おうこく

王国

中村文則 2011

紹介 About

王国は、中村文則による2011年発表の作品です。単行本は河出書房新社(2011年)。

中村文則のほかの収録作 More

  1. 001 2002 じゅう 初出・新潮 2002年11月号 雨の夜、大学生の「私」は河原で死体のそばに落ちていた拳銃を拾う。磨き、眺め、持ち歩くうちに、銃は退屈な日常に輪郭を与える唯一の存在となり、「撃つ」ことへの欲望が抗いがたく膨らんでいく——。一挺の銃という即物的なモチーフだけで青年の内面の崩壊を追い詰めていく構成と、乾いた硬質な一人称は、ドストエフスキ… 暴力孤独と疎外死と喪失 第34回 新潮新人賞
  2. 002 2004 遮光 しゃこう 単行本・新潮社 死んだ恋人の「残骸」を持ち歩き続ける青年が、嘘と妄想の境目を失っていく。喪失を受け止めるのではなく、異様な執着として保存しようとする心理が、硬く暗い文体で描かれる。中村文則の初期作品らしい、罪悪感、孤独、身体への嫌悪が凝縮された一作。 死と喪失恋愛記憶 第26回 野間新人賞
  3. 003 2005 悪意の手記 あくいのてき 単行本・新潮社 悪意や罪の意識を抱えた人物の内面を、手記という形式に近い暗い語りで追う中村文則の初期作品。出来事の派手さよりも、語り手が自分の中の暴力や孤独をどう正当化し、どう崩れていくかが中心になる。後の中村作品に続く、犯罪、自己嫌悪、倫理の揺らぎが濃く表れた一作。 暴力孤独と疎外死と喪失
  4. 004 2005 土の中の子供 つちのなかのこども 単行本・新潮社 『土の中の子供』は、幼少期の虐待の記憶を抱えた青年が、暴力と性のただなかで自分の生を測り直す作品です。語りは身体感覚に近く、外から説明するよりも、壊れた自己認識の内側から世界を見せます。暗い題材を扱いながら、傷の再演とそこからの微かな抵抗を描く点に緊張があります。 暴力身体孤独と疎外 第133回 芥川賞
  5. 005 2007 最後の命 さいごのいのち 単行本・講談社 『最後の命』は、少年時代の傷と再会、罪の記憶をめぐって、人が最後に何を拠りどころに生きるのかを問う作品です。中村文則らしい暗い心理描写が、暴力や孤独を抽象化せず、身体に残る感覚として描きます。過去に囚われた人物が他者との関係を回復できるのかが、緊張を生みます。 暴力記憶死と喪失
  6. 006 2009 何もかも憂鬱な夜に なにもかもゆううつなよるに 単行本・集英社 『何もかも憂鬱な夜に』は、死刑囚と向き合う若い刑務官が、自らの孤独な子供時代と現在を重ねていく中村文則の長篇です。犯罪や死刑制度の問題は、単なる社会的題材ではなく、人が他者の罪をどう受け止めるかという倫理の問いになります。暗い語りの中に、救いの可能性がかすかに残ります。 暴力死と喪失孤独と疎外
  7. 007 2009 世界の果て せかいのはて 単行本・文藝春秋 『世界の果て』は、中村文則が世界の終端に立たされたような人物の孤独や罪の感覚を描く作品です。題名は地理的な果てというより、他者との関係や倫理が行き詰まる場所を示しているように読めます。暗い心理描写と、逃げ場のない空気が特徴です。 孤独と疎外暴力死と喪失
  8. 008 2009 掏摸 スリ 単行本・河出書房新社 『掏摸』は、天才的なスリ師が闇の組織に支配され、逃げ場のない選択へ追い込まれていく中村文則の長篇です。犯罪小説の緊張を持ちながら、偶然、宿命、倫理の問題が強く前面に出ます。都市の雑踏と孤独な身体技術が結びつく、暗く硬質な作品です。 暴力労働孤独と疎外
  9. 009 2010 悪と仮面のルール あくとかめんのるーる 単行本・講談社 悪と仮面のルールは、中村文則による2010年発表の作品です。単行本は講談社(2010年)。
