れんびん
憐憫
紹介 About
『憐憫』は、かつて子役だった沙良が、芸能界で伸び悩み、自分の正体を知らない相手を求めるところから始まる小説。酒場で出会った柏木に抱く感情は、愛しさであり憐憫でもあり、恋愛と呼び切れない関係の輪郭を曖昧にしていく。見られる側として生きてきた女性の孤独、承認、満たされなさを、短く張りつめた語りで追う。
評価 Reception
朝日新聞出版公式は本作を直木賞作家の野心作と位置づけ、2025年文庫版では書き下ろし短編と松居大悟解説の収録を告知している。NDLで初出『小説トリッパー』掲載、2022年単行本、2025年文庫版を確認した。今回確認した範囲では作品単体の主要文学賞受賞・候補は見つからなかった。
出典 Sources
- 憐憫|朝日新聞出版 紹介評価書誌
単行本の内容紹介、ISBN、発売日を確認。
- 憐憫|朝日新聞出版(朝日文庫) 紹介評価書誌
文庫版の内容紹介、書き下ろし短編、解説者、ISBN、発売日を確認。
- 憐憫|国立国会図書館サーチ 書誌
初出誌『小説tripper』掲載を確認。
- 憐憫|国立国会図書館サーチ(単行本) 書誌
単行本書誌を確認。
島本理生のほかの収録作 More
- 001 2001 シルエット しるえっと 高校二年生の「私」を語り手に、人との出会いと別れ、恋愛にともなう心の揺れと痛みを、等身大の言葉で丁寧にすくいとった中篇。書いたのは当時現役高校生の島本理生で、十代の感受性をそのまま閉じ込めたような瑞々しさと、年齢に不釣り合いなほど抑制の効いた文章が同居している。痛みを声高に語らず、静かな観察として差…
- 002 2002 リトル・バイ・リトル りとる・ばい・りとる 母の不在と継父との関係に揺れる少女の成長を描く島本理生の初期長編。十代の語り手が、家族への違和感、恋愛以前の孤独、日常の不安を少しずつ言葉にしていく。静かな文体で、傷つきやすい感情の変化を丁寧に追う作品。
- 003 2004 生まれる森 うまれるもり 恋愛や喪失のあとに残る空白を、森というイメージに重ねて描く島本理生の初期長篇。人物の内面は激しく揺れながらも、語り口は抑制され、痛みが静かな風景の中に置かれる。青春小説の瑞々しさと、取り返しのつかない記憶を抱える重さが同居している。
- 004 2005 一千一秒の日々 いっせんいちびょうのひび 恋愛や日常の短い時間を、きらめくような細部として集めた島本理生の作品集。大きな物語へ急がず、一瞬の表情や会話のずれが、人物の孤独や期待を浮かび上がらせる。若い恋の瑞々しさと、時間が過ぎていくことへの切なさが題名に重なる。
- 005 2005 ナラタージュ ならたーじゅ かつての恩師への思いを断ち切れない女子大生が、過去の記憶と現在の恋の間で揺れる長篇。恋愛の美しさよりも、戻れない時間に縛られる痛みが中心に置かれている。語りは静かだが、人物の未練や罪悪感が長く尾を引き、島本理生の代表的な恋愛小説として読まれてきた。
- 006 2007 あなたの呼吸が止まるまで あなたのこきゅうがとまるまで 『あなたの呼吸が止まるまで』は、息をすること、生き延びること、他者と関わることを強い身体感覚で描く島本理生の小説です。恋愛や依存の感情が、相手の呼吸を意識するほど近い距離で語られます。親密さの美しさだけでなく、そこに潜む苦しさを読む作品です。
- 007 2007 クローバー くろーばー 『クローバー』は、島本理生らしく、恋愛や記憶の細部から若い人物の揺れを描く作品です。幸運を連想させる題名に対して、語りは関係の不安定さや選び取れない気持ちにも目を向けます。淡い感情を、日常の光景のなかで少しずつ変化させる読み味があります。
