えんまく
煙幕
紹介 About
14歳の「わたし」は、細胞分裂を繰り返しながら成長し、「14年戦争を生き抜いてきた」という感慨を抱いて生きている。理科教師の川端、クラスメイトの衣川、母を捨てた川端と名乗る男、プロデューサー——複数の登場人物が重なり合い、誰が誰なのか分からないまま視点が次々と入れ替わる。読者を文字どおり煙に巻く実験的な構成そのものを賭け金にした、挑戦的な優秀作。
評価 Reception
第49回群像新人文学賞で当選には至らなかったが、選考委員の加藤典洋が強く推して優秀作に選ばれた。受賞作「無限のしもべ」より文章力・構成力で上と評する書評もあったが、単行本化はされていない。