  10. 010 2012 惑いの森 まどいのもり 単行本・イースト・プレス バーに現れる男、手紙を待つ郵便局員など、愛おしき人々の日常が連鎖する50の短編集。
  11. 011 2012 迷宮 めいきゅう 単行本・新潮社 迷宮は、中村文則による2012年発表の作品です。単行本は新潮社(2012年)。
  12. 012 2013 去年の冬、きみと別れ きょねんのふゆきみとわかれ 単行本・幻冬舎 去年の冬、きみと別れは、中村文則による2013年発表の作品です。単行本は幻冬舎(2013年)。
  13. 013 2014 A えー 単行本・河出書房新社 Aは、中村文則による2014年発表の作品です。単行本は河出書房新社(2014年)。
  14. 014 2014 教団X きょうだんえっくす 単行本・集英社 巨大宗教団体をめぐる四人の男女が交差する、長大な暗黒の群像劇。
  15. 015 2015 あなたが消えた夜に あなたがきえたよるに 単行本・毎日新聞出版 連続通り魔殺人事件を追う二人の刑事の視点が交錯する、ミステリー的長編。
  16. 016 2016 私の消滅 わたしのしょうめつ 単行本・文藝春秋 私の消滅は、中村文則による2016年発表の作品です。単行本は文藝春秋(2016年)。
  17. 017 2017 R帝国 あーるていこく 単行本・中央公論新社 R帝国は、中村文則による2017年発表の作品です。単行本は中央公論新社(2017年)。
  18. 018 2018 その先の道に消える そのさきのみちにきえる 単行本・朝日新聞出版 アパートの一室で発見された緊縛師の死体をめぐり、重要参考人の女性と彼女に惹かれる刑事・富樫、別の刑事たちの視線が絡み合う長編ミステリー。謎と嘘を追う捜査の形を取りながら、暴力、欲望、死者の痕跡を通じて、この世界を生きる意味を問い詰めていく。犯罪小説の緊迫感と、中村文則らしい倫理的・実存的な暗さが重な… 暴力死と喪失
  19. 019 2020 逃亡者 とうぼうしゃ 単行本・幻冬舎 第二次大戦後から現代へまたがる逃亡と追跡を軸に、暴力、信仰、戦争の記憶が絡み合う長編。中村文則が得意とする犯罪小説的な緊張を保ちながら、個人の罪と歴史の暗部が切り離せないものとして立ち上がる。五百ページ規模の構成で、サスペンスの推進力と思想的な問いを並走させる読みどころがある。 戦争暴力信仰
  20. 020 2021 カード師 かーどし 単行本・朝日新聞出版 『カード師』は、占いを信じていない占い師であり違法カジノのディーラーでもある「僕」が、ある組織から冷酷な資産家の顧問占い師になるよう命じられる長篇。カード、占い、ギャンブルをめぐる偶然と操作の感覚が、個人では抗いがたい理不尽な力と結びついていく。語りはサスペンスの推進力を持ちながら、不確かな未来を知… 暴力信仰労働
  21. 021 2023 れつ 単行本・講談社 ある動物の研究者だったはずの男は、いつの間にか先も最後尾も見えない奇妙な列に並んでいる。誰もがなぜ並ぶのか分からないまま、競い合い、比べ合う社会の圧力が寓話的な状況として立ち上がる。現実の制度や欲望を抽象化した「列」から出られるのかを問い、簡潔で不穏な語りで現代の生の息苦しさを照らす作品である。 同調圧力アイデンティティ孤独と疎外
  22. 022 2025 彼の左手は蛇 かれのひだりてはへび 単行本・河出書房新社 『彼の左手は蛇』は、仕事を辞め、女性と別れて、蛇信仰の残る土地に来た男が「この手記」を書くところから展開する小説です。白蛇を祀る神社、毒蛇狩り、議員の死、刑事、謎めいた人物たちが絡み、蛇のイメージが信仰・恐怖・罪悪感・暴力の記憶を結びつけていく。手記形式の語りは、書くことそのものの危うさを含みながら… 暴力信仰記憶