- 008 2007 大きな熊が来る前に、おやすみ。 おおきなくまがくるまえに、おやすみ。 『大きな熊が来る前に、おやすみ。』は、二人暮らしの親密さと不安を、熊という不穏なイメージをまとわせて描く作品です。恋愛や同居の幸福だけでなく、同じ部屋にいることの圧迫感や、相手を完全にはわからない怖さが前面に出ます。柔らかな題名の奥に、関係の危うさを読む小説です。
- 009 2008 波打ち際の蛍 なみうちぎわのほたる 『波打ち際の蛍』は、傷を抱えた人物が、波打ち際のように揺れる場所で他者との距離を測り直す島本理生の作品です。蛍の光のようなかすかな希望と、身体に残る痛みが同時に描かれます。恋愛や回復を単純に美化せず、触れ合うことの怖さまで含めて読ませます。
- 010 2009 君が降る日 きみがふるひ 『君が降る日』は、失われた相手への思いと、残された人の時間を描く島本理生の恋愛小説です。題名の「降る」は、記憶が突然日常へ戻ってくる感覚を思わせます。静かな語りの中で、喪失、恋愛、再生の気配が重なります。
- 011 2010 あられもない祈り あられもないいのり 芥川賞候補。支配的な恋愛関係の中に自分を置き続ける女性の苦悩を描く。
- 012 2010 真綿荘の住人たち まわたそうのじゅうにんたち 真綿荘の住人たちは、島本理生による2010年発表の作品です。単行本は文藝春秋(2010年)。
- 013 2010 アンダスタンド・メイビー あんだすたんど・めいびー アンダスタンド・メイビーは、島本理生による2010年発表の作品です。単行本は中央公論新社(2010年)。
- 014 2012 七緒のために ななおのために 七緒のためには、島本理生による2012年発表の作品です。単行本は講談社(2012年)。
- 015 2013 よだかの片想い よだかのかたおもい 顔に大きなあざを持つ女性が映画の撮影をきっかけに初めての恋に落ちる。
- 016 2014 Red れっど 島清恋愛文学賞受賞作。専業主婦が不倫に踏み込んでいく官能的な長篇。
- 017 2015 夏の裁断 なつのさいだん 芥川賞候補。執筆を辞めた女性小説家のもとに若い男性が現れ、破綻した恋愛が始まる。
- 018 2015 匿名者のためのスピカ とくめいしゃのためのすぴか 匿名者のためのスピカは、島本理生による2015年発表の作品です。単行本は祥伝社(2015年)。
- 019 2016 イノセント いのせんと イノセントは、島本理生による2016年発表の作品です。単行本は集英社(2016年)。
- 020 2017 わたしたちは銀のフォークと薬を手にして わたしたちはぎんのふぉーくとくすりをてにして わたしたちは銀のフォークと薬を手にしては、島本理生による2017年発表の作品です。単行本は幻冬舎(2017年)。
- 021 2018 あなたの愛人の名前は あなたのあいじんのなまえは 『あなたの愛人の名前は』は、すれ違う大人の恋愛を描く六篇の作品集。集英社公式が示す「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は、同じ関係を別々の視点から照らし、同じ部屋にいても互いの心が決定的にずれていく痛みを描く。欲望、秘密、婚約、浮気、世間の価値観に揺れる心を、島本理生らしい繊細な心理の動きとし…
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- 025 2021 星のように離れて雨のように散った ほしのようにはなれてあめのようにちった 行方不明の父、未完の『銀河鉄道の夜』、書きかけの小説という三つの「未完」をめぐり、人生の岐路に立つ女子大学院生の「私」が自分自身の物語を探していく長編。宮沢賢治作品の影や、消えた父の残した手紙を手がかりに、家族の記憶と創作の衝動が重なり合う。父の不在を単なる謎解きにせず、失われたものを言葉で追いかけ…