのしょくたく 西村賢太 単行本・新潮社 『痴者の食卓』は、西村賢太が食卓という生活の場に、屈辱や欲望、関係のこじれを持ち込む小説として整理できます。食べる場は穏やかな家庭の象徴ではなく、人物の弱さや執着が露出する場所になります。私小説的な語りで、生活の荒れと孤立を読ませる作品です。 孤独と疎外家族
  24. 024 2015 キッチン戦争 きっちんせんそう 樋口直哉 単行本・講談社 『キッチン戦争』は、樋口直哉が料理や台所をめぐる場所から、人間関係や労働の摩擦を描く小説として整理できます。キッチンは家庭的な空間であると同時に、技術、役割、競争が生じる戦場にもなります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 労働家族
  25. 025 2015 三人屋 さんにんや 原田ひ香 単行本・実業之日本社 『三人屋』は、三姉妹が時間帯ごとに異なる業態で営む店をめぐる連作短篇集です。同じ場所が朝、昼、夜で別の顔を持つことで、家族と労働、店に集まる人びとの関係が浮かび上がります。食と商いの場を通じて、日常の孤独や再出発を軽やかに読ませる作品です。 家族労働
  26. 026 2014 スープの国のお姫様 すーぷのくにのおひめさま 樋口直哉 単行本・小学館 『スープの国のお姫様』は、食べることや料理をめぐる感覚から、家族やケアのあり方を描く樋口直哉の小説として整理できます。スープという身近な料理は、身体を温めるだけでなく、関係を結び直す媒介になります。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 家族ケアと介護
  27. 027 2013 スナックちどり スナックちどり 吉本ばなな 単行本・文藝春秋 『スナックちどり』は、吉本ばななが小さな店や旅先の空気を通じて、喪失後の再生を描く小説として整理できます。スナックという場所は、家族でも職場でもないゆるい避難所として機能します。公開資料では内容細部を十分に確認できていないため、書誌確認に基づく暫定的な紹介です。 死と喪失家族
  28. 028 2012 しょうがの味は熱い しょうがのあじはあつい 綿矢りさ 単行本・文藝春秋 『しょうがの味は熱い』は、煮え切らない男と煮詰まった女の同棲生活を描く綿矢りさの二篇を収めた作品です。食べものの熱さは、恋愛や生活の中で小さく蓄積する苛立ちと結びつきます。夫婦未満の親密さと倦怠を、口語的で乾いた文体で描きます。 夫婦恋愛
  29. 029 2012 肉骨茶 にくこつちゃ 高尾長良 初出・「新潮」2012年11月号 シンガポール・マレーシアへの旅の途中で母のもとを抜け出した17歳の赤猪子を描く。食べ物が自分の身体に蓄積していくことへの恐怖から逃れようとする彼女は、友人ゾーイーの海辺の別荘に身を寄せる。食、身体、母子関係を通じて、人間であることへの拒絶を激しく描くデビュー作。 身体母と子 第44回 新潮新人賞
  30. 030 2012 黙って喰え だまってくえ 門脇大祐 初出・「新潮」2012年11月号 食べることをめぐる欲望と暴力性を扱うデビュー短篇。身体的な行為としての食事を、人間関係や支配の感覚へ結びつける作品として登録されている。新潮新人賞公式ページで受賞事実は確認できるが、今回確認できた公式ページでは梗概までは示されていないため、内容紹介は既存梗概に基づく限定的な整理である。 身体暴力 第44回 新潮新人賞
  31. 031 2010 ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ ごるでぃーたはたべて ねて はたらくだけ 吉井磨弥 初出・「文學界」2010年12月号 『ゴルディータは食べて、寝て、働くだけ』は、中南米系移民女性ゴルディータの日常をユーモラスに描く吉井磨弥のデビュー作です。食べる、眠る、働くという生活の反復から、日本社会の異文化の交差が見えてきます。移民的な視点を重くしすぎず、軽やかな語りで日常のたくましさを読む作品です。 移民と越境労働 第111回 文學界新人賞
