せかいきろく
(世界記録)
紹介 About
括弧でくくられた題名がすでに仕掛けになっている、劇作家出身の新人による実験的なデビュー作。世界を「写生=記録」しサンプリングするような手つきで、書くことと現実のあいだのずれを執拗に往復する。単行本には小説とあわせて戯曲二篇が収められ、演劇の言葉と小説の言葉を行き来してきた作者の出自がそのまま本の形に表れている。物語の要約を拒むタイプの作品で、2000年前後の文芸誌における言語実験の気分をよく伝える。
評価 Reception
第43回群像新人文学賞当選作。選考では笙野頼子が「非常にレベルが高く、様々な仕掛けをくり出すのも面白く腕力がある」と評し、藤沢周も言語と現実の間に隙間を作る書き方を支持した。受賞からわずか2か月後の2000年8月に講談社から単行本化された。