バリさんこう

バリ山行

松永K三蔵 2024 第171回 芥川賞 受賞

紹介 About

転職して関西の建物修繕会社に入った波多は、社内の親睦登山をきっかけに六甲山に通うようになる。やがて、職人気質で社内では変人扱いされるベテラン社員・妻鹿が、整備された登山道を外れ、地図を読みながら道なき道を行く「バリ山行(バリエーションルートの登山)」を独りで続けていることを知る。会社の経営が傾き、リストラの噂が流れるなか、波多は妻鹿に頼み込んで危険なバリ山行に同行する。都市のすぐ裏に広がる山の生々しい手触りと、先の見えない仕事や人生の不確かさを重ね合わせて描く、現代の山岳小説。

評価 Reception

第171回芥川賞を「サンショウウオの四十九日」と同時受賞。選考では、平野啓一郎が日常と地続きの六甲山という舞台設定と完成度を評価して推薦し、山田詠美は「正攻法の書き方にしびれた」と自然描写を称賛、松浦寿輝は妻鹿の孤独な人物像と友情が断ち切られる哀切さに感動したと述べた。一方、川上未映子は構成が順接に過ぎると指摘し、奥泉光は小説的な企みの乏しさに触れつつも、山と心情を愚直なまでに丹念に重ねる姿勢を認めた。山岳小説の芥川賞受賞は初とされ、登山専門誌が受賞を特集するなど文芸の枠を超えて注目された。

出典 Sources

受賞・候補歴 Awards

受賞 第171回 芥川龍之介賞 (2024年上半期)

松永K三蔵のほかの収録作 More

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