はきょく
破局
紹介 About
主人公の陽介は、筋トレと公務員試験の勉強に励む大学4年生。母校のラグビー部でコーチも務め、政治家を目指す恋人・麻衣子がいる。やがて新入生の灯に好意を寄せられ、関係を持つようになる。陽介は常に「正しさ」やマナー、他人にどう見られるかを基準に行動するが、その整いすぎた思考と行動のあいだには、どこか空洞がある。淡々と進む就活や恋愛の日常の先で、抑え込まれていた暴力性が顔を出す。健全さの仮面の下にある不気味さを、簡潔で乾いた一人称の文体で描き切った作品。
評価 Reception
第163回芥川賞を高山羽根子「首里の馬」と同時受賞し、平成生まれ初の芥川賞作家の誕生として注目された。選考では平野啓一郎が、他者への共感を欠く主人公を現代的な典型として造形した点を評価し、小川洋子は「正しさへの執着が主人公を破綻させる」普遍性を、山田詠美は群像劇としての面白さを推した。一方、松浦寿輝は文体は優れるが終盤の破局に意外に衝撃がないと指摘し、吉田修一も主題への留保を示すなど評価は分かれた。
出典 Sources
- 『破局』遠野遥|河出書房新社 紹介評価書誌
書誌、内容紹介、第163回芥川賞受賞、選考委員コメント抜粋を確認。
- 芥川賞受賞者一覧|日本文学振興会 評価
第163回受賞作としての確認。
受賞・候補歴 Awards
遠野遥のほかの収録作 More
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