おやまだ ひろこ

小山田浩子

b.1983

略歴 Profile

1983年11月2日、広島市佐伯区生まれ。広島大学文学部日本文学語学講座卒業後、編集プロダクションや自動車メーカー子会社に勤務。2010年「工場」で第42回新潮新人賞を受賞してデビュー。2013年、単行本『工場』が第26回三島由紀夫賞候補。同年「穴」を「新潮」2013年9月号に発表し、2014年第150回芥川賞を受賞。その後も『庭』(2018)、『小島』(2021)、『最近』(2024)、『ものごころ』(2025)と短篇集を精力的に発表する。収録短篇「いたちなく」が第40回川端康成文学賞候補、「彼岸花」が第41回同賞候補となった。日常の風景に異物や生き物が静かに入り込む「不穏な日常」の文学として国内外で高い評価を受け、英国文芸誌「GRANTA」にも短篇が掲載されている。現在も広島市在住。 このデータベースでは6作品を収録し、発表年は2010年から2025年に及びます。新潮新人賞、芥川賞の受賞作を含みます。主題や読み味では身体、不穏、孤独と疎外、清新、静謐といった切り口から作品を探せます。

出典 Sources

収録作品 Works

文芸誌での初出

  1. 001 2010 工場 こうじょう 初出・「新潮」2010年11月号 何を作っているのか判然としない巨大工場を舞台に、三人の従業員の視点から、働くことと生きることの不条理を描く作品集。表題作に加え、熱帯魚飼育に没頭する家と若い妻をめぐる「ディスカス忌」、心身の不調と虫の幻視を描く「いこぼれのむし」を収める。工場内の謎の動物や過剰な細部が、職場の日常を寓話的な生態系へ変… 労働孤独と疎外三人称・多視点 第42回 新潮新人賞
  2. 002 2013 あな 初出・「新潮」2013年5月号 仕事を辞めて夫の田舎へ移った語り手が、黒い獣を追って土手の穴に落ちたことから、見慣れた日常が異界の気配を帯びていく。世羅さん、寡黙な義祖父、義兄を名乗る知らない男など、周囲の人物の奇妙さが郊外の夏を静かにゆがませる。表題作に加え、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦をめぐる作品を収める芥川賞受賞作。 身体一人称 第150回 芥川賞

単行本

  1. 001 2010 工場 こうじょう 単行本・新潮社 何を作っているのか判然としない巨大工場を舞台に、三人の従業員の視点から、働くことと生きることの不条理を描く作品集。表題作に加え、熱帯魚飼育に没頭する家と若い妻をめぐる「ディスカス忌」、心身の不調と虫の幻視を描く「いこぼれのむし」を収める。工場内の謎の動物や過剰な細部が、職場の日常を寓話的な生態系へ変… 労働孤独と疎外三人称・多視点 第42回 新潮新人賞
  2. 002 2013 あな 単行本・新潮社 仕事を辞めて夫の田舎へ移った語り手が、黒い獣を追って土手の穴に落ちたことから、見慣れた日常が異界の気配を帯びていく。世羅さん、寡黙な義祖父、義兄を名乗る知らない男など、周囲の人物の奇妙さが郊外の夏を静かにゆがませる。表題作に加え、農村の古民家で新生活を始めた友人夫婦をめぐる作品を収める芥川賞受賞作。 身体一人称 第150回 芥川賞
  3. 003 2018 にわ 単行本・新潮社 『庭』は、虫、草花、動物、人間の暮らしが隣り合う十五篇からなる短篇集です。ふきのとう、彼岸花、どじょう、蟹、家グモなど身近なものが、暮らしの中の不条理や喜びを帯びて不可思議な世界を開きます。新潮社公式ページ掲載の書評が指摘するように、あっさりした題名と濃密な本文、現実と幻想の自然な共存が読みどころで… 身体寓話・幻想
  4. 004 2021 小島 こじま 単行本・新潮社 豪雨災害後の農村、自宅、保育園などを舞台に、何気ない出来事が世界をかすかに震わせる中短篇集。花の世話をする女性、生きものとの遭遇、広島カープをめぐる奇談連作などを通じて、日常の時間や記憶が別の相へ滑り出す。身近な風景の観察が、災害後の生活感覚や家族のずれを浮かび上がらせる。虫や鳥、犬、植物などの生き… 孤独と疎外寓話・幻想地方
  5. 005 2024 最近 さいきん 単行本・新潮社 『最近』は、パンデミック後の近い過去を背景に、平凡な夫婦と周囲の人々の生活を精密に追う連作長篇です。救急外来の待合室で想起される赤い猫の噂を入口に、家族、友人、病院、日々の手続きや会話が、不安と責任の曖昧さを呼び込みます。大きな事件ではなく、生活の中で少しずつ増えていく違和感や気配が連作のつながりを… 夫婦身体長い息の文体
  6. 006 2025 ものごころ ものごころ 単行本・文藝春秋 『ものごころ』は、植物、花、虫、生きものがあふれる子供の世界を、身体感覚ごと描く九篇の短篇集です。怪我をした犬を拾った少年たち、飲み込んだスモモの種をめぐる不安など、子供の視界に近い感受性から世界の手触りを探ります。子供の認識は無垢なものとして固定されず、身体の違和感や怖さ、周囲の大人との距離を含ん… 身体母と子寓話・幻想