Themes
日本史
主題「日本史」に分類された 10 作品。
- 001 2019 神前酔狂宴 しんぜんすいきょうえん 『神前酔狂宴』は、神社の披露宴会場で働く浜野、梶、倉地を中心に、結婚式という祝祭の裏側にある演技性と制度を描く小説。日々「茶番」を演じる彼らが、神社の祀る神が明治日本の軍神であることを知る筋立てから、結婚、家族、国家の儀礼性が重ねられる。河出書房新社は本作を、壮大な茶番を切り裂く衝撃作として紹介して… 第41回 野間新人賞
- 002 2018 いつか深い穴に落ちるまで いつかふかいあなにおちるまで 日本とブラジルを直線で結ぶ穴を掘るという秘密プロジェクトをめぐる、壮大なホラ話としての会社員小説。戦後に若手官僚が思いついた計画を、大手建設会社子会社の広報係が調査することで、国家事業、会社組織、移民や国際関係が奇妙に絡み合う。真顔のユーモアで日本社会のシステムを描く点が読みどころ。 第55回 文藝賞
- 003 2016 天才 てんさい 『天才』は、田中角栄の一人称で語られる石原慎太郎の政治小説です。実在の政治家の生涯を、本人が語る形式に置き換えることで、戦後政治、権力、地方から中央へ向かう上昇の物語を描きます。史実を素材にしつつ、語りの強さで人物像を押し出す作品です。
- 004 2016 カブールの園 かぶーるのその 日系アメリカ人三世の女性が、IT企業を立ち上げた友人とヨセミテへ向かい、日系人強制収容所の記憶に触れていく表題作を中心とする作品集。移民、戦争の記憶、アメリカ社会の周縁に置かれた人々を、作者らしい構成意識で扱う。収録作「半地下」とあわせ、越境するアイデンティティと継承されにくい記憶が主題となる。 第30回 三島賞
- 005 2015 地の底の記憶 ちのそこのきおく 電波塔に見守られる架空の町を舞台に、百年を超える時間をたどる壮大なデビュー作。ラピス・ラズリ、電波、川の流れといったモチーフが、町と人物の記憶を深い層へ導く。現実と非現実、過去と現在が交錯する長い時間の物語として読むことができる。架空の町の歴史を掘り下げる構成が、記憶そのものの地層を読む感覚を生む。 第52回 文藝賞
- 006 2015 女たち三百人の裏切りの書 おんなたちさんびゃくにんのうらぎりのしょ 『源氏物語』が世に広まって約百年後、紫式部が怨霊として蘇り、宇治十帖の真の姿を語り出すという構想の長篇。改竄された物語、語り手と読み手、女たちの策略が絡み合い、物語そのものが時代を動かす力として描かれる。古典の読み替えであり、物語を享受することへの壮大な問い直しでもある。 第37回 野間新人賞
- 007 2014 男一代之改革 おとこいちだいのかいかく 『男一代之改革』は、江戸の改革者・松平定信を『源氏物語』の読み手として描く青木淳悟の異色の歴史小説です。歴史上の人物を、政治の主体であると同時に読者として捉える点に特徴があります。史実と読書行為を重ね、過去の人物像を現代的にずらして読む作品です。
- 008 2012 螺法四千年記 らほうよんせんねんき 古代から現代までを四千年の時間幅でたどり、神、人、ちいさな生き物たちの気配が現在の地平に重なっていく長篇。詩人でもある日和聡子の文体が、此岸と彼岸、私と彼方を行き来する神話的な感触を生み出す。直線的な歴史小説というより、螺旋状に時間と声が響き合う幻想性が読みどころである。 第34回 野間新人賞
- 009 2012 東京自叙伝 とうきょうじじょでん 東京という土地に宿る語り手が、幕末から平成へ至る都市の変貌を自分史のように語る長篇。人間、猫、鼠などへ姿を変えながら記憶を重ねる設定により、都市史と転生譚が混ざり合う。奥泉光らしい饒舌な語りの推進力で、東京という場所そのものを主人公化した作品である。 第50回 谷崎賞
- 010 1985 ジパング じぱんぐ 『ジパング』は、吉目木晴彦のデビュー作にあたる第28回群像新人文学賞優秀作です。既存情報では、後の野間文芸新人賞・芥川賞へ続く作家的出発点として整理されています。タイトルが示す日本像への意識を背景に、国家や自己のイメージを問い直す初期作品として位置づけました。