  32. 032 2009 すき・やき すきやき 楊逸 単行本・新潮社 『すき・やき』は、食卓の親密さを通じて、国境を越えて暮らす人びとの関係や違和感を描く楊逸の作品です。題名は日本の料理名を思わせながら、好意や関係の「好き」をも響かせます。食、家族、言葉のずれが、移民文学としての読みどころにつながります。 移民と越境家族
  33. 033 2006 浮世でランチ うきよでらんち 山崎ナオコーラ 単行本・河出書房新社 『浮世でランチ』は、食事や仕事場の場面を通して、現代の若い人物が社会とどう折り合うかを描く作品です。山崎ナオコーラらしい軽い会話と観察が、日常の居心地の悪さを柔らかく浮かび上がらせます。ランチという身近な行為が、関係や労働を見直す入口になっています。 労働孤独と疎外
  34. 034 2005 グルメな女と優しい男 ぐるめなおんなとやさしいおとこ 望月あんね 初出・群像 2005年6月号 「人を好きになることは極上の料理より美味しい」——食べることに貪欲なりん子は、優しい男・一郎に純粋な恋心を抱くようになり、クリスマスの夜、ふたりは濃密なデートに繰り出す。食欲と恋愛感情というふたつの「おいしさ」を重ね合わせ、欲望に素直な女と受け止める男の関係をコミカルに描く。群像新人文学賞の優秀作と… 恋愛ジェンダー
  35. 035 2004 海のふた うみのふた 吉本ばなな 単行本・ロッキング・オン 故郷の海辺の町でかき氷屋を始めた女性のひと夏を描く長編。海、店、訪れる人々とのやりとりを通じて、傷ついた心が生活の手触りを取り戻していく。吉本ばなならしいやさしい幻想味が、地方の小さな商いと再生の感覚に結びついている。 労働家族記憶
  36. 036 2002 わたしの好きなハンバーガー わたしのすきなはんばーがー 北岡耕二 初出・文學界 2002年6月号 広告会社を定年まで勤め上げた67歳の新人が、蒔岡雪子「飴玉が三つ」と同時に第94回文學界新人賞を射止めた作品。新人賞の受賞者が軒並み若返っていく2000年代初頭にあって、企業社会を生き切った世代の書き手の登場は異彩を放った。選考委員は浅田彰・奥泉光・島田雅彦・辻原登・山田詠美。単行本化されておらず… 老い孤独と疎外 第94回 文學界新人賞
  37. 037 1994 食べる女 たべるおんな 荻野アンナ 単行本・文芸春秋 1994年刊。食と女性を主題に含む可能性が高い。 女性身体
  38. 038 1988 村上龍料理小説集 むらかみりゅうりょうりしょうせつしゅう 村上龍 単行本・集英社 料理を軸に、欲望、記憶、身体感覚を結びつける村上龍の短篇集。食べることが単なる生活描写ではなく、性、旅、階層、感覚の鋭さを呼び出す装置として働く。村上龍の官能的な文体を、暴力よりも味覚と記憶の側から読める作品集。 身体
  39. 039 1987 キッチン キッチン 吉本ばなな 初出・海燕 1987年11月号 唯一の肉親だった祖母を亡くし、天涯孤独となった大学生の桜井みかげ。眠れるのは冷蔵庫のそばだけ――そんな彼女に、祖母と親しかった青年・田辺雄一が同居を申し出る。雄一の家には、女性として生きる「母」えり子さん(実は父親)がいて、奇妙であたたかい三人の暮らしが始まる。台所と食べることを心の拠り所に、喪失の… 死と喪失家族
  40. 040 1986 パン屋再襲撃 ぱんやさいしゅうげき 村上春樹 単行本・文藝春秋 表題作は、深夜に激しい空腹に襲われた夫婦が、過去の「パン屋襲撃」の呪いを解くため再び街へ出る奇妙な短篇。文春文庫公式ページでは「象の消滅」や“ねじまき鳥”の原型となる作品を含む初期短篇集として紹介されており、食欲、結婚生活、都市の空白が寓話的に結びつく。軽い会話と不穏な空気が同時に進む、初期村上短篇… 孤独と疎外家族